次の日!!
放課後
澪「な、何だってー!?」
唯「そうなんだよ、これを買えばタレ目になれるよ!!」
澪「ちょっと、調べてみる」
おもむろに携帯を取り出し、ネットを使い調べる
紬「でもそんな夢みたいな商品があるなんてね」
律「なんかちょっと怪しくないか?」
梓「律先輩、通販の力を甘く見てはいけませんよ」
澪「あった!! これだ!!」
律「どれどれちょっと見せてみろよ」
澪「ちょ、ちょっと律!!」
律「えっとなになに……」
「『オメメサガール』をご使用になると、ツリ目をタレ目にすることができます。
使い方は簡単。寝る前に目のクマが出来るあたりに
この塗り薬『オメメサガール』を塗るだけ。
塗った次の日にはタレ目になっています。
なぜタレ目に出来るかというとまず本来ツリ目は重力に逆らっています。
これは自然の摂理に逆らった反逆者です。
しかし『オメメサガール』に含まれる成分には重力をより援助する働きを持ちます。
それによって重力に逆らえなくなり、タレ目になるという寸法です。
現在、注文を受付中ですが人気商品なので受け付けはお早めにお願いします」
律「……だって」
澪「説得力あるな」
律「どこがだよ!!」
律「胡散臭くてしょうがないんですが」
紬「そういえば値段はいくらなの?」
澪「そういえばそうだな」
商品説明の続きを読んでみる
澪「!!!」
紬「どうしたの?」
澪「お、おひとつ、きゅ、9万8000円だって……」
律「高っ!!」
梓「ほぼ10万じゃないですか」
澪「どうしよう、欲しいけどこんなに高いと買えないよ」
律「ぼったくりじゃないのか?」
唯「でもでも、ビフォー、アフターの写真はちゃんと効果出てたよ」
律(写真加工とかでなんとかなりそうだけどな)
澪「うぅ……」
紬「澪ちゃん……」
律「あきらめなよ」
澪「……」シュン
落ち込む澪のツリ上がった目には涙がたまり始めた
律「か、帰りに喫茶店でも寄って気分転換しようぜ?」
梓「そういえばよく行く喫茶店、秋の限定メニュー出てるかも」
唯「わたし、柿のパフェがいい!!」
梓「そんなのありますかね」
紬「それじゃ、行きましょう」
律「ほら、澪も」
澪「う、うん」
紬(そういえば、練習してないけど……)
澪の方を見る紬
紬(今日はいいよね)
~~~~~~~~~~~~
店員「ご注文はお決まりですか?」
唯「柿のパフェひとつ!!」
梓「モンブランお願いします」
律「リンゴのタルトを」
澪「それじゃあ、チーズケーキで」
紬「私はミートソーススパゲッティをください」
店員「かしこまりました」
唯「あったね、柿パフェ」
梓「意外と守備範囲が広いんですね」
律「まるで梓みたいだな」
梓「どういうことです?」
律「いや、べつに~」
梓「はぐらかさないでください」
紬「あらあら」
ワイワイガヤガヤ――
泥棒1「ったくなんだよ、向こうの席。ガキどもがうるさくてしょーがねーな」
泥棒2「全くで」
泥棒2「焼きでも入れてきましょうか?」
泥棒1「よせ、よせ。あんな青臭いの、焼いても食えねぇよ」
泥棒1「それよりも、だ」
泥棒1「今回の報酬を折半しようぜ」
泥棒2「しかしさすが兄貴ですね。コンビニやスーパーではなく神社の賽銭を狙うとは」
泥棒1「まあな。コンビニやスーパーで脅して金を得れば、必ず顔が見られる」
泥棒1「おまけに監視カメラと防犯カラーボールなどの対策付きだ」
泥棒1「それだと高確率で足がついてしまう」
泥棒1「だが、神社の賽銭箱には監視カメラもなければ深夜だから人もいない」
泥棒1「まさにこれを盗まずして何盗むという感じよ」
足を組み、優雅にコーヒーを啜る
泥棒2「しかし、なんかバチ当たりな気が……」
泥棒1「あのなぁ、これはバチあたりどころか感謝してほしいくらいなんだぜ」
泥棒2「?」
泥棒1「店などで金を得れば、そこの主人や店長が困るだろ?」
泥棒2「はい」
泥棒1「だが、賽銭というのは神様にあげた金だ」
泥棒1「神様は金を使うか?」
泥棒2「いや、聞いたことねぇ」
泥棒1「だろ? 神様は金なんかなくても困らないんだよ」
泥棒1「そういった意味では今回のこれは神様にしか迷惑をかけてねぇ」
泥棒1「しかし、神様は金を使わない。だったら必要としている俺たちが代わりに使っても文句はねえだろ?」
泥棒2「た、確かに」
泥棒1「少なくても人には迷惑をかけてねぇんだから問題ねぇ」
泥棒1「さぁ、早く折半しようぜ。両替するのも一苦労だったしよ」
泥棒2「そうっすね」
そういって泥棒達が手に持っている茶色い封筒を開けようとした時――
カランカラン――
店員「いらっしゃいませー」
警察「こんにちは。仕事中悪いのだが、聞き込み捜査に協力してほしい」
泥棒1「げっ、警察!?」
泥棒2「ど、どうします兄貴!?」
警察「近くの銀行で男の二人組が大量の小銭を両替に来たという連絡が入ってな」
警察「最近起こった賽銭泥棒と関連があると見ているんだが……」
店員「はぁ……」
泥棒1「気付かれないうちに逃げるぞ」
泥棒2「えっ、会計はどうするんです?」
泥棒1「馬鹿野郎、それどころじゃねぇよ」
泥棒1「姿勢を低くして、こっそり店からでるぞ」
泥棒2「わ、わかりやした」
店員「あ、あれ」
警察「どうしました?」
店員「あそこのテーブルにいた二人組のお客様がいなくなっている」
警察「何!? おそらくそいつだ!!」
警察「二人組の特徴を教えてくれ、今から追う」
店員「は、はい」
外――
泥棒1「はぁ、はぁ、ここまで逃げれば大丈夫だろ」
泥棒2「そ、そうっすね」
泥棒1「折半はどっか違うところで仕切り直しだな」
泥棒2「あっーー!!!」
泥棒1「ど、どうしたでかい声出しやがって!?」
泥棒2「忘れてきた……」
泥棒1「おい、まさか……」
泥棒2「今回の全報酬が入った茶封筒を喫茶店に……」
泥棒1「ば、ばか、馬鹿野郎おぉぉぉぉおぉ!!!!」
泥棒1「冗談は顔だけにしろよっ!! 干し柿みたいな顔しやがって!!!」
泥棒2「顔は関係ないでしょーが!! あんただって顔面エラーじゃないかよ!!!」
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる
泥棒1「この音…… やべぇ、近くまで来てる!! 逃げんぞ!!」
泥棒2「待ってくれぇ、もう走れない……」
泥棒1「走れよ、足には自信あるんだろ?」
泥棒2「あぁ、男の割には美脚だとは思わないか?」
泥棒1「……」
泥棒2「あっ、ちょっ、ちょっと、待って、待って下せぇ!!!」
喫茶店に戻り――
梓「さっきの警察は何だったんでしょうね?」
唯「さぁ?」
律「きっとパトロールかなんかだろ」
紬「もうお外真っ暗ね」
唯「最近はすぐに暗くなるからねー」
律「そろそろ帰るかぁ」
5人が店を出ようと会計をする
澪(あれ? あの席誰もいないのに茶封筒がある……)
澪(忘れものかな)
封筒を拾い、中を確かめる
澪(えっ!?)
律「おい澪、何やってるんだよ。置いてくぞ」
澪「ちょ、ちょっと待って」
会計を済まし、一人遅れて店を出る
唯「澪ちゃん、遅いよどうしたの?」
澪「いや、忘れ物を拾ってさ」
梓「何ですか? その茶封筒?」
澪「あの喫茶店のテーブルに置いてあったんだ」
紬「中には何が入ってるの?」
澪「お、お金」
律「マジかよ!? いくらだ?」
澪「……」チラッ
律「……?」
澪「9000円だった」
梓「微妙な額ですね」
律「よし、割る5はいくらだ?」
紬「りっちゃん」
律「冗談だって」
唯「やっぱりお店の人か交番に届けるのがいいんじゃないかな?」
律「でも、今日は遅いし、明日近くの交番に届ければいいんじゃないか?」
律「金額もそこまで大きくないし」
梓「そうですね」
律「じゃあ、澪明日まで保管よろしくな。ついでに朝交番に届けておいてくれ」
澪「えっ、私が全部管理するのか?」
律「あたりまえだろー 拾った張本人なんだから」
澪「確かに、そうだけどさ」
梓「澪先輩なら、どこぞの先輩より安心ですね」
律「それは誰の事かな? あ~ずさちゃぁん!?」
梓「律先輩とは一言も言ってませんよ」
紬「うふふ、二人とも喧嘩はダメよ」
こうして皆それぞれ帰宅していった
その日の深夜
鈴虫などの虫たちも眠る真夜中
聞こえる音はカチカチと時計の針が刻む音だけ
その音と同時に心臓が高鳴っている女の子が一人……
澪「眠れない」ドキドキ
澪「気になるんだ……」
彼女の頭にはある商品が常によぎる
澪「やっぱり『オメメサガール』が欲しい……」
澪「けどあんな高価なもの買えない。買えないよ」
布団を被り、邪念を払おうとする澪
しかし、本当は買えないわけではない
澪「……」
ベットから這い上がり
テーブルの上にある喫茶店で拾った茶封筒を開ける
澪「1、2、3……」
改めて封筒のお金を数える
なんとその金額9万8000円にのぼる
澪「やっぱり9万8000円ちょうどだ」
澪「『オメメサガール』と同じ金額……」
澪「あの時は9000円なんて言っていたけど」
澪「本当は買える」
澪「あの時、本当の値段を言ってしまったら
なぜか自分の手元に封筒が来ない気がしてつい嘘をついてしまった……」
澪「私って悪い子だよね」
澪「でもこのお金を使えば、買えるんだよな……」
封筒を見つめる澪
澪「……やっぱりダメだ。人のお金を勝手に使うなんて犯罪だよ」
澪「あぁ、もう色々考えたら余計寝むれなくなってきた。テレビでも見て気を間際らそう」
テレビの電源を入れる
そこには深夜アニメが流れており
ツリ目の主人公と中年のおじさんの会話が描かれていた
澪「こんな時間にアニメなんてやっているんだ」
物珍しさからまじまじと見つめる
「おっちゃん!! どうしたんだよこの大金は!?」
「金庫から盗んできた」
「おい、それって犯罪じゃ……」
「目を覚ませ!! そんな綺麗事をいっている場合か!?」
「えっ!?」
「いいか!? 俺たちは勝たなきゃいけないんだ!! そんな時に金が足りないなんて
事になってみろ? 軍資金は多いことに越したことはないだろうが!!」
「……確かにおっちゃんの言う通りだ。金があるんだったらそりゃ使うよな」
「だろ!? いいか経緯はどうであれ、今この現実に俺たちは大金を持っている
これは運命なんだよ」
「運命?」
「そうさ。これは使ってくれという神が示してくれた暗示さ」
「なるほど」
「さぁ、勝負の時だ。行くぞ」
「あぁ」
澪「……」
澪「運命、なのかな……」
澪「今この時にお金が足りているっていうのは」
澪「神様が使えっていう暗示」
澪「神様が使えって言うなら、従わないとね……」
彼女の感情を揺さぶるアニメーション
そして揺さぶられた先は携帯を握り――
澪「もしもし、注文をしたいんですけど」
「お電話ありがとうございます。ではお名前と住所、振込先の方の確認を……」
最終更新:2011年08月07日 22:44