ダイゴ「なら、もう一度だ! 次は“アイアンテール”!!」
ボスゴドラ「ガアアッ!!!」ブオンッ
イシズマイ「イマー!」キイイン
ガギイイン…!
イシズマイ「イマ!」ニヤリ
ダイゴ「! また…!」
デント「“まもる”だよ」
ダイゴ「“まもる”…」
デント「ただし、ただの“まもる”じゃない。“てっぺき”を合わせた、まさに鉄壁の守りさ!!」
イシズマイ「イマイマー!」キイイン
ダイゴ「…でもそれだと防戦一方だよね? そちらが勝つことはないと思うけど」
デント「そう思うだろうね。しかし、“てっぺき”で守りを固めたのはガードする他に意味があるんだ。
…イシズマイ、“からをやぶる”!」
イシズマイ「イマーイ!!」シュバッ
ボスゴドラ「…!」
ダイゴ「は、速い!?」
デント「普段は岩の家を被ってるイシズマイだけど、その重りをなくしたんだ! スピードはもちろん上がる!! そしてパワーも倍以上に跳ね上がる…!!」
デント「イシズマイ、“シザークロス”!」
イシズマイ「イマイマー!!」シュッ
ザシュウウ!!!!
ボスゴドラ「ガ、ア…!」
ダイゴ「ボスゴドラ! ……“からをやぶる”か。確かにパワーやスピードは上がるけど、ガードは手薄になるんじゃないかな?」
デント「!」
ダイゴ「岩もない状態で受け切れるかな? “アイアンテール”!!」
ボスゴドラ「」ブオンッ
デント「…ッ。イシズマイ、“からにこもる”んだ!」
イシズマイ「イマーイ!」ササッ
ボスゴドラ「!」ガギイン!
デント「ふう、危なかった。鉄壁の守りは持続しているからね。岩を被ってしまえば、今度は絶対の防御を誇るんだ!」
ダイゴ「…」
ダイゴ(岩を被ればガードが、岩から抜ければパワーとスピードがそれぞれ上がる……。なるほど、これこそ完璧な戦術といったところかな)
デント「また“からをやぶる”だ!」
イシズマイ「イマイマー!」バッ
デント「“シザークロス”!!」
ダイゴ「…ボスゴドラ!」
ボスゴドラ「ガアアッ!」シュンッ
シュシュシュシュ……
イシズマイ「イマーイ!?」キョロキョロ
デント「“かげぶんしん”!?」
ダイゴ「パワーとスピードが上がっても、これらを見破れるかな?」
デント「チィ……! 舐めないでくれよ。イシズマイのスピードは桁違いに上がってるんだ! 順々に攻撃していけば、何れは本物に当たる!!」
イシズマイ「イマイマー!」シャキンッ
ザシュッ ザシュッ ザシュッ…
ダイゴ「……」
デント「クハハ! これで分身も残り少なくなって、本物に攻撃が当たるのも時間の問題……」
ダイゴ「クスッ」
デント「!」
ダイゴ「眼前の敵にだけ、気を集中しちゃいけないよ」
デント「なに…?」
ダイゴ「ボスゴドラ!」
ボスゴドラ「ガアアッ!!」バッ
デント「背後から…! いや……」
ダイゴ「そちらが最大の攻撃と防御を持つのなら、どちらかを崩せばいいこと! 崩す隙があるなら、それはイシズマイの攻守の交代の仕方にある!!」
デント「…! 岩が狙いか!!」
ダイゴ「その岩が最大の防御を誇ろうと、それを扱う者がいなければ意味はない! 元はただの岩だよ!!」
ダイゴ「“メタルクロー”!!」
ドガアアアアアン!!!!!!!!
ボスゴドラ「……」
ガキッ………
ボスゴドラ「…!?」
ダイゴ「ば…、そんな! 岩が壊れていない!?」タタッ
ダイゴ「…! なんだこれは!? 先程の岩とは形も大きさも…別物!?」
デント「フフ…すごい、すごいすごいすごいすごい!! まさにグッドテイストなバトルだよ!!!」
デント「まさかここまでやってくれるとはね…。でも残念、やはり勝つのは僕の方みたいだ」
ダイゴ「なにをしたんだ!?」
デント「別に? たいていのポケモンは体験する自然の出来事だよ」
イワパレス「イワーッパ!!」
ダイゴ「! 進化したのか!」
デント「そう! イシズマイの岩だったら君のボスゴドラの攻撃で壊れただろうさ。でも、進化したイワパレスの岩なら?」
デント「イワパレスは進化したことで能力が格段にアップしている。もちろん防御のステータスも格段に、ね」
イワパレス「イワーッパ!!」
ボスゴドラ「……ッ」
デント「それと攻撃のステータスも同然にね!!
イワパレス、“がんせきほう”!!!」
イワパレス「イーワパーッ!!!」
ゴッ……
ドゴオオオオン!!!!!!!!
ボスゴドラ「ガアア…ッ!!?」
ドシャアア!!!!!!
ボスゴドラ「ガ、アア……」
ガクッ
デント「戦闘不能だね。さあどうする?」
ダイゴ「ありがとう、ボスゴドラ」パシュッ
ダイゴ「……次のポケモンを出す前に聞いておきたいんだけど」
デント「?」
ダイゴ「君は何故戦っているんだい? 理由を聞かせてくれないか」
デント「ふ、何を聞くかと思えば…そんなの決まっている! プラズマ団リーダー、ゲーチス様のためだ!!」
デント「ゲーチス様はジムリーダーだった僕たち“ダークトリニティ”に声をおかけなさった! そして話されたのはポケモン解放について。
僕たちは感動したよ…ゲーチス様の理想……素晴らしいと思った! そしてゲーチス様についていこうと決めた!!」
デント「ゲーチス様のために生きて死ぬ! この命はゲーチス様のためだけにある!!
僕が戦う理由はただひとつ! ゲーチス様のためさ!!!」
ダイゴ「……なるほど、ありがとう。君の意思、伝わったよ」
デント「…?」
ダイゴ「意味が分からないという顔をしているね。でも、これは聞いておかなきゃいけなかったんだ」
ダイゴ「…僕たちチャンピオンは、それぞれポケモンバトルでの自分の主義を持ち合わせていてね」
ダイゴ「例えば、ワタルは使う技は“はかいこうせん”のみ。それで相手を捩じ伏せること。
シロナさんの場合は、どんな相手にも全力で立ち向かうこと。それでも子供相手だと、無意識に手加減してしまうみたいだけどね」
デント「……君は?」
ダイゴ「僕はね。戦う理由、揺るぎない意志…それらを持ち合わせている相手だけに本気を出すことにしているんだ。
例え僕が勝つことでその意志を砕くことになっても、絶対に手加減はしない。相手に失礼だからね」
ダイゴ「君の戦う理由、揺るぎない意志を聞けてよかった…これで心おきなく戦える……」カチャ
デント「…!」
ダイゴ「メタグロス!」ボム!
メタグロス「グロース!!」
デント「…ハハッ! 本気だって?
こちらはパワーもガードもスピードもパーフェクト!! 今更君になにができる!?」
ダイゴ「メタグロス…」
メタグロス「グロース!」キッ
デント「攻撃する気かい? イワパレスは岩を被った状態だけど?」
ダイゴ「さっき、君は僕のバトルスタイルを『肉を切らせて骨を断つ』、と言ったね。
でもそうじゃないよ。そんな生半可なものじゃない、僕のバトルスタイルは」
ダイゴ「あえて言うならね、僕のバトルスタイルは…」
メタグロス「グロース!!」ダッ
ダイゴ「メタグロス、“コメットパンチ”!!」
ブオンッ!
イワパレス「…!?」
ドガアアアアアン!!!!!!!!
パラパラ……
イワパレス「イ、…」ビキッ…
バタッ
デント「!」
ダイゴ「『肉を切り裂き骨も断つ』、その鋼でね。
これが僕の本来のバトルスタイルさ」
デント「く……、!?」フラッ…
バタンッ
ダイゴ「おっと、攻撃に巻き込まれたみたいだね。あの衝撃で倒れるのは無理もないよ」
デント「グ、ゥ…! ゲーチス、さ、ま……」ガクッ
ダイゴ「……どんな人間にも自分にとっての正義がある。善人悪人問わずね。僕も、かつて強さを追い求めた一人のトレーナーを知っている……。
それが正しいのかどうかは分からないけど、いいと思うよ。そこに善も悪もない……人と人、互いの正義のぶつかり合いだってある」
ダイゴ「だけどね。その正義を貫くために世界を破滅に追い込んだり、人やポケモンを傷つけたりしてはいけないんだ。
この世界や、人やポケモンに迷惑はかけちゃいけない。正義以前に、最低限のマナーだからね」クスッ
ダイゴ「……さて、シロナさんとワタルは大丈夫かな?
見に行こうか、メタグロス」
メタグロス「グロース!」
…
アデク「……ふう、ふう…」
マツブサ「ククク……」
アカギ「……」スッ…
アカギ「テラキオン、“ストーンエッジ”!」
テラキオン「ぐるるおおーっ!」
ゴゴゴ……
アデク「…!」
ドガアアアアアン!!!!!!!
ボルトロス「しゅるばばばーっ!?」
アデク「ボルトロス…!」
アカギ「ビリジオン、“リーフブレード”!
コバルオン、“メタルクロー”!」
ビリジオン「ききゅああああーっ!」ブンッ
コバルオン「こふおおおおーっ!」シャキンッ
ドオオオオン!!!!!!!!!
トルネロス「ばりゅるるるるーっ!?」
ランドロス「どろるるるるっ!?」
アデク「くう……、トルネロス! ランドロス!」
シュウウ………
アカギ「…ふん」
マツブサ「アデクよお、わかんないのか?」
アデク「?」
マツブサ「俺たちはコバルオン、テラキオン、ビリジオンの伝説の三匹で戦い……それに対し、お前はボルトロス、トルネロス、ランドロスのこれまた伝説の三匹で戦っている。
両者に実力の差はほとんどないはずだ。なのに何故、お前の方が押されているのか」
アデク「……」
マツブサ「それはな。使い手だよ」
アデク「…なに?」
マツブサ「いやいや怒るなって。別に使い手としてお前が劣っているわけじゃない。
寧ろ、俺たちの実力は同等だ」
マツブサ「だがなあ、よく考えてもみろ。伝説のポケモンってのは普通のポケモンとは勝手が違う。扱うのにはそれなりの、トレーナーとしての実力が必要なんだよ。ポケモンはトレーナーの実力分の力を引き出せる」
マツブサ「つまりな、単純に考えて……俺とアカギの実力分の力をコバルオンたちは引き出せる。同様にボルトロスたちもトレーナーのお前の実力分の力を引き出せる。
両者の違い、わかるか? トレーナーの数だよ」
アデク「!」
マツブサ「三匹を操るのに一人でやれると思ったか? 三匹を使う場合、実力は三つに分散しちまうんだよ!
なら話は簡単だ。トレーナーの数が多い方が、三匹のポケモンを上手く操れる!! お前がどれだけ強いポケモンを使おうと、一人で戦う限り、俺たちに勝つことなんて不可能なんだよ!!!」
アデク「ぬう…ッ!」
マツブサ「墓場にも一人で行くんだなァ!! コバルオン、テラキオン、ビリジオン、“せいなるつるぎ”ィイ!!!」
コバルオン「こふおおおおーっ!」
テラキオン「ぐるるおおーっ!」
ビリジオン「ききゅああああーっ!」
キイイイイイイ……!!!!!
アデク「ぐ…、これで終わりか……」
マツブサ「やれええええええ!!!」
ギュアアアアアアッ!!!!!!!!!!
アデク「……く、」
キュイン!
シュワアン……!
アデク「…?」
マツブサ「な、んだと…。攻撃が無効化された…?」
サメハダー「サメハー!」ニヤリ
アカギ「サメハダー?」
ザッザッ……
アカギ「…!」
「トレーナーの数が多い方が三匹を上手く操れる、か……」
「では、三人になったらどうです?」
アデク「おぬしらは…!」
…
《チャンピオンロード付近》
下っ端「ダブラン! “サイコキネシス”!!」
ダブラン「ラーン!!」ウィン!
ワルビアル「ビーッ!!」
ダブラン「…!」
ヤーコン「“かみくだく”!!」
ガギイイッ!!!!!!!
ダブラン「ブラー…!?」
下っ端「くそ…!」
下っ端2「タマゲタケ!」
ボコッ…
タマゲタケ「タンマー!」
ヤーコン「!」
下っ端2「ケケッ、気づかなかったか? ご愁傷さ…」
ドオオオ!!!!!!
タマゲタケ「…?!」ボタッ
下っ端2「んなっ…」
ペンドラー「キシャアア!!!」
アーティ「虫なら僕の十八番だよぉん。気づかない訳無いよねぇ」
下っ端2「くぁっ…!」
下っ端3「じゃあ空中ならどうだァ!!」
アーティ「!?」
バササッ…
シンボラー「ボォー!!」
下っ端3「そんな虫けら、捻り潰しちまえ!!」
ビュオッ!!!!
下っ端3「? なんだ? 今、頭の上を何かが通り過ぎて…………って、通り過ぎて!?」
ウォーグル「ウォー!!」ビュオオオ!
フウロ「空中戦なら私だよね!
あれから頑張って進化したんだから! ウォーグル、“フリーフォール”!!」
ウォーグル「ウォー!」ガシイッ
シンボラー「!」
ビュオッ!!
ドダアアアアアアン!!!!!!!!!!
シンボラー「」ピクピク…
下っ端3「くぅっ!」
下っ端「つ、強い…これがイッシュのジムリーダーの実力か……!!」
最終更新:2011年08月07日 20:59