254. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:18:44.81 ID:zAka2DWh0
「行くよ〜。ゆいちゃん真拳超奥義『ゆいちゃん☆ドキドキ☆スゴロク』」

ゆい先輩はルンル〜ンと鼻歌を歌いながら、スゴロクをやるために準備をしています。このときの会場の気持ちは、対戦相手のカスミさんはもちろん、さっきから、私に罵声を浴びせてくる人たちとも、一致していたでしょう。

(……プール関係ないじゃん)

「さてと、サイコロを振ってと……ちぇ、1か」

「はっ。スターミー、こうそくスピンさせながら、たいあたり!」

「1マスと……さて、私の技の始まりだよ」

「!?」

今まで、プールだった場所がどこかの音楽室みたいな場所に変わりました。真ん中では二人の女の子が勉強をしています。……どこかで、見たような人っていうか、私とゆい先輩(大)ですが。
255. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:19:37.08 ID:zAka2DWh0
『あ、間違えちゃった。消しゴム、消しゴムっと』

私は周りを見ると、ちょうど良い所に消しゴムがあります。それを取ろうとして……

ぺタ。

『『あ』』

ちょうど、消しゴムを取ろうとしたのか、私の手とあずにゃんの手が触れ合ってしまいました。

『あ、ごめんなさい。手が触れてしまって』

『いいよ、きにしなくても』

あずにゃんと手が触れちゃった。

ドキドキ。
256. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:20:33.21 ID:zAka2DWh0
「スターーーーミ」

スターミに電流が走ります。

「なんなのよ、この技は」

「この技はドキっとすることをすごろくで体験することで、敵にダメージを与えるんだよ」

フンスと得意気に解説するゆい先輩。

「さて、サイコロを振ってと。やった、6だよ。6マス進めて、と」

「スターミー、もう一度、攻撃よ」

スターミーは再び攻撃態勢になります。しかし、ダメージで反応が鈍っていたのか、ゆい先輩の技が発動します。
257. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:21:34.77 ID:zAka2DWh0
ある夏の日の休日にて。

『突然、夕立だなんて、運がないよ〜』

今日、私達はお出かけをしていた……のはいいんだけど、突然夕立が起きて、急いで走るはめに。

『ゆい先輩。あそこで雨宿りしましょう』

私達はバス停の屋根の下に入りました。

『急に雨が降るなんて、運が悪いですよね』

『うん、そうだ……ね』

私はたまたま、目をあずにゃんの方を見たんだけど、雨で濡れているからか、服が透けていて、ブ、ブラが透けて……女の子同士なんだから気にするのもおかしいのかもしれないんだけどさ。い、一応、好きな女の子のだし……

『どうしたんですか?』

『な、なんでもないよ』

ドキドキドキドキ。
258. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:22:04.59 ID:zAka2DWh0
「スターーーーーーミ」

スターミに電撃が走ります。

「……」

会場全体が異様に静かになりました。きっと、このふざけた技にあきれているのでしょう。そんな空気を知ってか、知らずか、ゆい先輩はのんきにサイコロを振ります。

「やった、また、6だ。6マス進めてっと。後、3マスだ」

259. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:22:38.50 ID:zAka2DWh0
電車にて

『今日は疲れたね』

『そうですね』

今日は二人で遊園地に行ってきたんだ。こういうのをデートっていうのかな?こう思うのはおこがましいかな?なんて考えてたら、ふと、右肩が重くなった気がした。

『どうし……!?』

『……すう……すう』

隣を見るとあずにゃんが可愛らしい寝顔で可愛らしい寝息を立てています。し、し、しかも、私の肩で!!

ドキドキドキドキドキドキドキドキ。
260. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:24:18.95 ID:zAka2DWh0
「スターーーーーーミ」

スターミに稲妻が走ります。

「……」

ゆい先輩の攻撃のたびに会場の雰囲気が重苦しくなっているような気がします。

「……なあ。あのゆいってのと、トレーナーのあずにゃんって可愛くないか?」

「ああ。大きさこそ違うけど、見かけはそっくりだしな。単体でも十分なのに2人揃えば、破壊力は倍以上になるぞ」

さっきまで、私にブーイングしていた人たちも急に意見を変え出しました。そして、どこから、ともなく、

「ゆーいあず、ゆーいあず」

と、コールが始まりました。

「え、何なんですか、急に」

周りを見ると、さっきまで、ショーをしていた人や準備をしていた人、司会者まで、つまり、ジムの関係者まで、コールに参加しています。これじゃ、カスミさんが1人に……と思って、カスミさんを見ます。

「ゆーいあず、ゆーいあず」

……カスミさんまでコールに参加しています。……これじゃ、スターミーは会場でものすごくアウェーです。せめて、私だけでも、心の中でちょっとだけ、応援してあげましょう。ゆい先輩は周りのそんな空気を気にしないで、やっぱりサイコロを振ります。

「やったー。ちょうど、3だ。1,2,3、と。わーい、ゴールだよ〜」

今度はどこの場所なんでしょうか?どこかの教会のようです。ん?あそこにウエディングドレスを着ているのは、ゆ、ゆい先輩!?
261. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:25:05.48 ID:zAka2DWh0
『いよいよだね』

私はバージンロードで愛しの人が来るのを待つ。まあ、バージンじゃないんだけどね。ここまでくるのにいろんな人からの反対があったけど、なんとか、ここまで来れたよ。なんて、考えてきたら、愛しの人が入場してきた。

『……あずにゃん』

私は愛しの……あずにゃんが入場してくる姿に見惚れてしまった。一歩一歩近づいてくるたびに、私の心臓がドキドキってしてくる。そして、なんやかんや、あって、つ、ついに誓いのキスに。

『……唯先輩』

愛しのあの子が目を閉じる。私はその子の唇に私の唇を近づける。

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
262. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:25:54.14 ID:zAka2DWh0
「くらえ、 ゆいちゃん真拳超奥義『君の心にサンダーボルト』」

ビシャーっと、スターミーに雷が落ちます。しかも、さっきまでとは全然威力と時間が違い、10分くらい、スターミーは雷による電撃を喰らっています。……なんて、冷静に考えてますけど、私の頭も今の映像でショート寸前なんですけどね。だ、だって、あれ、私ですし、相手は大きさこそ違えど、ゆい先輩ですし。せめて、今のゆい先輩がこれくらい大きければ、こんな未来も……なんて、何考えてるんでしょうか。

「スターミ……」

スターミーは力尽き、プールに落っこちて、プカプカと浮いてしまいました。
263. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:26:48.64 ID:zAka2DWh0
「スターミー、戦闘不能。ゆいの勝利。よって、あずにゃん選手の勝利です」

ワーワー、という歓声があがるとともに、

「ゆーいあず、ゆーいあず、ゆーいあず、ゆーいあず」

というコールまで、始まりました。

「みんなー、ありがとねー」

それに答えるように、ゆい先輩は手を振りながら、浮き輪でプカプカと浮きながら、私のところに戻ってきます。

「どうだい、あずにゃん。見事に勝利したよ!」

「そ、そうですね。よくやりました」

ナデナデ。

「えへへ〜」

「ゆーいあず、ゆーいあず、ゆーいあず、ゆーいあず」

という、歓声の中、私達は退場して行きました。

264. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:27:24.11 ID:zAka2DWh0
「こ、こんなにくれるんですか」

「ええ。盛り上がったからね。そのお礼」

今、私は今回のショーのお礼とジム戦の勝利として、お金をもらったんですけど……。

「10万円は多すぎませんか」

「これでも少ない位よ。それくらい盛り上がったんだから」

たしかに、盛り上がりましたけどね。

「それに、あんなに楽しいバトルは久しぶりよ。これからも頑張ってね」

「ありがとうございます」
265. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:31:34.21 ID:zAka2DWh0
「あずにゃん分、補給〜」

私達はジムを後にし、ホテルに向かいます。

「今日はたくさんのあずにゃん分を消費しちゃったよ〜」

「そうですね。今日は大活躍でしたね」

私はゆい先輩を抱っこしながら、言います。

「えへへ〜。頑張ったでしょ?」

「普段から、これくらい頑張って下さい」

「あうう〜。あずにゃん先輩は厳しいな〜」

「なにを言ってるんですか」

そういえば、最後に、結婚式みたいな風景がありましたけど、ゆい先輩にも見かけはこんなでも、18歳ですし、恋愛に興味でもあるんでしょ
うか?ちょっと聞いてみましょう。

「ゆいせんぱ……あっ」

「う〜ん、ムニャムニャ」

ゆい先輩は私の腕の中で寝てしまってました。

「今日は頑張りましたもんね」

私はゆい先輩の頭をなでながら、起こさないように、帰路に着きました。
266. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/04(土) 08:32:49.44 ID:zAka2DWh0
ハナダ編?  「VSカスミ」  終了

273. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:06:04.36 ID:jngqW+4w0
前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓          ゆい  ハッサム  デルビル  イーブイ   ニューラ

澪          ゼニガメ

律          リザード  サワムラー  ニョロゾ

ムギ        フシギダネ

純          うい


クチバ編?  「VSマチス」  以下投下


274. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:07:06.92 ID:jngqW+4w0
「ここがクチバジムですか」

「そうだね。それより、もうジム戦?もう少し、のんびりしようよ〜」

「なにを言ってるんですか。律先輩でさえ、バッチ3個なんですよ。このまま、のんびりしてるわけには行きません」

「それ、りっちゃんに失礼だよ」

私達は、朝早く、ハナダのホテルを出発し、クチバシティに到着しました。ポケモンセンターでの回復も済ませ、早速、挑戦することに。

「じゃあ、入りますか。……失礼しまーす」

私はクチバジムの扉を開きました。
275. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:07:45.52 ID:jngqW+4w0
「どうしたんだい、お嬢ちゃん。ここは子供が来る場所じゃないよ」

マッチョな男の人が話しかけて来ました。

「あの、ジムリーダーに挑戦したいんですけど……」

「お嬢ちゃんが?変な冗談はよしてくれよ」

ハッハッハッと笑って相手にしてはくれません。

「こら!私達はジムリーダーに挑戦したいって言ってるんだよ。ちゃんと話を聞いてよ」

ゆい先輩はたまりかねたのかそう言いました。

「おいおい。ジムに戦いに来たのに幼稚園の妹連れかい。マチスを舐めちゃいけないよ」

「む。私は幼稚園の妹じゃないよ。年は18歳で、立派なポケモンなんだよ」

「そうかい、そうかい。分かったから、お姉ちゃんと帰りな」

「むう〜」

「……おい、何をしてる」
276. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:08:41.59 ID:jngqW+4w0
「何って、訳の分からないガキを……って、マチスさん」

後ろから、軍人さんのようにマッチョな人が出て来ました。

「お嬢ちゃんは何をしに来たんだい?」

「あ、はい。私はジムリーダーに挑戦したくて……」

「なるほど。それでこいつに何を言われたんだ?」

「それは……」

「その人、私達を馬鹿にして、取り次いでくれなかったんだよ」

私が答えるよりもゆい先輩が答えました。

「なるほどな〜。それはいけないな〜、おい」

「申し訳ありません、マチスさん」

「あなたがマチスさん!?」

このマッチョさんが、っていうのは失礼ですけど、ジムリーダーよりも軍人さんとか格闘技とかやってたほうがいい気がしますね。

「うーん、なるほど」

そんなことを考えてたら、マチスさんがジロジロと、見てきます。

「なあ、お嬢さん。ジム挑戦よりもミーたちの助手にならないか?」
277. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:10:03.60 ID:jngqW+4w0
「はい?」

「さっきの男みたいなマッチョな男しかいなくてね。君のような可愛いガールが来てくれれば、むさ苦しいジムでも、少しは華やかになるもんだ」

「すいません。せっかくのお話ですけど、旅を続けたいので、お断りします」

「それは仕方がないね。ではどうだい。私との勝負で決めるというのは?」

「はい?」

「私との勝負で勝てば、バッチをあげよう。負ければ、私達のジムに所属するというのは?」

「あの、さっき、お断りしたんですけど……」

「それは聞いたさ。だから、これは賭けだよ。ペナルティ。それとも、自信がないかい?」
278. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:10:33.94 ID:jngqW+4w0
そう言われると、ムッ、としますけど、そんな挑発に乗ってはいけませんね。相手はジムリーダー。こっちも十分に負けるかもしれないんですから、慎重にいかないといけません。

「なにを言ってるの。私とあずにゃんのコンビが負ける訳ないよ。いいよ、その挑戦受けて立つよ!」

「ちょっと、ゆい先輩。そんな簡単に……」

「大丈夫。あずにゃんには私がついてるんだから。どーんと、大船に乗った気でいなさい」

タイタニックでないことを祈りますが。……まあ、たしかに、ゆい先輩はまだ一度も大事なところで負けてはいませんが。

「オーケー。では、早速、始めよう」

279. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:11:06.98 ID:jngqW+4w0
私は今回、戦うフィールドに案内されました。今までのように特殊ではなく、ごく普通のフィールドです。

「勝負は3対3。ルールは点取り試合です。マチスが勝ったら、挑戦者がマチス専属メイドになり、挑戦者が勝ったらバッチを掛けていただきます」

「え、いつの間にそんなことに……」

今までのバトルで一番負けられない戦いが始まろうとしています。

280. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:12:06.80 ID:jngqW+4w0
「まずは先鋒戦です。用意はいいですか?」

「いつでもいいぜ」

「こっちも大丈夫です」

「それでは……」

「「「バトル開始」」」

「いけっ、マルマイン」

「きてください、ニューラ」

「ニューラ?昨日は出さなかったのに」

「昨日、ゆい先輩が寝た後に簡単に練習したんです」

「あ〜ん、もう。起こしてくれればよかったのに〜」

「マルマイン、先制を取って、ころがる攻撃だ」

「ニューラ、みきってください」

猛烈な勢いで転がってくるマルマインの攻撃をニューラはみきってかわします。

「一度、かわしても地獄は続くぜ」

マルマインは向きをかえ、再び、ニューラに向かってきます。

「ニューラ、かげぶんしん!!」

ぎりぎりのところで、なんとか、かわします。しかし、これでは……。

「かわしてるだけじゃ、勝てません。なんとかしないと……」

マルマインは向きをかえ、またもや、ニューラに向かってきます。
281. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:13:05.09 ID:jngqW+4w0
「あずにゃん、あずにゃん」

足元にいたゆい先輩は私の体をよいしょ、よいしょと登って私の耳元にささやくように言います。

「なんですか。ニューラ、かげぶんしんで、もう一度、かわして」

ニューラは再び、残像を作って、マルマインのころがる攻撃をかわします。

「マルマインの横を狙えばいいんだよ」

「はい?」

「だから、転がってくる前後は無理だけど、その横なら、何とかなるんじゃないかな?」

「なるほど」

確かにいい作戦です。

「オラオラ、どうした。かわしてばかりじゃ勝てないぜ」

マルマインはまた、向きをかえ、ニューラに迫ります。だんだんと、勢いも増してきてます。

「ニューラ、こうそくいどうで、よけて。そして、マルマインの横にばくれつパンチ」

寸前のところでかわし、マルマインの横にばくれつパンチを叩き込みます。

「マルマイン!」

ガッシャーン

その衝撃で、壁まで、ふっ飛んでしまいました。
282. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:14:17.36 ID:jngqW+4w0
「マルマイン〜」

マルマインはばくれつパンチの効果で混乱しています。今がチャンスです。

「ニューラ、アイアンテール!」

ニューラは自分のシッポを固くして、マルマインに攻撃を仕掛けます。マルマインは混乱しているため、かわしきれず、見事に命中しました。

「さすが、あずにゃん。同じ、ネコだから、ニューラの使い方がバッチリだね」

「なにを言ってるんですか」

それにしても、ゆい先輩は何者なんでしょうかね。ニビジムの時でも、アドバイスしてくれましたし。もしかしたら、トレーナーとしての才能もあったりして。……なんて、まさかね。

「ニューラ、きりさく攻撃です」

「調子に乗るなよ。マルマイン」

ニューラの鋭いツメが見事にマルマインに命中……したと思いましたが、マルマインをすり抜けてしまいました。
283. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:14:49.79 ID:jngqW+4w0
「そんな、命中したはずなのに」

「かげぶんしんを使えるのはそっちだけじゃないぜ、キュートガール。マルマイン、でんじはだ」

ニューラは油断していたこともあり、まともに受け、マヒ状態になりました。

「さて、トドメだ。マルマイン、ギガインパクト!!」

マヒしていて、動きの悪い状態、かつ、距離も近いため、まともにくらい、上に飛ばされて、そのまま、落下してしまいました。

「ニューラ、戦闘不能。マルマインの勝利。よって、マチスに1ポイント。1対0」

「よく頑張りました、ニューラ」

私はニューラを戻します。
284. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:15:33.72 ID:jngqW+4w0
「では、次鋒戦です」

「これで決めろ、エレブー」

「頑張って下さい、ハッサム」

これで負けたら、終わり。そう思うと、緊張してきますね。

ナデナデ。

さっきから、私に肩車されている、ゆい先輩が私の頭をナデナデしてきました。いつもとは逆なので、変な気分ですね。

「大丈夫だよ、あずにゃん。あずにゃんには私がついてるよ。だから、落ち着いて」

「わ、私は落ち着いてますよ」

「なら、大丈夫だね」

ニコッと笑顔で言ってくる、ゆい先輩。……まったく、たまにこんなことをしてくるんだから、油断ならない先輩です。
285. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:16:04.17 ID:jngqW+4w0
「ハッサム、先制攻撃です。バレットパンチ」

「エレブー、受けて立て、かみなりパンチ」

2匹の拳が激突します。プシューと煙があがりますが、どうやら、互角です。

「ハッサム、距離をとって、シザークロス」

「エレブー、距離をとって、かわらわりだ」

ハッサムのはさむをクロスさせる攻撃とエレブーの拳が再び、激突する。やはり、互角で、ジリジリと力比べを始めます。
286. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:16:58.41 ID:jngqW+4w0
「やるな、ガール。エレブー、距離をとって、十万ボルトだ」

「ハッサム、ここは、いったん引いて……」

「あずにゃん、ここは引いちゃ駄目だよ。一気に攻めなきゃ」

「そ、そうですね。ハッサム、アイアンヘッドで攻めて下さい」

ハッサムは距離をとる、エレブーに近づき、エレブーに頭突きを食らわします。

「エレブ〜」

エレブーは目を回して怯んでいます。今がチャンスです!!

「ハッサム、さっきのお返しです。ギガインパクト!!」

ハッサムの持てる力の全てを集めた突撃がエレブーに直撃し、マチスさんの横を通り越して、壁までふっ飛ばされてしまいました。

「エレブー、戦闘不能。ハッサムの勝利。よって、梓選手に1ポイント。1対1」
287. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:18:30.70 ID:jngqW+4w0
「やるな、ガール」

「よくやったよ、あずにゃん。よしよし」

ナデナデ。

「そんなに撫でないでください。それよりも、ゆい先輩につなげましたよ。頑張って下さいよ」

「任せなさい」

「君がポケモンというのは知ってるよ。ジムリーダーの中でも噂だ。よく分からない、リトルガールにタケシ、カスミが負けたってな」

「噂になってるの?照れちゃうな〜。えへへ〜」

ゆい先輩は顔を赤らめて、照れています。

「さて、じゃあ、ミーの最後のポケモンで相手をしよう。来い、ライチュウ!!」
288. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:19:08.03 ID:jngqW+4w0
「最後に大将戦です」

「では、早速、ゆいちゃん真拳で……」

「させるな、ライチュウ。十万ボルトだ」

ライチュウの繰り出した十万ボルトがゆい先輩に襲い掛かります。

「よけて、ゆい先輩!!」

しかし、よけきれずに、ゆい先輩に直撃しました。

「あぶぶぶぶぶぶ」

「ゆい先輩!!」

「トドメだ。メガトンキック!」

しびれて、動きの鈍っているゆい先輩のおなかににライチュウのメガトンキックが炸裂し、私の横を抜けて、壁まで飛ばされてしました。
289. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:20:03.71 ID:jngqW+4w0
「ゆい先輩!!」

壁まで飛ばされて、地面に倒れてしまった、ゆい先輩に私は駆け寄ります。

「梓選手。バトルポケモンに触れたら、その場で、あなたの負けですよ」

「そんなこと言ってる場合じゃ……」

「それじゃあ、キュートガールの負けでいいのかな?正直残念だよ、そのリトルガールはもう少し強いと思ったんだが、買いかぶり過ぎたかな?」

「……ゆい先輩の実力はこんなものじゃありません!!」

私は、ゆい先輩に駆け寄らなきゃいけないのに、マチスさんのその言葉に腹が立った。

「ゆい先輩はこの程度で負けるポケモンじゃないんです!」

「では、あそこで気絶してるのはなんだい?審判、早く、判定をしてやれよ」

私はここで負けてしまうのでしょうか。負けるのは自分の実力のせいだからにしても、ゆい先輩を馬鹿にされるのは嫌だった。

「あ、はい。ゆい、戦闘ふの……」

「……待って、まだ、終わりじゃないよ……」

その時、ゆい先輩の声が聞こえました。
290. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:20:51.30 ID:jngqW+4w0
私はこのまま、負けちゃうのかな?あずにゃんに自信満々に「任せてよ〜」、って言ったのに、情けないね。でも、本当は、こんな所で負けてる場合じゃないんだよ。本当だったらさ……

『くらえ、ゆいちゃんパンチ』

『やられたわ〜』

『どうだ、ゆいちゃんキック』

『くそ。まいった』

『トドメだよ、ゆいちゃんビーム』

『うわ、降参だよ』

『やった〜、これでポケモンリーグ優勝だよ〜』

『ありがとうございます、ゆい先輩。ゆい先輩のおかげで、優勝することが出来ました』

ナデナデ。

『えへへ〜』

『それで、あの、ゆい先輩に言わなきゃいけないことがあるんです』

『なんだい?なんでも言いなよ』

『……実は前から、ゆい先輩のことが好きでした』

『……あずにゃん。それは私もだよ』

『ゆい先輩』

『あずにゃん』

私とあずにゃんの唇が1つになる。

291. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:22:20.93 ID:jngqW+4w0
ってなるためにも、私は、澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃんっていう(恋の)ライバル達を倒さなきゃ、いけないのに。それにあずにゃんだって心配してるよ。大丈夫だよって、安心させてあげたいのに、体に力が出ないよ。ああ、走馬灯のように昔のことが蘇ってくるよ〜。

『ゆいよ。時として、心というのは時として実力以上の力を引き出すのじゃ』

『少年漫画みたいに?』

『まあ、そうじゃな。例えがあれじゃが……。その力を出すためにも、守らなきゃいけないことがあるのじゃ』

『なにを?』

『決して、諦めないことじゃ。例え、どんなに痛くて、苦しい時でも大切なものを守りたいという気持ち。その気持ちが、時として、更なる力
を出せるんじゃ』

『……言ってて、恥ずかしくない?』

『うるさい』

……そうだ。私はここで倒れちゃいけないんだ。痛い、しびれる、苦しい。それでも、私は立つんだ。あの子の為に。
292. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:23:04.45 ID:jngqW+4w0
「……待って、まだ、終わりじゃないよ……」

その時、ゆい先輩の声が聞こえました。弱弱しくも、生まれた子馬のように立ち上がろうとしています。

「ほほう。まだ、立つのか。ナイスファイトだね、リトルガール。……いや、ゆい。トドメだ、ライチュウ。のしかかりだ」

「ゆい先輩。よけてくださーーーーい!」

バーン。

ゆい先輩のいた所に、ライチュウの技は見事に決まりました。

「そ、そんな」

ベタッと私はひざをついてしまいました。自信満々に任せてって言ったのに。嘘つき。

「これで終わりだな」

「それはどうかな?」
293. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:23:39.21 ID:jngqW+4w0
そんな声とともに、ライチュウの体が少しずつ浮き上がります。

「ゆい先輩……!?」

「なんだと!?」

「これぞ、ゆいちゃん真拳奥義『火事場のゆいぢから』」

ついに、ゆい先輩はライチュウを持ち上げました。

「とりゃー」

ゆい先輩はライチュウを投げ飛ばしました。

「今から、見せてあげるよ。ゆいちゃん真拳の真髄を!」
294. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:24:29.12 ID:jngqW+4w0
「真髄だと!?」

マチスさんはこのバトルで初めて、驚愕の顔になりました。

「……ゆい先輩、大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。今から、あのライチュウを倒すから待っててね」

自信満々の顔で言うゆい先輩。

「……はい。頑張って下さい」

「うん。さて、 ゆいちゃん真拳究極奥義『告白☆パニック』」

「なんですか、その恥ずかしい技の名前は!?」

せっかくのいい場面が台無しです。

「この奥義はいろんな所で告白を行い、ダメージを与えるんだよ」

「まったく、意味が分かりません」

「まあ、任せんしゃい。見てれば分かるよ」

「ライチュウ。サッサと仕留めるんだ、ワイルドボルト」

ライチュウは電気を纏って、突撃してきます。しかし、ゆい先輩はさっきまでとは打って変わって華麗にかわします。

「さて、私の奥義スタート!!」

周りのステージがどこかの学校の屋上に変わります。そこを見るとやっぱり、私とゆい先輩(大)がいます。
295. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:26:11.03 ID:jngqW+4w0
ある夕方の屋上
『なんだい、あずにゃん。部室じゃ話せないことって……』

『ごめんなさい、こんなところに呼び出したりして』

『それは別にいいんだけどね。なにか、悩みとかあるの?部室じゃ話せない内容なのかな?』

『そうですね。悩みといえばそうかもしれません』

『それなら、澪ちゃんとかの方がいいんじゃない?私よりも適任でしょ?』

『あ、いえ。これは唯先輩じゃなきゃいけないんです。聞いてくれますか?』

『いいよー』

『唯先輩は女の子が女の子を好きになるっておかしいと思いますか?』

『はい?あの、いきなりなんなのかな?』

『つまりね、私は唯せんぱ……ううん。平沢唯が好きなんです。友達としてじゃなくて、恋人として』

『は、はい?冗談だよね?冗談に決まってるよね。もう、やだな〜、あずにゃんたら、ハハハ〜』
『冗談に見えますか?』

『……本気?』

『はい』

『私でいいの?澪ちゃんとかじゃなくて』

『唯先輩じゃなきゃ駄目なんです』

『……いいの?私、本気にしちゃうよ。取り消すなら、今のうちだよ?』

『何度も、言わせないで下さい。私は唯先輩が好きなんです』

『私も、あずにゃんのことが好きだよ』

『唯先輩』

『あずにゃん』

夕日をバックに二人はお互いの体温を確かめるように抱き合った。

296. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:27:11.61 ID:jngqW+4w0
「ライチュウーーーーーーーーーーーーー」

ライチュウの体がビリビリと電気を喰らいながら、真っ赤に熱を持ち始めました。今までの、口に出すのも恥ずかしいですけど、『アツアツ☆パラダイス 』や『ゆいちゃん☆ドキドキ☆スゴロク』を合わせてるような感じですね。さすが、究極奥義ですね。……なんて、冷静に考えてる場合じゃありません。

「なんですか、ゆい先輩。今の映像は」

「今の映像?ただの告白シーンだけど?」

「そうじゃなくて、配役が……」

「あ、逆の方がよかった?あずにゃんたら〜。先に言ってくれればいいのに〜」

「そうじゃなくて…」

「それじゃ、次に行くよ〜」

「話を聞いてくださーい」
297. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:28:34.25 ID:jngqW+4w0
ある、枯れないで1年中咲いている桜の下で。

『どうしたんですか、唯先輩。こんな所で』

唯先輩は桜の木に手を付いて、上を見上げていた。

『桜の木にお願い事をしてたんだよ』

唯先輩は私が問いかけると、桜の木に寄りかかりながら言いました。たしか、この桜の木には願い事がかなう伝説があるって、噂があるらしい
ですね。

『それで、お話って……』

私の言葉を待たずに、唯先輩は言った。

『今日、あずにゃんを呼んだのはね、大事な話があるからなの』

『それは聞きました。そのお話って……』

『………私、あずにゃんが好きなんだ。友達としてじゃなくて』

唯先輩はその瞳に涙を浮かべながら、頬を真っ赤にして言いました。それはそうでしょうね。私は女で、唯先輩も女、つまりは同姓ですから。もし、失敗したとしたら、同性愛者として、自分の好きな人に嫌われる可能性もあるんですから。

『……嫌だったかな?』

唯先輩は不安そうに私を見てくる。今にも泣き出しそうだ。いつもの唯先輩とは大違いだ。きっと、そんな顔にしてしまったのは私のせいなんだろう。だから、私は言った。

『私も好きですよ』

私は桜の木に寄りかかる、唯先輩に近寄った。

『だから、いつもみたいに笑って下さい。私は唯先輩の笑顔が好きなんです』

唯先輩はちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔で言った。

『えへへ〜、ありがとう、あずにゃん』

『そういえば、桜の木に何をお願いしたんですか?』

『勇気を下さいって、お願いしたんだよ。本当はうまくいきますようにって、お願いしたかったんだけど、それはずるいことだと思ったんだ。……それから、あずにゃん。一緒に願おう』

『何をです?』

『ずっと一緒に居られますようにって』

『……そうですね』

それは願わなくても、大丈夫ですけどね。……それでも、桜に願っておくのも悪くはないでしょう。そう思いながら、私は大切な人と願いました。
298. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:29:22.33 ID:jngqW+4w0
「ライチュウーーーーーーーーーーーーーー」

ライチュウの体から、大量の電流が流れ、ライチュウ自体はでんきタイプですから、こうかはいまひとつみたいですがそれでも十分なダメージを受けてるようです。それだけでなく、まるで、火あぶりになってるように、体中が赤く、プシューと湯気を立てているようです。こちらは電流よりもダメージを与えていて、ライチュウはたまらずに座り込んでいます。もっとも、プシューと湯気を立てているのはライチュウだけでなく、私もですが。

「あ、あ、あ、あ、あのゆい先輩。今の映像は」

「今の映像?もっと、見たいの?」

「ち、ち、違います。だから、唯先輩と私のシーンは……」

「あれはフィクションだよ。それとも、実際にしたいの?私はいつでも、歓迎だよ〜」

「違います!!それよりも、ライチュウにトドメを」

「おっと、そうだった」
299. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/06/06(月) 20:30:04.16 ID:jngqW+4w0
ゆい先輩は右手に炎を、左手に電気を発生させ、左手の電気を右手にそえます。そして、炎と電気がゆい先輩の右手に集まり、炎のなかにビリビリと電気が流れます。

「ゆいちゃん真拳究極奥義『ゆいちゃん☆ストレート』」

命名センスは悪いですけど、そのストレートは苦しんでるライチュウに決まり、さっきのお返しとばかりにふっ飛ばされました。

「ライチュウ〜」

目をグルグル回しながら、立ち上がりますが、そのまま、気絶してしまいました。

「ライチュウ戦闘不能。ゆいの勝利。よって、梓選手に1ポイント。1対2。よって、梓選手の勝利です」


最終更新:2011年08月03日 16:52