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「それにしても、3人勝ち抜きって、すぐに終わりそうですけどね」

「3人勝ち抜いたら、園長さんと勝負なんですよ」

「なるほど、実質、4人に勝ち抜きですか。でも、強いんですか?」

「まあまあですかね。とにかく、エントリーしましょう」

私達は受付に向かいます。

「えーと、参加費は……1万円!?」

「高いねー」

「がめついって言いましたよね」

「納得です」

ルールを確認すると……1対1の短期決戦。ただし、園長さんとの戦いは3匹ですか。

「さて、まだ、時間もありますし、賞品のラプラスでも見に行きますか」

「え、展示されてるんですか」

「ええ。まあ、お金もかかりますけど、そこは私がもちますよ」

「すいません」

「いえいえ。そのかわり、素晴らしい戦いを見せて下さいね」

「あはは、まあ、頑張りますよ」

私達はラプラスの展示してある、エリアに来ました。

「たくさんいますね」

「そうですね」

「……」

「どうしたんですか、ゆい先輩」

「あのラプラス達、泣いてるよ」

「え?」

ラプラス達を見ると、たしかに悲しそうな顔をしています。

「ゆいちゃんはポケモンの言ってることが分かるんですか?」

「まあね。これでも、私、ポケモンだしね」

「それはすごいですね」
「えへへ」

ゆい先輩の頭をなでる、アンズさん。……なんでしょう、あんまり、気分がよくありません。

「……梓さんがむっとしてますね。よし、ちょっとからかってみよう」

「なにか、言いましたか、アンズさん」

「いえ、別に。ちょっと、ゆいちゃんを抱っこしてもいいですか?」

「……どうぞ」

アンズさんはゆい先輩を抱き上げます。


「可愛いですね~」

「えへへ、ありがと。アンズちゃんも可愛いよ~」

仲良さそうにする、ゆい先輩達。……むむ、なにか、分かりませんが、胸がチクチクする。

「それにしても、本当にポケモンとは思えませんね」

「そうかな?まあ、よく間違えられるけどね」

「しかし、本当に可愛いな~。ほっぺにキスをしていいですか?」

「!?」

「というか、しちゃいますね。んー」

アンズさんはゆい先輩の柔らかそうなほっぺに唇を近づけようとしています。

「や、やめて下さい!」

私はアンズさんから、ゆい先輩を取り上げます。

「こ、これは私のだから、勝手なことをしないで下さい!」

「……」

「……プッ、ククククク」

「な、何を笑ってるんですか!」

「いえ、随分、仲がいいな~、って」

「はい?」

「あずにゃん……」

ゆい先輩は顔を赤らめています。

「どうしたんですか?」

「あずにゃん。……今、私のだからって」

「!?」

「いやー、お暑いですね」

「えへへ~、今、『私のだから、勝手なことをしないで下さい』だって」

「良かったですね、ゆいちゃん。私も言われたいですよ」

「いいでしょ~」

「……」

「くすくす、梓ちゃん。顔、真っ赤ですよ」

「う、うるさいですよ!」

「ところで、あずにゃん」

「何ですか!!」

「そんなに怒らないでよ。ラプラス達のことだよ」

「あ、ああ。すいません」

てっきり、まだ、からかわれるかと思いました。

「ラプラス達がどうかしたんですか」

「野生に戻してあげられないかな?」

「それは……難しいですね。どうしてですか?」

「なんかね、ひどいことをされたんだって」

「ひどいこと?」

「そう。なんか、平和に暮らしてるところに人間さん達が襲ってきて、無理やり捕まえられたんだって」

「なるほど」

そういえば、研究所で助手をしていた時に、昔、ラプラスはたくさんいたんですけど、人間が捕まえすぎて、絶滅寸前になってるそうです。とすると、このラプラス達は貴重ですね。

「梓さん、そろそろ、時間ですよ」

「あ、そうですね。ほら、ゆい先輩。行きましょう」

「……う、うん」

「……私が何とかしてみせます」

「え?」

「難しいかもしれませんけど、頑張ってみます」

「……ありがと、あずにゃん」

「別にゆい先輩のためじゃありません」

プイッと顔を背ける、私。

「知ってるよ。今のはラプラスのかわりだよ」

「そうですか」

「それじゃ、私達も行こうか」

「はい」


私達が会場に着くと、スタッフの人に声をかけられます。

中野梓さんですよね」

「はい」

「順番として、次になりますので、スタンバイしてください」

「分かりました」

順番としては受付順のようです。

「ジー」

スタッフの人が私を見つめてきます。

「あ、あのなんですか?」

「あ、いえ。…あなたって、先日のサファリゾーンでの事件を解決した人ですよね」

「え、ええ、、まあ」

「やっぱり!大会、頑張ってくださいね。応援してます」

「あ、ありがとうございます」

そう言うとスタッフの人は笑顔で去っていきます。

「人気ですね~、梓ちゃん」

「それは私の嫁だからね」

「やれやれですよ、こっちは」

「おっと、もう終わったみたいですよ。頑張って下さいね、梓さん」

「はい。応援よろしくお願いしますね」

「まあ、私が応援しなくてもすごい声援もらいそうですけどね。あ、それより、梓さん」

「なんですか?」

「今更ですけど、年も同い年みたいですし、別にタメ口でもいいですよ。もっと、フランクに。もう、友達ですし、……って、何を恥ずかしいことを言ってるんでしょうね」

「……じゃあ、私にもタメ口でいいよ」

「分かった。それじゃ、梓ちゃん、頑張って!」

「うん!」

「いやー、友情だねー。うんうん」

「何を納得してるんですか」

「私のことよりも、相手に集中しなさい。負けちゃうよ」

「分かってますよ」

『さあ、大会も盛り上がってきました。現在、2連勝中のサブさんに挑戦するのは、先日のサファリパークでの事件を解決に導いた、幼女を華

麗に操る、ツインテールの魔術師、中野梓選手です!』

「何なんですか、今の実況」

「そうだよね。私はこんな姿でも、18歳だし、幼女はひどいよ」

「いえ、そういうことではなくて……。まあ、いいや」

「ルールは1対1。途中の回復はなしです。両者、よろしいですね」

「はい」

「おう」

「それでは、両者、スタンバイしてください」

さて、どうしたものでしょうか。1対1ということは、弱点があたると不利になります。しかし……。

「相手が弱点のタイプでも、勝てないと澪先輩達には勝てませんよね」

「ではいきます。準備はいいですか?」

「はい」

「おう」

「それでは……」

「「「バトルスタート」」」

「来てください、ガルーラ!」

「来い、カイリキー」

『現在、2連勝中のサブ選手はカイリキーを、挑戦者の中野選手はガルーラを出しました。これは中野選手が不利かー』

「これくらい、不利じゃありません。ガルーラ、ねこだまし!」

ガルーラは突撃してくる、カイリキーの顔の前で、手をパンッと叩き、カイリキーは怯みます。

「一気にいきます。メガトンパンチ!」

ガルーラはカイリキーのお腹に、拳を叩き込みます。……痛そう。

「……リキ」

カイリキーは急所に当たったのか、膝をつきます。

「今がチャンス。ガルーラ、げきりん!!」

「ガル!」

ガルーラはカイリキーをまるで、親の敵のように殴り続けます。

「ガル!ガル!ガル!」

殴っているガルーラの機嫌は良さそうですが、まあいいです。

「このまま、決めちゃってください!」

「ガル」

ガルーラの顔面の一撃が決まり、そのまま、壁まで飛ばされてしまいました。

『おーっと、ガルーラの一撃が見事に決まったーー。判定はどうだ!』

「……カイリキー、戦闘不能。ガルーラの勝ち。よって、中野選手の勝利です!」

ワー、ワーと観客が騒ぎます。

「いやー、強いね」

「ありがとうございます。サブさんも強かったですよ」

「はは。何もさせてくれなかったのに、よく言うね」

「す、すいません」

「頑張ってくれよ」

「はい!」


『さて、次の挑戦者は、モブ子さんです』

「わー、さっきと違って適当ですね」

「ぜひ、胸を借りるつもりで、ちょうせ……すいません」

「ちょっと、待って下さい。何を謝ったんですか、今」

「いえ、本当にすいません。ない胸は借りられませんよね」

「……本気でいきます!」

「……あずにゃん、顔怖いよ」

ゆい先輩が足元で、ガクガクブルブルと震えていますが、まあ、気にしないでいきましょう。

「ルールは1対1。途中の回復はなしです。両者、よろしいですね」

「はい」

「ええ」

「それでは、両者、スタンバイしてください」

覚悟して下さい。あなただけは叩き潰してあげます。

「ではいきます。準備はいいですか?」

「はい」

「いいですよ」

「それでは……」

「「「バトルスタート」」」

「来て、ピジョット!」

「来て下さい、プテラ!」

『挑戦者のモブ子選手はピジョットを出しました。これに対して、中野選手が出したのは……先日のサファリゾーンで、中野選手と死闘の末、
ようやく、中野選手がゲットした、プテラだー』

「あなただけは絶対に許しません。絶対に倒します」

「そ、そんなに本気にならなくても……」

「ゆい先輩は黙っていて下さい」

「……はい」

『さあ、勝負は空中戦だー』

「プテラ、先制攻撃です。とっしん!」

「ピジョット、かわして!」

プテラはその大きな体とスピードを生かして、ピジョットに突撃するも、ピジョットは素早く、その攻撃をかわします。

「くっ。プテラ、もう一度です!」

「あずにゃん、落ち着いて……」

「私は冷静です!ゆい先輩は黙っててください」

「はい」

「(くすくす。さっきので、大分、頭に血が上ってますね)ピジョット、かわして、ブレイブバード!」

プテラはさっきと同じくらいのスピードで、ピジョットにとっしんを仕掛けるも、ピジョットはそれを華麗にかわし、素早く旋回し、羽を折りたたみ、まるで、銃弾のようにプテラに突撃してきます。

「テラ!」

プテラはかわしきれずに直撃し、よろめきます。

「一気に攻めるわよ。ピジョット、もう一度、ブレイブバード!」

ピジョットは旋回し、よろめく、プテラに狙いを定めます。

「あずにゃん、れいせ……」

「……どうしたんですか、ゆい先輩」

「……ううん、なんでもないよ(あずにゃんの目は冷静だった。つまり、さっきまでのは演技。それも見抜けないなんで、私もまだまだだよ)」

『おーっと、あれだけの猛威を振るった、プテラもピジョットの前に沈むのかー』

「いっけー、ピジョット!」

ピジョットははさっきのように羽を折りたたみ、さっきのよりもスピードをあげ、プテラに突撃してきます。

「今です!プテラ、反撃です、すてみタックル!」

『おっと、さっきまでよろめいたプテラが急に体制を整え、ピジョットに向かって、突撃していくー』

「なっ!?」

バーーーン

プテラとピジョットが激突し、両者の動きは停止しています。

「どっちが、勝ったの」

「……」

「……ジョット」

先に動いたのは、ピジョット。弱弱しい鳴き声を出し、そのまま、落下し、気絶しました。

「ピジョット!」

『ピジョットは気絶したー。プテラはどうだー』

「テラ!」

プテラは元気よく、鳴き声をあげ、自由に飛び回ります。

「ピジョット、戦闘不能。プテラの勝ち。よって、中野選手の勝利です!」

「ど、どうして」

「プテラはいわタイプですからね。ひこうタイプの技は威力が下がりますし」

「な、なるほど。それにしても、さっきまでのは」

「あのまま、無駄に攻撃をして避けられるよりも、正面から激突してくれた方がよかったですしね」

「え、じゃあ、さっきまで、力任せに向かってきたのは……」

「そのほうが油断するでしょ」

「す、すごいですね。さっきまで、頭に血が上ったようにしてたのも演技だったわけですか」

「ええ、まあ。……それよりも」

「それよりも?」

「さっきのを謝って下さいね♪」

「……すいません」

『さあー、中野選手はついに2連勝だー。サファリゾーンのポケモン脱走事件を解決させた実力は本物かー。そして、いよいよ、最後の挑戦者です』

実況者の声とともに、金髪の男の人が登場しました。


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最終更新:2011年08月03日 04:24