梓
「それじゃ、私の番だね。サイコロ振ってと。……5か。コマを進めてっと」
ゆい先輩は楽しそうに、駒を進める。そして、映像が流れ始めました。
『あ、ごめん。部室に忘れ物しちゃった』
『早く、とって来いよ』
『いいよ、先に帰ってて~』
部室
『あった、あった。……ん?』
ふと、見ると誰かの体操着が置いてあった。誰か、忘れたのかな?手に持ってみる。見覚えはないものだ。この部室に来る人は限られてる。りっちゃん達のではないとすると……。
『あずにゃんのかな?』
私ははやる好奇心を抑えつつ、中身を出してみる。ジャージの色から、後輩のものだと思う。だとすると、あずにゃんのかな?
『……』
に、匂いを嗅いでみようかな。こんなことをするのは、変態さんなんだろうけど、好きな人の体操着なんて、目の前に置かれたらね。
ドキドキドキドキドキ
『唯先輩』
ガチャ
突然ドアが開く。私は体操着を急いで、中に戻す。奇跡的に、素早く、中に戻すことが出来た。
『どうしたんですか?』
『なんでもないよ。あずにゃんはどうしたの?』
『体操着を忘れちゃって……あ、唯先輩が持ってるのです』
『あ、これ。誰のかと思っちゃったよ』
『それよりも、忘れ物はいいんですか?』
『あ、うん。大丈夫、大丈夫。さ、帰ろうか』
『そうですね。帰りましょう』
ふう~、危なかったね。ものすごくドキドキしちゃったよ。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
「ぐわーーーーーー」
ファイヤーに強力な電流が流れる。やはり、この技の威力はすごいですね。映像はただの変態でしたけど。今の攻撃で、ファイヤーにも相当なダメージでしょう。
「よし、次はういの……」
「ギラス(待てよ!!)」
突然のバンギラスの鳴き声が響くと、そこには力尽きたイーブイをバンギラスが掴んでいます。。
「ゲンガ、ゲンガー(こいつは最初はよかったんだけどな。突然倒れてやがったんだぜ。しかも、マスターのため、ゆいさんのため、とか呟きながらな)」
何か、ゲンガーが言ってるようですけど、なにを言ってるのか、分かりません。ただ、ゆい先輩やうい、私のそばにいる、ハッサムの表情を見ると、あまりいいことは言ってないことはたしかですね。
「ギラス(さて、トドメだ)」
バンギラスはイーブイを上に、放り投げる。あの技は!?
「ハッサム、イーブイを」
「ファイヤー、させるな!」
ファイヤーはその指示で、ねっぷう攻撃を私にむかって仕掛けてくる。
「サム」
ハッサムはその攻撃から、私を守るために、盾になってくれた。でも……
「ゲンガー(これで、終わりだ!!)」
ゲンガーはきあいを高めて、こんしんのちからをほうしゅつさせる、きあいだまで、イーブイに攻撃を仕掛ける。
「ぐはっ」
イーブイはノーマルタイプで、かくとうタイプのきあいだまは弱点。そのうえ、無理やり、石なし進化をした反動で、体力が無くなってる状態です。イーブイは勢いよく、落ちてくる。
「ギラス(終わりだ!!)」
「や、やめてくださーーーーーーい」
私の叫びも虚しく、バンギラスは落ちてくるイーブイに鋭いつめで切り裂く攻撃、ドラゴンクローで追い討ちをかけます。その攻撃で、イーブイの胸にはツメの傷がくっきりと出来て、バタッと落ちてしまいました。あ、あの傷では早く治療しないと大変なことに……。
「あ、あ、あ、あああ」
大変なことになるのは分かってるのに、私は目に涙をため、膝を突いてしまいました。
「イーブイ、イーブイ……私のせいだ。もし、私が律先輩みたいに積極的な指示を出し、前向きなトレーナーなら、もっと、相手にダメージを与えていたかもしれない。澪先輩みたいに、モンスターの能力を把握し、適切な指示を出せるトレーナーなら、私のポケモンはダメージを受けていないかもしれない。ムギ先輩みたいに、狡猾に罠を張りながら、指示を出せる、トレーナーなら、私も、足手まといにならなかったかもしれない。私は駄目なトレーナーだ。先輩達に劣りまくっている。純だって、あの大群相手に、1人で挑む、勇気がある。思えば、ジム戦だって、ゆい先輩の方がいい指示を出す時があった。……なんだ、私はポケモンにも劣るんですね」
「ゲゲゲゲゲゲゲ」
ゲンガーは私を指差し、笑っている。ポケモンにも笑われんだね。前にもあったな、似たようなことが。
回想
それは私が小さい頃
キモオタA『ゴキニャンwwwwwww』
キモオタB『ゴキブリwwwwwwwww』
私は公園で、眼鏡をかけた、太った人達にわけの分からないことを言われながら、石をぶつけられている。
キモオタC『お前なんか、けいおんにいらないんだよwwwwwwwwwwww』
『バウバウ』
私はお父さんが散歩をしてくれと頼まれた、ガーディが怯えた、私を守るようにほえる。
キモオタD『ゴキブリのくせにポケモンなんか連れてるぞ。ゴキブリに飼われるなんて、可哀想だから、俺がもらってやるよwwwwwwwwwww』
私『……や、やめてください』
キモオタE『うっせ、ゴキブリがしゃべんなwwwwwwwwww』
あの時は怖かったな。後で、お母さんに聞いたら、大きな子供みたいな人達で、可哀想な人達なのよって言ってたっけ。この話をムギ先輩達にしたら、人気があるから、仕方がないわって、よくわかんないことを言ってたな。あの時、私は怖くて、今みたいにしゃがんで泣いてたっけ。そういえば、この後には……。
???『や、や、やめなよ』
私が声のした方を見ると、私と同じくらいの女の子が震えながら、立っていた。
キモオタA『なんだい、お嬢ちゃん。俺達、ゴキブリの駆除で忙しいんだけどwwwwwww』
???『そ、そ、その子はゴキブリじゃないよ。可愛いし。だいたい、その子がゴキブリなら、あなた達は豚じゃない』
キモオタB『何だと、このガキ』
???『ひいっ』
キモオタC『このゴキブリと一緒に犯しちまおうぜwwwwwwwww』
???『牛○さん、こっちです』
どうやら、この子の他にもう1人の子がいたようです。
○尾さん『何をしてやがる、こんな子供相手に』
キモオタD『ひいいいい』
私をいじめた人達はダッシュで逃げ出した。
隊長『あいつらをデュ○ルで拘束しろ』
こうして、私は助かりました。あれ以降、あの方々に会うことも、ありませんでした。あの時、私を助けてくれたのは、どうやら、姉妹のようで、お礼を言いたかったので、警察に聞いてみると、ジョウト地方に引っ越したそうです。名前はまだ、小さかったし、ちゃんと聞いていなかったので、覚えてなかったでしたけど、たしか、ひなんとか姉妹だった気がしますね。あの人達が捕まった後に聞いたんですけど。たしか、あの後……。
???『大丈夫かい』
そう言って、私の頭をなでて、くれたんだっけ。あの頃と変わらないや。強くならなきゃいけないって思ってたのに。私は全然成長してないや。
~~
「大丈夫かい、あずにゃん」
私が過去のことを思い出していると、誰かが、私の頭をやさしく撫でてくれました。まあ、誰かは分かりますけどね。
「……なんですか、ゆい先輩」
「泣かないでよ」
「な、泣いてなんかないです」
プイと顔を背ける、私。
「……あのね、あずにゃん。私はあずにゃんがトレーナーでよかったと思ってるよ」
「……」
「あずにゃん、いつも頑張ってるよ。他の誰が否定したって、私は知ってるよ」
「……」
「あずにゃんはりっちゃん達みたいに、とか言ってたけどね、あずにゃんは駄目なトレーナーじゃないよ」
「……でも、イーブイが……」
「それだよ」
「え?」
「そんなに悔しいとか悲しいって思うことはそれだけ、ポケモンを大切に思ってることだよ。それは、どんなトレーナーにもあるものじゃないよ」
「……」
「それに、あずにゃんはこれから、私とポケモンリーグで優勝するんだよ。それが、駄目なトレーナーのわけないよ」
「……ゆい先輩」
「私も、あずにゃんのことが好きだし、他の皆だって、あずにゃんのことが好きだよ。もちろん、一番あずにゃんを好きなのは私だけどね。皆、あずにゃんが最高のトレーナーだと思ってるんだよ。あずにゃんが自分を駄目なトレーナーとか言ったら、私達に失礼だよ」
「……そうですね。……でも、私に出来ることがなくて……」
「出来ることあるよ。私と一緒に、ファイヤーを倒そう」
「え?」
「ごめんね、梓ちゃん。イーブイさんも戦えないし、私もさすがにそろそろ、我慢ができないからね。かわりにお姉ちゃんの技を手伝ってね」
「……うい」
「さ、行こうよ、あずにゃん」
ゆい先輩は私を引っ張って、スゴロクの場所に向かう。
「(いいシーンなはずなのに、やることがスゴロクというのも、すごいよね)それにしても、さすがに、ゲンガーとバンギラスを相手にするの
も辛いよね」
「ハッサム(私も手を貸そう)」
「ありがとうございます、ハッサムさん」
「ゲンガ、ゲンガ(それにしても、情けねえトレーナーだな。ポケモンがマスター、マスター言ってれりゃ、トレーナーもイーブイ、イーブイだもんな)」
「ピク」
「ゲンガゲンガ(だいたい、あのツインテールはないよな。まるで、ゴキブリじゃねーか)」
「ピクピク」
「ゲンガゲンガゲンガ(さっき、あずにゃんとか言われてるけど、ゴキにゃんなんじゃねーか。だいたい、ポケモンに励まされるなんて、最低
なトレーナーじゃねーか。お前の姉ちゃんも大変だな)」
「ピクピクピク」
「ゲンガゲンガ。ゲゲゲゲゲ(だいたい、ゴキブリに育てられるなんて、可哀想だな。お前も、姉ちゃんのこと思うなら、姉ちゃん連れて、お
前のトレーナーと一緒に育ててもらえよ)」
「ピクピクピクピク」
さっきから、ゲンガーが何かを言ってるようですね。なにやら、ハッサムやゆい先輩の顔が嫌悪感が漂っています。
「あの、ゆい先輩。あのゲンガーはなにを言ってるんですか?」
「……知らない方がいいよ。それに教えたくないし。でも、もう、あのゲンガーも終わりだよ」
「どうしてですか?」
「怒らせちゃいけないものを怒らせたからだよ。……さ、スゴロクをしよう」
「あ、引っ張らないでください」
「ゲ(あのゴ)」
気分よさそうに笑っていた、ゲンガーが突如として、その場から消えた……と思ったが、いきなり、ドカーンと壁に何かが激突した。
「ギラス、ギラス(今、何が起きたんだ!?この娘が殴ったとは思うが、拳が見えなかった……)」
「ハッサムさん、バンギラスを頼みますね。私はゲンガーをやります」
「サ、サム(あ、ああ)」
「もっとも、すぐに、そっちに加勢できると思います。……さて、狩りの時間だよ」
ういは怖い笑みを浮かべて、そう言った。
シオンタウン編④ 「VSファイヤー②」 終了
前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム ヘルガー イーブイ ニューラ ガルーラ ミニリュウ ポリゴン2 プテラ
澪 ゼニガメ エビワラー デンリュウ
律 リザードン サワムラー ニョロボン レアコイル
ムギ フシギバナ カポエラー ギャラドス
純 うい カビゴン
シオンタウン編⑤ 「VSファイヤー③」 以下、投下
現在の手持ちメンバー ゆい ハッサム プテラ イーブイ ミニリュウ ニューラ
「ういはね、全てのポケモンの技を使うことができるんだよ」
「へー、そうなんで……えー!!それって、しんしゅポケモンのミュウに匹敵するじゃないですか」
「ういは万能だからね」
「いやいや、万能どころじゃないでしょ。ところで、ゆい先輩にはどうなんですか?」
「私にはゆいちゃん真拳があるからね! ういには負けないよ!」
「どっから、そんな自信が出てくるんですか?」
「だって、私にはあずにゃんがいるもん!」
「……」
「どうしたの?あずにゃん、顔が真っ赤だよ」
「……なんでもありません。それよりも、サイコロを」
「そうだね、あずにゃんの番だし」
ゲンガー視点
「ゲンガー(何なんだ、今のは)」
おれのタイプはゴースト。ノーマルタイプやかくとうタイプの攻撃はきかないはず。なのに、今のは。
「ねえ」
おれが顔を上げると、ドス黒いオーラが出てる笑顔をした、小娘がいた。
「ギラス(いつの間に、ゲンガーのところに)」
バンギラスはこっちに向かおうとするが、ハッサムが立ちふさがる。
「ギラス(邪魔をするな)」
「サム(それはできない相談だ)」
ハッサム如きになにを手間取ってやがる。
「ねえ、ゲンガーさん」
「ゲンガ(なんだよ)」
「さっき、なんて言ったのかな?ゴ、まで聞こえたんだけど、全然聞こえなくて。もう一度、言ってくれないかな?」
「ゲンガ(あのゴ)」
バーン
次の瞬間には、また、おれは壁に叩きつけられていた。
「ゲンガ(なんで、お前は、おれに触れることができるんだ)」
「ああ。それはみやぶる攻撃をしたからね」
みやぶるはゴーストタイプにノーマルタイプやかくとうタイプの攻撃を命中させるための技。おれ自身はかくとうタイプの技はたいしたことじゃないが、こいつは何なんだ。まったく、勝てる気がしない。
「ねえ、はやく、続きを言って下さい」
その悪魔は笑顔で聞いてくる。どうするべきか。
ハクリュウ
「リュウ」
さっきから、何なんだ、こいつは。僕はアクアテール……僕の尻尾をふって、アーボックに命中させようとするが、アーボックはあなをほって、逃げるばかりで戦おうとしない。
「リュウ(何で、戦わない!)」
「ボック(事情があるのさ)」
「リュウ(くっそーー)」
僕達の攻防は続く。
最終更新:2011年08月03日 04:13