734. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:35:07.64 ID:hRW4rYWH0
私達は裏通りから、ポケモンセンターに行くことにしたんですが……。

「こっちにも、ポケモンの集団がいるね」

「ええ」

こっちの道には、サイホーンの群れがいます。やはり、強行突破しかありませんか。

「……」

「どうしたんですか、ゆい先輩」

「……なんかね、さっきの二ドラン達もそうだったけど、あのサイホーン達もね、怒ってるの」

「怒ってる?」

「うん。これは人間さん達への復讐だって」

「復讐?」

「そう。自分達を狭いところに閉じ込めて売り物にしたことに対する復讐だって」

ゆい先輩の言うとおりだとしたら、それは悲しいですね。たしかに、そういう見方もできるかもしれませんが、ポケモンと人間の新しい出会いの場でもあるのに……。
735. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:36:02.36 ID:hRW4rYWH0
「……ゆい先輩」

「な〜に?」

「説得できませんか?」

「どうして?」

「だって、このままじゃ、悲しいですし、満足に戦えませんよ」

「それはそうだけと……」

歯切れが悪いゆい先輩。

「どうしたんですか?」

「あのね、今、私達……囲まれてるよ」

「え!?」

周りを見ると、サイホーンだけでなく、ニドランの群れまでいます。

「いつの間に……」

「あずにゃんが考え事してた時かな?」

「気づいてたなら、教えてくださいよ」

「あずにゃんが考え事してるのは邪魔できないよ。こうみえても、トレーナーに従順なポケモンだからね。フンス」

「いやいや、ちゃんと教えて下さいよ。だいたい、今、無茶苦茶ピンチですよ」

周りを見ると、鼻息を荒くして、サイホーン達が私達に迫ろうとしています。
736. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:37:15.18 ID:hRW4rYWH0
「大丈夫!あずにゃんは私が命に代えても、守ってみせるよ」

キリッと言うゆい先輩。……そんな顔は卑怯ですよ。

「と、とにかく、この場を突破しましょう。来てください、ヘルガー」

私はヘルガーを出します。私はゆい先輩を抱きかかえ、ヘルガーに乗ります。

「ヘルガー、安全な場所まで、逃げてください」

「ヘル!」

ヘルガーはその群れを飛び越し、一気に逃げました。

「楽しいね、あずにゃん」

「楽しんでる場合ですか!」

結構動きが激しいですし。

「そうだ!このまま、ポケモンセンターに行っちゃおう」

ゆい先輩が提案してきます。……まあ、妥当なところですね。

「ヘルガー、ポケモンセンターまで、お願いします。このまま、まっすぐ進んでください」

「ヘル」

私達はなんとか、ポケモンセンターまで到着しました。幸いにも、この周りには逃げ出したポケモンはいないようですね。
737. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:38:12.69 ID:hRW4rYWH0
「戻ってください、ヘルガー。どうやら、このあたりはまだ、無事なようです」

「そうだね。まずは入ってみよう」

「ええ」

私達はポケモンセンターに入ってみようとしますが、自動ドアが開きません。

「どうしたんでしょうか」

「もう、皆逃げたからじゃない?」

「でも、逃げてたら、自動ドアも普通に開きますよ」

だって、慌てて、逃げるから、自動ドアの電源を切ることはないでしょうし。しばらく、様子を見てみると、ジョーイさんが中から、出てきました。

「あなた達も逃げ遅れたの?まあ、いいから、入って」

ジョーイさんは私達をポケモンセンターの中に案内します。そこには逃げ遅れたのか、何十人かの人達がいました。

「ここの人達は皆逃げ遅れてきたの」

「そうなんですか」

周りを見ると、逃げ遅れた人の中には、子供の姿もありました。これで、ポケモンが嫌いにならないでくれればいいんですが。

「あ、ジョーイさん、私のモンスターを回復できますか?」

「ええ、大丈夫よ」

「それじゃ、お願いします」

私はゆい先輩を含め、ボールを渡します。
738. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:38:59.74 ID:hRW4rYWH0
「あら、あなた達は噂のトレーナーね」

「噂?」

「そう、噂。ジョーイ仲間でも噂なのよ。まあ、あなたのポケモンは特殊だからね。有名にもなるでしょ?」

たしかに、ゆい先輩みたいなポケモンは他にはいませんけど。そして、ジョーイさんは素早くポケモンを回復させてくれました。

「ありがとうございます」

「いいのよ。きっと、助けがくるから、一緒に待ってましょうね」

ジョーイさんはそう言って、他の方の様子を見に行きました。

「私達は一応助けに来たのにね」

「そう言っても、信じてくれませんよ」

「とりあえず、私達も周りの様子を見に行こうよ」

「そうですね」

私達はポケモンセンターを歩き回ることにしました。周りを見ると、皆、疲れたような表情をしています。
739. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:39:50.68 ID:hRW4rYWH0
「ヒック、ヒック」

「大丈夫?」

私が歩いていると小学生の低学年くらいの子供が泣いていたので、声をかけました。

「お父さんとお母さんは?」

「……ヒッグ、はぐれちゃった」

「そっか。でも、大丈夫。すぐに見つかるよ」

「本当?」

「今すぐには無理だけどね。でも、大丈夫」

「……信じていいの?」

「うん」

「……ありがとう」

「うーん、さすがは私の嫁。優しいね」

「なにを言ってるんですか」

「この子はお姉ちゃんの妹?」

「違うよ、私はあずにゃんのポケモン兼恋人のゆいだよ〜」

「恋人(仮))です」

「この子がポケモン?」

「ええ」

いつもの動作をパパッと行います。すると、その子の表情が曇ります。
740. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:40:32.90 ID:hRW4rYWH0
「どうしたんですか?」

「だって、ポケモンなんでしょ?ひどいことしない?」

「私はそんなことしないよ〜」

にやーとした表情をするゆい先輩。

「本当に?」

「本当、本当」

「……じゃあ、信じる」

「うん、信じなさい」

「ねえ、ポケモンっていうのは怖いものじゃないんだよ」

「でも……」

「さっきのポケモン達もきっと嫌なことがあって怒ってるだけなんですよ。君だって、嫌なこととかあったら、怒るでしょ?」

「……うん」

「ポケモン達も同じなんですよ。ちょっと、怒ってるだけ。だから、ポケモンを嫌いにならないでね」

「……うん、分かった」

「それじゃ、私はちょっと、パソコンのところに行ってきますね。行きましょう、ゆい先輩」

「うん」

「……ねえ、僕も行ってもいい?」

「……いいですよ。一緒に行きましょう」

741. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:41:20.53 ID:hRW4rYWH0
私はパソコンで、ポリゴン2を預け、ガルーラを引き出しておきます。

「……後、どれくらいで出られるのかな」

不安そうに小さい男の子が聞いてきます。

「すぐに出られますよ」

とは、言いますけど、まったく、見通しが立っていませんね。さて、どうしましょうか。

「もう、殺すしかないだろう!!」

突然の大きな声で、見てみると、あっちで、なにやら、集団ができていて、金髪の男の人が叫んでいます。

「ポケモンは人間の道具なのに、反発するんだから、駆除してやるべきなんだ」

その金髪の男は、なにやら、散弾銃(?)みたいのを持って、宣言しています。その集団の他の人も、同じようなものを持っています。

「どうしたの?」

「あ、ジョーイさん。あの方々達は?」

「ああ。なんでも、ポケモンや動物の猟をやってる人達みたいよ」

「そうなんですか。随分、過激なことを言ってるみたいですけど……」

「ねえ。でも、大丈夫でしょ。外のポケモンの数は多いから、あれだけの武器じゃね」

ジョーイさんは苦笑して言います。

「なにも起こらなきゃいいんですけどね」

「そうね」
742. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:42:16.18 ID:hRW4rYWH0
私達の思いが通じなかったのか、私の日頃の行いが悪いのかは分かりませんが、いきなり、

ガッシャーン

という音がしました。その音の方を見ると、ポケモンセンターの自動ドアが破壊され、そこから、ケンタロスの集団が入ってきました。

「うわああああ」

「つ、ついにここにも……」

「た、た、助けてくれ」

ここに非難してきた人達の間に動揺が走っています。なんとかしないと。

「くそが。出て来い、ウインディ」

さっきの金髪の男はウインディを出してきました。……正直、ほっとしています。さすがに、あの銃でポケモンを撃つことはしませんでしたか。しかし、あのウインディはなんとなく、顔がやつれている気がします。まあ、トレーナーのあの人を見ても、ちゃんと育ててるとは思えませんけど。

「ディ」

ウインディはケンタロスと対峙します。

「タロス(随分、やつれているな)」

「ウインディ(関係ないだろ)」

「ケンタロス(人間なんかに仕えてるからだろう。どうだ、我々と一緒に来ないか?)」

「ウイン(さすがにそれは……)」

「タロス(こっちに来れば、こきつかわれることもないぞ)」

「……」

「どうした!サッサと戦え!」

「……」

「タロス(どうする?)」
743. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:43:03.87 ID:hRW4rYWH0
「ねえ、ゆい先輩」

「なんだい、あずにゃん」

「さっきから、あの2匹、会話してるような気がするんですけど」

「勘がいいね。たしかに、会話してるよ」

「どんな会話ですか?」

「なんでも、トレーナーを裏切って、私達と一緒に行かないかって、いう話をしてるよ」

「なるほど。……ちょっと、やばくないですか」

「……あずにゃんもそう思う?」

「ええ」
744. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:43:54.52 ID:hRW4rYWH0
あの金髪の男がウインディに好かれてるとは思えません。案の定、ウインディは金髪の男の方を見て、吠え出しています。

「て、てめえ、ご主人様を裏切るのか」

金髪の男は散弾銃をウインディに向けます。さ、さすがにそれはまずいです。

「ワンワン!」

ウインディが金髪の男を威嚇するように強く吼えると、金髪の男はヒイイっと、怯えて、散弾銃を落として、腰を抜かしてしまったようです。

「お姉ちゃん、怖いよ」

さっきの男の子が私の陰に隠れます。このままじゃ、大変なことになるかもしれません。

「ゆい先輩、この子を頼みます」

「分かったよ。頑張ってね〜」

ゆい先輩はその男の子と一緒に、物陰に隠れます。そうしてる間にも、ウインディは金髪の男に襲いかかろうとしています。

「危ないです、来てください、ガルーラ」

私はガルーラを素早く出し、ウインディと対峙します。
745. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:44:34.06 ID:hRW4rYWH0
「ケンタロス(お前も、人間の味方なんかやめて、我々と一緒に来い)」

「ウインディ(そうだぞ、人間に従ってるなんて、不自由だけだぞ)」

「ガル、ガルーラ(たしかに、そこで腰を抜かしてる男がトレーナーだったら、私もそっちについていたでしょうね。だけど、私のトレーナは

そんな男よりも素晴らしいの。そっちにつくことはできないわ)」

「ケンタロス(そんな小娘がか)」

「ガルーラ(あなた達には分からないことでしょうね。さあ、もう言葉は要りませんよ)」

なんだか、ガルーラも会話していますけど、まったく、分かりません。そして、ウインディはガルーラにとっしんを仕掛けてきますが、ガルーラはそれを受け止め、投げ飛ばしました。まるで、お相撲さんのようです。それを見て、ケンタロスもこっちに向かって、とっしんを仕掛けてきます。しかし、さっきのウインディよりも勢いがあります。

「ガルー」

ガルーラはそれを正面から、受け止めます。そして、ケンタロスの頭にピヨピヨパンチをリズミカルに繰り出します。ケンタロスはそのパンチで混乱したようで、目をグルグルと回しています。そのケンタロスにメガトンパンチを繰り出し、ケンタロスを横に突き飛ばします。

「ケンタロス」

その戦闘を見守っていた、ケンタロス達が、こっちにやってきました。くっ、ガルーラ1匹では厳しいですね。
746. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:45:23.00 ID:hRW4rYWH0
「ねえねえ、お姉ちゃん」

私が物陰から、あずにゃんの戦闘を見守っていると、男の子が話しかけてきました。

「なんだい?」

「あのお姉ちゃんは大丈夫かな?」

「大丈夫、大丈夫」

あずにゃんは滅茶苦茶強いからね。なんたって、私の嫁だし。

「……でも、このまま戦うのは悲しいよね。さっきのウインディとか見ちゃうと」

「……たしかに」

さて、私に何が出来るか、考えてみよう。

「………そうだ」

「なにか、策があるの?」

「歌を歌おう」
747. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:46:12.36 ID:hRW4rYWH0
「数が多いですね」

たくさんのケンタロスがこちらに向かって、ジリジリと、少しずつ接近してきます。

「大丈夫ですか、ガルーラ」

「ガル」

私の問いかけに頷いてくれました。ここがポケモンセンターなので、ある程度のダメージはすぐに回復できますが、手持ちをなるべく温存しておいた方がいいですし。

「ではいきま……」

「待って、あずにゃん!!」

私が一気に攻めようとした時に、ゆい先輩に止められました。

「何ですか、ゆい先輩」

「駄目だよ、このまま、戦って倒しても誰も得はしないよ」

「それはそうですけど……」

「思うに、皆、頭に血が上ってるんだよ」

「まあ、それもあるかもしれませんが」

「だから、私、歌うね」

「はい?」

意味が、まったく分からないんですけど。

「ここは心を和ませないとね。では、ミュージックスタート(わたしの恋はホッチキスを想像して下さい)」

748. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:46:48.02 ID:hRW4rYWH0
ゆい先輩は歌を歌いだしました。それは空気を読んでいないといえばそうですけど、さっきまで、怯えていた人達もゆい先輩の歌声に聞き惚れています。私達に対峙していた、ケンタロス達、さっきガルーラに飛ばされたケンタロスやウインディまでもが、ゆい先輩の歌声に聞き惚れています。まあ、私も冷静に状況を見てますけど、十分に聞き惚れていますけど。ゆい先輩の曲が終わると、皆がゆい先輩に惜しみない拍手を送ります。

「みんな〜、ありがと〜」

「すごいです、ゆい先輩」

「すごいよ、お姉ちゃん」

ポケモンセンターにいる、皆さんが、『ゆーい、ゆーい』とコールが起こっています。

「ケンタロス(戦うのが馬鹿らしくなってきたな)」

「ガル(ええ)」

「……ウインディ(……いい仲間達にめぐり合えたんだな)」

「ガル(ええ、運がいいことにね)」

「ケンタロス(確かにこんなことをしても仕方がないかもしれない。私達も帰るとするか)」

「ポケモンさん達」
749. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:47:54.03 ID:hRW4rYWH0
ゆい先輩はケンタロスに声をかけます。

「たしかに、サファリパークはポケモンを捕まえることでお金儲けをしてるかもしれないけど、そこにはポケモンと人間さんの新しい出会いの
場でもあるんだよ。だから、人間さんを嫌いにならないでね」

「ケンタロス(善処しよう)」

ケンタロス達はどうやら、ゆい先輩の歌で、満足してくれたのか、帰って行きます。

「待ちやがれ!!」

空気を読まずに、金髪の男が散弾銃をケンタロスやウインディに向けてきます。

「な、何をしてるんだ」

近くにいた男の人が金髪の男に聞いてきます。

「うるせえ!!裏切ったポケモンや危険なポケモンにはこれくらいすべきなんだ」

金髪の男は今にも、引き金を引きそうです。

「や、やめて下さい」

私は反射的に、ケンタロスやウインディを庇うように金髪の男に対峙します。

「な、なんだ、クソガキ。邪魔をするなら、てめえから、撃ち殺すぞ」

「だ、駄目です。せ、せっかく、ゆ、ゆい先輩のおかげで、皆落ち着けたのに、こんなことをするなんて……」

私の足はガクガクと震えています。それでも、私はこの場を離れるわけにはいきません。

「うるせえ!!」

バーン
750. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:48:55.50 ID:hRW4rYWH0
その金髪の男は何の躊躇もなく、引き金を引きました。私はグッと目を瞑ります。
「危ない、あずにゃん!」
ガシャーン
なにかが、ぶつかったような音がします。そして、私に何かがぶつかってきて、私は尻餅をついてしまいました。私が目を開けると、
「ゆい先輩!」

私の腕の中にゆい先輩がいました。

「ああ、ギー太、大丈夫かい」

ゆい先輩はおそらく、私を庇う時にギターを盾にしたのでしょう。ギターを見ると幸いにも傷がついてないようです。一体、どんな素材で出来てるのやら。

「ゆい先輩も大丈夫ですか?」

私はゆい先輩に問いかけます。

「あ、あずにゃん。私は大丈夫だよ。あずにゃんは?」

「私は大丈夫です。ゆい先輩のおかげです。……ゆい先輩?」

私がそう言うと、ゆい先輩はその目に大きな涙をため、私の胸に顔をうずめてきました。

「ぐすっ。どうして、こんな無茶したの。危なく死んじゃってたよ」

「ご、ごめんなさい」

「謝ったって許さないよ。罰として、私をギュッと抱きしめなさい」

「なんですか、それ」

「早く!!」

「わ、分かりました」

私はギュッとゆい先輩を抱きしめます。

「ああ〜、あずにゃんに抱きしめられてるよ〜」

「なんだか、乗せられてる気がしますね」

「気にしない、気にしない」

「でも、ありがとうございます。ゆい先輩が庇ってくれなかったら……」

「あずにゃんが無事でよかったよ〜。でも、あのあずにゃんも格好よかったよ〜」

ゆい先輩は顔を上げ、私に視線を合わせます。

「あずにゃん、もうこんな無茶しちゃ駄目だよ」

「……はい」
751. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:50:01.19 ID:hRW4rYWH0
「くそが。余計な邪魔をしやがって」

金髪の男がもう一度、散弾銃で撃とうとしますが、

「えいっ!」

ジョーイさんが後ろから、モップで頭を叩き、

「今だ、取り押さえろ!」

周りの人達も金髪の男を取り押さえます。

「大丈夫、お姉ちゃん達」

さっきの男の子が駆け寄ってきます。

「う、うん、大丈夫」

「よかった〜」

「ケンタロス」

ケンタロスが私達に近づいてきます。ケンタロスはガルーラの方を向き、

「ケンタロス(なるほど、お前達がこのトレーナーにつく理由が分かった気がする)」

と、鳴いて、去っていきました。

「何なんですか、一体」

「……さあ?」

ゆい先輩はクスッと笑って、そう言いました。
752. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:50:57.63 ID:hRW4rYWH0
「さて、それじゃ、今のうちに脱出を……」

ガシャーン

と、突然にポケモンセンターに衝撃が走りました。

「わっ!突然何が……」

「今、外を確認してみます!」

ジョーイさんは外に出て、顔色を変えて、戻ってきました。

「どうしたんですか!?」

「プ、プテラが……」

「プテラ!?」

「とりあえず、外に出てみようよ、あずにゃん」

「そうですね」

私達が外に出てみると、上空にプテラが飛んでいます。そのプテラが口から、はかいこうせんを出したりして、暴れています。

「ど、どうしましょう」

「……よし、空を飛ぼう」

「……はい?」

突然のゆい先輩の発言に耳を疑いました。

「今……なんて?」

「よし、空を飛ぼうって、言ったんだよ〜。ゆいちゃん真拳奥義『あずにゃん☆自転車』」

ゆい先輩の掛け声で、自転車が出てきます。

「これをどうするんですか……」

「まあ、乗ってみなさい」

「はあ」

私はゆい先輩をかごに入れて、自転車に乗りました。
753. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:51:46.11 ID:hRW4rYWH0
「さあ、出発だよ〜」

「はいはい」

私は自転車をこぎ始めました 。すると、だんだんと、地面から浮いて、空を飛び始めました。

「何なんですか、これは!!」

「なんだか、映画のシーンみたいだね」

「何をのんきなことを……」

「さて、あずにゃん君」

「なんですか」

「私が歌いだしたら、サムちゃんを出してね」

「はい?何でですか?」

「まあ、出せば分かるよ」

私達がこうして、話してる間に、プテラがこっちに気づいて、向かってきます。

「と、とにかく、頼むね」

「あ、ちょ、ちょっと……」

「ミュージックスタート!!(翼をくださいを想像してください)」
754. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:52:40.41 ID:hRW4rYWH0
「ああ、歌いだしちゃいました。ええい、こうなったら、出てきてください、ハッサム!!」

私はハッサムを出しました。すると、ハッサムの背中から、天使のような翼が背中に生えました。なるほど、これはゆい先輩の歌の力……。

「プテラ」

プテラはその翼を使って、ハッサムに向かってきます。

「サム!」

ハッサムはプテラのつばさをうつ攻撃を両手のはさみで受け止め、はじき返します。そして、今度はお返しとばかりに、はさみで、プテラに攻撃を仕掛けます。

「プテラ!」

プテラはハッサムのメタルクローをつばさで受け止め、力で押し返します。まさに、互角の戦いです。

「ハッサム」

「プテラ」

互いの攻撃がキーン、キーンとクロスし、空中戦が始まりました。プテラがすてみタックルを仕掛ければ、ハッサムはそれをかわします。お返しとばかりに、ハッサムがシザークロスを仕掛ければ、プテラはそれを正面から受け止め、そのまま、ハッサムを突き飛ばし、つばさをうつ攻撃を仕掛けてきます。ハッサムはそれをかわしきれずに、正面から、まともにうけて、

ガシャーン

と、近くにビルに飛ばされてしまいました。その衝撃で、ガラスやコンクリートが下に落ちています。

「……はあ、はあ」

ゆい先輩はハッサムが戦ってる間にも、ずっと、歌い続けています。さっきから、ずっと、歌っているので、だいぶ辛そうです。……私には何も出来ないんでしょうか。ゆい先輩はこうやって、必死に歌を歌って、ハッサムを援護してますし、ハッサムはあのプテラと戦っています。それなのに、私はただ、自転車をこいでいるだけです。私も、皆の力になりたい――。
755. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:53:35.81 ID:hRW4rYWH0
「ジー」

私がそんなことを思っていると、歌いながら、私の方を見てきました。その目には

『あずにゃんにもできることがあるよ』

と、言っている様な気がしました。

「わ、私にできることなんかありませんよ……」

私はそう言いながら、涙ぐんでしまいました。だって、悔しいんです、何も出来ない自分が。

『あるよ』

それでも、ゆい先輩は目で語ってきます。

『プテラにはなくて、サムちゃんにはあるものが。そして、それはあずにゃんにしかできないんだよ』

私にしか出来ないこと?

ガシャーン

私が迷ってる間にも、ハッサムはプテラのアイアンヘッドで、飛ばされて、ポケモンセンターの屋根に激突しました。ま、まずいです、あそこ
には人が……。強いです、プテラは。野生のポケモンでも、なんていう実力ですか。ハッサムじゃ勝てないんですか。……野生?そうだ、私はハッサムのトレーナーなんだ。私も一緒に戦わなくちゃ。私がそう決意すると、ゆい先輩は優しく、ニコ〜という笑顔をしてくれました。

「……サム」

ハッサムはポケモンセンターの屋根から、再び、空に戻ってきます。
756. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:54:31.20 ID:hRW4rYWH0
「プテラ(まだ、戦うのか?)」

「……サム(ああ)」

「プテラ(諦めの悪い奴だ)」

プテラは牙にほのおをためて、噛み砕こうとハッサムに迫ってきます。

「ハッサム、かげぶんしんです!!」

ハッサムは私の指示を受けて、自分の分身を作り、その一撃をかわします。

「ハッサム、反撃です。バレットパンチで先制をとるんです」

おそらく、プテラには素早さでは勝てないでしょう。でも、この攻撃なら……。ハッサムの攻撃は体制を整える前のプテラに命中しました。バレットパンチは先制攻撃を取れる攻撃ですからね。

「プテラ!」

プテラは今の攻撃に怒ったのか、口にエネルギーを溜めます。

「ハッサム、はかいこうせんが来ます。みきりです」

プテラのはかいこうせんがハッサムに迫りますが、それをハッサムは冷静にかわします。

「プテラ(何故、力でぶつかってこない。さっきのように)」

「サム(さあ?)」

「プテラ(くそがーーーーーー)」
757. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:56:12.03 ID:hRW4rYWH0
プテラは勢いをつけて、とっしん攻撃をしてきます。まともに受けたら、厳しいですね。

「ハッサム、みがわりです」

ハッサムは自分の分身を作り、プテラはその分身に攻撃を与えます。

「反撃です。ハッサム、アイアンヘッド!」

ハッサムはこちらを向こうとする、プテラにはがねのあたまで一撃を加えます。

「ぐはっ」

プテラはその衝撃で、怯んでいます。プテラにははがねタイプの攻撃は弱点ですし、今がチャンスです。

「ハッサム、はがねのつばさです」

ハッサムは自分のつばさとゆい先輩が作り出したつばさを大きく広げ、プテラに攻撃を仕掛けます。怯んでいるプテラはそれをかわしきれずに、直撃します。

「……プテラ(どうして、お前ほどのポケモンが人間なんかと一緒にいるんだ)」

「ハッサム(確かに私も人間はあまり好きではないな)」

「プテラ(なら、どうして……!?)」

「ハッサム(最初はあの、ゆいというポケモンへの恩返しからだったが、今は面白いからさ)」

「プテラ(面白いだと!?)」

「さあ、ハッサム。最後の一撃です。おんがえし!!」

ハッサムはその手にエネルギーを溜めます。

「ハッサム(だってな)」

ハッサムは私とゆい先輩を一瞥します。なにか、あったんでしょうか?

「ハッサム(ポケモンと恋人同士になろうなんて、トレーナーは世界中探したって、私のマスターだけだぜ!)」

ハッサムは勢いよく、プテラに向かいます。

「プテラ、プテラ(人間とポケモンが恋人だと。人間はポケモンの敵なのだ。……ふざけたことを抜かすなーーーーー)」

プテラも自分のもてる力を出し攻撃する技……ギガインパクトで、ハッサムに攻撃を仕掛けます。

「「いけーーーー、ハッサム(サムちゃん)。スクラップフィストー!!」」

ハッサムのはさみとプテラの頭が衝突します。
758. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:56:48.71 ID:hRW4rYWH0
「ハッサム(見事だ)」

ピキピキ

ハッサムのはさみがひび割れています。

「プテラ……プテラ(ああ、お前もな。……お前とおれの差はなんだったんだ)」

「ハッサム(信じてくれる人がいるか、いないかの差だ)」

「……プテラ(……お前のトレーナーなら、私を信じてくれるかな?)」

「ハッサム(もちろん)」

プテラの頭も、ひび割れて、力尽きたのか、落下し始めました。

「あずにゃん」

「はい!」

私はハッサムを素早くボールに戻し、モンスターボールをプテラに投げます。しばらく、ボールが動きますが無事にゲットすることができました。

「やりました、プテラ、ゲットです!!」

「わ〜い、やったね!」
759. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:57:39.15 ID:hRW4rYWH0
私達が地上に着いた時、キョウさん達が出迎えてくれました。

「君達はすごいな!!」

「まさに伝説と呼ばれるような戦いだったわ」

「そ、それは言いすぎですよ」

「いやいや、それほどの戦いだったぞ」

「そうですよ、謙遜しなくてもいいですよ」

皆さんが口々に褒めてくれます。ちょっと、照れくさいですね。

「ところで、サファリパークのポケモン達は?」

「ケンタロス達が先導して、サファリパークに戻っていったよ。君のおかげだよ、ゆい君」

「ええっ!私のおかげだなんて、そんな〜」

体をクネクネさせて照れるゆい先輩。

「君達のおかげで、この騒ぎは収まったわけだ。お礼として、温泉のフリーパス券をあげよう」

「温泉ですか」

「うむ、ふたご島がよく見える、いい温泉だ」

「それじゃ、早速、行こうよ、あずにゃん」

「いきなりですか。でも、たしかにすっごい疲れましたからね。ポケモンセンターによってから、行ってみましょう」

「わ〜い」

私達はポケモンセンターによって、ポケモンを回復させてから、温泉にでも行こうとすると、携帯に電話が入りました。

「誰から?」

「シオンタウンのモブ太君です」

私は電話に出てみます。

「どうしたんですか?」

「た、大変だよ。シオンタウンにロケット団が……」

どうやら、温泉はお預けのようです。
760. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/03(日) 10:58:24.40 ID:hRW4rYWH0
セキチクシティ編?  「VSプテラ」  終了
763. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:13:24.98 ID:zX31ojq60
前回までの状況(トレーナとポケモン)                                            
梓          ゆい  ハッサム  ヘルガー  イーブイ   ニューラ ガルーラ  ミニリュウ  ポリゴン2  プテラ

澪          ゼニガメ   エビワラー  デンリュウ

律          リザードン  サワムラー  ニョロボン  レアコイル

ムギ        フシギバナ  カポエラー  ギャラドス

純          うい

シオンタウン編?  「再会」  以下、投下

764. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:14:16.36 ID:zX31ojq60
シオンタウン襲撃1週間前

トキワシティのある施設にある捕獲班部長の部屋

『……俺がやるのか』

さわ子の命令に、マコトは呟く。

『ええ。でも、これが最後よ。次に失敗したら、あなたは終わりよ』

おつきみやまでのイーブイ捕獲失敗、サントアンヌ号襲撃の失敗が続いてる中、まだ、お咎めがないのが不思議なくらいだ。

『なんで、俺がやるんだ』

『それは私の提案だよ』

急にドアが開いたかと思うと、フードのついたローブを着た女――AYUがいた。

『あなたは強いからね。なにせ、人を殺すのにためらいがないもの』

AYUはそういうが、マコトは感じている。……こいつの方が強いということを。

『それで、どうすればいいんだ』

マコトはさわ子に向き直って聞く。

『シオンタウンを攻める』

『だから、どうやって』

『これを使ってだよ』

AYUがモンスターボールを渡す。

『……これは?』

『ファイヤーだよ。伝説のポケモンの』

AYUは一息ついて言う。

『これを使って、シオンタウンに集団で攻め入る。そうだね、まずはポケモンタワーを本拠地にしよう。話はそれからだね』

AYUは不適に笑いながら、言った。
765. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:15:39.82 ID:zX31ojq60
ロケット団が攻め入るちょっと前・シオンタウン郊外・タマムシ側

『純ちゃん、シオンタウンに用なの?』

私とういは、再び、シオンタウンに来ている。というのも、

『ゴースがほしいからね』

『前に、ゲットしておけばよかったのに』

『まずはバッチをサッサとゲットすることが先決なのよ』

私はバッチを現在、7個ゲットしている。サッサと、バッチをゲットして落ち着いてポケモンを育てればいいのだ。

『ところで、ういは何を読んでるの?』

『月刊あずにゃんだよ〜』

本人未公認の雑誌か。そういえば、梓はどうしているのだろう。初めて出会った時は弱弱しかったからな〜。

『それにしても、熱心に読んでるわね』

『私に似てる人が出てるからね』

ページを見ると、憂梓と出ている。……たしかに似てるわね。

『おっと、こんなのんびりしてる場合じゃないわ。サッサと、ポケモンタワーに……』

『純ちゃん、上見て』

『上?』

私が上を見ると、何10匹ものとりポケモンにその上に乗る、黒い服を着た人達、ロケット団!?そして、地上からも足音が聞こえてきた。

『と、とりあえず、物陰に隠れよう、純ちゃん』

『え、ええ』

私達は草の中に隠れて、身を潜める。すると、次々と胸にRの文字をつけた、黒い服を着ている集団、ロケット団が通過していきました。

『た、たくさんいるね』

『そ、そうね。こういう時は何もせずに逃げ出すのが一番よね』

『そ、そうだね、危ないし』

私達は見つからないように、いそいそと逃げ出した。うん、命って大事だよね。
766. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:16:54.45 ID:zX31ojq60
今回の手持ちメンバー  ゆい  ハッサム  プテラ   ヘルガー  ミニリュウ   ニューラ

「急いで下さい、プテラ」

「プテラ」

私達はさっき、ゲットしたばかりのプテラを使って、シオンタウンに向かっています。というのも、シオンタウンで知り合った、モブ太君から、連絡があったので、急いで向かっているところです。

「大変だよ、あずにゃん」

「どうしたんですか、ゆい先輩」

ゆい先輩は私の渡した携帯電話で情報を見てもらっています。

「……なんとね、大変なことに……」

ゆい先輩が言いよどんでいます。きっと、シオンタウンはそれだけ、大変なことになっているのでしょう。
「けいおんが映画になるんだよ!公開されたら、一緒に見に行こうね」

「……プテラ、頑張って下さい。あなただけが頼りです」

「じょ、冗談だよ。本当はこっちだよ」

ゆい先輩は私に携帯電話を見せてきます。

『今、シオンタウンにおいて、ロケット団と思われる集団が突如として、町に攻め入っており、たくさんの犠牲者がいる模様です。被害状況については……』

という、ニュースの動画が流れていました。

「まずいですね。モブ太君は大丈夫でしょうか」

「きっと、大丈夫だよ」

「だといいんですけど。……あ、シオンタウンが見えてきました」

私達の前方にシオンタウンの有名な場所であるポケモンタワーが見えてきました。周りには、黒い煙が何箇所から、見えています。
767. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:17:54.10 ID:zX31ojq60
「とりあえず、町の手前のタマムシシティ方面に降りましょう。お願いしますね、プテラ」

「プテ」

私達はシオンタウン郊外の森の中に降ります。

「ありがとうございます、プテラ。……さて、どうしましょう」

草むらの陰から見てみると、周りには誰もいないようです。

「ゆい先輩、ここからは慎重にいきましょう」

「そうだね。……ところでさ、私達って、どこかの潜入部隊みたいで格好いいよね」

「くすっ。たしかにそうかもしれませんね」

私達は慎重に先へと進みます。後、少しで、シオンタウンという、その時、

「……ふがっ」

私の口が両手で、塞がれました。

あ、あずにゃん!?だ、誰だ、あずにゃんを傷つけてたら、許さないよ!!」

「……そう、かっかしないで下さいよ」

「あ、お姉ちゃん」

「あ、ういに純ちゃん」

「ふがっ!?」

私の口を塞いでいたのは、純とういでした。


最終更新:2011年08月03日 17:11