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「ハッサム、シザークロス」
「グハッ」
ハッサムの攻撃で、ようやく、100匹目を沈めます。すると、スクリーンにさっきと同じ場所に階段があるから、降りるように指示がありました。
「随分、成長したな、梓」
「ありがとうございます、澪先輩。お世辞でも、嬉しいです」
「お世辞じゃないよ。ポケモンリーグで対戦するのが楽しみになったよ」
「……澪先輩」
「……またかよ。本当にいい加減にしてくれないかな」
ヒソヒソ
「……調子に乗りすぎじゃないかしらね」
ヒソヒソ
「……だいたい、戦闘終了後、いきなり、あずにゃんに話しかけるなんてね。あずにゃんと一番遠い位置にいたのに」
ヒソヒソ
「……やることが汚いよな。一番、真面目そうにしてるくせに」
ヒソヒソ
「……一番出番が少なかったから、はっちゃけてるのね」
ヒソヒソ
「……あずにゃんは私の恋人なのに。……あの泥棒猫、いや、あの胸の大きさだと、牛だね。泥棒牛め」
ヒソヒソ
「おい、聞こえてるぞ」
「ゆい先輩、下に行きますから、来てください」
「うん!」
ギュッと、抱きついてくる、ゆい先輩。そのゆい先輩を抱っこし、立ち上がります。
「何をお話してたんです?」
「泥棒牛の話」
「おい!」
「???」
『いよいよね』
目の前の和が言う。
『……』
ついに来たのか。AYUの言っていたポケモンが。私は手を和に向ける。
『な、何よ』
『和ちゃん、下がった方がいいよ』
ローブの女は和を引っ張る。同時に私は水槽を割った。
『そ、そんな。……サイドンとかが30匹でも割ることの出来ない水槽を一瞬で……』
『クスクス。戦いに行くのかい?逃げるのかい?逃げるのなら、私は止めるよ』
『……お前に乗せられるわけではない。……ただ、私にもやりたいことが出来たのだ』
私は闘技場を目指す。……待っていろよ、ゆい。
『何なんのよ、今のは』
『……特に問題ないよ。……さて、私達は見るだけだよ。ミュウツープロトタイプの戦闘をね』
地下施設・B3
「ここが最後の階ですね」
「上は100匹だったから、今度は1000匹だったりしてな」
「それは洒落にならないがな」
突然、スクリーンに映像が映った。
「真鍋さん!」
『……ついにここまで来たのね。いよいよ、最後のテストよ』
「次は何匹なんだい。ま、次は私も戦うから、何百匹でも勝ち目はないだろうけどね」
「どこから、そんな自信が出てくるんですか」
それにしても、真鍋さんはさっきまでの雰囲気とは違い、余裕がなさそうです。どうしたんでしょうか。
『……安心しなさい。最後は1匹よ』
「へー、そいつはラッキーだね、あずにゃん」
「最後にしてボーナスステージか?」
「……本気で言ってるのか、ゆい、律」
「冗談だよ」
「? 何が?」
「つまりですね、前のテストでは100匹なのに、今回のテストは1匹。普通なら、強い方を後にしますよね?だから、次のモンスターは100匹分よりも強い可能性もあるってことです」
「なるほど!」
「それにしても、一体、どんなモンスターなのかしら」
「さあな。……来るみたいだな」
前の鉄格子が開き、白い体をした何かが、歩いてくる。何かといったが、これまでのパターンから、ポケモンではあるのだろうけど、見たことがない。
「……」
ビクッ
このポケモン(?)らしきものから、発せられるオーラは今まで感じたどのポケモンやトレーナーよりも恐ろしいです。それは、他の先輩方も感じてるらしく、澪先輩やムギ先輩は足をガクガク震えていますし、律先輩も心なしか体が震えています。
「なんか、すごいのが出てきたね~」
ただ、ゆい先輩だけはのんきにしていました。神経が図太いというか、なんというか。
「……おまえがゆいか」
「えっ!私のこと知ってるの。私って、すごい有名人なんだな~、えへへ~」
顔を真っ赤にして、体をクネクネさせているゆい先輩。のんきというか、マイペースというか。
『……これから、戦ってもらうのは、ミュウツープロトタイプよ』
ミュウツー!?ミュウツーはたしか、グレンタウンにある研究所がミュウの遺伝子から完成させたポケモンだということを聞いたことがありましたけど、まさか、ここで見るとは。というより、何故、ここにいるんですか。
「……どうして、ミュウツーがここに。……それに、プロトタイプって」
真鍋さんはそれには答えずに言いました。
『……これからのルールを説明するわ。といっても、ルールは単純。あなた達はミュウツーを倒せばいい』
「な、なんだ。前回までと同じじゃないか。ら、楽勝だな」
そう律先輩は言いますが、分かってると思います。このポケモン相手にそれが楽ではないということを。
『ただ、上までのルールと違うところは……ミュウツーの勝利条件があなた達、トレーナーを含めた、相手の全滅よ』
「? つまり、どういうこと?」
『つまり、あなたのトレーナーの中野さんの命もミュウツーは狙ってくるということ』
「な~るほど。……って、ええっ!!」
「……反応が遅いですよ、ゆい先輩」
「……もう、いいだろう。サッサと始めよう」
目の前のミュウツープロトタイプは言いました。
『……そうね。では、バトルスタート』
管理室
『本当に大丈夫なの?』
スクリーンへの通信を切って、ローブの女に和は言う。
『さあ?』
『さあって、無責任な』
『心配なら、逃げたら?』
ローブの女は挑発するように言う。
『……くっ』
和が今、ここを放棄して、逃げ出すということは自分の地位を捨てるということだ。それに下手をすれば、情報を隠匿するためにロケット団に殺させるかもしれない。
『慌てないで、ゆっくり行きましょうや。お茶でも飲んでさ』
ローブの女は紅茶をすすりながら、映像へと目を向けた。
『……そうね。では、バトルスタート』
「チッ、出て来い、レアコイル」
いち早く、動いたのは、律先輩です。
「レアコイル、十万ボルトだ!!」
レアコイルは高圧の電気をミュウツーに向かって、発射させる。
「……」
その攻撃はミュウツープロトタイプに直撃……するかと思いましたが、ミュウツープロトタイプはその攻撃をバリヤーで止めました。
「……私は雑魚と勝負する気はない。かかってこい、ゆい」
「……えっ、私!?む、む、無理だよ、そんな」
ピョコピョコって、私の後ろに隠れます。……たしかに、今のやり取りを見れば、そうなるでしょうけど。
「……私のポケモンが雑魚だと!? レアコイル、マグネットボム」
レアコイルは鋼の爆弾をミュウツープロトタイプに向かって、発射します。
「……」
ミュウツーは再び、バリヤーでその攻撃を防ぎます。
「……いいだろう。見せてやる、私の力を」
ミュウツープロトタイプは手をレアコイルにむけ、レーザーのようなものを発射してきました。その攻撃により、レアコイルの体に、穴が開き、爆発してしまいました。
「レアコイル」
レアコイルの爆発による煙が晴れると、レアコイルは地面に落ちていて、瀕死の重症みたいです。
「分かっただろう、私の力を。さあ、ゆいよ、かかってこい」
「な、なんで、私を指名するの~」
「……ゆい先輩。戦ってくれませんか」
「えっ!? あずにゃんは私に死ねって言うの?」
「……違います。ゆい先輩しか、あいつを倒せないと思います」
私は今のレアコイルの戦闘を見て、私達のポケモンを全部使っても、あいつを倒すことが出来ないと感じました。あいつを倒せる可能性があるとしたら、ゆい先輩の奇妙奇天烈な技しかないと感じます。
「……私にしか?あずにゃん、私を信頼してるの?」
「……え、ええ。ちょっと、言うのは恥ずかしいですけど、私のメンバーでは一番強いじゃないですか」
「……分かった、あずにゃんの信頼に答えるよ」
私の後ろに隠れていたゆい先輩が前に立ちます。
「君はどうして、私と戦いたいの?」
「……一つ、聞きたいことがある」
ゆい先輩の質問には答えずにミュウツープロトタイプは言います。
「お前は、ポケモンと人間は対等に共存できると思うか?」
「え?うーん、出来るんじゃないかな。だって、私とあずにゃんは恋人なんだし」
「恋人(仮)です」
「それに私はりっちゃん達とは友達だしね。私以外のあずにゃんのポケモンだって、あずにゃんとは仲間というか、友達だしね」
「……本気で言ってるのか」
「うん!」
「……なるほど、あの女の言ったとおりだ。……では、始めよう、かかってこい」
「よーし、あずにゃんの期待に答えるよ。出てきて、ゆいぐるみの皆~」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン
今までよりも多い数のゆいぐるみを出しました。ゆい先輩も分かってるんでしょう。この敵はものすごく強いであることを。
「では、ミュージックスタート!(Utauyo!!MIRACLEを想像して下さい)」
いつものとおり、音楽が聞こえてきて、ゆいぐるみがミュウツープロトタイプに襲い掛かります。
「……下らないな、サイコブレイク」
ミュウツープロトタイプは自分の念波を実体化し、ゆいぐるみを一体一体、全てを粉砕します。
「あう~、ゆいぐるみが~」
「……どうして、本気にならない」
「ん?どういう意味?」
「お前を見た時に私は感じた。お前に眠る強大な野生の力を」
「そんなの私にはないよ」
「……どうしたら、お前は本気になる」
「頑張れよ~、ゆい」
「任せてよ~」
律先輩に向かって、手を振るゆい先輩。
「ちゃんと、敵を見てください」
「分かってるよ~」
「……分かったぞ。どうすれば、お前が本気になるか」
ミュウツープロトタイプはレアコイルを倒した時のように手を向けます。
「気をつけろよ、ゆい。来るぞ」
「任せなさいな、澪ちゃん。ゆいちゃん真拳 ……」
ミュウツーは手をゆい先輩に……ではなく、律先輩に向けます。……これはまずいです。そう思って、私は駆け出しました。
ビューン
さっきの攻撃よりも、威力は低いですが、人に重大なダメージを与えるには十分です。
「危ないです!!」
ドン
と、律先輩を跳ね飛ばします。
ビュシャン
私の右胸に何かが、貫通しました。
「あ,あずにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
私の体が倒れていく中、最後に一番大好きな人の叫び声が聞こえました。
「おい、梓!」
私は梓の元に駆け寄り、抱きかかえる。
「狙いはそれたが、まあいい。安心しろ、急所は外してある。まあ、ほっとけば、出血多量で死ぬことになるがな」
「……ゴホッ、わ、私は、ゴホッ、だい…・・じょぶ……です」
「もういい!しゃべるな」
「大丈夫か、梓」
「梓ちゃん」
律やムギも駆け寄ってきた。
「ごめんな、私のために……どうして、こんなことをしたんだ!」
ミュウツープロトタイプに叫ぶ、律。
「……」
「答えろよ!!」
怒りのまま、律は叫んでいる。
「……お前達を1人1人傷つけていけば、奴の力が見れる。それだけだ」
「……あ、あ、あずにゃん」
その時、よたよたと歩いてくる、ゆいの姿が。
「わ、私がちゃんとしてれば、こんなことに……」
「ゆいちゃんのせいじゃないわ。悪いのは……」
ムギはミュウツープロトタイプのほうを見る。
「くそっ。来い、リザードン。かえんほうしゃ」
「りっちゃん、私も行くわ、来て、フシギバナ。ソーラービーム」
律達のモンスターの攻撃がミュウツーに迫る。
バーン。
その2つの攻撃が命中し、爆発が起こる。
「効いたか!?」
煙が晴れる。そこには無傷のミュウツープロトタイプの姿が。
「……サイコブレイク」
ミュウツープロトタイプは、自分の念波を実体化し、フシギバナやリザードンに発射する。
「リザー」
「バナッ」
2匹は命中するもなんとか、耐えている。
「……ほう」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あずにゃん」
ようやく、梓の元についたゆい。
「今、助けてあげるよ、ゆいちゃん真拳超奥義『あずにゃん☆ペロペロ』」
ゆいは梓の傷口を一生懸命舐め始めるが、一向に傷が塞がる様子がない。
「あ、あれ、全然治らないよ」
おそらく、傷が深すぎるのだろう。
最終更新:2011年08月03日 03:44