- 136. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:13:11.06 ID:zbGiL2dK0
- 前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム デルビル
澪 ゼニガメ
律 ヒトカゲ
ムギ フシギダネ
純 うい
注 一部残酷な表現(?)もあるかもしれないから注意 梓が主人公だからです
以下、おつきみやま編 「ロケット団との死闘・後編」投下
- 137. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:14:21.45 ID:zbGiL2dK0
- 「………はあ………はあ。ここまでくれば、大丈夫ですかね」
私達はなんとか、おつきみやまの洞窟に逃げ込みました。
「大丈夫?」
ゆい先輩は傷ついたイーブイを心配そうになでています。
「どうですか、イーブイの様子は?」
「気絶してるよ。とっても、辛そうだから早く治してあげなきゃ」
「そうですね。ちょっと待って下さい」
私はリュックの中から、きずぐすりを取り出します。
「ちょっと、痛いかもしれないですけど、我慢してくださいね」
私はイーブイの傷口にきずぐすりを塗ってあげます。
「これで、簡単に治しましたけど、やっぱりポケモンセンターには行きたいですね。せめて、もう少し、きずぐすりがあればよかったんですけど」
- 138. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:15:24.11 ID:zbGiL2dK0
- 「ちゃんと、準備しなきゃだめだよ、あずにゃん」
「……ゆい先輩の服を買ったり、おやつを買ったりして、お金がきつかったんですけど、ゆい先輩がそういうなら、それを削って、準備のお金に回しますね」
「こういうのは必要最低限にしとくべきだよね、うん」
「まあ、そんなことより、これから、どうしますか」
「どうしよっか」
「………ブイ」
「あ、目を覚ましたよ、あずにゃん」
「ブイ」
「助けてくれてありがとう、だって」
「それはいいんですけど、どうして追われてたんですか?」
「ブイブイ」
「ボクはある研究所で実験材料にされていて、それが嫌で逃げ出してきたんだって」
「実験材料?」
- 139. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:16:55.84 ID:zbGiL2dK0
- 「ブイブイ」
「ボクの首に風呂敷みたいなものが巻かれてましたよね?」
「そういえば、ありましたね」
ここまで逃げて来た時に外してあげたけど、そういえば、何か入ってたような気がします。なんで、確認しないんだっていうと、イーブイの治療が先だったからです。私はリュックからその風呂敷を出してみます。すると、中から、石が3つ出てきました。この石は……?!
「この石ってなんなの、あずにゃん」
「この石は、ほのおのいし、みずのいし、かみなりのいし、といって、ポケモンを進化させる不思議な石なんです」
「なるほど〜。私も進化するかな?」
「試してみますか」
それぞれの石をゆい先輩にあててみますがまったく効果はありません。
「何にも起きないね」
「そうですね」
- 140. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:17:59.16 ID:zbGiL2dK0
- 「ブイブイ」
「話を続けてもいいですか、だって」
「すいません。続けて下さい」
「ブイブイ」
「ボクはたくさんの進化の可能性があるのは知ってますか?」
「そういえば、そんな話を聞いたことがあります」
「ブイブイ」
「ボクはそのいしを使えば、サンダース、シャワーズ、ブースターになることができます。でも、本来なら、1つに進化させればおしまいです。そうなの、あずにゃん?」
「そうです。だから、進化のいしを使う時は慎重にしないといけないんです」
- 141. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:19:18.98 ID:zbGiL2dK0
- 「ブイブイ」
「でも、ボクの体は1時間しか進化できないんです」
「え、それって……」
「ブイブイ」
「つまり、ボクはさっき言った3匹のどれに進化したとしても、1時間しかできず、この体、つまり、イーブイに戻ってしまうのです。その力を得るためにたくさんの実験をされました。その結果、僕の仲間もたくさん死にました」
「そんな……」
ポケモンを実験材料にして、こんなひどいことをするなんて、許せません。
「でも、すごい力だね。うらやましいなあ」
「ちょっ、ゆい先輩」
「だって、この力があれば、いろんないい事にもつながるよ。例えば、えーと、この子、1匹で、電気や炎、水も使えるってことでしょ?光熱費がかからないってことだよね。私にはできないことだよ」
「それはそうですけど……。でも、この子は身勝手な人間のためにこうなったんですよ」
「たしかに、そうだけどさ。でも、怨んだって、力がなくなるわけでもないし、そんなの楽しくないよ。だから、この力をいいことに使えるように考えたほうがいいよ」
「!?」
「間違ってはいませんけど」
「ねえ、私達の仲間にならない?あの人達みたいにはしないよ。あずにゃんはいい子だし。あずにゃんのことが信じられないなら、私を信じなよ。これでも、ポケモンだからね」
「ゆい先輩……」
- 142. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:20:27.68 ID:zbGiL2dK0
- 「くそっ。どこ行った、あのガキ共」
「こうなったら、俺等が最初に捕まえて、じっくり味わおうぜ」
「!? まずいです。奴らが来ました。逃げないと……」
「そうだね」
私達は急いで逃げようとしたところで……
ツルッ。
「イテッ」
ゆい先輩が転んでしまいました。
「大丈夫ですか、ゆい先輩」
「なんだ、そこにいたのか」
「探したぞ、ガキ共」
さっきの音を聞きつけた、先ほどのロケット団員2人が立っていました。
- 143. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:23:03.63 ID:zbGiL2dK0
- 「さっきのようにはいかんぞ」
ロケット団の2人は、アーボック5匹とマタドガス5匹を連れています。……なんで、こんなに偏ったメンバーなんでしょうか。……なんて、考えてる場合じゃありません。
「来て、デルビル、ハッサム」
「デルビル」
「ハッサム」
「ゆい先輩、デルビルとイーブイを連れて先に進んで下さい」
「え、でも、あずにゃんは?」
「私はハッサムと一緒にここで奴らを食い止めます」
「……でも」
「心配しないで下さい。きっと、無事に戻ってきます」
「……あずにゃん。なんか、ドラマとかの主人公とヒロインみたいだね」
「馬鹿なこと言ってないで、サッサと言ってください」
「馬鹿が。逃がすかよ」
アーボックがゆい先輩に襲い掛かります。
「ハッサム。ゆい先輩を守って。早く行って下さい」
「うん。サムちゃん、あずにゃんを頼んだよ〜」
ゆい先輩はイーブイを抱えて、デルビルに跨って奥に逃げて行きました。
「行きましたか。行くよ、ハッサム」
「おもしれえ、1匹でどこまで、持つかな」
「いけ、お前達」
- 144. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:25:33.34 ID:zbGiL2dK0
- 私はビル太とともにおつきみやまの洞窟の出口に向かって、走っていた。ここは、人がよく来るらしく、洞窟内でも、電灯で明るい。
「大丈夫かな、あずにゃん。……ごめんね、ルビ太。2人(?)は重いよね」
「デルビル(これくらいなら、大丈夫です)」
「頑張ってね。君も大丈夫?」
「ブイ(負担になって申し訳ありません)」
「そんな謝り方しないでよ。当然のことをしてるんだし」
「デルビル(!?)」
「わっ。急に止まらないでよ。どうしたの?」
「デルビル(気をつけて下さい。すでに敵がいます)」
「えっ」
私が前を見ると、胸にRって書いた服を着ている、3人組の姿がいました。周りには、アーボック6匹とマタドガス6匹とベトベトン6匹を連れています。……この人達ってこれしかポケモンないのかな?
- 145. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:27:02.91 ID:zbGiL2dK0
- 「くっくっくっ。嬢ちゃん達、サッサと、降参しな」
でも、ピンチにかわりない。
「あれ?もう、1人のお嬢ちゃんがいねえな」
「もしかして、もう、取られちゃったか」
「残念だな〜、初めはおれが奪いたかったが」
「まあ、いつでも、できるだろ。なにせ、もうすぐ、俺達の玩具になるんだからな」
「あ、あ、あずにゃんにひどいことするの?」
「あずにゃん?あのお嬢ちゃんのことかい。そうだねえ、お嬢ちゃんが素直にイーブイを渡したら、何もしないでもいいかな」
「い、いやだ。イーブイは渡さないよ。それにあずにゃんにも手を出させないよ」
「まったく、聞き分けのないガキだな。大人を困らせちゃ駄目だよ」
1人のロケット団員が近づいてきます。ど、どうしよう。
「デルビル」
「ルビ太!!」
そのロケット団員にたいして、デルビルがたいあたりを仕掛けました。
「ルビ太、ありがとう。よし、あずにゃんを守るために一緒に頑張ろう」
私は、ギー太を持った。いつものように、ゆいぐるみを出してもいいんだけど、あずにゃん分の消耗が激しいからね。
「やりやがったな、ガキ共。アーボック、かみつけ!」
「いくよ、デルビル。私の力を分けてあげるから」
「デル」
「いっくよ〜、ゆいちゃん真拳協力奥義『ふわふわタイム』」
「デルビル」
「なんだ、デルビルの体からオーラが……!?」
「いっけー、ルビ太」
「デル」
- 146. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:29:16.10 ID:zbGiL2dK0
- 「……はあ……はあ」
「大丈夫ですか、ハッサム」
ハッサムは相手がどくタイプということもあり、なんとか、6体を倒すことができました。(はがねタイプにどくタイプの攻撃は効果なし)
「チッ。ならば、アーボック。まきつけ」
「シャーボック」
アーボックは疲れているハッサムの隙をつき、巻きつきます。
「でも、はがねタイプにその技は」
「関係ねえ、おい」
「ああ」
2人組みは私に近づいてきます。
「な、なんですか」
「この方が手っ取り早いだろ」
「くく、観念しろよ」
「……なんて、下劣な」
「ハッサムーーー」
ハッサムは怒りの表情を浮かべて、巻きついてるアーボックを力任せに両手で引き裂いた。
「ハッサム」
ハッサムは引き裂いた、アーボックの返り血を浴び、怒りの目で、ロケット団の2人を睨みつける。
「くそっ。アーボック」
「マタドガス」
残りの3匹がハッサムに襲い掛かります。でも、ハッサムは冷静に手をそいつらに向け、エネルギーがその手に集まっています。これは……
「ハッサム」
ハッサムはそいつらにはかいこうせんを繰り出しました。
「馬鹿な!?」
「また、こんな奴らに……」
ハッサムのはかいこうせんは3匹とともにその2人組も巻き込んでしまいました。
「……はあ……はあ」
まともにくらった、3匹はもちろんのこと、あの2人もノックアウト状態ですね。自業自得です。
「ありがとうございます、ハッサム。少し、休んでいて下さい」
私は、ハッサムをボールに戻し、ゆい先輩を追って奥に走りました。
- 147. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:30:50.74 ID:zbGiL2dK0
- 「デルビル」
「べトーベートーン」
「……はあ……はあ、やったね、ルビ太」
ルビ太は私の歌で力をアップさせたおかげでなんとか、9体は倒せた。後、半分だ。
「後、半分だよ。もう少しだから、頑張って、ルビ太」
「デル」
「さあ、続き行くよー。……あれ?」
ガクッ。
私は次の曲を引こうとしたんだけど、ひざがガクッとなって、膝をついてしまった。こ、こんな時に、あずにゃん分が……。で、でも、私がここで倒れたら、イーブイだけじゃなくて、ルビ太も……。
「やっと、鳴り止んだか。また、出されると厄介だ。サッサと仕留めろ、アーボック」
「シャーボック」
アーボックが私に襲い掛かってきます。……うう、ルビ太はマタドガス達に足止めされてるし、ブイ太は怪我で動けない。まさに、絶体絶命だよ〜。
「殺すなよ、アーボック。こいつの力は面白い。研究しだいで我々の力になるかもしれないからな」
「シャーボック」
「……うぅ、助けて、あずにゃ〜ん」
- 148. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:31:57.60 ID:zbGiL2dK0
- 「いけっ、ハッサム」
私がなんとか、ゆい先輩達に追いつくと、ゆい先輩がアーボックに襲われそうになっているので、急いで、ハッサムを出しました。
「ハッサム、バレットパンチ」
「ハッサム」
「サムちゃん!!」
ハッサムはそのアーボックをふっ飛ばしました。
「うぅ〜、あずにゃ〜ん」
ゆい先輩はぎゅう〜と抱きついてきます。
「私ね、頑張ったよ。ルビ太と協力して、半分をやつけたんだよ」
「そうですか。よくやりましたね」
ナデナデ。
「えへへ〜」
「デル!!」
私達がのんきにしていると、バーンと、デルビルがアーボックに叩きつけられてしまいました。
「こんなことをしてる場合じゃありません。ゆい先輩は下がって……」
「大丈夫だよ、私は。今ので十分にあずにゃん分が溜まったからね。皆、下がっていいよ。後は私がやつけてあげる」
「……分かりました。戻って、デルビル」
私は、デルビルをボールに戻しました。
- 149. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:36:27.56 ID:zbGiL2dK0
- 「なんだ、無事なのか」
「ってことは、おれらにもチャンスがあるってことか」
「だが、あいつらは強いぞ」
「へっ。こっちは後9匹だ。オラ、サッサとトドメをさせ」
「私とあずにゃんがそろえば、無敵なんだよ〜。出てきて、ゆいぐるみ」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン。
「ゆい先輩。さっきの技は出さないで下さい。爆破したら、洞窟なので、危ないですから」
「分かってるよ。あずにゃんは何の曲がいい?」
「何がいいって言われても、どんなのがあるか分かりませんですけど。じゃあ、とりあえず、ういを倒した技で」
「分かったよ〜、ミュージックスタート(GO!GO!MANIACを想像して下さい)」
ゆい先輩のぬいぐるみがいつも通りに敵に群がっていきます。
「これが報告にあった、ぬいぐるみの攻撃か……!?」
「おれらにも群がってきてるぞ」
いつ見ても、すごい光景ですね〜。ぬいぐるみとはいえ、ゆい先輩がたくさん群がっているんですから。私に群がったらどうなるんでしょうかね。皆が『あずにゃん、あずにゃん』って言って。って何考えてるんでしょうかね。
「さあ、皆、3列に並んで〜。ゆいちゃん真拳奥義『突撃☆ゆいちゃんパレード』」
ゆい先輩の号令で3列に並び、ぬいぐるみはういの時よりも早く、敵に突っ込んでいきます。
「ギャ−‐−−‐−−−−−−−−」
「糞がーーーーーーーーーーーー」
「覚えてろよーーーーーーーーーー」
三人のロケット団員も巻き込み、全ての敵を粉砕しました。訳の分からない技ですけど、威力は抜群ですね。
- 150. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:37:40.59 ID:zbGiL2dK0
- 「さ、今のうちだよ」
「はい。行きますよ、ゆい先輩、イーブイ」
私はハッサムをボールに戻し、2匹(?)を素早く抱きかかえて、出口の方角に向かって走ります。
「こっちでいいの?」
「多分そうだと思います」
私は、全力で走り抜けました。もし、ゆい先輩とのんびり行ってたら、多分、1日じゃ無理でしたね。なんて、頭の片隅で考えてたら、太陽の光が見えてきました。
「あずにゃん、出口だよ」
「はいです」
私は限界が近い体に気合を入れ、出口を駆け抜け、おつきみやまの洞窟を抜けました。よし、このまま、ハナダシティまで行って、ポケモンセンターに……。
- 151. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:39:32.78 ID:zbGiL2dK0
- 「待ってたぜ、ガキ共」
「!?」
抜けた所で、5人のロケット団員とアーボック6匹とベトベトン6匹、ここまでは変わりませんが、スピアー6匹とゴルバット6匹も加わっていて、合計24匹もいます。
「くっ。いくです、ハッサム、デルビル」
私は残りの2匹を出しますが、ゆい先輩を含めても、3匹。多勢に無勢です。しかも、あっちのリーダーぽい1人はまだ、モンスターを出していません。まさしく、絶体絶命……?!
「どうした、顔が青ざめてるぞ」
「くっくっくっ。足も震えてるぞ」
「……うるさいです。いくですよ、ハッサム、デルビル」
「無駄だ。やれ、お前ら」
ハッサムははがねタイプなのでまだ、いいですけど、デルビルはちょっと辛そうです。
「頑張ってください、皆」
「ハッサム」
「デルビル」
ハッサムはメタルクローでなんとか、スピアーやゴルバットををなぎ払いますが、連戦の疲れと数の多さで、苦戦しています。デルビルはなんとか、アーボックのシッポにかみつく攻撃で対抗していますが、数が多すぎます。
「安心しろ。イーブイを渡せばやめてやるよ」
「そんなことできません!!」
「じゃあ、お前のポケモンを苦しめるだけさ。果たして、2匹でどこまで持つかな?」
- 152. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:41:08.85 ID:zbGiL2dK0
- 「カプッ」
「イテッ」
イーブイは私の手をかみ、イーブイは私が痛がってる隙に手の中から抜け出し、私の方を見て、
「ブイ」
と言って、ロケット団員のリーダーに向かって歩き出しました。
「ゆい先輩。イーブイは今なんて……」
「もう迷惑をかけられないので、私は投降します。皆さんごめんなさい、だって」
「そんな……」
「よ〜し、いい子だ」
私はこのまま、イーブイを行かせていいのでしょうか。今、私のポケモンは私のために頑張ってくれています。ならば、私もポケモンのため
に。
「ゆい先輩はここにいて下さい」
私はゆい先輩を地面に置き、イーブイに向かって走り出しました。
「待って、あずにゃん」
「くっくっくっ。これで、俺の出世も……、うわ」
私はイーブイを手に入れようと油断してるリーダーに体当たりをして、イーブイを抱きしめました。
「何しやがる!」
「イーブイはあなた達には渡しません!」
- 153. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:43:10.89 ID:zbGiL2dK0
- 「チッ。いい気になるなよ、クソガキが」
「あ〜う〜、助けて〜、あずにゃ〜ん」
「!?」
私は振り返ると、ロケット団員に人質(?)にされたゆい先輩が。
「こいつの命がほしかったら、無駄な抵抗はやめな」
「くっ」
「よくやったぞ。さて、貴様には最大の屈辱をやろう。来い、アーボック」
また、アーボックかと思いきや、さっきまでとはレベルが違います?!
「あのガキを無事に返してほしかったら、今から、ここで、全裸になって、アーボックに犯して下さいて言いな」
「なっ……?!」
この男、どこまで愚劣なんですか。
「あずにゃん。そんな奴の言う事聞いちゃだめだ」
「うっせーぞ。クソガキ」
「あう〜」
「ゆい先輩!」
「さあ、どうする?あのガキの運命はお前が握ってんだぜ」
どうしますか。ゆい先輩のためにも私が犠牲に?でも、こいつらが素直に約束を守るとも……。
「別にあのガキのことなんか気にしないで、嫌だって言えばいいじゃないか。あのガキの命はないが、お前が屈辱を受けることもないんだぜ」
下劣な声で、笑い出すこの男は本当に人間なんでしょうか。
「さあ、答えは?」
「答えは……」
- 154. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:44:13.57 ID:zbGiL2dK0
- 「NOに決まってるだろ」
そんな声とともに、アーボックとリーダーが濁流のような水に吹き飛ばされました。この技は……。
「大丈夫か、梓」
「澪先輩」
「なんだ、あいつは」
「今だ。カプ」
「あ、いて」
「あずにゃ〜ん」
ゆい先輩は今の混乱を利用し、うまく脱出し、私に抱きついて来ました。
「ヒック。怖かったよ〜」
「すいません。私が不甲斐なくて」
「そんなことないよ。私だって、不甲斐ないよ」
「じゃあ、おあいこで。……今はそんなことを言ってる場合じゃありません」
「うん」
「梓が抱いてるのは……イーブイか。すごい怪我じゃないか」
「こいつらに襲われて……」
「今はいいきずくすりしかないから、簡単にしか治療できないけど、勘弁してくれ」
「ブイ〜」
- 155. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:48:19.55 ID:zbGiL2dK0
- 「なめんなよ、クソガキ共」
澪先輩に吹っ飛ばされた、リーダーが再びこちらに向かってきます。
「澪先輩、あいつを頼みます」
「それはいいが、梓は?」
「私はあっちで戦ってる仲間達を助けに」
私達がこうしてる間にも、向こうで、ハッサムとデルビルは戦っています。
「……そうか。こっちは任せろ」
「はい。行きますよ、ゆい先輩」
「待って、あずにゃん。イーブイが」
「ブイ」
イーブイは多少元気になった体で、私に向かって何かを訴えかけます。この言葉だけはゆい先輩に訳されなくても、分かりました。
「……君も一緒に戦ってくれる?」
「ブイ」
「じゃあ…」
私はモンスターボールをイーブイに投げ、ゲットに成功しました。
「やったね、あずにゃん」
「喜ぶのは、後です」
私は再びイーブイを出します。
「ブイ」
「石を使ってくださいだって。使っても無くならないから、心配は要らないって」
「便利ですね。じゃあ、ほのおのいしで」
私がイーブイに石をあてると、ブースターになりました。
「わ〜、すごいね〜」
「感心してる場合じゃ……」
バーン。
そんな音ともに、私達のところに、ハッサムとデルビルが叩きつけられてきました。
- 156. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:49:43.63 ID:zbGiL2dK0
- 「大丈夫?サムちゃん、ルビ太」
「シャーボック」
私達の元にアーボックとベトベトンの群れが。空には、ゴルバットとスピアーの群れが。
「こうなったら…」
ゆい先輩はいつものギターではなく、カスタネットを取り出しました。
「皆、今、助けるよ。ゆいちゃん真拳奥義『うんたん♪うんたん♪』」
わー、とっても、かわいいですねー。癒されます〜。……はっ。こんなのんきになごんでる場合じゃ。
「ゆい先輩、こんな技じゃ……」
「あずにゃん。皆を見なさい」
「え?」
私は周りを見ると、ハッサムやデルビル、ブースターが癒されて元気に。
「また、奇怪な技を」
「早く、あの厄介なガキを仕留めろ」
「シャーボック」
「ゆい先輩!」
「ハッサム」
元気になった、ハッサムは襲い掛かる、アーボックたちに向かって、はかいこうせんを繰り出しました。
「ぐわーーーーーーー」
「ギャーーーーーーー」
ロケット団二人を巻き込み、アーボック、ベトベトンの群れは倒れました。
「ビル太、ブイ太。君達の炎を私に貸して」
「デル」
「ブスタ」
ゆい先輩は今度はギターを構えます。
「行くよ、ゆいちゃん真拳協力奥義『ゆいちゃん熱風波』」
ギターからの衝撃波に加え、炎も加わり、ゴルバットやスピアーは全匹、落ちてしまいました。
「熱いーーーーー」
「誰か水をーーーー」
当然のように、ロケット団員も巻き込まれました。自業自得ですね。
- 157. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:51:52.81 ID:zbGiL2dK0
- 「馬鹿な。全滅だと!?」
「どうした、まだ戦うのか?」
「糞が。来い、オニドリル」
リーダーはオニドリルの足につかまり、逃げ出しました。
「終わりましたか」
「うん」
「大丈夫か」
「澪先輩!」
私は、駆け寄ってくる澪先輩に向かって抱きつきました。
「わわ、梓」
「すいません。グス。怖かったので」
「……そっか」
- 158. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:53:04.89 ID:zbGiL2dK0
- 今、あずにゃんは澪ちゃんの胸で泣いています。とっても、安心しきった感じで。そりゃそうだよね。私とあずにゃんが出会って、まだ、そんなにたってないもん。それに比べて、澪ちゃんは1年間も一緒だったんだもんね。そりゃ、信頼するよね、私よりも。それは分かってるんだけど……。
ズキ。
でも、よく分からないけど、澪ちゃんに対してあずにゃんが安心しきっているのを見ると胸がズキズキ痛む。私も同じように見てもらいたい、安心してもらいたい、なんて考えてる。何でだろ?そして、この光景を見ていると悔しさもこみ上げてくる。だって、たまたま、澪ちゃんが来たから、助かったけど、もし、来なかったら?私はあずにゃんを守らなきゃいけないのに足を引っ張るだけじゃなく、ピンチに追い込んでしまった。これは抗いようのない事実だ。
「強くならなきゃ」
私は今までちゃらんぽらんに生きてきたけど、初めて、本気で強くなりたいと思った。
- 159. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:54:50.55 ID:zbGiL2dK0
- 私はひとしきり、澪先輩の胸で泣いた後、ポケモンセンターで皆を回復させ、澪先輩と夕食を取ることに。時間がたつのは、早いもので、あの戦いのおかげで、お昼もとれませんでした。だから、おなかぺこぺこです。
「それにしても、さすが、澪先輩ですね。もう、バッチ3個だなんて」
「たいしたことないよ。律達だって、もうゲットしてるだろ」
「どっちにしても、すごいですよ。私なんて、まだ、1個ですし」
「それは梓が遅いだけなんじゃ……」
「もぐもぐ。もぐもぐ」
「ほら、ゆい先輩。口、汚れてますよ」
ふきふき。
「むう」
どうしたんだろう?ゆい先輩は澪先輩と合流してから、なんとなく、不機嫌になってる気がするんだけど、気のせいかな?
「……随分、仲良くなったんだな」
「ええ、まあ。あ、また、汚れてますよ」
「あずにゃん、拭いて〜」
「仕方がないですね」
ふきふき。
「……」
「ん?どうしたんですか、澪先輩?」
「い、いや、いつもこんな調子なのかな、って」
「まあ、そうですね。ですよね、ゆい先輩?」
「……いつもはもっといちゃついてるよ。今日は抑えてるくらい」
「ちょ、何を言ってるんですか。澪先輩が本気にするじゃないですか」
「むう。照れることないと思うけど」
「あんまり変なこと言ってると、デザートをあげませんよ」
「ごめんなさい」
「……やっぱり、仲良いんだな」
それから、澪先輩は少し悲しそうにしてたんだけど、どうしてでしょう
- 160. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 20:57:18.55 ID:zbGiL2dK0
- 夕食後、お風呂に入り、しばらく、お話して、もう寝ることに。
「すいません、澪先輩。一緒に泊まることになってしまって」
「気にすることないよ。ごめんな、ダブルルームになってしまって」
「いえ、いいですよ。それにしても、ダブルベットですか」
利用したことがないので、ちょっとドキドキするな〜。ま、普通のベットと変わりませんけど。
「べ、別に変な事するわけじゃないぞ」
「はい?変な事?」
「あ。ゴホン。なんでもない」
どうしたんでしょうか?なんか、様子が変ですが。まあ、いいや。今日はもう眠いです。
「すいません、澪先輩。もう寝かせて下さいね」
「ああ、問題ないよ。私も寝るし」
「さあ、ゆい先輩」
私達はゆい先輩を中心にして、その横に私と澪先輩がつきました。
「こうしてると、どこかの家族みたいですね」
女同士ですけど、子供(ゆい先輩は私よりも年上だけどね)を真ん中に川の字になってますし。
「か、か、家族は早いんじゃないか。もっと、順を追って……」
なんか、澪先輩が顔を真っ赤にしてますけど、どうしたんでしょうか。
「むう。私、子供じゃないよ。あずにゃんには子供にしか見えないかもしれないけどさ」
「すいません」
なでなで。
……ハッ。拗ねてるゆい先輩が可愛いな〜って思ってたら、つい、手が出てしまいました。
「……ねえ、あずにゃん」
「すいません。つい、なでてしまって……」
「もっと、近づいていい?」
「え、別にいいですけど」
ゆい先輩は私の方にちょっと近づきました。
「おやすみ、あずにゃん」
「え、ええ。おやすみなさい」
なんか、ちょっと、様子が変だったけど、まあ、いいや。もう眠い。私はまどろみの中に落ちていきました。
- 161. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 21:00:11.70 ID:zbGiL2dK0
- 私は、あずにゃんと澪ちゃんが寝たのを確認して、目を開けました。
「……すぅ……すぅ」
可愛い寝顔で可愛らしい寝息をたてて、寝てるあずにゃんを見る。
なでなで。
私は、あずにゃんの頭を起こさないように、優しくなでる。……おっと、いつまでも、なでていたいけど、こんなことをするために、起きたんじゃない。私は慎重にベットから抜け出し、あずにゃんのバックから、モンスターボールを取り出して部屋を抜け出した。
- 162. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 21:00:56.14 ID:zbGiL2dK0
- 「ここら辺でいいかな?」
私はハナダシティの外れ、さっきまで激闘を繰り広げてた、場所にやってきた。
「皆、出てきて〜」
私はボールを投げ、サムちゃん、ルビ太、ブイ太を出した。
「皆、ごめんね。ちょっと、話を聞いてくれるかな?」
皆は頷いてくれた。
「今回の戦いでね、私は思ったんだ。まだまだ、力が足りないって。もっと、私に力があれば、あずにゃんをちゃんと守れたって。だから、よければ、皆にも協力してほしいんだけどいいかな?」
皆は『もちろん』と頷いてくれた。皆、良い子だね。
「ありがとう、皆。早速、レベル上げのために野生のポケモンに挑戦するから、フォローしてね」
待っててね、あずにゃん。次にあんな奴らが現れたら、私が今度こそちゃんと守ってあげるからね。私はそんな決意を掲げて、野性のポケモン
を探しに皆と駆けていった。
- 163. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/27(金) 21:03:26.69 ID:zbGiL2dK0
- おつきみやま編 「ロケット団との死闘・後編」終了
- 165. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/30(月) 06:29:53.83 ID:NcMDH6Rz0
- 前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム デルビル イーブイ
澪 ゼニガメ
律 ヒトカゲ
ムギ フシギダネ
純 うい
ハナダ編? 「VS残党」
- 166. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/30(月) 06:31:30.08 ID:NcMDH6Rz0
- トキワシティのある建物にて
『嫌になるわね〜』
山中さわ子は呟く。今回の集まりは実験体の脱走に対するものだ。本来なら、研究班が全責任を負うべきはずだが、自分の部隊、すなわち、捕獲班が実験体の捕獲に失敗したからだ。ロケット団は大まかに分けて、3つのグループで構成されている。研究班というのは、ポケモンに関して研究していくところだ。もっとも、オーキドとかのようにポケモンの生態について研究するのではなく、軍事などに利用できないかといった研究だ。あの、実験体もその1つだ。1匹で、3種の進化を自由にするというのは、有用ではある。捕獲班というのはもっとも、業務の範囲が広い。野生のポケモンや珍しいポケモンの捕獲をメインとしているが、その後のポケモンの売却や戦闘員の訓練、ロケット団にとって邪魔な人物の誘拐等も含まれる。この班はタイプごとに班分けされており、梓達を襲ったのは、どくタイプの班だ。たかだか、1匹の捕獲だし、毒を喰らわせれば、問題ないだろうと判断したが、失敗した。最後に殲滅班。この班は組織でも、トップシークレットの情報であり、全様を知るものは殲滅班班長とボスのサカキのみである。主な業務はロケット団の運営や警察、政治家への根回しである。それだけでは、殲滅班とは言われないかもしれない。けど、この運営が問題で、裏切り者の抹殺も含まれる。また、組織にとって不要な者、邪魔な者を消す業務も行っている。そして、強い者しか、この班には入れないのである。
『まったく、あなたのせいよ』
山中さわ子は研究班の責任者の真鍋和に呟く。
『申し訳ありません。ですが、たかだか、1匹捕獲できない捕獲班にも問題あるんじゃないでしょうか』
『それを言われると辛いわね』
『もう、いいですか』
1人の女、曽我部恵は落ち着いて言う。
『どちらにしても、研究班の責任は免れません。捕獲班についても、部隊レベルの向上に取り組んで下さい。それでは、今日の議題について……』
- 167. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/30(月) 06:56:46.47 ID:NcMDH6Rz0
- ハナダシティのあるレストラン
「眠いよ〜」
「もう!しっかりして下さい」
私達はファミレスで朝食を取っています。
「昨日はよく眠れたか?」
「はい、おかげさまでぐっすり寝ることができました」
「そうか」
澪先輩はにっこりと笑います。
「……コク……コク」
「あ、ゆい先輩寝ないで下さい」
「……あう。寝てないよ〜……ぐう」
「説得力がありません。昨日は寝てないんですか?」
「……ぐっすり寝たよ〜」
「まだ、寝足りたいんですか。ほら、料理も着ましたよ。早く食べないと冷めちゃいます」
「あずにゃん、食べさせて〜」
- 168. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/30(月) 06:57:24.40 ID:NcMDH6Rz0
- 「なんで、私が」
「……ぐう〜」
「もう。仕方がありませんね。……ほら、アーンしてください」
「アーン」
パク。もぐもぐ、もぐもぐ。ぐう〜。
「だから、寝ないで下さい」
「まあまあ、昨日が昨日だから疲れたんだろう。そっとしておきなよ」
「そういえば、澪先輩はこの後どうするんですか?」
「朝食が終わったら、イワヤマトンネルに行くよ」
「なら、その前に勝負してみませんか?どれくらい、強くなったのか、試してみたいので」
「……ごめんな。今回はやめとくよ。梓とはポケモンリーグで戦いたいんだ」
「……そうですか」
「それに今日くらいはゆっくりしてやれよ。……ゆいもこんな状態だし」
「ぐう」
「……そうですね」
- 169. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/30(月) 06:58:01.22 ID:NcMDH6Rz0
- 「それじゃ、私は行くな」
「頑張ってください。それにしても、申し訳ないです。今日泊まるホテル代まで出してもらって」
「いいんだよ、気にしなくて……………一緒に寝ることができたしな」
「はい?すいません、最後の方がよく聞こえなかったんですけど」
「なんでもないよ。じゃあ、また会おうな」
「はいです」
最終更新:2011年08月03日 16:47