- 700. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:36:10.65 ID:qgNS86Si0
- 前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム ヘルガー イーブイ ニューラ ガルーラ ミニリュウ ポリゴン2
澪 ゼニガメ エビワラー デンリュウ
律 リザードン サワムラー ニョロボン レアコイル
ムギ フシギバナ カポエラー ギャラドス
純 うい
セキチクシティ編? 「VSアンズ」 以下、投下
- 701. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:36:52.79 ID:qgNS86Si0
- カントー地方のある施設にて
『申し訳ありません!』
和達、研究班はボスである、サカキに対して、土下座をしている。理由は当然、タマムシシティでのミュウツープロトタイプの事件のことである。あの事件のおかけで、タマムシの実験場が警察にばれたうえに、多くの時間を費やしてきた、ミュウツープロトタイプも逃亡し、多くの損害が出た。謝ってすむ問題ではないが、何もしないよりましなのだろう。
『……』
サカキは必死に謝る研究員達を尻目にワインを飲む。そして、一息入れて、
『……もう、いい。過ぎたことだ』
そう言った。曽我部恵は和達に近付いて言った。
『サカキ様もああ言ってるわ。顔を上げて、席に着きなさい。今日は、その失敗についての集まりじゃないのよ』
『……はい』
曽我部恵の言うとおり、捕獲班の部長さわ子はもちろん、マコトも含めた幹部達も集まっている。失敗についてなら、そこまでの人数は要らないだろう。
『ククク、面白いな〜。この漫画〜』
- 702. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:37:51.14 ID:qgNS86Si0
- この緊張感のある中で、場違いな声で笑っている、フードの着いたローブを着ている女が漫画を見て笑っている。
『……で、今日、集まったのはどうしてですか?』
ローブの女を無視して、さわ子は聞いた。
『……いよいよ、あの計画『カントー征服計画』を実行する時だ』
サカキの発言にさらに場に緊張感が走る。
『私達はミュウツープロトタイプは失ってしまったけど、伝説の3匹は我々の手の中にあるわ』
曽我部はそれに続く。これはロケット団において、前から計画されていたことだが、なかなか実行に移されることはなかった。それがようやく
実行に移されるわけだから、場に緊張感が走る。
『ねえ、恵ちゃん。お茶、頂戴〜』
その中で、またしても、空気の読めないような声で、ローブの女が曽我部に言う。
『……』
曽我部は無言でローブの女にお茶を汲む。さすがにさわ子も不快に思ったのか、口を開く。
『……その女は何なんです?』
曽我部に問いかける。
- 703. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:38:25.37 ID:qgNS86Si0
- 『何なんです、と言われても……』
『そういえば、まだ、言ってなかったね。私のことはAYUって、呼んでね。後、私のことは気にしないでいいよ』
曽我部が答えずらそうにすると、ローブの女、……AYUが答えた。そして、お茶を飲みながら、漫画を読み始めた。
『さて、その計画にあたって、まずは……』
曽我部はAYUを気にしないで、話を進めようとした。しかし、
『……ちょっと、待てよ』
それをマコトが遮った。
- 704. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:39:25.73 ID:qgNS86Si0
- 『なにかしら?』
『そいつは邪魔だろ。何で追い出さない』
『そうですよ!』
『そいつの言うとおりだ!』
研究班の面々もその後に続く。前回の時に何もしなかったうえに、お咎めもなしのAYUへの恨みというか、不満もあるのだろう。
『別に邪魔はしないから、ほっといてくれてもいいのに…』
『存在が邪魔なんだよ。だいたい、何がAYUだ、変な名……』
前しやがって、と言おうとしたが、その言葉は最後まで言えなかった。マコトの喉にはAYUの手があった。
『……』
マコトの背中には冷や汗が流れる。マコトはたくさんの戦いをしてきて、修羅場を潜り抜けてきたが、今ほど命の危険を感じることはなかった。
『よかったね〜。君は強いから生かしてあげたけど、普通だったら殺してたよ。あ、でも、今度、この名前を馬鹿にしたら、殺すからね♪』
『……』
『返事は?』
『は、はい』
『よろしい』
AYUは再び、席について漫画を読み始めた。この女に、この場にいるサカキと曽我部以外は戦慄を覚えていた。そんな中で、曽我部は続けた。
『その計画にあたって、まずはシオンタウンを攻め落としたいと思います』
- 705. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:40:01.04 ID:qgNS86Si0
- 会議終了後
『少しは遠慮して下さい』
『ごめん、ごめん。あ、ケーキはあるかな?』
『ちょっと、待って下さい。……はい、どうぞ』
『ありがとう。……モグモグ、ゴクン。美味しいケーキだね』
『ありがとうございます』
『……君の計画もそろそろだね』
『……はい。これもAYU様のおかげです』
『様付けはよしてよ。私は君の計画が面白いと思ったから、協力しているだけだしね。おかわりある?』
『はい。待っていて下さい』
- 706. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:40:44.96 ID:qgNS86Si0
- 今回の手持ちメンバー ゆい ハッサム ヘルガー ポリゴン2 イーブイ ニューラ
セキチクシティ
私達はサファリゾーンで有名な、セキチクシティに到着います。サファリゾーンというのは、お金を払って、あらかじめ指定されたボールだけで、ポケモンを捕まえることの出来る施設です。サファリゾーンは有名ですし、全国からもここに観光に来るそうです。私も行ってみたいとは思いますが……。
「まずはジムリーダーに挑戦です!!」
今、私はセキチクジムの前にいます。久々のジム戦です。気合いも入ります。
「ペロペロ。……アイス、おいしい〜」
私が気合いを入れている横で、のんきにアイスを食べているゆい先輩。う〜ん、じつにかわい……いけない、いけない。最近の私はゆい先輩のちょっとした動作に見とれている気がします。
- 707. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:41:54.55 ID:qgNS86Si0
- 「早く、アイスを食べて下さい」
「慌てない、慌てない。損気は短気だよ」
「それを言うなら、短気は損気です」
まあ、ゆい先輩は出番があっても、最後ですから、なんとかなるでしょう。私はドアに手をかける。
「失礼しまーす」
私はジムに足を踏み入れる。そこは昔の屋敷みたいな雰囲気のあるところで、例えるなら、テレビの時代劇であるようなところですね。
「どなたですか?」
中から、着物を着た女の人が出てきました。
「あのー、ジム戦に挑戦したいんですけど……」
「あー、分かりました。ではこちらでお待ち下さい」
私達は畳のある部屋に案内されました。
「なんか、雰囲気が違うね」
「そうですね」
しばらくすると、さっきの女の人と忍者みたいな格好をした、男の人がやってきました。
「お待たせして申し訳ない。私の名前はキョウ。こっちは娘のアンズだ」
「よろしくお願いします」
ペコリ、と頭を下げてきます。
「私の名前は中野梓です。こちらこそよろしくお願いします」
私もペコリ、と頭を下げます。
「私はゆいだよ〜」
ゆい先輩もペコリ、と頭を下げます。
- 708. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:42:43.73 ID:qgNS86Si0
- 「ふむ、中野君とゆい君か。君達の噂は聞いているよ」
「噂ですか」
「うむ。幼女のような奇抜な技を使用するポケモンを使い、ジムリーダー達を倒してきたツインテールの髪型をした、トレーナーがいるとな」
まさしく、私達のことでしょう。
「では、早速、戦おう……と言いたいが、少しいいかな?」
「なんでしょう」
「本来なら、私が戦うのだが、今回は娘のアンズと戦ってもらいたんだ。もちろん、勝てば、バッチを渡すが」
「はあ。どうしてですか?」
「うむ。いずれは娘がここのジムリーダーになるから、経験を積ませておきたいので、よければ、協力していただきたい。もちろん嫌なら、や
めにするが」
「あ、いえ。問題ありません。頑張りましょうね、アンズさん」
「はい」
- 709. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:46:03.63 ID:qgNS86Si0
- 私達はバトルフィールドに案内されました。バトルフィールドは変哲もない普通のものです。
「それで、ルールは3対3。より、多く勝った方が勝ち。掛け金は1万円。以上だが問題は?」
「問題ありません」
「それでは、両者、準備はいいですか」
審判が宣言します。
「ええ」
「はい」
「それでは……」
「「バトルスタート!!」」
「出てきて、モルフォン」
「出てきて下さい、ニューラ」
- 710. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:47:33.57 ID:qgNS86Si0
- 「モルフォン、まずはぎんいろのかぜで攻撃!!」
モルフォンは自分の羽をはばたかせて、風にリンプンを乗せて、攻撃してきます。
「ニューラ!」
ニューラはその攻撃を喰らい、倒れてしまいました。
「え、嘘。これで終わりですか」
アンズさんは拍子抜けしたように言います。しかし、審判は何も宣言しません。
「ねえ、審判さん。もう、ノックアウトですよね。私の勝ちですよね」
アンズさんが審判に嬉しそうに言います。
「まだです」
審判はアンズさんの意見を却下します。
「えー。仕方がないですね。ではもう少し痛めつけましょう」
「……アンズさん」
「はい?」
「戦いには集中していた方がいいですよ。ニューラ、だましうち」
アンズさんの気の緩みが通じているのか、モルフォンもゆったりと飛んでいたところに、今まで、気絶していたニューラの突然の反撃をよけきれず、まともに喰らいます。
「なっ!卑怯ですよ」
「戦いに集中してなかったのが悪いんです」
「コラー、アンズ。相手の息の根を止めるまで、油断するなと教えただろ」
「そうでした。でも、タイプでは、私の方が有利。モルフォン、ぎんいろのかぜで攻撃!!」
「今度はさせません。先手を取って、こおりのつぶてで先制攻撃です」
ニューラは再び、羽をはばたかせようとするモルフォンに氷のかたまりをぶつけます。
「ニューラ」
ニューラはかたまりをぶつけてひるんだ、一瞬の隙をついて、鋭いツメを使って、モルフォンの羽をきりさく攻撃で切り裂きます。
「モルフォ……」
その攻撃で弱って、モルフォンは落ちてきます。そこに向かって、ニューラは接近して、その鋭いツメを硬くして、モルフォンに迫ります。
「ニューラ、トドメです。メタルクロー!!」
ニューラのツメがモルフォンの羽ごと、切り裂き、そのまま、ノックアウトとなりました。
「モルフォン、戦闘不能。ニューラの勝ち。梓選手に1ポイント、1対0」
- 711. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:48:24.55 ID:qgNS86Si0
- 「そんな〜、勝ったと思ったのに……」
「それにしても、あずにゃんや。今の技はいつの間に覚えたんだい」
「前に、エリカさんと戦った時に、こな攻撃で苦しめられたので、私もそういった相手を罠にかけるような攻撃も出来るようにと思って。本当はあそこで、油断して、追撃をしてきたところを反撃するための技なんですけどね」
「なるほど、なるほど」
「……意味分かってないですよね」
「うん」
「正直で結構です」
「それにしても、あの人、今までよりも弱くない?」
「ちょっと、ゆい先輩」
本人の前で、そんなこと言わなくても。
「いいんですよ、本当のことですし」
やっぱり、聞こえてましたか。
「今日、初めて戦うんですから慣れてませんし」
なるほど、それなら、仕方がありません。それにしても、そんな人をぶつけてくるなんて、甘く見られたものです。そう思って、アンズさんを見ると、
「……くすっ」
一瞬、笑った気がしました。その笑いはしてやったり、という感じがしました。なんとなく、不気味な気がします。
「では、2回戦です」
「出てきて下さい、ポリゴン2」
「出てきて、アリアドス」
- 712. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:49:22.15 ID:qgNS86Si0
- 「ポリゴン2、先制をとって、サイケこうせんです」
ポリゴン2は不思議な光をアリアドスに発射します。
「アリアドス、こうそくいどうで避けて」
アリアドスは素早い移動で、サイケこうせんをかわす。
「いいですね、アリアドス。そのまま、こうそくいどうで逃げ続けてください」
アリアドスはバトルフィールド中を縦横無尽に移動し始めます。ポリゴン2はサイケこうせんをアリアドスにむかって、発射し続けますが、縦横無尽に動き回る、アリアドスにはまったく、命中しません。
「でも、動き回ってるだけじゃ、勝てませんよ」
「そうですよねー」
軽く言う、アンズさん。この人はなんだか、ハルカさんと同じような、えげつなさを感じるのは気のせいでしょうか。
「ポリゴン2、トライアタックです」
ポリゴン2は電気、炎、氷の三つの光線を、アリアドスに繰り出します。
「ひゃー、こわいです」
アリアドスはさっきの移動よりうスピードをあげ、その攻撃をかわす。
「今度はこっちの番です、どくづき!」
アリアドスはその速度を保ったまま、毒の手で、ポリゴン2に迫ります。
「ポリゴン2、まもるです」
ポリゴン2はバリアみたいなものを張り、アリアドスの攻撃を防ぎます。しかし、アリアドスはさらに向きをかえて、ポリゴン2にもう一度迫ります。
「ポリゴン2、かげぶんしんです」
アリアドスの攻撃はポリゴン2の残像を通過します。
「ポリゴン2、反撃です。サイケこうせん」
ポリゴン2は再び、不思議な光をアリアドスに発射します。しかし、勢いよく、縦横無尽にまわりを走り回る、アリアドスには命中しません。
- 713. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:50:20.12 ID:qgNS86Si0
- 「……そろそろかな」
「?」
「アリアドス、くものすよ」
その声とともに、ポリゴン2はくもの糸に絡め捕らえられました。アリアドスは糸を発射していないのに。そして、周りは、くもの糸だらけとなりました。
「さっきまで、縦横無尽に走り回ってたのは、くもの糸を張り巡らせるためですか」
「そうよ、面白いでしょ」
「やっぱり、前回の戦いのは演技ですか、油断させるための」
「そうよ。もっとも、あなたは油断しなかったけどね。アリアドス、どくどく!」
アリアドスは動けないポリゴン2に噛み付き、毒を注入します。
「ポリゴン2、アリアドスと糸を振り払って下さい」
ポリゴン2は絡みつく糸と、アリアドスを体を回転させ、振り払います。振り払われた、アリアドスは再び、こうそくいどうで、縦横無尽にフィールドを駆け巡ります。
「二度と、同じ戦術は通じませんよ」
「二度も、同じ戦術はしないよ」
ポリゴン2はサイケこうせんを当てようとしますが、アリアドスは逃げるばかりで、当たりません。そして、突然、
ガクッ
と、ポリゴン2がよろめいて倒れました。
「どくどくという技はだんだん、毒が体に回り、ダメージが増えていくのよ」
「ということは、さっきのは……」
「そうよ、ただの時間つぶし。トドメよ、アリアドス。どくづき!」
アリアドスはその腕を、ポリゴン2に突き刺し、ポリゴン2は動けなくなりました。
「ポリゴン2、戦闘不能。アリアドスの勝ち。アンズに1ポイント、1対1」
- 714. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:50:52.43 ID:qgNS86Si0
- 「やりますね」
「いえいえ、あなたも強いですよ」
「褒められてる気がしませんけどね、緒戦を見ると」
「そんなことありませんよ。……それよりも、最終戦はあの子でしょ?」
アンズさんはゆい先輩を指差します。
「ほえ、私!?」
「ぜひ、数々のジムリーダーを倒してきたその力を見せてくださいな」
「うえー。私にそんな力なんてないよ」
「またまた、謙遜を」
- 715. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:51:30.19 ID:qgNS86Si0
- 「では、最終戦です」
「さあ、頑張って下さい、ゆい先輩」
「やっぱり、戦うんだね」
「一応、相手も指名してますし、私のメンバーで一番の戦力じゃないですか」
「あずにゃんに信頼されてるなら、私は頑張るしかないね!」
「出てきて、クロバット」
クロバット。イワヤマトンネルでも戦った、因縁のあるポケモンですね。
「クロバット、つばさでうつ攻撃よ」
クロバットは大きく翼を広げて、ゆい先輩に体当たりを仕掛けてきます。
「あずにゃんや。私もたくさんの戦いを通じて、だいぶ、パワーアップしたよ。その成果を今見せよう」
たしかに、初期よりもだいぶパワーアップしてます。当たり前ですけど。
- 716. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:53:33.65 ID:qgNS86Si0
- 「いくよ、トリャー」
ゆい先輩は華麗(?)にクロバットの攻撃をかわします。
「クロバット、旋回して、もう一度、攻撃よ」
クロバットはもう一度、大きく翼を広げて、ゆい先輩に体当たりを仕掛けてきます。
「フッ。何度でも来なさい、トリャー」
ゆい先輩は再び、華麗(?)にクロバットの攻撃をかわします。
「くっ。ならば、一旦離れて、連続してエアスラッシュよ」
クロバットはくうきのやいばをゆい先輩にむかって、何発も発射します。
「その程度じゃ、あたらないよ。トリャー、よっ、ほいさっと」
ゆい先輩はリズムよく、くうきのやいばをかわしていきます。
「ふー、どうだい、あずにゃん。だいぶ、パワーアップしたでしょ?」
「してますけど、よけてるだけじゃ、勝てませんよ、ゆい先輩。ここはパワーアップした成果を見せて、攻撃して下さい」
「さすがに、それは遠慮したいな〜。というか、たまにはあずにゃんが戦いなよ」
「はい?私はトレーナーですよ」
「たまには立場を逆にしない?」
「何を言い出すんですか」
「ふう〜、やれやれだね」
「なんで、私が我侭言ってるみたいにされなきゃいけないんです」
「と、まあ、冗談はこれくらいにして、早速、戦うかな」
「冗談だったんですか」
「私があずにゃんを危険な目にあわせるわけないじゃん」
- 717. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:53:59.65 ID:qgNS86Si0
- ゆい先輩はそう言って、こちらを向く姿を見て、
ドキドキ
と私の胸が高鳴りました。私はいつもはのんきで可愛らしい先輩も大好きですけど、たまに見せる、かっこいい表情をする先輩も大好きなんです。このバトルが終わったら、たくさん、いちゃいちゃ……
- 718. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:54:32.87 ID:qgNS86Si0
- 「……したいんですけど……ボソボソ」
「さっきらから、何をボソボソ呟いてるんですか」
「んー、心のナレーション」
「変なこと言ってないで、サッサと倒してください」
「ほーい」
「さっきから、舐めないでもらいたいね。クロバット、もう一度、つばさでうつ攻撃!」
「ひょいっと」
おおきな翼をゆい先輩にぶつけるべく、体当たりを仕掛けてきますが、ゆい先輩はなんなくかわします。
「今回はあずにゃんに頑張ってもらおう。ゆいちゃん真拳丸秘㊙(マルヒ)奥義『アズニャン・ワールド』」
- 719. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:55:08.28 ID:qgNS86Si0
- ゆい先輩が宣言すると、周りがどこかの野原みたいなところになりました。
「このフィールドは一体なんなんですか、ゆい先輩」
「まあ、見てれば分かるよ」
「これが数々のジムリーダーを倒してきた技……。だが、関係ない。クロバット、かみつく攻撃!」
クロバットが大きな口を開け、ゆい先輩に迫ってきます。
「ひゃー」
ゆい先輩は横にダイブして、かわします。
「くそ。ちょこまかと」
『……なです』
- 720. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:56:12.90 ID:qgNS86Si0
- 突然、遠くの方から、声みたいのが聞こえると、同時に、
ドドドドドドドドドドドドドドドドド
と、いう足音も聞こえてきました。その音を見ると、ゆい先輩と同じくらいの大きさをした、ツインテールのネコミミとネコのシッポをつけた女の子の集団がやってきました。……どこかで見た人だと思いますが、きっと、気のせいでしょう。むしろ、気のせいということにして下さい。その女の子(?)達は口々に
『ゆい先輩をいじめるなです!』
『生意気なこうもりです』
『やってやるです』
と言いながら、クロバットに攻撃を仕掛けています。
「ギャーーーー」
その女の子達はクロバットの翼に噛み付いたり、目にからしをつけたりと、やりたい放題です。
『はやく、ゆい先輩に謝るです』
「クロバット(ごめんなさい)」
『日本語でしゃべりやがれです』
バーン
と、クロバットにパンチをします。理不尽な理由で。
『誰か、あれ持ってくるです』
『分かりました』
そう言って、女の子達が持ってきたのはジュージューと厚くなった鉄板です。……ま、まさか、伝説の……。
『さあ、これに乗って、謝るです』
『土下座です。30秒で勘弁してやるです』
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー」
今、こんがりと焦げたにおいがしてきます。
- 721. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:57:10.89 ID:qgNS86Si0
- 「ふ〜、助かったよ」
「ゆい先輩。あの方々は……」
「あれは野生のあずにゃん達だよ」
あずにゃん達ですか。私と同じあだ名のような気もしますが、きっと、別人でしょう。
『ゆい先輩、やりました』
「ご苦労さん。よくやったね」
ナデナデ
『えへ』
『あ、あいつ、抜け駆けしたです』
『次はあいつをフルボッコです』
『やってやるです』
「まあまあ、慌てないで。ちゃんと、皆もなでてあげるから、一列に並んで」
ゆい先輩の言葉で、一列に並ぶ、『あずにゃん』達。なんて、ゆい先輩に従順なんでしょう。
「ついでに、たい焼きもあげるね」
『わ〜い』
皆、嬉しそうに喜んでいます。
『モグモグ、ゴックン。……にゃふ♪』
たい焼きを食べた、『あずにゃん』は眠たそうにし、お昼寝を始めました。
『zzz』
- 722. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:58:00.01 ID:qgNS86Si0
- 「クロバット、昼寝をしている今のうちに、攻撃です。クロスポイズン」
「クロバット」
焼き土下座を喰らって、弱りきってるクロバットはなんとか羽ばたいて、どくのきばでゆい先輩に噛み付くために、接近してきます。
「学習しないなー」
ゆい先輩は大げさに横にダイブして、こうげきをかわし、
「たーすーけーてー」
と、棒読みで叫びました。……一体、何の意味があるのかな、と思いましたが、周りの『あずにゃん』達の耳がピクピクっと、なっています。
まさか、さっきみたいに、『あずにゃん』達にフルボッコにしてもらうつもりなんじゃ……。
「私、このままじゃ、汚されちゃうよー」
ものすごく、棒読みで言う、ゆい先輩。でも、さすがに、そんな棒読みじゃ、引っ掛かりませんよね。
- 723. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:59:04.83 ID:qgNS86Si0
- 『ゆい先輩をいじめるなです!』
『また、あのこうもりですか』
『反省の色が見られませんね』
『もう一度、お仕置きです』
『やってやるです』
引っ掛かってるーーーーー。なんて、単純なんでしょうか。
「クローーーーーーー」
目にわさびを塗ったり、羽に小さい穴を開けたりと、やりたい放題です。
『サッサと、ゆい先輩に謝ってくるです』
ドン、と蹴られ、ゆい先輩の前に出される、クロバット。仕方がないので、前に行こうとする、クロバットに、
『ゆい先輩に近づくなです』
と、今度は違う、『あずにゃん』に殴られました。クロバットは仕方がないので、その場で謝ろうとしますが、
『そんな場所で謝らないで、ちゃんと、ゆい先輩の前で、謝るんです』
と、さっきの『あずにゃん』に蹴られます。以下、ループ。なんという、理不尽な攻撃。
- 724. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 07:59:52.07 ID:qgNS86Si0
- 「クロ……バット」
体力も残りわずかな状態で、なんとか、立ち上がるクロバット。
「はいはい、並んでー」
ゆい先輩は『あずにゃん』達を3列に整列させます。
「それじゃあ、頑張ってね。レッツ・ゴー」
ゆい先輩の号令で、クロバットに『あずにゃん』達が突っ込んでいきます。
「……クロ……バッ……ト」
クロバットは『あずにゃん』達に跳ね飛ばされました。クロバットは回転しながら、落下してきます。その落下地点に『あずにゃん』達が再び、突っ込んできます。
バーン
再び、クロバットは上に跳ね飛ばされます。クロバットはさっきよりも回転を強めて、落下してきます。また、その落下地点に『あずにゃん』達が、突っ込んできます。そして、上に跳ね飛ばされます。そんなやりとりが5回ほど、続き、最後はクロバットがものすごい勢いで回転して、地面に突き刺さりました。
「これぞ、『あずにゃん・ミキサー』だね」
そんな声とともに景色は最初に対戦していた、フィールドに戻りました。
「クロバット、戦闘不能。ゆいの勝ち。梓選手に1ポイント、2対1。よって、梓選手の勝利です」
- 725. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 08:01:19.09 ID:qgNS86Si0
- 「いやー、素晴らしかった」
パチパチと、拍手をしながら、キョウさんがこちらにやってきます。
「思えば、最初から、演技だったわけですか」
「悪かったな。最初に油断させれば、その嬢ちゃんも動揺して勝てるかと思ったんだが、そうもいかなかったな。だが、全てが演技なわけじゃ
ない。実際、アンズはいずれ、セキチクジムのリーダーをやってもらう」
同じくらいの年齢で、ジムリーダーなんて。
「それはすごいですね。でも、どうして、そんなことをしたんですか?」
「実はジムリーダーの間で、誰が君達に黒星をつけるか、賭けをしてたんだ。すまないね」
一体、何をやってるんでしょうね、ジムリーダーさん達。まあ、気持ちは分かりますが。
「さて、これがピンクバッチだ。受け取ってくれ」
「ありがとうございます」
これで、ようやく、5個目のバッチになりました。
「頑張ってね、梓ちゃん」
アンズさんが話しかけてきます
「ありがとうございます。出来れば、今度はちゃんと戦いたいですね」
「きっついね〜。私はちゃんと戦ってたよ」
「ふふふ、では、ジムリーダーになるために頑張って下さい」
私はアンズさんと握手をかわします。
- 726. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 08:02:07.93 ID:qgNS86Si0
- 「さて、こんなものがあるのは知ってるかな?」
キョウさんがチラシを私に手渡します。そのチラシには『サファリゾーン限定企画・ひみつのコハクからよみがえったプテラをゲットせよ 先着1名のみ』と書かれていました。
「面白そうな企画ですね」
「よかったら、参加してみてはどうかな」
行われるのは明日みたいですし、ちょうど、明日には行こうと思ってたのでちょうどいいですね。
「ありがとうございます。ぜひ参加してみたいと思います」
「うむ。頑張ってな」
「はい」
私は2人に見送られ、セキチクジムを出ようとした時、
バーン、ドガシャーン
と、いう大きな音が外から聞こえました。私達はキョウさんと一緒に外に出ました。外では沢山の人達が走ってきています。
「どうしたんだ!」
キョウさんは走っている1人を捕まえて聞きました。
「サファリゾーンで、ポケモンが脱走したんだ。ここも逃げないとやばいぞ」
その人はそう言って、また、走り出しました。
「一体、何が起こってるんだ……」
「とにかく、行ってみましょう、父上」
「そうだな。中野さんはここから逃げた方がいい」
私はほんの少し考えて、
「いえ。私も行きます」
「だが、危険だぞ」
「かまいません。早く、行ってみましょう」
私はそう言って、走ってきている人とは逆の方、サファリゾーンの方に向かいました。
- 727. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/01(金) 08:02:41.37 ID:qgNS86Si0
- セキチクシティ編? 「VSアンズ」終了
- 730. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:32:42.46 ID:hRW4rYWH0
- 前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム ヘルガー イーブイ ニューラ ガルーラ ミニリュウ ポリゴン2
澪 ゼニガメ エビワラー デンリュウ
律 リザードン サワムラー ニョロボン レアコイル
ムギ フシギバナ カポエラー ギャラドス
純 うい
セキチクシティ編? 「VSプテラ」 以下、投下
- 731. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:33:15.19 ID:hRW4rYWH0
- 梓達が、セキチクジムに挑戦し始めた頃
『……可愛そうなポケモン達』
AYUはサファリゾーンで仲よさそうな家族がポケモンをゲットしているのを見て、呟く。AYUがここに来たのは、『サファリゾーン限定企画・ひみつのコハクからよみがえったプテラをゲットせよ 先着1名のみ 』のチラシを見たからだ。この企画は、サファリゾーンのどこかに隠された宝を最初に見つけた人にプテラを渡すといったものだ。といっても、プテラがほしくて来たわけではない。
『……ここかな?』
AYUは羽を休めて寝ている恐竜みたいなポケモン、プテラの入ってる檻の前に辿り着いた。AYUがここに来たのは、このプテラを救うためだ。
『こんな狭い檻に入れられて、可愛そうに……』
AYUはこのサファリゾーンというところが嫌いだ。例えば、人間の女の人を裸にして、好きなの持っていっていいよって、なったら、きっと、いろいろなところから文句が来て、中止になるだろう。逆もまた然りだ。それと同じことを、ポケモンには平気でやっている。それがAYUは嫌だった。このプテラもそう。ずっと寝ていたのに、急に起こして、見世物のように使う。
『さあ、楽しいショーの始まりだよ』
AYUはプテラの檻に手をかざした。
- 732. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:33:58.31 ID:hRW4rYWH0
- セキチクシティ
今回の手持ちメンバー ゆい ハッサム ヘルガー ポリゴン2 イーブイ ニューラ
こんにちは、中野梓です。私はアンズさんとキョウさんと別れて、町の様子を探索してます。今、私は物陰に隠れていますが、そこから、通りを見てみると、ニドラン♂とニドラン♀の群れが闊歩しています。
「たくさんいますね。ざっと、数えても、それぞれ、20匹くらいはいますね」
「そうだね」
ニドラン♂と♀達は通りにある店の食べ物を食べたりしながら、歩き回っています。
「どうする、あずにゃん」
「まずはポケモンセンターに行きたいですよね」
私の手持ちの2匹(ゆい先輩は除いて)ニューラはまだ無事としても、ポリゴン2だけでも、回復させたいですからね。それだけじゃなくて、逃げ遅れた人達もいるかもしれません。
- 733. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:34:29.38 ID:hRW4rYWH0
- 「でもでも、この群れを抜けるのは大変だよ」
「それは分かってます」
この通りを抜けた方がポケモンセンターに近いのですが、ここで、二ドラン達との勝負は避けておくべきでしょう。
「それにしても、何でこんなことになったんでしょう」
「さあ?でも、1つだけ分かることがあるよ」
「何ですか?」
「サファリゾーンでのデートが無くなっちゃった。……シュン」
悲しそうに言う、ゆい先輩。
「今はそんなこと言ってる場合ですか。……また、今度行きましょう。この事件を終わらせて」
「……うん、そうだね」
なんとなく、元気を取り戻したようです。ゆい先輩の元気がないと私のリズムも狂ってしまいますからね。
「そうと決まったら、早速、ポケモンセンターに行こう」
「はい!」
最終更新:2011年08月03日 17:10