「ところで、サファリパークのポケモン達は?」

「ケンタロス達が先導して、サファリパークに戻っていったよ。君のおかげだよ、ゆい君」

「ええっ!私のおかげだなんて、そんな~」

体をクネクネさせて照れるゆい先輩。

「君達のおかげで、この騒ぎは収まったわけだ。お礼として、温泉のフリーパス券をあげよう」

「温泉ですか」

「うむ、ふたご島がよく見える、いい温泉だ」

「それじゃ、早速、行こうよ、あずにゃん」

「いきなりですか。でも、たしかにすっごい疲れましたからね。ポケモンセンターによってから、行ってみましょう」

「わ~い」

私達はポケモンセンターによって、ポケモンを回復させてから、温泉にでも行こうとすると、携帯に電話が入りました。

「誰から?」

「シオンタウンのモブ太君です」

私は電話に出てみます。

「どうしたんですか?」

「た、大変だよ。シオンタウンにロケット団が……」

どうやら、温泉はお預けのようです。


セキチクシティ編② 「VSプテラ」 終了




シオンタウン襲撃1週間前

トキワシティのある施設にある捕獲班部長の部屋

『……俺がやるのか』

さわ子の命令に、マコトは呟く。

『ええ。でも、これが最後よ。次に失敗したら、あなたは終わりよ』

おつきみやまでのイーブイ捕獲失敗、サントアンヌ号襲撃の失敗が続いてる中、まだ、お咎めがないのが不思議なくらいだ。

『なんで、俺がやるんだ』

『それは私の提案だよ』

急にドアが開いたかと思うと、フードのついたローブを着た女――AYUがいた。

『あなたは強いからね。なにせ、人を殺すのにためらいがないもの』

AYUはそういうが、マコトは感じている。……こいつの方が強いということを。

『それで、どうすればいいんだ』

マコトはさわ子に向き直って聞く。

『シオンタウンを攻める』

『だから、どうやって』

『これを使ってだよ』

AYUがモンスターボールを渡す。

『……これは?』

『ファイヤーだよ。伝説のポケモンの』

AYUは一息ついて言う。

『これを使って、シオンタウンに集団で攻め入る。そうだね、まずはポケモンタワーを本拠地にしよう。話はそれからだね』

AYUは不適に笑いながら、言った。

ロケット団が攻め入るちょっと前・シオンタウン郊外・タマムシ側

『純ちゃん、シオンタウンに用なの?』

私とういは、再び、シオンタウンに来ている。というのも、

『ゴースがほしいからね』

『前に、ゲットしておけばよかったのに』

『まずはバッチをサッサとゲットすることが先決なのよ』

私はバッチを現在、7個ゲットしている。サッサと、バッチをゲットして落ち着いてポケモンを育てればいいのだ。

『ところで、ういは何を読んでるの?』

『月刊あずにゃんだよ~』

本人未公認の雑誌か。そういえば、梓はどうしているのだろう。初めて出会った時は弱弱しかったからな~。

『それにしても、熱心に読んでるわね』

『私に似てる人が出てるからね』

ページを見ると、憂梓と出ている。……たしかに似てるわね。

『おっと、こんなのんびりしてる場合じゃないわ。サッサと、ポケモンタワーに……』

『純ちゃん、上見て』

『上?』

私が上を見ると、何10匹ものとりポケモンにその上に乗る、黒い服を着た人達、ロケット団!?そして、地上からも足音が聞こえてきた。

『と、とりあえず、物陰に隠れよう、純ちゃん』

『え、ええ』

私達は草の中に隠れて、身を潜める。すると、次々と胸にRの文字をつけた、黒い服を着ている集団、ロケット団が通過していきました。

『た、たくさんいるね』

『そ、そうね。こういう時は何もせずに逃げ出すのが一番よね』

『そ、そうだね、危ないし』

私達は見つからないように、いそいそと逃げ出した。うん、命って大事だよね。


今回の手持ちメンバー ゆい ハッサム プテラ  ヘルガー ミニリュウ  ニューラ

「急いで下さい、プテラ」

「プテラ」

私達はさっき、ゲットしたばかりのプテラを使って、シオンタウンに向かっています。というのも、シオンタウンで知り合った、モブ太君から、連絡があったので、急いで向かっているところです。

「大変だよ、あずにゃん」

「どうしたんですか、ゆい先輩」

ゆい先輩は私の渡した携帯電話で情報を見てもらっています。

「……なんとね、大変なことに……」

ゆい先輩が言いよどんでいます。きっと、シオンタウンはそれだけ、大変なことになっているのでしょう。
「けいおんが映画になるんだよ!公開されたら、一緒に見に行こうね」

「……プテラ、頑張って下さい。あなただけが頼りです」

「じょ、冗談だよ。本当はこっちだよ」

ゆい先輩は私に携帯電話を見せてきます。

『今、シオンタウンにおいて、ロケット団と思われる集団が突如として、町に攻め入っており、たくさんの犠牲者がいる模様です。被害状況については……』

という、ニュースの動画が流れていました。

「まずいですね。モブ太君は大丈夫でしょうか」

「きっと、大丈夫だよ」

「だといいんですけど。……あ、シオンタウンが見えてきました」

私達の前方にシオンタウンの有名な場所であるポケモンタワーが見えてきました。周りには、黒い煙が何箇所から、見えています。

「とりあえず、町の手前のタマムシシティ方面に降りましょう。お願いしますね、プテラ」

「プテ」

私達はシオンタウン郊外の森の中に降ります。

「ありがとうございます、プテラ。……さて、どうしましょう」

草むらの陰から見てみると、周りには誰もいないようです。

「ゆい先輩、ここからは慎重にいきましょう」

「そうだね。……ところでさ、私達って、どこかの潜入部隊みたいで格好いいよね」

「くすっ。たしかにそうかもしれませんね」

私達は慎重に先へと進みます。後、少しで、シオンタウンという、その時、

「……ふがっ」

私の口が両手で、塞がれました。

あ、あずにゃん!?だ、誰だ、あずにゃんを傷つけてたら、許さないよ!!」

「……そう、かっかしないで下さいよ」

「あ、お姉ちゃん」

「あ、ういに純ちゃん」

「ふがっ!?」

私の口を塞いでいたのは、純とういでした。

「まったく。突然、後ろから、口を塞ぐなんて」

「ごめんごめん。でも、私でよかったじゃない。これがロケット団員だったら、大変だよ」

「それはそうですけど……」

「それはそうと、どうして、梓達はここに?ニュースは見てないの?」

「ちょっと、用事でね」

「用事って、あんたね……」

「それよりも、純達こそどうしてここにいるの?」

「それは……」

「逃げ遅れちゃったんだよ」

さっきまで、ゆい先輩と久しぶりの再会に抱き合って喜んでいた、ういが答えました。

「逃げ遅れた?」

「だって、空にも、ポケモンがたくさんいるんだよ」

「たしかにそうだね」

私も見つからないように気をつけてたけど、たしかに厳しいですね。

「地上からは?」

「ロケット団員の数が多かったから、隠れてたわけよ」

純が答える。

「はあ、なるほど」

「それで、あんた達はどうするの?」

「私は一応、シオンタウンに潜入するつもりです」

「え、それは危ないんじゃない?」

ういが心配そうに問いかけます。きっと、ゆい先輩が心配なんでしょう。

「たしかに、危ないかもしれないけど、あそこには私の友達もいるし」

「それは心配だけど、ちょっと、さすがに無茶じゃない?」

「否定はしませんけど」

「まあ、梓がやりたいなら、止めないけど。とりあえず、飲み物ある?のど渇いちゃって」

「仕方がありませんね。ちょっと待って下さい」

「久しぶりだね、お姉ちゃん」

「そうだね、うい」

前にあったのはニビシティだったね。あの頃から、随分たってるから、懐かしいね。

「ところで、有名だよね」

ういが問いかけてきます。私のことかな?

「梓ちゃん」

なんだ、あずにゃんのことか。それは当たり前だよ、私の嫁だもん。

「……お姉ちゃんもだいぶ、雰囲気が変わったよね」

「そ、そうかな。一人前のポケモンの雰囲気になったかな?」

「うん。十分だよ」

「えへへ~」

やっぱり、分かる人には分かるんだね。

「あ、ところで、うい」

「な~に、お姉ちゃん」

「『月刊あずにゃん』見た?」

「何それ?」

「なんでもないよ。知らないなら、よかった」

妹まで、ライバルなんて嫌だからね。

「(お姉ちゃん、安心してる。きっと、ライバルが少なくなったと思って、安心してるんだ。……嘘ついてごめんなさい)」

「うい、水飲む?」

私は純に水を渡すと、ういにも聞きます。

「う、うん」
「じゃあ、はい」

「あずにゃん、私のは?」

「はい、今、渡します」

私はゆい先輩にペットボトルを渡します。

「ありがとう、あずにゃん!!」

ゆい先輩は私の右足に抱きついてきます。

「ちょっ、ゆい先輩」

「あ~ずにゃ~ん、すりすり」

「か、顔をすりすりしないで下さい」

しばらくすると、ゆい先輩は顔をすりすりするのをやめて、ういの方をジーッと見ます。

「……分かったよ、お姉ちゃん」

ういはなにやら、頷き、私の片足である左足の方にいき、遠慮がちにギュッと抱きついてきます。

「え、う、ういまで……」

「どう、あずにゃん。私達、姉妹の抱きつきは?」

そう言うと、ゆい先輩はまた、スリスリと顔をこすり付けてきます。しかも、今度は、ういまで、ゆい先輩と同じように顔をこすり付けてきます。

「……愛されてるわね、随分と」

「み、見てないで、助けてよ」

「……ふむ」

なにやら、純は納得すると、私の後ろに来て、ギュッと抱きつきます……って、えー!!

「な、何をするんですか!」

「だって、2人見てたら、気持ちよさそうだったから」

「あ~ずにゃん、すりすり~。ほら、ういも」

「え、えーと、すりすり~」

「い、いい加減にしてくださーい!!」

「「「ごめんなさい」」」

「まったく、反省してくださいね」

まったく、敵が近くにいるかもしれないのに、何をやってるんでしょうね。

「……それにしても、梓も随分見ないうちになんかの漫画とかの主人公みたいになったわね」

「なによ、突然。全然そんなことないし」

「まずは主人公要素その1、異様にもてる」

「まずはそこから、間違ってるよ。私は全然もてないし」

「(いやいや、本人未公認だけど、『月刊あずにゃん』まで、出てるし、十分もててると思うよ、梓ちゃん。それに異様にもてるって、ラブコメの主人公だよ、純ちゃん)」

「主人公要素その2、なぜだか、異様に重大な戦いに巻き込まれる」

「それもないよ。私は普通にジム戦をしてるだけだし。そりゃ、たまにロケット団と戦うようなこともあるけどさ」

「(梓ちゃん。ロケット団と対戦してる時点で、普通の人には異様だよ)」

「主人公要素その3、特別な力、あるいは、武器、まあこの場合はポケモンよね、がある」

「たしかに、ゆい先輩はちょっと、珍しいけど、純だってういがいるじゃない。全然、特別じゃないよ」

「(梓ちゃん、私達のトレーナーってだけで、十分特別なんだよ。梓ちゃんだけが特別じゃないってだけで、十分特別なんだよ)」

「こんなところで、のんびりしてる場合じゃないや。そろそろ、行かなきゃ。純とういも無事に逃げてね。じゃ、行きましょうか、ゆい先輩」

「うん。じゃ、またね、うい」

私達はシオンタウンへと急ぎました。

「じゅ、純ちゃん、私達も……」

「どうして?」

「だって、心配だよ。お姉ちゃんと梓ちゃん」

「そうね。でも、いいの?」

「なにが?」

「死ぬかもしれないよ。それでも、行く?」

「……」

(そうだよね、死んじゃうかもしれないよね。さすがに私の我侭で純ちゃんを連れて行くのはよくないよね)

「じゃあ、行くわよ」

「え、でも……」

「行かないの?」

「い、行きたいけど、……死んじゃうかもしれないよ」

「そうね。でも、ういは行きたそうだったし。……それに、梓だって、友達だしね。やれやれ、厄介な友人やポケモンを持ったもんだよ、私も」

「……純ちゃん」

「早く行かないと、おいていかれるから、早く行くわよ」

「うん」


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最終更新:2011年08月03日 04:05