4階

4階はかみなりのいしなどの石類や技マシンが売ってるみたいですね。後は人形とかそんなのですか。

「ピッピにんぎょうだ~。可愛いね~」

ピッピにんぎょうを抱っこするゆい先輩。

「そうですね。そういえば、ゆい先輩のぬいぐるみって、どこに保管してるんですか?」

「あれは……なんていうんだろ。ドラ○もんのポケット的な場所かな?」

「つまり、別次元ですか」

「そうだね」

「あれはどこに売ってるんです?」

「あれは、非売品だよ。……あ、あずにゃんも欲しいの?でも、あずにゃんには、ぬいぐるみなんかなくても、私がいるじゃない」

そう言うと、ピッピにんぎょうを置いて、私の足に抱きついてくるゆい先輩。

「キャッ。……もう、いきなり、抱きつかないで下さい」

「えへへ~、あずにゃ~ん」

スリスリ。

「顔を擦り付けないで下さい!」

「嫌がることないんだよ~」

「もう!早く、次に、行きましょう」

「え~。後、ちょっと~」

「駄目です。さあ、行きますよ」

私はゆい先輩を引き離し、先に進みます。

「待ってよ~、あずにゃ~ん」


5階

5階は書店や飲食店のようですね。時間も、ちょうどお昼過ぎですし、ここで昼食にでもしましょう。

「なにか、食べたいものはありますか?」

「う~ん、どうしようかな?たくさんあって、迷っちゃうよ。あずにゃんは何がいい?」

「私はこれといって、食べたいものもないんですけどね」

「むう~、何でもいいってことだね。つまりは昼食は私の判断で決まると」

「そうですね。でも、決められないなら、私が決めますけど」

「いや、大丈夫。私が決めるよ」

フンス、と気合を入れる、ゆい先輩。正直、そこまで、気合を入れなくてもいいんですけどね。

「じゃあ、あそこにしよう」

ゆい先輩が指差したのはケーキが美味しいと有名なお店ですね。

「でも、昼食にケーキは……」

「嫌?」

「……まあ、たまにはいいですよね」

私達はお店に入りました。

「たくさんあって、参っちゃうよね。どれにしようか、あずにゃん」

「……」

「一通り、食べてみたいとは思うけど、どうしようか、あずにゃん」

「……」

「どうしたの、あずにゃん」

「? どうしたの、あずにゃん」

「……ゆい先輩、1つ聞いていいですか?」

「な~に?」

「どうして、私の膝の上に座ってるんですか?」

「いや~、小さい体を利用しようかなって。大きかったら、出来ないし」

「それは間違っていませんけど」

実際、大人とかがこんなことしてる人がいたら、ドン引きですよね。

「それを食べさせっこする時に、私の大きさだと大変だし」

「……待って下さい。食べさせっこというのは……」

「お互いに、ア~ン、パクって、食べさせることだよ」

「そんなに眼を輝かせて言われても」

「そんなことよりも、私はこれとこれとこれを注文するね。あずにゃんは?」

「そんなに食べられないでしょう。私はいいですよ」

「そう?まあ、足りなかったら、また、頼めばいいかな」

そう言って、店員を呼んで、注文を始めました。まったく、やれやれです。


屋上

昼食後、屋上のベンチで一休みです。

「おいしかったね、あずにゃん」

「私は食べた気がしませんでしけどね」

ケーキがきてゆい先輩に押し切られるように、お互いに食べさせあいっこをしたら、周りの人の温かい目を集中的に浴びてましたからね。屋上は、お客さんがゆっくり出来るようなスペースみたいですね。

「いい気持ちだね~」

「そうですね~」

ちょうどよい日ざしと食後ということもあって、眠くなってきそうですね。

「う~ん」

そんなことを思っていると、ゆい先輩がグテーと私の膝の上に頭を乗せて、ムニャムニャと眠り始めました。

「やれやれですね」

気持ちよさそうに眠る、ゆい先輩の頭を撫でてみる。ゆい先輩は気持ちよさそうな寝顔ですう、すうと可愛らしい寝息を立てて寝ています。

「たまにはいいよね、こんな一日も」

可愛らしいゆい先輩の寝顔を見ながら、そんなことを思いました。


タマムシシティ編② 「嵐の前の休息」終了




「ゆい先輩、起きて下さい」

「う~ん、後、五分~」

「寝ぼけてないで起きて下さい」

「……仕方がないな~。……ん?ここはどこ?私は誰?」

「何をベタなことを……。ここはタマムシデパートの屋上で、あなたはゆい先輩です」

「そうだったね。あ、私はあずにゃんとデートしてたんだったね。次はどこに行こうか」

「そうですね~、まあ、まずは夕食ですね」

「夕食?やだな~、あずにゃんたら。さっき、ケーキを食べたばかりじゃない。もう、食いしん坊なんだから~」

「ゆい先輩。まだ、寝ぼけてるんですか。周りを見てください」

「ほえ……わ~、綺麗な夕日だね。時間も5時だし、良い子は帰る時間だよ~。……えっ!あずにゃん、これは一体どういうこと!?」

「どういうことも何も、ゆい先輩が寝ていたということですよ」

「わ~ん、貴重な一日が潰れちゃったよ~」

シクシク

「泣かないでくださいよ。……また、デートをすればいいじゃですか」

「え?また、デートしてくれるの!?」

「……一応、恋人(仮)ですからね。仕方がないです」

プイ

「わ~い、わ~い」

「納得してくれたなら、結構です。それじゃ、行きましょうか」

「うん」


タマムシシティにある、とある料理店

こんばんは、秋山澪だ。私は、律とムギと一緒にタマムシシティにある、とある料理店のお座敷で食事をしている。

「久しぶりだな、澪、ムギ」

「ああ、久しぶり」

「研究所からどれくらいになるのかしらね」

「まあ、積もる話もいろいろあるだろうけど、まずは本題に入ろう」

その律の一言で場に緊張感が走る。そう、私達は仲良く再会を祝うために集まったわけではないのだ。

「さて、諸君。私達は、ある一つの条約を結んで、今まで、やってきたわけだが、ここで、一つ、大きな障害が現れたわけだ」

私達は不毛な争いを避けていくために、博士の研究所を出発する半年前から結ばれたものだ。

「それで、ムギ。最後に会ったのはムギだったよな。あの2人の様子はどうだった?」

「かなりの信頼を寄せているようだったけど、そこまでの関係ではないと思うわ」

「ふむ」

「さすがに心配しすぎな気がするんだが。あくまでも、トレーナーとポケモンの関係だろ?」

「甘いな、澪。あれは相当に好きなはずだ。私が会った時点でも、そうだったんだから、今はもっとすごいかもしれない。だからこそ、対策が
必要なんだ」

「そうは言ってもどうしようかしら、りっちゃん」

「それを話し合うために集まったんだけどな」

しばしの沈黙が流れる。本人に会う機会がないのだから、対策のしようがないのだ。まあ、私に言わせれば、心配しすぎな気もするけどな。

「……私はちょっと、トイレに」

私はトイレに向かう。同性愛者かどうかは別にしても、ロリコンではないだろう。たしかに、性格も明るくて、年も18歳だとしても、容姿は幼稚園児だったし。そういえば、男がそんな容姿の子と付き合いたいとか、言い出したら確実にロリコンだろうけど、女の人の場合もロリコン
なのだろうか。まあ、そんな人が現実にいないだろけど。私はトイレを済ませ、律たちの所に戻ろうとした時、

「今日はここで夕飯なの?」

「ここは美味しいと評判みたいですからね。ちょっと、金銭的には厳しいですけど、食べてみたいな、って」

聞きなれた声が聞こえたので、振り向くと、

「あ、梓」

「あ、澪先輩」

「皆さん、お久しぶりですね」

私達はたまたま、やってきた料理店で律先輩達に会い、一緒に食事をすることになりました。

「ああ、久しぶり」

「ハナダシティ以来だよな」

「……梓ちゃん、サントアンヌ号の時は……」

「あ、気にしないで下さい。私のせいで、あの場に長く足止めされるより、旅を続けてくれた方がいいですし」

「そう言ってくれるなら、いいけど……」

「それにしても、皆さんはどうして、ここに?もしかして、待ち合わせですか?だとしたら、誘ってくれれば、よかったのに……」

「いや、たまたまだよ。なあ、澪、ムギ」

「そうだよ、たまたまだよ」

「ええ」

「それに、一緒に集まるなら、梓も誘うよ」

「そうですよね。……すいません、へんなこと聞いて」

「気にしなくていいよ。……それよりも、聞きたいことがあるんだ」

「何ですか?」

「……いつも、ゆいを膝において、食事をするのか?」

私がスルーしてほしかったことをズバッと言われてしまいました。まあ、逆の立場でも同じ事を聞いたでしょうけど。

「それは……」

「それは私たちが恋人同士だからだよ~」

私の言葉を遮り、ゆい先輩が言い出しました。

「ゆい先輩、誤解させるようなこと言わないで下さい」

「……私との関係は誤解だったの、あずにゃん」

ゆい先輩は目をウルウルさせながら、見上げてきます。……その顔は卑怯ですよ。

「あ、あくまでも、(仮)で……皆さん、どうしたんですか?」

律先輩達の雰囲気が急に凍りつきました。しかも、皆さん、殺気を放ってるような気がするんですけど……。

「……梓、今の話は本当なのか?」

低い声で聞いてくる律先輩。

「本当だよ~。あずにゃんは私の恋人なんだ~」

恐怖で声の出ない、私の代わりにゆい先輩が答えて、ギュッと、私の胸に顔を埋めて、抱きついてました。

「「「……」」」

ますます、皆さんの空気が……。

「え、えーと、ちょっと、トイレに行ってきますね」

私はゆい先輩を置いて、魔界のような雰囲気の部屋を後にしました。

「……やってくれたな、ゆい」

「なんのことだい?」

「とぼけやがって」

「まあまあ、落ち着いて、りっちゃん」

「……………」

「戻ってきて、澪ちゃん」

「………はっ」

「これで、分かったでしょ。あずにゃんは私の恋人なんだから、諦めて、私達を祝福しなよ。それが、このSSを見てくれてるわずかな人々の願いなんだよ」

「? ゆいはなにを言ってるんだ」

「澪ちゃん。深く、気にしちゃ駄目よ」

「こうなっては仕方がないな、澪、ムギ」

「やっと、分かってくれたかい、りっちゃん」

「私達は元々、ポケモンリーグで一番成績のよかった奴が、告白して、周りがフォローするという約束でだったんだ」

「そんなルール、私は知らないよ」

「だが、私達はルールを変更することにする。今までのルールはそのままだが、新たにゆいに勝つこと、これをルールに加えることにする」

「わ~お、私を無視して、話が続いてるよ」

「なるほど、名案だ」

「さすがはりっちゃん」

「ちょっと、待ちなさいな。勝手に話を続けないでよ」

「なんだよ。……あ、そっか。ゆいは弱いから、負けるのが怖いんだな」

「誰もそんなこと言ってないよ。分かったよ、その挑戦、受けてたつよ」

「言ったな、ゆい。後悔するなよ」

「ふん、後悔するのはりっちゃん達だよ。前にも、言ったかもしれないけど、この物語は私があずにゃんのために戦って、愛を掴み取る物語だ
ということを今ので、確信したよ。私は、あずにゃんとの愛をりっちゃん達から防衛しなきゃいけないんだね!私はあずにゃんとの愛を守るために戦うよ!! 覚悟してね、りっちゃん達!!!」

私はりっちゃん達に宣言する。それにしても、私の嫁はもてすぎて困るね、まったく。ま、もてない方がおかしいんだけどさ。でも、こうやって、言い寄ってくる虫さん達も退治していかなきゃいけないんだから大変だよ。愛とは戦って掴み取らなきゃいけないんだね。

「ハックション」

誰か、噂でもしてるんでしょうか。さて、戻りたくありませんね。さっきの雰囲気からして。きっと、先輩達も後輩がロリコンという特殊な趣味になってると知ったら(誤解ですけど)、嫌がりますものね。今まで、仲良くして頂いただけに、ちょっと、残念ですけどね。

「すいません、遅くなって……」

「おう、梓。別にいいよ、ゆっくりでも」

あれ?なにか、さっきまでとは全然雰囲気が違いますが……。

「あずにゃ~ん、抱っこ~」

ギュッと抱きついてくる、ゆい先輩。

「わ、分かりました」

とりあえず、抱っこしてあげます。それにしても、さっきまでのギスギスした雰囲気もなくなってますし、何なんでしょうか。


その後、夕食を済ませて、店を出ました。

「なあ、皆。明日、タマムシにあるゲームコーナーに行かないか?」

「いいわね」

「あずにゃん、ゲームコーナーって?」

「タマムシで有名な施設の1つで、コインを使って、スロットなどで遊べたり、コインと引き換えに、技マシンやポケモンを手に入れることが
出来る施設ですね」

「へー、面白そうだね」

「私もいいよ」

「私はどうしようかな?」

「あずにゃん、私行きたーい」

「なんだよ、梓。なにか、用事でも?」

「別にそういうわけでもないんですけど……バッチが」

「なんだよ、そんなことか。まだ、時間があるんだし、大丈夫だろ。そういえば、皆は何個ゲットした?。私は7個」

「私は8個」

「さすが、りっちゃん、澪ちゃん。私はちょっと、遅くて6個よ」

「梓は?」

「……4個です」

「「「……」」」

「急に黙らないで下さい! いいですよ。明日、私もゲームコーナーで遊んでやるです」

「そんなにやけっぱちにならなくても」

「いいんです! こうなったら、ゲームコーナーの景品でもレアのポリゴンをゲットしてやるです。やってやるです」

「あずにゃんが燃えてるよ」

「こんな、キャラだったけ?」

「さあ?」


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最終更新:2011年08月03日 03:27