シルバー「そのワタッコが長けているのはスピードだな。
風に乗って飛ぶからといって、どんな攻撃も必ず避けられるはずはない……避けるにはスピードも必要なんだ。
だからこそ、スピードに長けているそのワタッコは攻撃を避けられる」

律「…」

シルバー「ならばっ、ワタッコよりも素早いポケモンの攻撃なら避けられない! ニューラ!!」ボム!

ニューラ「ニュー!」

律「! ニューラ…!」

シルバー「ついでに言うと、タイプ相性的にも分が悪いな」

ウィング「ワタ…」

シルバー「“こおりのつぶて”だ!」

ニューラ「ニュー!!」ババババッ!

ウィング「!!」

律「ウィン…」

ドダダダッ!!!!!

ウィング「ワター!?」

律「ウィング…!」

シルバー「予想的中だな。ニューラの攻撃なら当てられる!」

シルバー「ニューラ、“こごえるかぜ”!」

ニューラ「ニュラァアッ!!」

ビュオオオッ!!!!!

律(! まずい…っ!)

律「ウィングっ! “ぎんいろのかぜ”だ!」

ウィング「ワタッ……、ワター!!」ビュウッ!

シルバー「無駄だ! “こごえるかぜ”で追え!」

ビュオオオッ!!!!!!

ウィング「…!!」

ギュワアンッ!

ウィング「…ワター!?」ドシャアン!

律「ウィング!」

ウィング「ワタ~…」ガクッ

律「…!」

シルバー「これも予想通りだったな。
風に乗って飛ぶのなら、相手の繰り出す風にも乗ってしまうんだ」

律「…ありがとうウィング、休んでてくれ」シュウウッ

シルバー「どうする?」

律「…どうする、って何がだ?」

シルバー「恐らくあんたの残りの手持ちには、ニューラのスピードに敵うポケモンなんていないだろう。
スピードについてこれなきゃ、バトルにならないからな。だから、どうするって聞いているんだ。このまま続けるか、降参するか…」

律「…へっ。何言ってんだ。今さら降参なんてするかよ」

シルバー「だろうな」

律「それにバトルにならない、って…本気で言ってんのか?」

シルバー「……?」

律「ニューラを見てみろよ」

ニューラ「ニュ…」ビリッ…

シルバー「! どうした…!?」

律「ウィングの“わたほうし”だよ」

シルバー「“わたほうし”…? だが…」

律「ああ、ただの“わたほうし”じゃない。ワタッコってポケモンは季節風に流されて世界を一周する……その風と一緒に“ほうし”も流されてくるんだ。麻痺、毒、眠り…状態異常を司る“ほうし”が。
ワタッコの“わたほうし”の正体はそれだ」

シルバー「じゃあさっきの“わたほうし”は状態異常にする特殊なものだったのか!」

ニューラ「ニュゥ…」ビリリッ…

シルバー「麻痺、か…。くそ……」

律「これでニューラのスピードは封じたぜ! いけ、スカイ!」ボム!

スカイ「トニョーロ!」

律「“ハイパーボイス”!」

スカイ「トニョーロー!!」グオオオン!

シルバー「! …ニューラ、“こうそくいどう”でかわせ!」

ニューラ「ニュ…」ビリッ!

ニューラ「…ッ!」

グオオオン!!!!

ニューラ「ニュー!?」

シルバー「ニューラ!」

律「いいぜ、スカイ! その調子でガンガン“ハイパーボイス”だ!」

スカイ「トニョーロー!!」グオオオン!

ニューラ「ニュー…」ピリピリッ……

シルバー「…っ」

シルバー(このままじゃあ……だが、もう……)

律「…どうしたんだ、シルバー」

シルバー「!」

律「せっかく久しぶりにこうしてバトルしてるんだ。楽しませてくれよ。
今はプラズマ団とか英雄とかは関係ない……トレーナーとトレーナーの真剣勝負だ!」

律「…お前、前に言ってたよな? 『ニューラは手持ちで一番信頼しているポケモン』だって。ならニューラもそうなんじゃないのか? お前を信頼しているんじゃないのか、だからまだ倒れてないんだろ! ニューラが踏ん張ってるのに、トレーナーのお前がそこで諦めるのかよ!?」

シルバー「……!」

ニューラ「…ニュ、ウ……!」

シルバー(ニューラ…)

シルバー「……くっ! ニューラ、“ふぶき”だ!!」

ニューラ「!」

シルバー「頑張れ、負けるな!」

ニューラ「…ニュー!」ニコッ

ニューラ「ニュウウウ!!!」ゴオッ…

ビュオオオオオオッ!!!!!

スカイ「…!」

律「“ハイパーボイス”で対抗しろ!」

スカイ「トニョーロ!!」グオオオン!

ドオオオオオオオン!!!!!!!!


……シュウウッ

スタッ

ニューラ「……」

スカイ「……」

律「技の威力は互角、か…」

シルバー「なら、トレーナーの判断が勝負を決めるな」

律「!」

シルバー「俺とニューラの絆を見せてやる!」

律「へへ、面白いじゃねえか。私とスカイだって負けないぜ!」

律「スカイ、“ハイドロポンプ”!」

スカイ「トニョーロ!」ブシャアアッ!

シルバー「“つめとぎ”だ!」

ニューラ「ニュー!」シャキンッ

バシャアッ…!

スカイ「ニョロッ!?」

律「弾かれた…!」

シルバー「“つめとぎ”でピカピカになった爪は水をも弾く。そしてそれだけじゃない!」

律「パワーが上がって、技が当たりやすくなるんだったか…」

シルバー「そうだ。そしてその“するどいツメ”が引き起こすのは…!」

ニューラ「ニュー!」ダッ!

シルバー「進化だッ!!」

ピカッ!

「マニュー!」

律「あのポケモンは…!」ピッ

ポケモン図鑑『マニューラ、かぎづめポケモン
しんかして さらに ずるがしこくなり ツメで いしに サインをつけて コミュニケーションを はかっている。』

律「マニューラ…!」

シルバー「“つじぎり”だぁッ!!」

マニューラ「マニュー!」シャキンッ

律「! スカイっ!」

スカイ「ニョロ…!」

ザキイイッ!!!!!

スカイ「…、」

バタンッ!

律「スカイ…っ。ありがとう、戻ってくれ」シュウウッ

マニューラ「…ッ」ビリッ…

シルバー「! 流石に限界か……いや、よくやってくれた」シュウウッ

律「…」

シルバー「いいな…」

律「え…?」

シルバー「あんたとのバトルは楽しいよ。あんたが言ったみたいに、英雄を決める勝負とか、忘れるくらいにな」

律「シルバー…」

律「……一つ、聞かせてくれ」

シルバー「なんだ?」

律「もし、この勝負でお前が負けて英雄になれなかったら…どうするんだ?」

シルバー「……俺は、構わない。人とポケモンが共に暮らす世界を否定する気はない。
…だがNは違う。あいつは幼い俺が勘違いした理想…『人とポケモンが一緒にいることが悪いことだという世界』によって作られた。ここであいつと俺が英雄になれなかったら、あいつは生きる意味を失うんだ…」

シルバー「だから、負けられない」

律「…それが、世界を巻き込むことでもかよ」

シルバー「ああ。あいつのためなら、今の世界だって……ポケモンだって! 全部を捨てる!!」

律「…分かった。サンキューな、答えてくれて」

シルバー「ふっ。…だが今は」

律「へへ…、ああ! このバトルを楽しもうぜ!」

ボム!

ランス「ニドー!」

リングマ「グマー!」

律「まずは小技で攻めろ! “みだれづき”だ!」

ランス「ニドー!」

ドドドドドド!!!!!

リングマ「グ、マー…!」ジリッ…

律「今だ! “メガホーン”!!」

ランス「ニドー!!」ギュオッ!

リングマ「…!」

シルバー「角に触れるな! 肩を掴んで押さえろ!!」

リングマ「グマァーッ!!」ガシッ!

ランス「!」

ギチッ…!

ランス「ニドッ…!?」

律「止まった…!」

シルバー「“カウンター”!」

リングマ「グマーッ!!」ブンッ!

ドオオオオオン!!!!!

ランス「ニド…ッ!」

律「ランスっ!」

シルバー「一気に畳み掛けろ! “きりさく”!!」

リングマ「グマ!」ジャギンッ

律「ッ! “だいちのちから”だ!」

ランス「ニド…!」ギンッ!

ゴゴゴゴゴゴ………!!!!

リングマ「!」

シルバー「ちっ……後退しろ!」

ゴオオオオオオオン!!!!!!!!!!


シュウウッ……

リングマ「…」ギロッ

ランス「…っ」ゼエゼエ…

律(……、強い…!)

シルバー「…流石だな」

律「…?」

ガクッ!

リングマ「グ、マ…っ」ハアハア…

律「…!」

シルバー「“だいちのちから”…完全に避けるのは無理だったか」

律「…へっ」

律「そういえば、最初にお前とバトルした時もこの二匹で戦ったっけ…」

シルバー「……。あれがすべての始まりだったな。出来ればあの頃に戻りたいよ」

シルバー「ふっ、なんてな。
…リングマ! “ばかぢから”!!」

リングマ「グマーッ!!」ゴウッ…

ギュアアアアアアアッ!!!!!

律「“シャドーボール”で跳ね返せ!」

ランス「ニドー!!」ギュンッ!

パアアアン!!!

リングマ「…!?」

シルバー「なに…!」

律「“とっしん”だ!」

ランス「ニドー!」ダッ!

シルバー「“すてみタックル”で迎え撃て!」

リングマ「グマー!」ダッ!

ランス「ニドォーッ!!!」

リングマ「グマァーッ!!」

ズダアアアアアアアンッ!!!!!!!!!!!!

ランス「…」

リングマ「…」

グラッ……

バタアンッ!

律シルバー「…!!」


「「相打ち…!!」」


律「…ランス、ありがとう」シュウウッ

シルバー「よくやった、リングマ」シュウウッ

律「…さて、残るはあと一匹か」

シルバー「…」カチャ

…ボム!

ギャラドス「ギャラァ!」

キラアン!

律「…待ってたぞ、赤いギャラドス! やっぱり最後の一匹はそいつか!」

律「頼んだぜ、ヒート!」ボム!

ヒート「ヒヒーン!」

シルバー「…ギャロップ……」

律「シルバー、お前ならこの意味…分かるだろ?」

シルバー「ギャラドスとギャロップ……。共にロケット団に無理やり進化させられたポケモンか」

律「ああ、そうだ。サキに注射をさされてヒートは進化させられた……それで私が落ち込んでいるところを、お前のギャラドスの戦いぶりを見て…立ち直れたんだ」

律「今度はこのバトルでお前を救う! ヒートで勝って、救い出してやる! この世界も、お前とNも!!」

シルバー(……っ!)

…ギリッ……!

シルバー「やれる、ものならやってみろ…。水タイプのギャラドスと炎タイプのギャロップじゃあ勝負にもならないぞ」

律「へっ。そんなもの、やってみなくちゃ分からない!」

シルバー「言っていろ! ギャラドス、“ハイドロポンプ”!!」

ギャラドス「ギャラァ!!」ブシャアアアアッ!

ヒート「!!」

バシャアッ!!!!!!

律(しまった…! 水技を正面から受けたら…)

ゴオオオッ!!!!!!!!!

ヒート「ヒヒーン!!!」

律「! ヒート…」

ヒート「ヒヒン!」

律「…そうだよな。今さっきヒートで勝つって言ったのに、なんてことを考えてたんだ、私は……」

律「…よし。いくぜ、ヒート! もう大丈夫だ。お前を信じて……」

ヒート「ヒヒーン!!!」ゴオオオオオオッ!

律「……ヒート?」

ヒート「ヒヒン!」

律「…! まさか、新しい技を覚えたのか…?」

ヒート「ヒン!」コクッ

律「…! 私もいない間、技の練習をしてたのか…」

律「……その技を使えば、勝てるのか? ギャラドスに」

ヒート「ヒヒン!」コクッ

律「…分かった。今度こそ言わせてもらうぜ!
信じてるぞ、ヒート!!」

ヒート「ヒヒーン!」ダッ!

律「“れんごく”だぁあああッ!!!」

ヒート「ヒヒーーーンッッ!!!!」

ゴオオオオオオッ!!!!!!!!!!!

シルバー「…面白い」

シルバー「ギャラドス、“はかいこうせん”だぁあああッ!!!」

ギャラドス「ギャラァアアーッ!!!!」カッ!

ドギュウウウウウウッ!!!!!!!!!!!!


ドガアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!


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最終更新:2011年08月07日 21:11