次の日、ゲームコーナー
「では、早速遊ぼう……というのはつまらないから、ルールを決めよう」
「なんだよ、普通に遊べばいいだろ」
「それじゃ、つまらない。ここは勝負だろ。ルールは簡単。あらかじめ、コイン100枚を買って、渡しただろ?」
「ああ、あるな」
「ありますね」
「そうだな、ますは各自、いろいろなゲームをして、コインを稼いでいく。13時にここに集合して、一番、枚数の少ない奴が昼飯をおごりな」
「また、律は……」
「面白そうね」
「いいねえ~、やろう。もちろん、あずにゃんと私はコンビね」
「というより、ゆいは1人じゃ出来ないからな。お前らは2人で1人だな」
「だから、私とゆい先輩で2人で100枚というわけですか」
「そういうこと。後、夕食も賭けるからな。午前の枚数を引き継いで。最後に、コインを買って、増やすのは禁止な。だから、午前で0枚とかになると辛いぞ。では、スタート。私はスロットに行こうっと」
「それじゃ、私はカードめくりに」
「私はどうしようかな?」
皆さん、別々の方向に行きました。
「私達も行きましょうか」
「そうだね」
「私達は何をしましょうか」
「そうだねー。……あれ、やりたい」
ゆい先輩が指差したのは……麻雀?
「あれですか」
「そう、あれ」
「でも、私、ルール知りませんよ」
「大丈夫。私は故郷では、人鬼とも呼ばれたし、むこうぶちとも呼ばれてたんだ」
フンス、と得意げな、ゆい先輩。
「なんですか、それ。……まあ、ゆい先輩がやりたいなら、いいんですけど」
とりあえず、麻雀コーナーに向かいます。それにしても、いろいろなコーナーがあるものです。
「いらっしゃいませ。当コーナーでは、コインのビンタ麻雀です」
「ビンタ麻雀?」
「ビンタ麻雀は差しウマの一種で、特定の点数、当コーナーでは原点25000点ですが、原点以上のプレイヤーとそうでないプレイヤーの間で支払いが倍になる、ルールです。失礼ですが、ここのゲームコーナーのコインはありますか」
「はい、これですよね」
私は店員さんにコインを見せる。
「結構です。ちなみに、一発は掛け金の10分の1。裏ドラは掛け金の10分の1×その数。役満は掛け金に関係なく、50枚、トビ賞は30枚です」
どうしましょう、まったく、理解できません。今からでも、引き返したいです。そんな中でも、ゆい先輩は『O.K』と言って、やる気満々ですし。
「本当に大丈夫ですか?」
私はゆい先輩の耳元に呟きます。
「大丈夫だって、この私を信じなさい」
フンス、と自信満々に言うゆい先輩。私達は店員さんに案内され、席に着きました。
「店員さん、順位ウマは?」
「順位ウマはなしです」
「分かった。早速、始めよう」
「こんな可愛らしいお嬢ちゃん達が相手かい?」
正面に座っていた人が話しかけてきます。横のテーブルにはたくさんのコインが置いてあり、大変景気がよさそうです。
「あーあ、可愛そうに」
「ああ、あいつはここでも勝ちまくってる奴だからな」
興味津々ばかりにギャラリーが集まってきました。
「掛け金は……お嬢ちゃん達は初めてみたいだし10枚、東風戦だがいいかな?」
「かまわないよ」
「ところで、お姉ちゃんは幼稚園児のお嬢ちゃんを抱っこしながらやるのかい」
「ええ、まあ」
「くくく、まあ、頑張りな」
その後、簡単に自己紹介をしました。
「じゃあ、早速、始めるか」
1回戦・東4局(オーラス)
東・小暮さん 17000点
南・佐野さん 45000点
西・成金さん 13000点
北・ゆい先輩 25000点
「嬢ちゃんが2位とはお前ら、情けないな。……ツモ、2000・1000」
東・小暮さん 15000点コイン収支 -20枚
南・佐野さん 49000点 60枚
西・成金さん 12000点 -40枚
北・ゆい先輩 24000点 0枚
「大丈夫ですか、ゆい先輩」
今回の収支はゼロですが、1回もあがれていません。
「慌てなさんな。今は様子見だよ。じゃ、2回戦をやりましょうか」
2回戦・東4局(オーラス)
北・小暮さん 21100点
東・佐野さん 36900点
南・成金さん 17000点
西・ゆい先輩 25000点
「さっきから、あの嬢ちゃん、振らず、あがらずだな」
「それどころか、鳴きもしないな」
ギャラリーのそんな声が聞こえてきます。本当に大丈夫ですかね。
「嬢ちゃん、ギャラリーは不満だぞ。……どれ、リーチ」
トップの佐野さんがリーチです。
「余裕だな」
「ああ、リーチの必要もないのに」
「……ポン」
突然、佐野さんのリーチ牌をゆい先輩が鳴きました。
「この手を鳴くのか」
私には、よく分かりませんけど、ギャラリーには疑問のようです。
「……ツモ、500・300」
次のゆい先輩のツモで、あがることが出来ました。
「ハッハハハハ、ようやく、あがった手がゴミとはな」
佐野さんは高笑いして、自分の手を広げます。
「……フッ」
ゆい先輩は佐野さんの手を見て、ニヤリと笑います。最早、誰ですか、あなたは。でも、何を笑ったんでしょう、と手を見てみると、佐野さんの待っていた牌はゆい先輩と同じです。しかも、ゆい先輩が鳴いていなければ、一発でツモっています。まさか、ゆい先輩はこれを狙って……。
北・小暮さん 20800点コイン収支 -30枚
東・佐野さん 36400点 50枚
南・成金さん 16700点 -50枚
西・ゆい先輩 26100点 30枚
「……レートを倍にしませんか」
突如として、ゆい先輩がそんなことを言い出しました。
「ちょっと、ゆい先輩」
「いいぜ。なんなら、倍なんて言わないで、100枚にしようぜ」
「そうだな」
「ああ、いいぜ。嬢ちゃんは」
「……かまわないよ」
そして、3回戦・東一局
南・小暮さん 25000点
西・佐野さん 25000点
北・成金さん 25000点
東・ゆい先輩 25000点
「……リーチ」
「おいおい、いきなりかよ」
佐野さんが切ります。
「御無礼だよ。ロン、一発に裏が1枚のって、18000点。ボーナスで、コイン20枚」
3回戦・東一局・一本場
南・小暮さん 25000点
西・佐野さん 7000点
北・成金さん 25000点
東・ゆい先輩 43000点
「リーチ」
「またかよ」
成金さんが切ります。これで、ロンですね。
「……」
あれ、スルーですか。ゆい先輩はロンせずにツモります。
「御無礼だよ。ツモ、一発で4000オールの一本付け。ボーナスでコイン30枚」
「お、おい。こいつのはスルーかよ」
「ごめんね、ツモれる流れだったから」
3回戦・東一局・二本場
南・小暮さん 20700点
西・佐野さん 3700点
北・成金さん 20700点
東・ゆい先輩 55900点
「御無礼だよ、ロン。12000点の2本付け。佐野さんのトビで終了だね。トビ賞で30枚」
南・小暮さん 20700点 コイン収支計 -210枚
西・佐野さん -16300点 -460枚
北・成金さん 20700点 -10枚
東・ゆい先輩 68500点 680枚
「続けるかい?」
ゆい先輩が聞きます。
「あ、当たり前だろ」
「そうだ、レートは倍の200枚だ」
「もちろん、受けるだろ」
「かまいませんよ」
4回戦・東一局
「御無礼だよ。ツモ、4000点オール」
「くそ。このガキ、止まらない」
4回戦・東一局・1本場
南・小暮さん 21000点
西・佐野さん 21000点
北・成金さん 21000点
東・ゆい先輩 37000点
「その東、ポン(よし、これで、混一色聴牌)」
「……リーチだよ、佐野さん」
(なんだよ、おれを狙い撃ちってか。……ツモは東か)
佐野さんが東を切ります。
「御無礼だよ、ロン」
「えっ!」
「国士無双だよ。佐野さんのトビでトビ賞、役満賞で80枚に、コイン合計は3人合わせて、1280枚だね」
その後、ゆい先輩は掛け金をあげつつ、勝ちまくったのは言うまでもないでしょう。
そして、13時。
パチパチパチパチ。
「まずは、ムギから」
「私は、1000枚かしら」
「お、やるな。暫定だけど、優勝候補だ。次は澪だ」
「私は……110枚」
「なんだよ、たったそれくらいかよ。10枚増やしただけじゃん」
「う、うるさい。律は何枚なんだよ」
「……さて、梓は?」
「おい!」
「わ、私は、……約10000枚です」
「そうか、それくら……っておい!なにをやったら、そんなになるんだよ」
「ゆい先輩の隠れた才能というか……」
「で、後は律だけだな」
「りっちゃんは何枚なの?」
「……じゃあ、澪の奢りで飯に……」
「「「「……」」」」
「……0枚です」
「「「「……」」」」
「……昼食を奢らせていただきます」
「あ、待って下さい。このコインでポリゴンをゲットしてきたいんですけど」
「別にいいけど、午後のコインは?」
「……もう一度、最初からの方がいいと思うんですが」
チラッ
「……そうだな」
チラッ
「……そうね」
チラッ
「哀れみの目で見るな!」
あるレストラン
「くそ、余計な出費だよ」
「りっちゃんの自業自得な気もするけど」
「梓。私、アップグレートを持ってるから、後でポリゴン交換してあげるよ」
「ありがとうございます、澪先輩」
「? どうして、交換するの?」
「ポリゴンはアップグレートを持たせて交換すると、ポリゴン2に進化するんですよ」
「なるほど。ポケモンは奥が深いんだね」
「一番、奥が深い存在が言うなよ」
「そういえば、あの噂って本当かな?」
私達の座ってる席の隣のカップルの声が聞こえてきました。
「あの噂?」
「あれだよ、ゲームコーナーにある、ロケット団の実験場に続く、入り口があるって噂」
「ああ、あれか。ただの噂だろ」
「そうかな?」
「なんだよ、そんなのがあんな場所にあるわけないだろ」
「そうだけどね。でも、あったら、面白くない?」
「怖いだろ、普通に」
そんな会話をしながら、カップルは席を立ち、去っていきました。
「……なあ、午後は今の噂を確かめないか。ちょうど、うろついてる時に面白い情報も入ったし」
「面白そうね」
「ふ、ふん。ただの噂だろ」
「怖いのか、澪ちゅわん」
「誰も怖いなんて言ってないだろ。いいよ、確かめてやろうじゃないか」
「私も行きた~い。あずにゃんはどうするの?」
「どうせ、ただの噂とは思うんですけど……」
「じゃあ、梓は行かないのか?」
「いえ、私も行きますけど……」
今までなら、素直に皆さんにお付き合いしたいんですが、噂とはいえ、ロケット団がかかわるって聞くと、なんというか、抵抗感がありますね。
「なんだよ、歯切れが悪いな」
「すいません。……その前に、ポケセンに行っていいですか?万全な状態で行きたいので」
ただの噂のはずなのに、ものすごく嫌な予感がします。
「ただの噂で慎重だな」
「念のためです」
昼食後、ポケセンでメンバーを調整し、再び、ゲームコーナーに来ました。ちなみにメンバーは、
ゆい先輩 ハッサム ヘルガー イーブイ ニューラ ガルーラ
正直な話、ポリゴン2もメンバーには入れたいんですけど、まだ、使い慣れていないので、却下しました。まあ、ぶっちゃければ、メンバーに変更がありませんが。
「そんなに、慎重にならなくてもいいんじゃないか?ただの噂だろ」
「そうは思うんですが……」
「きっと、梓ちゃんはロケット団といろいろあったから、神経が過敏になってるのよ」
たしかに、その可能性もあるとは思いますが。
「でもでも、あずにゃんの勘も馬鹿に出来ないんだよ」
「どうしてだ、ゆい?」
「だって、あずにゃんはネコみたいだもん。きっと、野生の勘が働いたんだよ」
「なるほど、一理ある」
「いや、ありませんよ」
「でも、噂を確かめに来たけど、どこにあるんだ?」
「フッ。私がコイン0枚になった時、いろんな話を聞いてまわったんだが、あるポスターの裏にスイッチがあるらしい」
「へ~、場所は分かるの?」
「任せろ。あっちだ」
律先輩の先導で人気のない場所に来ました。
「こんなところにあるのか」
「確かに、雰囲気はありますけど」
「それで、ポスターはどこにあるのかしら?」
「あそこだ」
律先輩が指差すところにポスターがありました。ポスターをめくると、確かにスイッチみたいのがありました。
「よく聞きだせましたね」
「ああ、白衣を着て、眼鏡をしている女の人に教えてもらったんだ」
「眼鏡ですか」
一瞬、イワヤマトンネルで、戦った、山中さんを思い出してしまいました。……まさか、同一人物?
最終更新:2011年08月03日 03:33