再び、梓達

「いっくよ~、ゆいちゃん真拳究極奥義『クイズ☆ゆいオネア』」

可愛らしい声とともに、ロケット団の奴らが椅子に強制的に座らされ、両手足が固定される。

「なんだ、これは。離せ」

「なんですか、今回は」

「この奥義はクイズをロケット団の方、1人1人に出して、当たったら、その、両手足の拘束具が外れます」

「あの、ポケモンの方は……」

「後ろを見てごらん」

「後ろですか……」

ロケット団の後ろを見ると、牢に入ってるポケモン達が。

「今の内に倒せばいいんじゃ」

「それじゃ、ルール違反なんだよ。この人達が正解を当てれば、ポケモンも開放されるよ。……さて、早速、第1問を始めるよ~。皆も答えてね♪」

まず、1人目として、1人のロケット団員とニョロゾが選ばれます。

『それでは問題です。次の選択肢から正しいカプを選んで下さい』

選択肢 1・唯梓 
    2・澪梓 
    3・紬梓 
    4・律梓

選択肢が出てきたのはいいんですけど、なんで、全部私が絡むんでしょうか。

「くそっ。分かるわけないだろ、こんなの」

「さあ、どれが正しいか、分かりましたか」

(まてよ。そういえば、このチビはゆい先輩。こっちはあずにゃんと呼ばれていた。だとすると答えは……)

「答えは1だ。どうだ、正解だろ。サッサと、解放しろよ」

「うん。たしかに、間違ってないよ。私とあずにゃんは愛し合ってるしね」

ものすごく否定したいんですけどね。

『では、ファイナル○ンサー?』

「 ファイナル○ンサー」

ゆい先輩はどこかの司会者みたいに答えを溜めて、言いました。

『ざんね~ん。本当は正解にしたかったんだけどね』

「くそっ。じゃあ、正解はなんだよ」

『正解は1~4、全てが正しいんだよ。だって、カプなんて、人それぞれだもんね。でも、私としてはもちろん1だけどね』

えー。トレーナーの私が言うのも何なんですけど、卑怯じゃないですかね。

「ふざけんなよ。なんで、そんなに答えがあるんだよ」

『私は答えを1つだけ選んでなんて言ってないよ。正しいものを選んで下さいとは言ったけどね』

なんていう言葉遊びですか。

『さて、罰ゲームの時間だよ。ブイ太』

「ダース」

「ちょ、待って……」

「10万ボルト」

「ギャーーーーーーーーーーーーーーー」

ロケット団員とニョロゾに10万ボルトの電流が流れます。うーん、自業自得とはいえ、こんな理不尽なクイズをやらされて、こんな攻撃を喰
らうんですからね。少し、同情してもいいかもしれません。


「では、次の挑戦者で~す」

次はエレブーとそのトレーナーのロケット団ですね。

『では、早速、問題だよ~。次の選択肢からネコミミが1番似合うのを次の選択肢から選んで下さい』
選択肢 1あずにゃん 
    2澪ちゃん 
    3りっちゃん 
    4ムギちゃん 
    5私(ゆい)

選択肢が増えてますーーーーーーーーー。

「くそ。分かるかよ、えーと、答えは、全部だ。そんなもん人それぞれだろ」

「なるほど。その考え方も一理ありだね。ではフ○○ルアンサー?」

「フ○○ルアンサー」

ゆい先輩はどこかの司会者みたいに答えを溜めて、言いました。

『ざんね~ん。正解は1のあずにゃん。これは人の感覚とかじゃなくて、宇宙の真理なんだよ』

まったく、意味が分かりません。

『さて、罰ゲームだよ。はかいこうせん』

ロケット団と牢に入って、逃げられないエレブーに直撃しました。

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

「さて、最後の挑戦者だよ~」

最後はスピアーとそのトレーナーのロケット団ですね。可愛そうに、ガタガタっと体が震えています

『では、問題です。次の中から、この物語の主人公を選んで下さい』

選択肢 1あずにゃん 
    2澪ちゃん 
    3りっちゃん 
    4ムギちゃん 
    5私(ゆい)

「ひい、えーと、5だ5。5でファイナル○○○ー」

『5だね。ファイナル○○○ー』

「ファイナル○○○ー」

ゆい先輩はどこかの司会者みたいに答えを溜めて、言いました。

『せいか……あれ?答え、違くない?スタッフさ~ん。……え、間違ってない?うぅ、文句は多々あるけど仕方がないね。では、あらためて、……ざんね~ん。正解は1らしいね』

「ひい、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

必死に謝るロケット団員。もっと、プライドとかないんですかね。

『残念だけど、罰ゲームだよ。ルー太、のしかかり』

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーー」

ロケット団員にガルーラの巨体がのしかかります。でも、スピアーは無傷です。

「ゆい先輩、スピアーは?」

「慌てない、慌てない。ブイ太、10万ボルト」

サンダースの10万ボルトが炸裂します。そして、スピアーが全滅した時、周りの光景が元に戻りました。

「ふう~。お終いっと」

額の汗をぬぐうゆい先輩。相変わらす、よく分からない技ですけど、強いですね。っと、そんなことよりも。

「モブ太君のところに行きましょう」

私は全部のポケモンを戻し、病院に向かおうとした時、

「もう、大丈夫じゃよ」

と、フジさんの声がしました。

「フジさん!モブ太君は……」

「幸いにも、かすり傷じゃったし、毒もどくけしで治った」

「梓お姉ちゃん」

「モブ太君。ごめんね、私のために……」

「ううん、それはいいんだよ。梓お姉ちゃんは守ってくれたもんね。このポケモンハウスを。ありがとう」

「こっちこそ、いいんですよ。あれ、ヘルガーとニューラは?」

「ニューラはわし達を逃がすために、ラッタ達の囮に。それで、ヘルガーが迎えに行ったんじゃ」

「そうですか」

きっと、あの2匹なら大丈夫だと思いますが、心配ですね。

「お姉ちゃん、すごい濡れてるよ。着替えた方がいいよ」

そういえば、雨が降ってましたね。今は少し、やんでいますが。

「うむ、シャワーを浴びていくがよい」

「……ごめんなさい、行く場所があるので」

私は駆け出した。


「あ。……お姉ちゃん。どこに行ったんだろう」

「あずにゃんはね。大切な仲間を迎えに行ったんだよ」

「……仲間」

「そう」

「あのヘルガーはお姉ちゃん達の命令を聞くために一生懸命だったんだ。もちろん僕を助けるためにも一生懸命だったけどさ、それ以上にね」

「そうなんだ」

「……僕ね、梓お姉ちゃんにヘルガーを頂戴って言おうとしたんだ。これを言うのは仲間を頂戴って言うことだよね」

「……」

「それじゃ、ポケモンを物みたいに扱うってことだよね。それはいけないことだよね」

「私には難しいことは分かんないけど、それを決めるのはモブ太君だよ」

「……うん」


――――

「ニューラ」

「ラッタ……」

バタッ。

「馬鹿な、たった1匹に全滅だと……」

「ハア……ハア……」

「ニューラ!」

私が見つけた時、ラッタ6匹が倒されていました。しかし、だいぶ疲れています。

「あいつが来たってことはあいつらも……。なら、女だけでも」

「ニューラ」

ロケット団員がナイフを出し、私に向かって、突っ込んできます。このままでは……。その時、

「ヘルガ」

という鳴き声とともに、ヘルガーがロケット団員を突き飛ばしました。

「ありがとう、ヘルガー」

「ヘル」

「ニューラ」

ニューラもやってきました。

「ニューラもよく頑張りました。さあ、戻りましょうか」

私は2匹をボールに戻し、ポケモンハウスに戻りました。


入浴後、天気もよくなってきたので、出発することに。

「モブ太君。君にこれを渡すね」

私は涙をこらえながら、ヘルガーを渡そうとします。きっと、喜んで、もらってくれるでしょう。

「……いらない」

「え?」

「僕ね、自分でヘルガーをゲットして、お姉ちゃんのヘルガーに負けないように育てるんだ」

目を輝かせて言う、モブ太君。

「だから、お姉ちゃん。その時に、バトルしよう」

「……はい」

―――

「よかったんですかね、これで」

私はポケモンハウスを出て、タマムシシティに向かっています。

「よかったんじゃない?あの子も楽しそうな目をしてたし」

ゆい先輩は頭の上で言います、
「……そうですね」

「そんなことよりも、今回、あんまり、あずにゃんとイチャイチャ出来なかったよ。あそこで、一緒にケーキでも食べようよ。2人でアーンし
てさ。恋人だしさ」

「なに言ってるんですか。それに恋人(仮)です」

「細かいよ、あずにゃん」

「重要なことなんです」

でも、そうですね。そろそろ、いい時間ですしね。

「タマムシに行く前に、ケーキでも食べましょうか」

「え、いいの!」

「でも、アーンはなしですけどね」

「あう~。でも、いいかな。早く、行こうよ」

頭の上で急かすゆい先輩。

「急かさないでくださいよ。のんびり行きましょうよ」

「いつもと言ってることが逆だよ、あずにゃん」

「うるさいですよ」

そんな、たわいもないことを言い合いながら、喫茶店に向かいました。


シオンタウン編① 「ポケモンハウスを守れ!」 終了




「わ~、今までと違って、すごい都会だね」

私達は、シオンタウンを出て、タマムシシティに到着しました。タマムシシティはタマムシデパートっていう、各地にあるショップの本店がある町でも有名ですね。

「ねえねえ、あずにゃん。早速、デパートでお買い物をしよう」

お買い物ですか。財布の中身も問題ないですから、多少の買い物も出来るでしょう。しかし……。

「駄目です。まずはジムに挑戦です」

「え~。もっと、ゆっくり行こうよ~」

「何を言ってるんです。きっと、澪先輩達はここのバッチもゲットしてるでしょうし、私も早くゲットしないと、皆さんには追いつけません」

「別に追いつかなくてもいいよ~。私たちのペースで行こうよ~」

「そうも言ってられません。ただでさえ、のんびりしてるんですから、少し、早くしないと」

「うぅ、2人でタマムシデパートでデートしたかったのに……」

私の頭の上でシュンとするゆい先輩。なんだか、悪いことをした気がしますが、ここは心を鬼にしないと、いけません。いけないんですが……。

「明日、行きましょう。ゆい先輩」

「え、いいの?」

「そのかわり、今日のジム戦も頑張って下さいよ」

「うん!私、頑張るよ」

ぱあっと、明るくなるゆい先輩。

「では、早速、いきましょう」

「うん!」

そして、タマムシのポケモンジムに。一応、今回の手持ちは前回のままですが、大丈夫でしょう。

「ここはどんなジムリーダーなの?」

「なんでも、エリカって名前の女の人とかで、ジムの人も、女の人しか入れないとか」

「男の人はどうなるの?」

「さあ?まあ、挑戦は出来るらしいですけどね」

とりあえず、ジムの扉に手をかける。

「しつれいしまーす」

中に入ると、たくさんの植物が生えていました。

「わー、綺麗なお花だね」

ゆい先輩は近くに生えてた、花にピョコピョコって駆け寄る。実に可愛らしい光景で……駄目です。なんで、私は最近こんな思考に陥るんでしょうか。

「どなたですか?」

私が1人悶々としていると、女の人が話しかけてきました。

「私たちのジムに何か用ですか?」

「あ、すいません。私はマサラタウンから来ました、中野梓といいます。こちらのジムリーダーの方に挑戦させてほしいんですけど」

「あ、そうですか。遠いところから、ご苦労様です。今、エリカさんを呼んできますね」

そう言って、女の人が奥に向かっていった。

「感じの言い方ですね」

「そうだね」

少しの間、待っていると奥から、何人かの女の人とともに和服の服を着たどこかのお嬢様のような雰囲気を持った女の人が出てきました。

「あなたが梓さん?」

「は、はい。私はマサラタウンから来た、中野梓といいます。」

「それはそれは。遠いところから、ご苦労様です。私はエリカ。このジムのジムリーダーをさせてもらっています。よろしくお願いしますね」

「あ、はい。よろしくお願いしますね」

今までのジムリーダーよりも丁寧な方ですね。

「それで、今日はジム戦ということですね」

「はい」

「それよりも、私のジムに所属しませんか?」

「……はい?」

突然、何を言い出すんでしょうか。

「どういう意味ですか?」

「いえ、随分、あなたが可愛らしい女の子でしたので」

「は、はあ」

「えへへ~、エリカさんは見る眼があるね」

「あら、可愛らしい子ですね」

「私はゆいって言うんだよ~」

「そうなの。よしよし」

エリカさんはゆい先輩の頭を優しくなでます。

ナデナデ。

気持ちよさそうな顔をするゆい先輩。

「……ところで、梓さん。女の子同士の恋愛って、どう思います?」

「はい?いきなりなんですか?」

なんだか、雲行きが悪くなってる気がするんですが。

「いいと思うよ~」

私が不安に苛まれていると、ゆい先輩が答えます。

「梓さんもですか?」

「は、はあ。まあ、いいんじゃないでしょうか」

私自身も(仮)ですけど、ゆい先輩とは恋人ですしね。

「では、梓さん!」

いきなり、大きな声を出す、エリカさん。

「は、はい。なんですか」

「私とお付き合いしてくれませんか?」

突然の告白。

「え、いや、いきなりな……」


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最終更新:2011年08月03日 03:21