Episode.39
《サザナミタウン》
カトレア「皆さん、お揃いでしょうか」
シロナ「ええ」
ワタル「ああ」
ダイゴ「うん」
紬梓「はい」
クロツグ「うむ、全員いるな」
カトレア「…シロナさんの話によると、プラズマ団は“ポケモンリーグ”を狙っていると」
シロナ「ええ。そのために“ポケモンリーグ”を守る人が必要なの」
ワタル「その役は俺たちということか」
ダイゴ「アデクさんのためでもあるからね。チャンピオンとして、しっかりとやらなくちゃね」
梓「…カトレアさん、今すぐにポケモンリーグへ行くべきなんですか?」
カトレア「そうですね…」
カトレア(ポケモンリーグが狙いだというのは知っていましたが、すでに攻め入る予定だとは……知らされていないのはやはり……)
紬「…?」
梓「カトレアさん、どうかしました?」
カトレア「…! いえ、なんでもありません。
今からポケモンリーグに行きましょう」
クロツグ「しかし、奴らがもういるんじゃないのか?」
カトレア「それは有り得ません。
ポケモンリーグは挑戦者がきた時のみ、ゲートが開通します。だからプラズマ団は挑戦者が現れるまでは攻め入ることもできません。入っても、中は無人ですし」
紬「でも…、それじゃあ挑戦者が来るまではプラズマ団も動けないわけですし……私たちも同様なんじゃ?」
カトレア「…ふふ、それは彼女らに頑張ってもらいませんと」
紬梓「…!」
カトレア「それに、早いに越したことはないですよ。いずれはプラズマ団が攻めて来るのですから」
ワタル「では行くとするか。みんな、カイリューに乗ってくれ」
カイリュー「リュー!」
カトレア「いいえ、みんなではなく…」
皆「?」
…………
………
……
…
《カゴメタウン》
梓「“カゴメタウン”、ですか」
紬「久しぶりの新しい町ね♪」
梓「それにしても…」
カトレア『ポケモンリーグにはアタクシとクロツグさんが先に行きます。そうして次にチャンピオンの皆さん、最後に紬さんと梓さん…の順です』
紬『どうして分かれるんですか?』
カトレア『流石にプラズマ団も警戒していないわけがありませんし、一度に大勢で行くのは薦めませんから』
梓『まあ確かに…』
カトレア『紬さんと梓さんは、この先の“カゴメタウン”、“ビレッジブリッジ”を抜けてポケモンリーグへ向かってください』
梓「…ポケモンリーグに着くまで、どれくらい時間がかかるんでしょうか?」
紬「そうねえ…。でも、頑張って目指すしかないわ!」
梓「では、先へ進みましょう!」
………
……
…
《ビレッジブリッジ》
紬「着いたわね、“ビレッジブリッジ”!」
梓「イッシュを開拓した人たちが建設した、イッシュ最古の橋だそうです」
紬「“ビレッジブリッジ”……村、橋…?
どうしてそんな名前なのかしら?」
梓「さあ……。…あっ!」
紬「? どうしたの?」
梓「橋に家が並んでいます!」
紬「家…!?」
…
テクテク……
紬「すごい…。本当に人が住む家みたいね」
梓「なぜ橋の上に…」
ラー……
紬梓「!」
ラララー♪
梓「歌声?」
紬「すてきな曲ね♪」
梓「橋の下から聴こえますね」
紬「あ、梓ちゃん!」
梓「はい?」
梓「……見に行ってみますか」
紬「イエス!」
…
ラララー♪
♪……
おにいさん「…ふう」
パチパチ…
おにいさん「…!」
梓「お上手でした!」
紬「私、路上で歌を聴くのが夢だったの~♪」
梓「橋の下ですけどね」
おにいさん「君たちは…」
梓「橋を通っていたら、歌声が聴こえたので見に来てみたんです」
おにいさん「そうなのか…」
イータ「僕はイータ、プロの歌手を目指してるんだ」
紬「プロの歌手!」
梓「すごいですね!」
イータ「はは、そんなことないよ。
…あ、拍手ありがとうね」
梓「いえ」
紬「本当にお上手でした!」
イータ「はは、ありがとう。
…君たちは“ビレッジブリッジ”に観光かい? ここの人ではなさそうだし」
梓「観光というか……、あ。そうだ…、なんでここは橋に家を建てているんですか?」
イータ「ああ、それはね。古代の人々が“ビレッジブリッジ”を建設した時、水害を防ぐために橋の上に家を建て暮らし始めて…、それが今も続いているらしいんだよ」
梓「らしい、?」
イータ「僕はここの出身じゃないからね。
シンオウ地方から来たんだよ」
紬「シンオウ地方ですか?」
イータ「そうそう。イッシュには『ミュージカル』もあるし、音楽をするのに相応しいかな? って思って、越してきたんだけどね」
イータ「…そうだ、僕の家に来ないかい?
バンドを組んでいてね。よければ紹介するよ」
梓「バンドを…」
イータ「うん、五人でね」
紬「バンドかあ…」
イータ「…?」
梓「じゃあ、お言葉に甘えて」
イータ「オーケー、それじゃあ行こうか。
僕の家は“カゴメタウン”にあるんだ」
………
……
…
《イータの家》
イータ「ただいまー」
おばあさん「お帰り、イータ」
イータ「婆ちゃん」
おばあさん「ん? お客さんかい?」
梓「どうも」
紬「お邪魔します~♪」
おばあさん「むむう、見たことない顔だねえ。
そうだ。あんたたち、カゴメ昔話を聞いてかないかい?」
紬「カゴメ…」
梓「…昔話?」
イータ「おい、婆ちゃん…」
おばあさん「まあまあ、いいじゃないかい」
イータ「だってお客さんに迷惑…」
紬「はい! 私聞きたいです!」フンッ
おばあさん「ほらね」
イータ「…はあ」
梓「ムギ先輩……」
紬「お年寄りの話には耳を傾けた方がいいわ! 昔話を聞くのが夢だったの!」
おばあさん「ほっほ、元気がいい娘さんじゃの。
では、話そうかの…」
おばあさん「この町の裏にはものすごーくでっかい穴が開いとるんじゃ。その穴はな、昔々空から大きな隕石が降ってきて出来たそうじゃ。
そしてその隕石の中には世にも恐ろしい化けもんが潜んでおったそうな……」
おばあさん「化けもんは晩になると冷たい風とともに人里に現れては人やポケモンを取って食らうと言われとった……。
じゃから昔のもんは町を塀で囲って化けもんが入って来られんようにしたり、日が暮れたら表に出るのを禁じて家で過ごすことを町の掟にしたようじゃ」
おばあさん「……………………………。
ま、今じゃこんな話なぞ誰も信じとらん。じゃけどな……今でもカゴメに住んどるもんは晩になったらちゃんと家に帰るんじゃ、不思議じゃろ?」
おばあさん「昔話や古い言い伝えちゅうもんは今の生活に何かしらの影響を与えとるっちゅうことかのう」
梓「化け物、ですか…」
おばあさん「化けもんが住んどるその穴を皆、“ジャイアントホール”と呼んでおるよ」
紬梓「“ジャイアントホール”……」
イータ「婆ちゃん! もう、人を連れて来る度に昔話をするのはやめてくれよ」
おばあさん「ほっほ、この歳になると若者を昔話で怖がらせるのが楽しくなるもんじゃ」
イータ「年寄りが全員そうみたいな言い方するなよ!」
おばあさん「はいはい。それじゃあお嬢ちゃんたち、ゆっくりしていきなさい」
紬梓「は、はい」
イータ「まったく……ああ、気にしないでくれ。いつもああなんだ。
んじゃ、この部屋にバンドの仲間がいるから」
ガチャ
ダダダダ……ダーン!!!
ポロポロピロロン…
ジャラアアン!
「……ん?」
イータ「やあ、練習中だったか、タウ」
タウ「ちょうど今ひと通り終わったところやけど……その嬢ちゃんたちは?」
イータ「僕がビレッジブリッジで歌っていたところ、聴いてくれてね」
タウ「へえ」
梓「どうも、中野梓といいます」
紬「琴吹紬です♪」
タウ「わてはタウや。ドラムをやっとる」
「アズサにツムギだネ!」
アルファ「ミーはベースのアルファだヨ! ヨロシク!」
ニュー「…俺はニュー。ギター担当さ」
梓「ギター、ですか」
ニュー「…ん?」
紬「梓ちゃんと一緒ね♪」
イータ「君、ギターを弾けるのかい?」
梓「トレーナーズスクールでバンドを組んでいたんです。軽音楽部で!」
イータ「軽音楽かぁ、…紬ちゃんも?」
紬「はい♪ 皆さんと同じ五人組の!
私はキーボードをやってました!」
「キーボードか、じゃあ私と同じね」
紬「!」
カパ「キーボードのカパよ。よろしくね」
紬「あなたがキーボードの方ですか! よろしくお願いします♪」
イータ「はは、君たちを見てると昔を思い出すね」
タウ「どうや? わてらの演奏聴いてけーへん?」
梓「はい!」
紬「ぜひ!」
アルファ「グッドですネー! やりマショー!」
イータ「よし、やるか」
タウ「…ワン、ツー!」カッ
…
梓「いい曲でした!」
紬「うん、うっとりしちゃったわ~」
イータ「はは、ありがとう」
梓「聞いたことない曲でしたね。自作ですか?」
カパ「そうよ、作曲したのは私たちではないけどね」
紬梓「?」
コロトック「コロー」
梓「コロトック?」
カパ「コロトックが即興で作るメロディー……それに歌詞をつけているの」
紬「へえ~♪ コロトックで…」
ニュー「…作曲はコロトック、作詞はTHANKということだ」
梓「THANK?」
イータ「僕らのバンド名だよ」
紬「いい名前ですね!」
タウ「褒めても何もでてけーへんぞ~」
アルファ「オーウ、そうデシタ~。話があったのデス」
イータ「ん、なんだ。アルファ」
アルファ「今日の……」
梓「…ふう」
紬「皆さん、いい人ね♪」
梓「はい! 演奏も素敵でした!」
カパ「嬉しいこと言ってくれるわね」
梓「! カパさん!」
カパ「ふふ、ちょっと話さない?」
最終更新:2011年08月07日 20:41