- 768. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:19:10.89 ID:zX31ojq60
- 「まったく。突然、後ろから、口を塞ぐなんて」
「ごめんごめん。でも、私でよかったじゃない。これがロケット団員だったら、大変だよ」
「それはそうですけど……」
「それはそうと、どうして、梓達はここに?ニュースは見てないの?」
「ちょっと、用事でね」
「用事って、あんたね……」
「それよりも、純達こそどうしてここにいるの?」
「それは……」
「逃げ遅れちゃったんだよ」
さっきまで、ゆい先輩と久しぶりの再会に抱き合って喜んでいた、ういが答えました。
「逃げ遅れた?」
「だって、空にも、ポケモンがたくさんいるんだよ」
「たしかにそうだね」
私も見つからないように気をつけてたけど、たしかに厳しいですね。
「地上からは?」
「ロケット団員の数が多かったから、隠れてたわけよ」
純が答える。
「はあ、なるほど」
「それで、あんた達はどうするの?」
「私は一応、シオンタウンに潜入するつもりです」
「え、それは危ないんじゃない?」
ういが心配そうに問いかけます。きっと、ゆい先輩が心配なんでしょう。
「たしかに、危ないかもしれないけど、あそこには私の友達もいるし」
「それは心配だけど、ちょっと、さすがに無茶じゃない?」
「否定はしませんけど」
「まあ、梓がやりたいなら、止めないけど。とりあえず、飲み物ある?のど渇いちゃって」
「仕方がありませんね。ちょっと待って下さい」
- 769. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:20:34.69 ID:zX31ojq60
- 「久しぶりだね、お姉ちゃん」
「そうだね、うい」
前にあったのはニビシティだったね。あの頃から、随分たってるから、懐かしいね。
「ところで、有名だよね」
ういが問いかけてきます。私のことかな?
「梓ちゃん」
なんだ、あずにゃんのことか。それは当たり前だよ、私の嫁だもん。
「……お姉ちゃんもだいぶ、雰囲気が変わったよね」
「そ、そうかな。一人前のポケモンの雰囲気になったかな?」
「うん。十分だよ」
「えへへ〜」
やっぱり、分かる人には分かるんだね。
「あ、ところで、うい」
「な〜に、お姉ちゃん」
「『月刊あずにゃん』見た?」
「何それ?」
「なんでもないよ。知らないなら、よかった」
妹まで、ライバルなんて嫌だからね。
「(お姉ちゃん、安心してる。きっと、ライバルが少なくなったと思って、安心してるんだ。……嘘ついてごめんなさい)」
- 770. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:22:41.34 ID:zX31ojq60
- 「うい、水飲む?」
私は純に水を渡すと、ういにも聞きます。
「う、うん」
「じゃあ、はい」
「あずにゃん、私のは?」
「はい、今、渡します」
私はゆい先輩にペットボトルを渡します。
「ありがとう、あずにゃん!!」
ゆい先輩は私の右足に抱きついてきます。
「ちょっ、ゆい先輩」
「あ〜ずにゃ〜ん、すりすり」
「か、顔をすりすりしないで下さい」
しばらくすると、ゆい先輩は顔をすりすりするのをやめて、ういの方をジーッと見ます。
「……分かったよ、お姉ちゃん」
ういはなにやら、頷き、私の片足である左足の方にいき、遠慮がちにギュッと抱きついてきます。
「え、う、ういまで……」
「どう、あずにゃん。私達、姉妹の抱きつきは?」
そう言うと、ゆい先輩はまた、スリスリと顔をこすり付けてきます。しかも、今度は、ういまで、ゆい先輩と同じように顔をこすり付けてきます。
「……愛されてるわね、随分と」
「み、見てないで、助けてよ」
「……ふむ」
なにやら、純は納得すると、私の後ろに来て、ギュッと抱きつきます……って、えー!!
「な、何をするんですか!」
「だって、2人見てたら、気持ちよさそうだったから」
「あ〜ずにゃん、すりすり〜。ほら、ういも」
「え、えーと、すりすり〜」
「い、いい加減にしてくださーい!!」
- 771. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:24:34.28 ID:zX31ojq60
- 「「「ごめんなさい」」」
「まったく、反省してくださいね」
まったく、敵が近くにいるかもしれないのに、何をやってるんでしょうね。
「……それにしても、梓も随分見ないうちになんかの漫画とかの主人公みたいになったわね」
「なによ、突然。全然そんなことないし」
「まずは主人公要素その1、異様にもてる」
「まずはそこから、間違ってるよ。私は全然もてないし」
「(いやいや、本人未公認だけど、『月刊あずにゃん』まで、出てるし、十分もててると思うよ、梓ちゃん。それに異様にもてるって、ラブコメの主人公だよ、純ちゃん)」
「主人公要素その2、なぜだか、異様に重大な戦いに巻き込まれる」
「それもないよ。私は普通にジム戦をしてるだけだし。そりゃ、たまにロケット団と戦うようなこともあるけどさ」
「(梓ちゃん。ロケット団と対戦してる時点で、普通の人には異様だよ)」
「主人公要素その3、特別な力、あるいは、武器、まあこの場合はポケモンよね、がある」
「たしかに、ゆい先輩はちょっと、珍しいけど、純だってういがいるじゃない。全然、特別じゃないよ」
「(梓ちゃん、私達のトレーナーってだけで、十分特別なんだよ。梓ちゃんだけが特別じゃないってだけで、十分特別なんだよ)」
「こんなところで、のんびりしてる場合じゃないや。そろそろ、行かなきゃ。純とういも無事に逃げてね。じゃ、行きましょうか、ゆい先輩」
「うん。じゃ、またね、うい」
私達はシオンタウンへと急ぎました。
- 772. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:25:28.35 ID:zX31ojq60
- 「じゅ、純ちゃん、私達も……」
「どうして?」
「だって、心配だよ。お姉ちゃんと梓ちゃん」
「そうね。でも、いいの?」
「なにが?」
「死ぬかもしれないよ。それでも、行く?」
「……」
(そうだよね、死んじゃうかもしれないよね。さすがに私の我侭で純ちゃんを連れて行くのはよくないよね)
「じゃあ、行くわよ」
「え、でも……」
「行かないの?」
「い、行きたいけど、……死んじゃうかもしれないよ」
「そうね。でも、ういは行きたそうだったし。……それに、梓だって、友達だしね。やれやれ、厄介な友人やポケモンを持ったもんだよ、私も」
「……純ちゃん」
「早く行かないと、おいていかれるから、早く行くわよ」
「うん」
- 773. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:26:47.69 ID:zX31ojq60
- 「逃げたんじゃないの?」
「まあ、ここまで来たらね。いいじゃないの、別に」
「それよりも、梓ちゃん。どうするの?警察官とか、たくさんいるよ」
「そうですね、これではうかつには……」
「あずにゃん、あずにゃん」
「どうしたんですか?」
「上を見て、上」
「上?」
私達が物陰から、上を見ると、炎を纏った鳥がいました。
「あれは何、純ちゃん」
ういは純に問いかけます。
「あ、あれは、えーと……」
「ふふん。2人とも分からないんだね、私が教えてあげよう」
ゆい先輩が得意げに言います。さすがはゆい先輩です。
「あれはね、……火の鳥だよ!!昔の巨匠の漫画家さんが書いたあの鳥だよ」
「へえー、そうなんだ。やっぱり、お姉ちゃんはすごいね」
「さすがはういのお姉さんね」
「えへへ〜、それほどでも〜」
「いやいやいや、違いますから」
「えー。じゃあ、あれは何なのさ」
ゆい先輩は気持ちよく褒められていたためか、私が否定するとちょっと、ムッとしたような、顔をしました。
「あれはカントー地方に伝わる、伝説のポケモンの1匹、ファイヤーです」
「へー、そうなんだ」
「さすがは、梓。物知りね」
「うー。でも、物知りなあずにゃんも可愛い〜」
ギュッと抱きついてくるゆい先輩。そして、頭をナデナデし始めます。
「や、やめてくださいよ〜」
「いいではないか、いいではないか〜」
- 774. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:28:30.60 ID:zX31ojq60
- 「(お姉ちゃんは本当に梓ちゃんのこと好きなんだな〜)」
「ジー」
「どうしたの、純ちゃん」
「いや、なんかさ、ういって、シスコンみたいじゃん」
「本人前にしてすごいこと言うね」
「だからさ」
純の回想
うい「よくも、お姉ちゃんを。梓ちゃんはじっくり苦しんで死んでもらいます」
梓「や、やめてよ、うい」
うい「フフフ、お姉ちゃんに群がるゴキブリは死んでもらいます」
おもむろに、火をつける。
梓「あ、熱いよ、うい。し、死んじゃうよ」
うい「それでいいんだよ。ハハハハハ」
「みたいな感じに、嫉妬するというか、ヤンデレみたいになるんじゃないかと」
「な〜にそれ。私がそんなこと思うはずないでしょ。私はお姉ちゃん達が幸せになれればいいんだよ」
ういは少し怒り気味に言う。
「ごめん、ごめん」
「だいたいね、純ちゃん。もし、お姉ちゃんと梓ちゃんがくっついたとしよう」
「うん」
「そしたら、私には、お姉ちゃんがもう1人できるのです」
「そうだね」
「そのうえ、いつもとは違う、表情のお姉ちゃんや幸せそうなお姉ちゃんも見ることができるのです。そして、もう1人のお姉ちゃんの梓ちゃんにも甘えることができるのです」
「そういう、可能性もあるかもしれないわね」
「そうなれば、3人とも幸せになれるのです」
「あれ、ういのトレーナーの私は?」
「……それよりも、上のファイヤーの様子を見よう」
「おーい、ういさん。私は?」
- 775. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:29:06.07 ID:zX31ojq60
- 「話は終わりましたか?」
「うん」
「ねー、私は?」
「しつこいよ、純ちゃん」
「何を話してたの?」
「内緒だよ、梓ちゃん」
「そんなことよりも、ファイヤーだよ、あずにゃん」
「そうですね」
ファイヤーは警察官の集団の方に向かっていきます。
- 776. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:30:02.15 ID:zX31ojq60
- 「(ねえ、うい)」
「(な〜に、お姉ちゃん)」
「(あずにゃんにひどいことしたら、ういでも許さないよ)」
「(さっきの話を聞いてたの?だったら、私こそ怒るよ)」
「(ごめん、ごめん。ただ、違う世界のういならやりかねないかなーって)」
「(??? そんなことより、ファイヤーの様子を)」
「(そうだね)」
- 777. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:30:36.13 ID:zX31ojq60
- 『ファイヤーがこっちに向かってくるぞ』
『どうしますか、部長』
『うむ。ファイヤーは伝説のポケモンであって、まだあまりデータはない。素早く、攻撃をしろ!』
『はい!』
- 778. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:31:50.29 ID:zX31ojq60
- 警察官達は拳銃などをファイヤーに向けます。ま、まさか、あれを撃つ気じゃ。
「撃てー」
隊長らしき人の指示で、ファイヤーにバズカーなどが発射されます。しかし、ファイヤーは美しく、羽ばたき、その攻撃をかわし、口にいっぱい、炎を溜めて、警察官や自衛官達にかえんほうしゃ攻撃を仕掛けてきます。
「て、撤退だー」
自衛官の人達は慌てふためいて、逃げる。それもそうだろう。かえんほうしゃ攻撃には違いないが、きっと、普通のほのおタイプのモンスターを集めても、20匹くらいのかえんほうしゃの威力だったんだから。
「ね、ねえ、梓。本当にいくの?」
「……怖いけど、行くしかないよね」
「ほ、本気?」
「本気だよ。あんなポケモンを倒せるとしたら、ゆい先輩くらいだよ」
「え!?むむむむむむむ無理だよ、さすがに」
「大丈夫です、ゆい先輩なら!!普段はちゃらんぽらんでも、やる時はやるって、信じてますから」
「今日ほど、信頼の2文字が重いと感じたことはないよ!」
「さて、場も和んだところで、この混乱に乗じて、シオンタウンに潜入しましょう」
「随分、場慣れしてるわね」
「それほどでもないよ」
「……うう、なんか、私って、ほのぼのとしてる漫画とかの主人公とかだったりする気がするのに、こんなのあわないよ」
「なにを言ってるの、お姉ちゃん?」
「ゆい先輩のことはほっといて、行きますよ」
私はゆい先輩を抱きかかえ、シオンタウンへと向かいました。
- 779. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:32:20.62 ID:zX31ojq60
- シオンタウン
上空を見ると、ファイヤーはいません。どうやら、ファイヤーは警官隊に攻撃して、引っ込められたのでしょう。
「さて、ここまで来たのはいいですけど、どうしましょうか」
上空にファイヤーはいないと言いましたが、地上にはロケット団がたくさんうろうろしています。
「まずは、その友達のところに行くんじゃないの?」
「それはそうですけど、この数のロケット団に見つからないように行くのは……」
「それは厳しいね」
「まあ、とりあえずは、裏通りを通っていくしかないですね」
私達は人気の少ない道へと、歩を進めました。
- 780. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:33:11.67 ID:zX31ojq60
- 「おい、怪しい奴だー、捕まえろー」
「な、なんで、私達、追いかけられてるのー」
「ゆい先輩のせいですよー」
回想
「ここは危ないですね。私の合図で、走って、あの路地に隠れましょう」
「うん、分かった」
「……今です」
「よし」
ツル、バタン
「だ、大丈夫ですか、ゆい先輩」
「……う、うん、大丈夫」
「あ、あそこに誰かいるぞ。捕まえろー」
- 781. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:34:32.30 ID:zX31ojq60
- 「というか、梓がゆい先輩をおんぶしてればよかったんじゃない?」
「たしかにそうかもしれないけど、今はそれを言ってる場合じゃないよ!」
「そうよね」
純とともに、後ろを振り返る。だいたい、10人くらいだろうか。でも、これ以上、追われると人数がさらに増えるかもしれません。
トゥールルルル
「あ、あずにゃんの電話だ。もしもし〜」
私の背中にいるゆい先輩は私のバックから、携帯を素早く取り出し、電話に出る。
「のんきに電話なんかしてる場合じゃありませんよ」
「……分かりました。あずにゃん」
「何ですか?」
「次の路地に飛び込んであの建物に入って」
「どうしてですか?」
「いいから」
「……分かりました。純」
「うん」
私達はゆい先輩の指示通りに、路地に飛び込み、建物の中に入りました。
「くそ、どこ行った」
「この路地に入ったはずだが」
「とりあえず、奥に行くぞ」
「おお」
- 782. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:35:21.10 ID:zX31ojq60
- ロケット団員の足音がなくなりました。
「ふ〜、どうやら、助かったみたいね」
「ところで、お姉ちゃん。誰から、電話だったの?」
「フジさんからだよ。この建物に逃げてるはずだよ」
「おお、梓君」
奥から、前にシオンタウンであった老人、フジさんが出てきました。
「フジさん、無事だったんですね。モブ太君は?」
「うむ、無事じゃ。今、この建物の地下に隠れているのじゃ。梓君とゆい君も無事で何折じゃ。ところで、そちらの2人は……?」
「あ、私は鈴木純です」
「私はういです。えーと、私は、一応ポケモンで……」
「私の妹だよ〜」
「なるほど、なるほど。純君達もありがとう。では地下に……」
- 783. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:36:40.34 ID:zX31ojq60
- 私達はフジさんの案内で地下に来ました。地下には、何匹かのポケモンとモブ太君がいました。
「あずさお姉ちゃん、ゆいお姉ちゃん、お久しぶり。……えーと、そっちの人達は?」
「あ、私は鈴木純です」
「私はういです。えーと、私は、一応ポケモンで……」
「私の妹だよ〜」
「僕はモブ太です、よろしくお願いします」
「随分、丁寧な子ね」
「ところで、フジさん達はどうして、ここに?」
「なんとか、逃げてきての。捕まると、ポケモンタワーに集められるようじゃ」
「どうしてですか?」
「人質のようじゃな。ちょうど、携帯でも見れるぞ」
私達は1階に行って、ニュースを見ると、たしかに、ニュースで、そんなことを言ってました。
「ど、どうして、こんなひどいことを……」
「さっきのニュースではロケット団は伝説のポケモンを手に入れてるようじゃな」
「え、ええ。さっき、ファイヤーがいましたから。そんなことより、フジさん達も脱出しないと……」
「あずにゃん、外から、何か聞こえるよ」
ゆい先輩が私の言葉をさえぎり、そう言いました。私は外の声に耳を傾けます。
『中野梓とそのポケモンゆい。この町のどこかに隠れてるのは知ってるんだ。人質を開放してほしければ、ポケモンタワーまで来いよ。今なら、おまけで、外のロケット団には見逃させてやる。おつきみやまとサントアンヌ号での決着をつけようぜ』
という、声が聞こえました。
- 784. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:38:18.19 ID:zX31ojq60
- 「……あんた、モテモテね」
「……まったく、嬉しくないけどね」
「あずにゃんや」
「何ですか?」
「これは行くしかないね」
「できれば、遠慮したいですけどね」
「純ちゃん、私達も」
「仕方ないわね。これも乗りかかった船よ」
「お姉ちゃん達、頑張って!!」
「……梓君はいい仲間を持ったのう。よし、これを使うのじゃ」
「なんですか、これ?」
「この建物にあった、パソコンじゃ。ここで、メンバーを調整するがいい」
「随分、ご都合主義ですね」
「まあ、細かいことはなしじゃ」
「あ、でも、フジさん達も危ないですよね」
「そうね」
「私達なら心配ない」
「でも、心配ですので、なにか、ポケモンを……」
私は、ヘルガーとポリゴン2とガルーラを出します。
「皆、私が無事に帰ってくるまで、護衛よろしくね」
私は皆に言うと、任せろといわんばかりに、頷いてくれました。そして、モンスターボールに戻し、モブ太君に渡します。
「これをモブ太君に預けておくね。ロケット団が攻めてきた時に使ってね」
「うん、ありがとう、梓お姉ちゃん」
「……」
- 785. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:38:47.50 ID:zX31ojq60
- 「どうしたの、純」
「いや、なんで、いちいち、ポケモンに挨拶するのかなーって」
「だって、仲間であり友達じゃない。一応、言っとくべきでしょ?」
「それはそうだけどね。ポケモンを友達かー」
「純だって、ういとはポケモンというより、友達みたいなものでしょ?」
「それはそうだけど、他のポケモンにはねー」
「なんか、歯切れが悪いね。何が言いたいの?」
「いや、純粋にすごいなーって」
「なにそれ?」
- 786. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:40:15.44 ID:zX31ojq60
- 「でもでも、私とあずにゃんは仲間とか友達じゃなくて、恋人同士なんだよ〜」
と、ギュッとゆい先輩が抱きついてきます。
「恋人!?あんた、そこまで……」
「こ、恋人同士じゃなくて、恋人(仮)です!」
「似たようなものじゃない」
「たしかに、似てるけど……はっ!?」
「どうしたの、梓ちゃん。私の方を見て」
「だ、だって、この後……」
梓の回想
うい「よくも、私のお姉ちゃんを……!?」
梓「ごめんなさい、ごめんなさい」
うい「謝ったって、許さないよ」
グサ、ザクザク
うい「……中にだれもいませんよ」
「みたいな、展開だけは勘弁してね」
- 787. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:41:33.52 ID:zX31ojq60
- 「……なんで、純ちゃんだけでなく、梓ちゃんにもそんなイメージが」
「え、純と同じ思考?それは嫌だなー」
「どういう意味よ」
「あずにゃん、ちゃんと謝らなくちゃ駄目だよ」
「分かってますよ。ごめんね、うい」
「ううん、別にいいよ。そのかわり、一つ聞かせて」
「何?」
「……梓ちゃんは本当にお姉ちゃんが好きなんだよね?」
「そ、それは、えーと」
「正直に言ってね」
ニコッと言う、うい。笑顔がこんなにも怖いと思ったのは久しぶりだ。
「……す、好きだよ。というか、本人の前で聞くの、それ?」
「さっきの仕返しだよ」
「あ〜ずにゃ〜ん。私も好きだよ〜」
スリスリと頬をこすりつけてきます。
- 788. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:42:09.62 ID:zX31ojq60
- 「しかし、茨の道ね。同姓の上に、片方は幼稚園児みたいな容姿だし、おまけに人間とポケモン。困難なことばかりよ」
「でも、大丈夫だよ、きっと」
「……そうね」
「そ、そんなことより、ポケモンタワーに行きましょう」
まだ、じゃれついてくるゆい先輩をどかしながら言います。
「頑張るんじゃよ、4人とも」
「梓お姉ちゃん。僕、この3匹と一緒におじいちゃんを守るね」
「よろしくね。……じゃあ、皆、頑張りましょー」
「「「おー」」」
現在の手持ちメンバー ゆい ハッサム プテラ イーブイ ミニリュウ ニューラ
- 789. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:43:07.63 ID:zX31ojq60
- ポケモンタワー
『これで、いいのか』
マコトはローブの女、AYUに言う。さっきの梓達を呼び出すように言ったのはAYUだ。
『OK、OK』
『……お前の目的は何なんだよ、AYU』
『……未来を……いや、地球を救うことだよ。頑張ってね』
AYUはそう言うと、部屋を出て行った。
『……乗せられるのは好きじゃないが、どの道、あいつとは決着をつけたかった。早く来い、梓、ゆい』
マコトはほくそ笑んだ。
- 790. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/05(火) 07:44:12.99 ID:zX31ojq60
- シオンタウン編? 「再会」 終了
- 792. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:12:09.91 ID:VICvPmS+0
- 前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム ヘルガー イーブイ ニューラ ガルーラ ミニリュウ ポリゴン2 プテラ
澪 ゼニガメ エビワラー デンリュウ
律 リザードン サワムラー ニョロボン レアコイル
ムギ フシギバナ カポエラー ギャラドス
純 うい
シオンタウン編? 「VSファイヤー?」 以下、投下
- 793. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:13:39.01 ID:VICvPmS+0
- 現在の手持ちメンバー ゆい ハッサム プテラ イーブイ ミニリュウ ニューラ
「というわけで、ポケモンタワーまで来たわけですけど……」
「本当に襲ってこなかったね」
「不思議だねー」
「で、どうするよ」
「とりあえず、入りましょう」
私達はポケモンタワーに足を踏み入れます。
「さて、あいつはどこにいるんでしょう」
「ところで、さっきの奴ってなんて名前なの?」
「知りません」
「知らないのに、怨まれてるの?」
「まあ、因縁なんでしょうね」
「なんか、適当ね」
私達がポケモンタワーに入ると、大きいホールに出ました。そこにはロケット団員が三人くらいいました。
「ようこそ、梓さん。それとおまけさん」
「なんか、私の扱いが適当じゃない」
「名前覚えられてる私よりましだよ」
「梓さんには、たくさん邪魔されてますからね。最初はイーブイから始まって、一番新しいのはタマムシシティの研究所ですね」
「あの事件、梓だったの?」
「ええ、まあ……」
「そこのお嬢ちゃん……ゆいちゃんにはしてやられましたね。まさか、ミュウツーがプロトタイプとはいえ、負けるとは」
「すごいね、お姉ちゃん!!」
「えへへ〜、でしょ〜」
- 794. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:14:42.16 ID:VICvPmS+0
- 「さて、今回は簡単ですよ。私達のボスはここの最上階にいます。あなた方は各階にいる門番を倒すなり、逃げるなりして、最上階に行けばいいのです」
「逃げるなり?戦わなくてもいいんですか?」
「ええ、もちろん。そのかわり、追いかけてはきますけどね」
なるほど。逃げてるだけだと、上のほうに行くほどど、敵が多くなるってことですね。でも、それ以上に疑問があります。
「どうして、こんなまどろこっしいことをするんですか?普通に私を倒せばいいじゃないですか?」
「それでは、つまらないじゃないですか。それに、怖いんですよね」
「何がですか?」
「そのゆいちゃん」
ロケット団員はゆい先輩を指差します。
「そのゆいちゃんに手間取ってる間に、警察とかの乱入を防ぐためにもね。あなた方をこのタワーで倒したいんですよ。それに、これはボスの
命令でもあるんでね」
そのロケット団員は不適に笑い、周りの2人とともに、ボールを取り出す。
「さて、最後にルール確認ですね。あなた方は最上階である、7階に行く。私達はその前に倒す。それだけです。……さて、もう、言葉はいらないでしょう」
「……ねえ、こんな疲れる奴らと戦ってきたの?」
「……まあね」
「まあでも、やるしかないか」
「そうだね」
- 795. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:16:06.49 ID:VICvPmS+0
- 「純ちゃん、私が出る?」
「いいよ、こんな雑魚くらいなら、……きて、カビゴン」
「それじゃ、私は……来てください、ミニリュウ」
私達はそれぞれ、カビゴンとミニリュウを出します。
「そんな2匹で勝てますかな?」
ロケット団員はオコリザル6匹とスリーパー6匹、ウツボット6匹を出してきます。
「どうでもいいけど、あの人達って、別のポケモンを持ってないのかな、お姉ちゃん」
「違うポケモンにするとね、大変なんだよね、いろいろと」
「?」
「行くよ、純」
「ええ、梓」
- 796. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:17:11.82 ID:VICvPmS+0
- 「ザルー!!」
バーン
「これで、半分だね」
「そうね!」
「頑張れー、あずにゃーん」
「お、お姉ちゃん、落ち着いて」
私達はなんとか、18匹いたポケモンを9匹までに減らしましたが……。
「ほとんど、カビゴンが倒したじゃん」
「ミ、ミニリュウだって、2匹倒したよ」
「2匹で威張られても……。大体なんで、ミニリュウ?」
「も、もうすぐ、進化するからだよ」
「梓の体型みたいに成長が遅いのね」
「ひ、一言多いよ。どっちも成長するもん」
「ミニリュウはしても、そっちは……」
「も、もう」
「あずにゃんはこのままでいいんだよ〜」
ギュッと抱きついてくるゆい先輩。
「ほら、彼女……いや、この場合はなんていうんだろうか。とにかく、恋人もこう言ってるんだから、よかったね」
「……いずれは決着をつけるよ、純」
「おしゃべりはここまでだ」
- 797. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:17:44.01 ID:VICvPmS+0
- 隙を突き、私に向かってくる、オコリザル。このままでは……。
「ミニリュウ」
私に突っ込んでくる、オコリザルをミニリュウが体当たりを仕掛けます。
「よくやりま……あっ!!」
ミニリュウの体が光り輝き、ついにハクリュウに進化しました。
「やったね、あずにゃん。進化したよ」
「はいっ!! よくやりましたよ、ハクリュウ」
私はハクリュウの頭をなでます。
「ミニリュウは進化して、美しく、ハクリュウになったけれども、トレーナーは……」
「純。さっきから、喧嘩売ってない?」
「ま、そんなことより、残りの奴らを……」
「そうだね」
私達は再び、バトルを始めました。
- 798. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:18:13.41 ID:VICvPmS+0
- 「馬鹿な、小娘程度に……」
「とりあえず、1階は終わりましたね」
「では、ここで、ゆいちゃん真拳奥義 を発動しよう」
「ここでですか? 意味がないような……」
「これには重要な意味があるんだよ。では、ゆいちゃん真拳奥義『省略』」
- 799. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:19:19.63 ID:VICvPmS+0
- 6階
「というわけで、6階まで来ました」
「きつかったね、お姉ちゃん」
「5階ではさすがに死ぬかと思ったよ」
「え、なんでいきなり、6階!?2階から5階は!?」
「どうしたの、あずにゃん。たくさん、倒してきたじゃん」
「いやいや。いきなり、1階から6階に来たじゃないですか」
「大丈夫、梓。戦ってきたじゃない、それぞれのボスを」
「倒してないよ、覚えがないもの」
「梓ちゃん、ポケモン達の活躍を無視するの?」
「活躍も何も、そんなのしてないでしょ」
「じゃあ、ポケモン見てみなさいよ」
「はあ、どれどれ。……あれ、皆、結構疲れてる」
「それはそうでしょ。だって、5階まで、戦ってきたんだから」
「もう、覚えがないけど、それでいいや」
「でも、さすがに、これはないな」
「どうしたの?」
- 800. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:20:21.32 ID:VICvPmS+0
- 「梓にはあれが見えないの?」
「あれ?」
純が指差す方には10人くらいのロケット団員がいました。
「体力が無くなってくる、今くらいのほうがいいんだろうけどさ」
「ちょっと、卑怯だよね」
「これが勝負の厳しさなんだよ、うい、純ちゃん」
「なんか、違いませんかね、それ」
しかし、この数を相手にするのは……。
「……いい方法があるわ」
「いきなり、なによ、純」
「私がおとりになるから、その間に、梓達は、上にいきなさい」
「なんで、急にそんな展開に。純も一緒に行けばいいじゃない。こいつら、倒して」
「いいえ、それじゃ、お互いにかなりきつくなって、上に行っても、ファイヤー相手には勝てない」
「まあ、たしかに」
「だから、私がおとりになる。それに逃げるのもありだし」
「……分かった」
「純ちゃん、私も頑張るよ」
「いいえ、ういも上に行きなさい。ファイヤーを相手にするには、きっと、あなた達、姉妹の力が必要になるわ」
「純ちゃん……」
「……ういはいいトレーナーにめぐり合えたね」
「……うん、自慢のトレーナーだよ」
「なんで、急にこんな展開に」
「それじゃ、作戦開始ね。……梓、ういをよろしくね。後、ちゃんと、ファイヤーを倒してくるのよ」
「……もう、なにがなにやらだけど、分かったよ」
「また、会いましょうね」
純はロケット団員に向かっていった。
「それじゃ、私達は隅のほうから行きましょうか」
「うん」
「頑張ってね、純ちゃん」
- 801. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:21:18.55 ID:VICvPmS+0
- 最上階
「ここが最上階ですか」
私達が到着した時、そこには、1人のロケット団員……しかも、何度も見た顔がありました。
「くくく、久しぶりだな」
「二度と会いたくありませんでしたけどね」
「つれないこと言うなよ」
「……そんなことより、始めましょうよ」
「そうだな。まずは、そこで、お前のポケモンを回復させろよ」
目の前のロケット団員はポケモンセンターにある、回復マシーンを指差します。
「……」
「おいおい、警戒するのは分かるが、これは罠じゃないぜ」
「……どうして、こんな敵に塩を送るようなまねを……」
「疲労困憊の状態で勝っても仕方がないだろ?さて、ルール説明だ。まあ、単純だ。6対ろ……いや、そのゆいの妹も含めていいか、6対7の総力戦だ」
「……分かりました」
「そして、勝敗は……トレーナーの命だ」
「!? さすがにそれは……」
「勝てる自信がないのか?」
「……私は絶対に勝ちます。でも、あなたは殺しません。ポケモンは人を殺す道具じゃありませんから」
「なら、てめえはおれのポケモンの全滅が勝利条件でいいぜ。もっとも、そっちのほうが辛いだろうな。これで、ルール確認は終わりだ。サッサと回復させろ」
私は罠かもしれないと思ったけど、自分のポケモンを回復させる。何故だか、この人の目は嘘をついてるような目じゃない気がしたからです。
- 802. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/07(木) 17:23:33.80 ID:VICvPmS+0
- 「それじゃ、戦うか」
「ええ。でも、その前にあなたの名前は?」
「……マコトだ」
「それじゃ、マコトさん。勝負です」
「ああ。来いよ、ファイヤー」
いきなりの伝説のポケモン。間近で見るのは初めてですが、今までのポケモンとはオーラが違いますね。
「では、こちらは……ゆい先輩とうい。頼みますよ」
「え、本当に私!?無理だって……」
「わ、私も!?でも、2対1じゃ……」
「そうですね、これじゃだめですね。……出てきて、皆!!」
私はハッサム、プテラ、イーブイ、ハクリュウ 、ニューラと手持ちのメンバーを全て出します。
「さあ、あなたも全部のモンスターを出して下さい。文字通りの総力戦です」
これは賭けです。1対1ではファイヤーに勝つのは厳しいです。しかも、ファイヤーに手間取りすぎると、マコトさんの他のポケモンにやられ
るかもしれません。でも、総力戦なら、仲間との協力もできるので、1対1で戦うよりも、まだ、可能性があります。もっとも、相手も協力できるので、そういった意味では賭けですが。
「ああ、そうだな。来いよ、お前ら」
マコトさんはバンギラス、オニドリル、サンドパン、ゲンガー、アーボックを出してきます。
「皆、ゆい先輩がファイヤーを倒すので、フォローお願いしますね」
「だから、それ、無茶振りだよ!?」
「そんなガキがファイヤーを倒せるかよ。ファイヤー、ねっぷうだ!」
ファイヤーは炎の羽をふり、私達に熱い風を飛ばしてきます。
「熱いよー」
「大丈夫、お姉ちゃん」
ういはゆい先輩を庇うように立ちます。
「……ハッサム」
他のポケモン達もダメージを受けていますが、その中でも、ハッサムには炎タイプの技は特に効果抜群。ダメージも大きいです。
「サムちゃん、皆!! 分かったよ、あずにゃん。私があいつを倒すよ。もう、私の仲間には傷をつけさせないよ」
「お姉ちゃん、かっこいいよ!」
「そうでしょ、でへへ〜。……さて、うい。ファイヤーを倒すのに協力してくれるよね」
「もちろんだよ」
最終更新:2011年08月03日 17:14