「「『ナースエンジェルあずにゃん』の効果。このカードはこのターンのエンドフェイズ終了時にデッキに戻る。このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカード以外の攻撃力はゼロとなる。そして、注射器に他のモンスターの攻撃力を吸収し、フィールド上に存在する全てのモンスターの元々のモンスターの攻撃力の合計分をこのカードのもともとの攻撃力となります」」

「何だと!!」

ナースエンジェルあずにゃん  光属性 けいおん族 ☆10 攻8400/守0(4000+1800+2600)

(だが、まだ、私のフィールドにはリバースカード『聖なるバリアミラーフォース』と永続罠カード『ミュウツーのバリアー』がある)

「「私は手札から、魔法カード『ハリケーン』を発動します。このカードはフィールド上に存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻します」」

「何だと!!」

「「行きますよ、『ナースエンジェルあずにゃん』で、『ミュウツー(パーフェクト)』を攻撃。ゆいあず真拳究極奥義『ラブラブ☆レーザー』」

巨大な注射器が『ミュウツー(パーフェクト)』に狙いを定め、強力なレーザーとなって、発射される。

「ぐっ。まさか、この私がーーーーーーーーーーーー」

ミュウツーP LP4900→0

そのレーザーは、『ミュウツー(パーフェクト)』を打ち砕き、ミュウツープロトタイプをも貫通し、大爆発が起こった。そして、それと同時に、綺麗な光の粉みたいのが私達のところに降り注いだ。

「おい、私達のポケモンが元気になってるぞ」

「本当だわ」

「この光の粉が……あ、梓」

「どうした?」

「梓の傷が塞がっていく」

目の前で、梓の胸の傷が塞がっていった。

「大丈夫か、梓」

私は目を覚ますと、目の前には澪先輩達の姿がありました。目には涙がたくさん浮かんでいます。

「皆さん、どうしたんですか?泣いていますけど……」

「何を言ってるんだ、死に掛けてたんだぞ」

まだ、頭がぼーっとするけど、なんとなく、思い出した。そうだ、私は律先輩を庇って……

「大丈夫ですか、律先輩」

「ああ、私は大丈夫だ。梓のおかけでな」

「……そういえば、ミュウツープロトタイプは……」

「あいつなら、ゆ……」

「あ~ずにゃ~ん」

「にゃっ」

ゆい先輩が私の胸に飛び込んできました。

「よかったよ~、あずにゃん。……グス、私、死んじゃうかと思ったんだよ~、……グスグス」

「……ごめんなさい」

「グスグス。私、頑張ったよ。頑張って、ミュウツープロトタイプを倒したよ」

「……すごいですね、ゆい先輩は」

ナデナデ

「……えへへ~」

ガシャーン

そんな音ともに、瓦礫が吹き飛びました。

「な、な、な……」

「あ、あれだけの、こ、こ、攻撃を受けて……」

「ま、まだ、生きてるなんて」

その瓦礫から、左の上半身が吹き飛んだ状態のミュウツーの姿が。

「……」

そして、1歩1歩ずつ、こちらに向かって、歩いてきます。

「……」

そして、私の前に立ち、右手を差し出し、

「……お前、いや、お前達の勝ちだ」

「……」

私は黙って、ミュウツープロトタイプの右手を握ります。

「……お前達の勝ちだが、私は人間が嫌いだ。これ以上、利用されたくない」

ミュウツープロトタイプは右手を上に向け、強力なレーザーを放ちます。

ガシャーン

と天井が破れていき、地上の明かりが入ってきます。


「……行っちゃうの?」

ゆい先輩は寂しそうに言います。

「……私とお前は敵だぞ」

「決闘(デュエル)をしたんだから、決闘者(デュエリスト)は友達なんだよ。また、決闘(デュエル)しようね」

ニコッと笑うゆい先輩。

「……今度は普通の戦いをしたいがな」

「むむ、それはちょっと勘弁だよ」

「じゃあ、そのために、レベル上げも頑張らないといけませんね」

「それも、勘弁してよ~」

「……では、機会があれば、また会おう」

「……うん」

「……はい」

ミュウツープロトタイプは破れた天井から、空に向かって、飛んでいきました。


管理室

『いい、必要なデータだけ持って逃げ出すのよ!!持ちきれない分は破棄して』

管理室内は混乱の最中にいた。それはそうだろう。自分達の最強モンスターが訳の分からない幼稚園児みたいなモンスターに負けた上に、逃げ出したうえに、その騒ぎで警察が来るのだから。

『どうするの、この事態は!!』

『そんなの私の知ったことじゃないよ』

『知ったことじゃないですって……』

『仕方がないでしょ、相手の方が強かったんだからさ。……よいしょっと』

ローブの女は立ち上がる。

『それじゃ、私は行く場所があるから』

『な、ちょっと、待ちなさいよ』

その少女はその言葉を無視し、部屋を出て行った。


2日後

私達はその後、騒ぎによって、駆けつけた警察に保護され、特に血まみれだった私は検査入院をすることになりました。

「いやー、すっかり、怒られたな。もっと、警察を信用しろって。ムギがいなかったら、早くに帰してもらえたかどうか」

「でも、警察が踏み込んでも、ミュウツープロトタイプには勝てなかったでしょうね」

「たしかに。今も信じられないもんな、あいつに勝ったなんて」

「ミュウツープロトタイプに勝てたのは私のおかげなんだよ」

フンス、と得意げに胸を張る、ゆい先輩。

「本当にこんな小さい体でよく勝ったよな」

「うー、小さい体は余計だよ」

「……ところで、梓。本当にもう、私達が行ってもいいのか」

「ええ。前にも言いましたけど、澪先輩はともかく、律先輩達はバッチ集めがありますし、澪先輩だって、いろいろやることがあるでしょう。
私のせいで、皆さんが足止めされるのは嫌です」

「……そうか」

「大丈夫、大丈夫。あずにゃんには私はいるし~」

「それが一番、不安だけどな」

「ぶう~ぶう~、りっちゃんよりもましだよ」

「なんだと~」

ゆい先輩と律先輩が楽しそうにじゃれています。ゆい先輩と律先輩はポケモンと人間ですけど、まるで、そんなの関係ないように。

「……」

私は病院のベットから、窓の外を見る。今頃、ミュウツープロトタイプはどうしているのでしょうか。あれだけの傷を負ってましたし、ロケット団も追っているでしょう。……あのポケモンは人間とポケモンは共存できない、と、今だからこそ、そう思いますのですけど、悲しい目をして言ってました。間違ってはないですけど、それは悲しいですよね。

「どうしたの、梓ちゃん。ボーっとして」

「いえ。……ミュウツープロトタイプは今、どうしているかなって」

「……きっと、今頃、元気でやってるさ」

「……だといいわね」

「……あいつは強いからな」

「……また会いたいよね」

「でも、さすがに、あの戦いは勘弁だけどな」

「え~、あの決闘(デュエル)、楽しかったじゃん、澪ちゃん」

「いや、ポケモンなんだからな、ちゃんとポケモンしろよと言いたい」

「澪。そんな常識を持ってたら、ゆいには勝てないぞ」

「む~、まるで、私が非常識みたいじゃん」

「あながち、間違ってないわよね」

楽しそうにじゃれあう、ゆい先輩達を見て、人間とポケモンは共存できますって、ミュウツープロトタイプに言ってあげたいな、って思いました。


カントーのある山にて

『……』

私は力なく、横たわる。さすがに、ダメージがありすぎたか。

『残念だったね』

ローブの女がいつの間にか、そばにいた。

『あんな遊びに付き合あわなくてもね』

『……お前も分かってるだろう。あれでなくては、私に勝つ可能性がなかったことを』

『過大評価しすぎじゃないかな』

『……何とでも言え』

私は寝そべり、空を見る。……綺麗な青空がある。初めて見る光景だ。世界にはまだまだ、見ていない光景があるだろう。そんな光景を見てみたい。……もう、叶うことのない夢だけれど。

『どうする?ロケット団の研究所に連れて行けば、生きることができるよ』

たしかに生きることはできるだろう。そのかわり、今回のことで、自由も無くなるだろう。

『……もういい。私は疲れた。せめて、お前の手で私を自由にしてくれ』

『……分かったよ』

ローブの女が近づいてくる。

『……そういえば、約束したな。お前の名は?』

『そうだね。約束してたね』

ローブの女はゆいの発したレーザー以上のエネルギーを手にため、私に手を向ける。

『…………ゆいだよ』

その声とともに、私の意識は途絶えていった。


タマムシシティ編⑤ 「ただ、愛する1人のために」終了




病院

やっほ~、ゆいだよ~。私は、今、病院にいるんだ。何でかって?前回の戦いでのあずにゃんの1週間の検査入院があったからだよ。それも、明日で退院できるみたいだけどね。

「モグモグ」

今、私はムギちゃんの使いさんが届けてくれたケーキを食べています。ムギちゃんの使いさんは毎日持って来てくれるから、いい人だね
~。……あずにゃんは渡さないけど。ケーキで買収されるゆいさんではありません。私は、あずにゃんのほうを見る。

「zzz」

今はお昼寝中だね。う~ん、寝顔も可愛いね~。さすがは私の嫁!だよ。

「さてと、あずにゃんがお昼寝してるうちにっと」

私は雑誌を取り出す。あずにゃんに隠れて読むからって、エッチな本じゃないよ。今、私が読もうとしている雑誌は『月刊あずにゃん』だよ~。伝説のアズリストといわれるゆいさんとしてはちゃんと読まなきゃね。もっとも、この雑誌の存在を知ったのは最近だけど(りっちゃん達に教えてもらった)。

「フムフム」

今月のカプ特集はなになに、『憂梓』だって。ここは唯梓にすべきじゃないのかな。まったく、プンプンだよ。まあ、読むけどね。なになに、
『お姉ちゃんに隠れて、ドキドキ。禁断のプレイ!?』 けしからんね、まったく。……へえー、私が部屋にいるのに、そんなことをね。……うわ、私の寝てる横で。……でも、このあずにゃんの表情もいいね。

「次のページはっと」

ペラ

『お姉ちゃんには渡さない。憂の禁断の誘惑』まったくもって、けしからんね。……うわ、エロいな~。……さて、来月の特集は唯梓だよね。
来月の特集の予告は……『晶梓』か。なるほど。出会ってもない2人だが、出会ったら、どうなるのか、か。

「誰得だよ!!!」

「ふにゃっ!」

あ、やばい、起こしちゃったかな。

「……う~ん、ムニャムニャ」

ふう~、よかった。どうやら、起きなかったみたいだね。さて、次のページは……『ゆい戯王』か。前回はりっちゃん達のカードがなかったから、危なかったね。まあ、私は可愛いのを選んで、適当に入れてるだけだからね。今度から、ちゃんと考えて、デッキを作らなきゃね。さて、続きっと。フムフム。『アズメイト限定ストラクチャーデッキ ゆいあずっ!』¥1050か。

「……よいしょっと」

私はバックから、お財布を取り出す。中を開け、財布からお金を出す。さて、いくらあるかな。

「……15円」

ケーキ食べすきたかな。あずにゃんが入院してる間、結構、看護師さんたちと食べに出かけてたからな~。

「うう、足りない」

どうしようかな。お小遣いはもらったばかりだから、あずにゃんに頼むのは駄目だし諦めるしかないかな。でもでも、アズリストとしてはゲットしなくちゃだし。

「……ムニャムニャ、う~ん。そろそろ起きようかな~」

お、ちょうど、あずにゃんが起きたね。早速、頼んでみようかな?いやいや、さすがに起きたばかりはまずいね。

「おはよう、あずにゃん」

「おはようございます、ゆい先輩……、もう、13時30分ですか。そろそろ行こうかな」

あずにゃんが行こうとしてるのは、病院内でもポケモンバトルが楽しめるように作られた施設だ。入院してるといっても、ほとんど健康だしね。

「ゆい先輩も行きますよね?」

「え、えーとね、あずにゃん。お願いがあるんだけど……」

「何ですか?」

「……非常に言いにくいことなんですけど、お小遣いを前借りできませんか?」

「……先週あげた気がするんですけど。……どうしてです?」

「……お、お願いだよ、あずにゃん。理由は聞かないで。1050円だけでいいから」

「う~ん、といっても、細かいお金はありませんし。あ、じゃあ、ついでに買い物してきてください」

「買い物?うん、分かった、任せてよ!」

あずにゃんは財布からお金を出し、メモを書いて、私に渡す。

「それじゃ、10000円渡しますからね。1050円は使っていいですけど、ちゃんとおつりは持ってきてください。あ、レシートも持ってきてくださ
い」

「うん、分かってるよ~」

「あ、それから、私のポケモンから、2匹選んで連れて行って下さい」

「何で?」

「ロケット団から、狙われるかもしれません。だから、用心のためです」

「そっか。じゃあ、ミニリュウとポリゴン2がいいな」

「分かりました。でも、どうして、その2匹を?」

「一緒にお散歩したいから、あんまり大きなのだといろいろと問題があるからね。後、あんまり、交流がなかったからね」

この2匹は入院してからのバトルではよく使うようになったんだけど、やっぱり、交流は少ないし。

「そうですか。ではこの2匹を渡します。車に気をつけてくださいね」

「子供じゃないんだから、それじゃ、いってきまーす」


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最終更新:2011年08月03日 03:54