………
……
…
《Nの部屋》
唯「ブイ太、おねがい!」ボム!
ブイ太「シャワー!」
N「オタマロ、続いて頼むよ」
オタマロ「マロロ~」
唯「ブイ太、真上に“ハイドロポンプ”!」
ブイ太「シャワー!」バシャアアッ!
N「なにを…?」
唯「“とける”!」
ブイ太「…」シュンッ…
オタマロ「っ!」
N「消えた…!?」
唯「あわはきポケモン、シャワーズは身体が水分子に似た成分で構成されているの。だから水に溶けて、姿を消すことができるらしいよ! 理屈はよく分からないけどねっ」
シュウウ……
N「…」
N「…すごいね。水に溶けて姿を消すなんて……」
N「でも、完全に姿を消してはいない…よね?」
オタマロ「マロロ~!」
N「オタマロがそう言っているんだ。水タイプのオタマロだからこそ、感じられる何か…。そう、シャワーズは『水に溶けている』!」
N「姿を消しているのではなく、水に姿を変えているだけ。ならば、水を攻撃すればいい!
オタマロ、“ちょうおんぱ”!!」
唯「……!」
オタマロ「マロロ~!」ウィイン!
…バシャアアンッ!
N「……」
パシャッ……、
N「…!?」
ブイ太(液状)「シャワー!」
「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」
N「分裂した…!?」
唯「液体に音で攻撃してもダメージはないからね。むしろ、好都合!」
「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」
オタマロ「マロロ~!?」オロオロ
N「落ち着くんだ、オタマロ! 所詮は水さ、“バブルこうせん”で蹴散らせ!」
オタマロ「マロー!」ブシャアアッ!
ブクブクブク…
「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」
N「な……、膨張した!?」
唯「ブイ太の特性“ちょすい”で水を取り込んだんだよ!」
N「…! 音波も水も効かないとなると、オタマロは……。いや…」
N「やはり所詮はただの水だ! その状態ではろくな技も出せないはず!」
唯「…うん。確かに液状じゃ技を出せないよ。でもね……特性は?」
N「!」
唯「特性はさっきの通り、そのまま効果は続く! ブイ太!」
「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」
オタマロ「マロロ~!?」
N「オタマロを取り囲んで…」
「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」
バッ!
パシャアアアンッ!!!!!
オタマロ「」ドサッ
N「なにが……っ!」
唯「“ちょすい”でオタマロちゃんの体の水分を吸い取ったの」
N「水分を…?」
N「…ふふ。君の特異な戦術には驚かされるよ」
パシュッ!
N「ありがとう、僕のトモダチ」
N「そして、次は君だ! ツンベアー!」ボム!
ツンベアー「ベアー!」
N「水が相手なら凍らせてしまえばいい! “れいとうビーム”だ!!」
ツンベアー「ベアー!!」ビュオオオッ
唯「“10まんボルト”!!」
バリイイッ!!!!!!
ツンベアー「…!?」
N「馬鹿な…、電気技だって!?」
メリ太「モコー!!」
唯「いくよ、メリ太!」
N「交替したのか…!」
メリ太「モコー…!」バリバリッ……
N「…! そのパワー…!!」
唯「メリ太は体に流れる“せいでんき”を利用して電気技を放つの。その威力は膨大だよ!」
メリ太「モコー…!!!」バチバチバチイッ!
唯「“ほうでん”!!」
バチイイイッ!!!!!!!
N「…ッ! ツンベアー、氷柱を作ってガードするんだ!」
ツンベアー「ベ、ベアー!」バッ
カキイン!
N「これでツンベアーに攻撃は届かない!!」
唯「そうだね……でも、それはメリ太だけの力ならの話!」
ピチャ…
N「! 水……、そうか! シャワーズの……」
唯「ブイ太の力を借りて、あなたのツンベアーちゃんに届かせる!」
バチバチバチイ…!!!!!
N「水の道にそって…!?」
バチバチバチイイイッ!!!!!!!!
ツンベアー「ベアー!?」
ピシャアアアアアンッ!!!!!!!!!!
ツンベアー「」バタンッ
N「ツンベアー!」
唯「メリ太、よくやったよ~!」スリスリ
メリ太「モコ~♪」
バチッ!
唯「やっぱし、いだいっ!」
N「く……、戻ってくれツンベアー…」パシュッ
N(どう、すれば……勝てない? 僕は勝てないのか? この子に…)
N(僕が負けたらどうなる? 僕の存在価値が……いや、そんなことのためじゃない。シルバーは僕のために戦ってくれている。なら、簡単だ……)
N「僕は……」
唯「!」
N「シルバーのため、僕は負けるわけにはいかないんだあああッ!!!」ボム!
チョロネコ「ニャー!」ダッ
唯「…メリ太!」
メリ太「モコー!」
N「“つじぎり”!!」
ザキイイッ!!!!!
メリ太「モコ!?」ユラッ…
バタアンッ!
唯「…!」
N「……これで、君も残り一匹。まだ勝負は分からない!」
N「……」
唯「…ううん」
N「…?」
唯「…もう、終わりだよ」
バシャアアアアッ!!!!!
N「! なにっ!?」
ブイ太「シャワー!」バッ
N「シャワーズ…!?」
唯「ブイ太、“ハイドロポンプ”!!」
ブイ太「シャワー!!」ブシャアアアアッ
チョロネコ「っ!」
バシャアアアアンッ!!!!!!
…ドシャアアッ!
チョロネコ「ニャァ…」ガクッ
N「チョ、ロネコ……」
ブイ太「…」スタッ
唯「言ったでしょ? メリ太の力だけじゃない、って」
N「! あの水はシャワーズ本体だったのか…」
ブイ太「シャワー…」ゼエゼエ
N「電気技を受けて満身創痍といった所だね……その状態で戦えたのか」
N「……僕の負けだ」
N「君の真実が僕の理想に勝った……。いや、強さという理想……君は真実と理想、その両方を持っていた…。だから、僕なんかが勝てるはずもなかった、か……」
唯「…そんな立派なものじゃないよ」
N「…」
唯「夢、だよ」
N「……夢?」
唯「うん。誰でも持つことができる…それでいて、その人の真実と理想でもあるもの……それが夢」
N「そんな…夢なんて僕にも……」
N「…いや僕の持っているものは理想であって、夢じゃない……ただの…願望だ……」
唯「……」
N「…夢、か。それなら彼女も持っているんだろうね」
唯「へ…?」
N「
田井中律さ。今、勝負が着いたみたいだ。僕はシルバーの気持ちなら離れていても何となく感じ取れる……シルバーが負けたみたいだ」
唯「じゃありっちゃんが…!」
N「ああ。……これで本当に終わりかな」
唯「Nくん…」
N「僕とシルバーは英雄になれなかった…。これで僕の存在価値……シルバーの理想……すべてが………崩れ落ちた!!
もう…おしまいだ……」
唯「そんなことない……」
N「え……?」
唯「そんなことないよっ!」
N「…!」
唯「まだ終わってない。
今、Nくんの心には誰が映ってるの? その人の心には誰が映ってるの…?
その人のためにできることは何だったの? 英雄になること、理想を叶えること? …違うよ」
唯「もっと簡単なことだよ! 理想だし願いだし、たった一つの真実!」
N「…ぼ、くは……」
唯「もう一度、言うよ…。夢は誰にでも持てるの」
………
……
…
シュウウッ……
ギャラドス「」ガクッ
シルバー「…! 負けた……?」
律「…」
シルバー「くそ…そんな……これじゃあ、Nは……Nの理想は……」
律「シルバー…」
ザッザッ…
シルバー「!」
N「…シルバー」
シルバー「N…!?」
唯「おっす、りっちゃん!」
律「唯っ! Nもいるってことは…勝ったのか?」
唯「うん」
律「…てか、なんでそんなお気楽なんだ」
唯「りっちゃん、今はね…」
律「ん?」
チラッ
律「…ああ、そうだな。りっちゃんは空気の読める子だぜ!」
唯「えへへ~」
N「……」
シルバー「……」
N「…シルバー、」
N「話があるんだ」
シルバー「…す、すまない。俺は負けた……もう俺達は……」
N「…いいんだ」
シルバー「え…?」
N「僕、気づいたんだ。やっと……」
N「シルバーの理想で作られた僕。生まれた直後は心はそれでいっぱいだった。なにも考えず、感じず…ただその理想だけを心で描いていた……。
そんな僕が、何故ここまでの自我を持ったかは分からない」
N「でも一つだけ、確かなものがあるんだ。彼女に言われて気づいたよ。
僕にとって理想や真実なんてどうでもいい…たった一つの願い、たった一つの…夢。シルバー、君がいればそれでよかったんだよ」
シルバー「…!」
N「生まれた直後に君は傍にいなかった…だから心がどこかポッカリと空いているような感覚がしていた……。君に再会して、何かが変わったんだろう。
そして思ったんだ。僕には君が必要だって。だから君のために戦って、英雄になろうとしていた……」
N「本当に今更だけど、言わせてほしい…。
シルバー、僕は君といつまでも一緒にいたい」
シルバー「……」
シルバー「…ふ。突然なにを言い出すかと思ったら……」
シルバー「当たり前だろ」
N「!」
シルバー「俺もお前のために戦っていた…。理由なんていらない。俺達は一心同体なんだからな」
N「…シルバー」
シルバー「…本当に、今更で笑っちまうな。なんでもっと早く気づかなかったんだろうな……」
…ザッ!
シルバー「…?」
レシラム「…」
シルバー「…レシラム?」
ザッ!
ゼクロム「…」
N「ゼクロム…?」
レシラム「モエルーワ!!」
ゼクロム「バリバリダー!!」
シルバー「な、なんだ…?」
N「なにが…」
律「二人の理想と真実を称えてんじゃないのか?」
シルバー「!」
唯「二人のこと、喜んでるのかもねえ」
N「……なんで、僕達は負けたのに…」
律「勝ち負けだけが英雄の基準ってわけじゃないみたいだな」
唯「二人の夢が英雄として十分だったんだよ!」
N「…」
シルバー「…」
ゼクロム「バリバリダー!」
レシラム「モエルーワ!」
律「新しい二人の英雄の誕生だな!」
唯「おめでとう、Nくん! シルバーくん!」
N「……」
シルバー「…N」
N「ああ、シルバー…」
バアアアンッ!
「そうはいきませんよ!!!」
最終更新:2011年08月07日 21:12