件名 さわ子先生
本文 えっと、今日は重大発表をしようと思います
私、今まで好きな人の名前って書いてなかったよね
なんでかっていうと、その人は先生もよく知っている人だからなんだ~
そう。私が好きな……愛している人は、あずにゃんなんだよ
女の子なのに、変だよね
さわ子先生もそう思うでしょ?女の子が好きだなんて……普通、気持ち悪いよね
だからね、この気持ちを心にしまっておこうと思うんだ
だって、あずにゃんにとって私は『一人の先輩』でしかないんだろうし
それに、抱き着いた時も必ず「やめてください」って言われるし……
あずにゃんに告白しても、多分、驚いた顔をして、不快な顔をして
……そしてフラれて、あずにゃんと私の関係がギクシャクして
軽音部の雰囲気が悪くなって、私かあずにゃん……最悪両方が辞めざるをえなくなるだろうから
私、自分のせいでそんなふうになるの、嫌だから
だから……告白はしないで今までのままでいようと思う
さわ子先生、今まで色々と相談にのってくれて、ありがとう
そして、ゴメンナサイ
それじゃ、また明日、学校で
P.S. へんてこりんな文章になっちゃってごめんね
「えっと……という事は、梓と唯先輩は……」
「両想いだった。だけど……お姉ちゃんは……」
「今までの関係、そして軽音部の事を思って告白しなかったのよね……」
「……全く、そんな事で私達の関係が悪くなる訳無いだろ」
「……澪ちゃん。本当にそう思う?絶対にそうだって言い切れる?」
「……フラれた直後は唯が書いたようにギクシャクするかもしれませんが……」
「……梓ちゃんがその雰囲気のまま軽音部で今までみたいにやっていけると思う?」
「それは……多分、無理、ですね」
「だからね、唯ちゃんは自ら身を引く事を決めたのよ」
「そうだったのか……」
「あ、だからさわ子先生が梓ちゃんのメールを見て……」
「これなら二人は大丈夫だって思ったから、あのメールをみんなにも見せたって訳」
「むぅ……今日のさわちゃんはいつになく先生な感じですなぁ~」
「りっちゃん、それってどういう意味?」
「え~、だってさぁ、いつものさわちゃんだったら唯と梓が恋人になるのを見て『教え子に先を越された!』とか言いそうじゃん?」
「あのねぇ……一応私は何度か男性と付き合った事もあるのよ、それに……嬉しい事じゃない。教え子が二人も幸せになるんだから……」
「そっか……そうだよな、唯も梓も、ずっと辛かったんだもんな」
「田井中部長!お二人に一言お願いします!」
「うむ、では……二人とも!幸せになるんだぞー!!」
「律、ムギ、向こうには聞こえないから」
「あ、そうだった……っておいおい!」
「ひゃぁぁぁーーー、お姉ちゃんと梓ちゃんが……」
おやおや、これはこれは……若いって良いですねぇ~
「あのねぇ、ナレーターさん……まぁいいわ、それよりもちょっとお願いがあるんですけど」
なんですか?さわ子さん
「このマイクの声を向こうのスピーカーから出していただけますか?」
え?何でですか?そのままでも良いじゃないですか。
「良くないの。さ、早くして頂戴」
はぁ、わかりました。では……はい、オーケーですよ。
「……ゆーいーちゃん♪あーずさちゃん♪」
『『ふぇっっ!?』』
「恋人同士、あま~い雰囲気で居るのも良いけど……二人とも、何か忘れてない?」
『何か……?』
『あぁっっっっっ!!!!』
『ど、どうしたの?』
『唯先輩!……今、私達が、居るのは、何処ですか?』
『何処って……あぁぁぁぁっっっっっ!!!!!』
「思い出したかしら?」
『……という事は……』
『私達が話していた事も……』
「あぁ、それは大丈夫よ。映像だけで音声は届いていなかったから。……でも、そんなふうに言われると気になるわねぇ~」
『さわ子先生!それだけは!!』
『ごめんさわちゃん!それだけはほんっっとうに無理!』
「冗談よ、じょーだん。まぁ、それだけ慌てられると余計気にはなるけどね……ま、今回は自重しておくわ」
『ありがと!さわちゃん!!』
『ありがとうございます!!』
「……私……軽音部に入って……良かった……」
「……ムギ、何をシミジミと呟いてるんだ……?」
「りっちゃんと澪ちゃん、部員じゃ無いけど憂ちゃんと純ちゃん、そして唯ちゃんと梓ちゃんよ……ス・テ・キ……はふぅ……」
「……そか」
「うふふふ~、軽音部……サイコー!!」
「……おぉーい、ムギ~、帰ってこ~い」
「こ、これは……凄い……」
「……確か、相談事っていう設定、なんだよねぇ……」
「うぅ……み、見るんじゃなかった……」
「あら、どうしたの?三人共変な顔して……。あ!もしかしてメール見てたの?」
「あ、は、はい……」
「いやぁ、梓が書いたの以外ってどんなのかなぁ~って思って……」
「気になったから、純ちゃんと澪さんと一緒に見たんですけど……」
「……凄いでしょ」
「……かなり……凄い……ですね……」
「ほほぅ……澪が絶句する位凄いのか」
「ヒィィッッ!!りっ、律!!急に後ろから寄り掛かるなっっっっ!!!」
「別にいーじゃん。んで?その澪が絶句したメールってのはどれかなぁ~?」
「律先輩……恐らくほぼ全てです」
「何!?……ほぼ全て……だと?」
「件名だけで空のメールが殆どなんですけどね」
「本文の書いてあるメールが三十通位あって……その内容が……」
「ふーん……よっしゃ、ちょいと流し読みしてみるか!」
「りっちゃん……後悔しないでね……」
「そんな大袈裟な……あ、そうか。さわちゃんは一足先に見てるんだっけか……オッケー、気をつける。えーっと……」
本文 唯先輩かっこよすぎです!
本文 唯梓というよりYUIAZU
本文 ゆいにゃんペロペロ
本文 唯先輩!唯先輩!!
本文 中野唯も良いが、平沢梓も捨て難い
本文 唯先輩とチュッチュしたいよぉ~
本文 今日、唯先輩が私を見てくれた!!
本文 唯先輩があーんってしたら、私もあーんって返します!
本文 ひらさわゆい、私はこの六文字に全てを捧げられる!
本文 ゆいあずサイコー!!
本文 唯先輩の黒タイツクンカクンカ
本文 私達の歌を聞けぇぇぇーーー
本文 唯先輩は私が育てた
本文 唯先輩の御両親に感謝したい
本文 今日、唯先輩の布団に潜り込んだら脱ぎたてのパ
本文 待ち受けの唯先輩にキスをする事で私の一日が始まる
本文 着声は勿論唯先輩の『あずにゃ~ん』です
本文 唯先輩の中指チュパチュパ
本文 ゆいちゃんと呼ぶかゆいにゃんと呼ぶか、それが問題だ
本文 唯って呼んでみたい
本文 唯先輩のヘアピンが有ればそれだけで私は十回オ
本文 唯先輩を語るには一日じゃ少なすぎます
本文 私はアイスになりたい
本文 好きなジャンル?平沢唯以外の何があるの?
本文 唯先輩のトイレ&入浴シーンを盗撮したBDを手に入れた!
本文 唯先輩・・・ハァ・・・唯先輩・・・ンッ・・・ンァッ・・・
本文 あずにゃんにゃん!あずにゃんにゃん!
・
・
・
「さわちゃん……」
「ん?」
「……私が悪かった……」
『そういや和ちゃん遅いね~』
「まぁ、仕方ないんじゃないか?生徒会の引き継ぎが大変だって言ってたぞ」
「去年までと比べて生徒会の業務が増えたのよね~」
『へぇ~、そうなんだ~』
「まぁ、そのお陰で各部室にクーラーを入れたり出来たんだけどね。去年までだったら職員会議にすらかけられなかっただろうし」
『ふ~ん。……和ちゃん今年は大忙しだったんだねぇ』
「えぇ、その通りよ、唯。すみません、お待たせしました」
『あ、和ちゃ~ん!』
和さん、お待ちしておりました。
「ごめんなさい、引き継ぎが中々終わらなくて……」
『い~よい~よ、和ちゃんだって大変だったんだからさぁ~』
「ありがと。あ、そうだ。ナレーターさん」
はい、なんですか?
「もうすぐ七時ですけど、今日はまだ続けるんですか?」
おや、もうそんな時間ですか。えーっと、齋藤さんは居ますか?
「はい、ここに」
シナリオ的にも結構進んだので、今日はこれで終わりにしますか。
「そうですね」
では、今日はここまでという事で。皆さん、お疲れ様でした!
「「「「「「「『『お疲れ様でしたー!』』」」」」」」」
「……ってちょっとまったぁぁぁーーー!!!」
「ヒャッ……な、なんだよ律……いきなり大声出して……」
「ん?何でかって?それはだな、……えっとぉ~、そっのぉ~、なんとなくぅ?じこしゅちょぉー?みたいなぁ~」
「その喋り方は、や め ろっ!!!」
「アダァッ!!!」
……あの……もしかして、それだけのためにわざわざ叫んだんですか?
「まっさかぁ~、今のは軽いジョークだって」
はぁ、軽いジョーク……ですか。
「そうそう。んで、本題なんだけどさ……シナリオをちょっと手直ししてみないか?」
手直しですか?
「そう。って言ってもホントにちょびっとだけなんだけどな」
「それ面白そう!りっちゃん、何処を手直しするのかしら?」
「よくぞ聞いてくれた!えっとまずは……」
『あ、あのぉ……取り敢えずホテルに移動しませんか?』
「えぇ~?あずさぁ~なんでだよぉ~、別に良いじゃんかよぉ~」
『あの……その……ずっと重い衣装着ていたので……早く脱ぎたいな~って……』
「そうだよな、梓の衣装が一番重いんだもんな。律、私も早くホテルに戻ってシャワーを浴びたい。誰かさんのお陰で冷や汗いっぱいかいたからな」
「うぅ……その節は大変御迷惑をおかけいたしました……」
では、晩御飯の後位にホテルのロビーで手直しの件を話し合うってのはどうでしょう?
「確かに、その方がジックリと話せるな……。じゃぁ、それでお願いします」
では、皆様ホテルに戻りましょうか。
「「「「「「「『『はーい!』』」」」」」」」
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「はぁ~、美味しかったね~」
「そうですね~。私、ちょっと食べ過ぎちゃいました」
「私もだよ~。……はぁ、ゴロゴロしたいなぁ~」
「部屋に戻るまでの辛抱ですよ」
「ですよねー。……んー、じゃぁゴロゴロの代わりに……」
「代わりに?」
「あずにゃ~ん……むぎゅ~」
「にゃっ!?」
「代わりにあずにゃん分補給しま~す♪」
「な、何で代わりなのか意味がよくわからないんですけどっ!」
「んーと、私のリラックスタイムって感じかなぁ~」
「はぁ、リラックスタイムですか。……じゃぁ、仕方がありませんね。でも……特別、ですよ……」
「ありがと~。お礼にいーこいーこしてあげよう」
「ふみゅみゅぅぅぅ……」
「はぁ、バカップルですなぁ~」
「律先輩もそう思いますか?」
「そりゃ、誰だって思うっしょ。……あれをバカップルと呼ばずして何と呼ぶ」
「あの……、律さん、純ちゃん」
「ん?あぁ、憂ちゃんは流石にそうも思わないか」
「いえ、バカップルだと思いますけど……」
「おぅ……実の妹公認ですよ、律先輩」
「だな……」
「そんな事より、そろそろ始めませんか?もう八時半過ぎてますし」
「それもそうだな……、よし。お~い、そこのラブラブなお二人さん!こっちだぞ~」
「……ラブラブって……」
「いいじゃん、ラブラブで。幸せのおすそ分けをしてるって事で。ね♪」
「……そうですね」
「おーい、早く来いよぉー!」
「「はーい!」」
「さて、みんな揃ったな。それじゃ早速……とその前に、ナレーターさん」
「はい、なんですか?」
「もうこの先には誰の台本にも『個別指令』は書いて無いって思って良い?」
「えぇ、それで大丈夫ですよ。それで、律さんは何処を手直しした方が良いと思うんですか?」
「あぁ、その事なんだけど……このままじゃ確実にバッドエンドじゃん?」
「それは……そういった物語ですし……」
「でもさ、出来ればハッピーエンドの方が良くないか?私はそう思うんだけどな」
「確かに、りっちゃんの言う通りね。私もハッピーエンドの方が良いと思います!」
「成る程。ではこれをどうやってハッピーエンドに変えますか?」
「そうだぞ、律。ストーリーも結構進んでいるんだからあまり無茶は出来ないぞ」
「大丈夫、そこら辺はちゃーんと考えてあるからさ」
「では、何処を手直ししましょうか」
「えーっと、まずは……このシーンを……こんな感じにして……」
「……ほほぅ……それならば、この台詞もこんな感じにしますか?」
「おぉ!ナレーターさんナイスアイデア!」
「お褒めにあずかり恐悦至極です」
「んでもって次に……ここを……こんな演出で……こんな風に……こう」
「それは……時間との戦いですね。齋藤さん、どうですか?」
「そうですね……今夜いっぱい有れば大丈夫かと」
「ホントに!?齋藤さん、ありがとうございます!!」
「あ、じゃぁその次のシーンをこんな風にするのはどうかしら?」
「ムギも良いアイデア出すじゃないか~」
「あの、律先輩。私もアイデア出して良いですか?これだと翁と嫗が……」
「確かに、純ちゃんの言う通りだな……、んじゃぁどうしたい?」
「ここの台詞をですね……こんな……それで……こう。どうですか?」
「うんうん、良いんじゃないか?これならみんなハッピーエンドだし」
「ちょっと待ってよ律……これじゃ私だけバッドエンドよ」
「そっか……難しいなぁ、みんなハッピーエンドってのは……」
「大丈夫よ。私の台詞をこんな感じに……ほらね」
「おぉ!さっすが和!てかこんな台詞よく考えついたなぁ」
「みんなで話し合っているのを見たら、何となく、ね」
「あ、それじゃぁ私からも良い?最後なんだけどさ……」
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「フゥ……こんな感じで……大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うぞ。律、お疲れさん」
「いやいや、私は単にまとめただけだし」
「でも、これならみんながハッピーエンドになるわ~」
「本当ですね」
「りっちゃん隊長!ありがとうございます!!」
「……では、これで決定として宜しいですか?」
「私はオッケーだよん」
「皆さんも……宜しい……ですね。ではこれに沿って明日は進ませていただきます。あ、齋藤さん」
「はい。これより明日の準備に入らせていただきます」
「すみません、私の我が儘で御迷惑をおかけします」
「いえいえ、良いものを作るためならこの程度は大した事ありませんよ、律さん。では、失礼して作業に入らせていただきます」
「齋藤さん、お願いします。……ではこれで解散といたします……か?」
「あ、うん。それで良いんじゃないかな」
「それでは、明朝また。皆さんおやすみなさいませ」
「「「「「「「「「おやすみなさーい」」」」」」」」」
最終更新:2011年08月18日 20:35