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あーあー、てすてす、あーあー。
……いっちっごっパッフェが とっまーらないっ♪
うーん、もういっちょいきますか!!!
カーレーちょっぴり ライスたぁっぷりっっ!!!
よっし!今日も絶好調!!
「……おはようございます。あの、ナレーターさん……今のは一体……?」
えっ!?あ、の、和さん、ず、随分とお早いですねっ!
「えぇ。セットの装置をテストするって齋藤さんに言われたので。それで、その、さっきの歌声は……」
あー、その、まぁ、マイクテスト的な事でして……っと、齋藤さん!!和さんがいらっしゃいましたよ!!
「和さん、おはようございます。お待ちしておりました」
「あ、齋藤さんおはようございます。それでその装置って……」
「こちらです。本来は衣装の中に仕込まれるのですが、テストなので今の服の上から着けますね。先ずはこのベストを着ていただいて……」
「「「おはようございまーす」」」
律さん、澪さん、紬さん、おはようございます。
「ナレーターさん……和ちゃんは一体何をやっているんですか?」
舞台装置のテストです。後は動きの確認ですかね。
「うはぁっ!面白そう!!齋藤さーん!!」
「皆様おはようございます。律さん、どうされましたか?」
「ねねっ!テストってあとどんくらいで終わる?」
「そうですね……二、三分で終わります」
「じゃぁさ!そのあと私がこれ着けて飛んでみても良い?」
「えぇ、構いませんよ」
「いやったぁぁぁーーー!!」
「あ、私もやりたいなぁ~」
紬さん……スカートでやるんですか?
「え?あ、そっか……残念」
「澪は……スカートじゃないから出来るな~」
「わ、私はやらないぞっ!」
「えぇ~、別に高い所まで上げる必要無いじゃん。ちょっと足が浮く程度なら平気だろ~?」
「そ、そんな事よりメイクして着替えないといけないじゃないかっ!だからわたしはさきにいってるぞっ!!」
「……全く、相変わらず臆病なんだから」
「でも、二人きりだと違うんでしょ?」
「まぁ、澪が色々とリードする時の方が多いかなぁ……ってムギ!」
「えへへ~、ごめんなさ~い♪」
「ったく……」
「「「おはようございまーす」」」
さわ子さん、憂さん、純さん、おはようございます。
「おーい!!みんなおはよう!!!」
「あ、おはようございまーす!!律先輩、何をされているんですかー?」
「見ての通りだよー!純ちゃんもやってみるかーい?」
「えっ?良いんですか!?齋藤さん!」
「えぇ、まだ皆さん揃っておられませんので大丈夫ですよ」
「やったー!憂もやるよねっ!!」
「え?う、うん……私はやっても大丈夫だけど……ね、純ちゃん……本当にやるの?」
「え?だってまだ急ぐ必要無いし」
「あ、そうじゃなくて……純ちゃん、今日、フレアミニ、だよ」
「ん?あぁ、大丈夫。こうやって……裾を足で挟んじゃえば……ほらね」
「成る程、そうやれば良いのね……じゃぁやっぱり私もやる~」
「はぇっ!?あ、じゃぁ、ムギ先輩、お先にどうぞ」
「うふふ~、スカートだから出来ないんだと思ってたのよね~。……あ、でも純ちゃんからどうぞ~」
「……いいんですか?」
「えぇ。見本を見てからじゃないと……ちょっと心配だから……」
「まぁ、それもそうですね……」
「みんな元気ねぇ……私は一足先にメイク室行ってるわね」
「はーい!……律せんぱーい!早く交代してくださいよぉー!」
「オッケー!!」
「「おはようございまーす」」
唯さん、梓さん、おはようございます。もう皆さん揃ってますよ。
「ほら、言った通りじゃないですか」
「だって、おふとんさんが中々離してくれないから……」
「はいはい、それはもう何回も聞きました。えっと、ナレーターさん、皆さんメイク室ですか?」
はい、おそらく皆さんお待ちかねですよ。
「それは大変だ!あずにゃん、急ぐよ!!」
「今更そんなに慌てても遅いですよ!てゆーかそんなに強く手を引っ張らないで下さい!!」
「レッツゴー!!!」
「あぁぁーーーれぇぇぇぇーーーー」
……ご愁傷様です。
♪
さて、皆さん準備は宜しいですか?
「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」
それでは、昨日の続きからスタートしますね。
梓姫と帝が出会ってから三年の月日が流れました
その間も二人は文を交わし、今では互いに本音を言い合える仲となりました
そんなある日の事です
翁と嫗は梓姫の様子がおかしい事に気が付きました
毎夜毎夜、空を眺めては溜め息をつく事が多くなっていたのです
「梓姫や、どうした?」
「お爺さま……いえ、何でもありません」
「何でも無い訳は無いでしょう。それとも、私やお爺さんには話せない事なの?」
「……あの、驚かないで聞いていただけますか?」
「驚く……?わかった、話してみなさい」
「実は……私は月の住民……月の都の姫なのです」
「……それは本当なの?」
「はい……それで、今度の満月の夜、月からの使者が私を迎えに来るのです」
「今度の満月……今宵は上弦、つまり一週間後という事か」
「はい」
「……それは、避けられぬのか?」
「……決まり事なので……恐らくは、無理かと」
「その言い方だと、もしかしたら避けられるかもしれないのね」
「多分……無理でしょうが……」
「何事もやってみなければわからぬだろうて。よし、早速帝に知らせようぞ。婆さんや」
「はい、メールしておきましたよ」
「……憂、早過ぎ」
「だって……その方が良いかなって……」
「まぁ、そうなんだけどさ」
一方その頃、宮廷では……
「ん……誰だ……なんだ、梓姫からか……」
「律皇子、どうされた?」
「紬皇子……いつからここに?」
「つい先程だ。良き寝顔を見させてもらったぞ。それで……一体どうなされた?」
「お主も趣味が悪いな……。我が愛しの君からメールが届いた」
「何故お主のPCに?……いや、よく見ればそれは帝の物か……。ん?何故帝のPCがお主の部屋に!?」
「帝から……ふぁ~あ……預かってそのままなだけだ……他意はない……ふぁ……」
「随分と眠そうだな……」
「泡沫の国より現の国へと強制的に戻されたからな……さて、姫からのメールを確認するか……ん?……なん……だと……?」
「律皇子、どうした?」
「これを……読んでくれ」
「わかった、これだな……。な!!なんだってぇぇぇぇーーーー!!!」
「今すぐさわ子帝に知らせないと!!」
「では共に参ろうぞ!……せーのっ」
「「みかどぉー!!てーへんだてーへんだ!てーへんだぁぁぁーーーーー!!!」」
「そこを右よ!」
「オッケー!」
「次は左!」
「よっしゃ!」
「最後は真っ直ぐ!」
「どりゃぁぁぁーーーっっっっ!!!……ってムギ、襖を蹴破れってか?」
「あ、ばれた?テヘッ♪」
「テヘッ♪じゃないだろ……セットをこわしてどーすんだっ」
「イタッ!……やったー、りっちゃんにつっこまれた~♪」
「……まさか、そのためだけに?」
「うん♪」
「ハァ……」
律皇子と紬皇子が話していると、突然襖が開いて不機嫌そうな顔をした帝が姿を見せました
「ちょっとー、折角優雅に午後のお茶を飲んでいるんだから、少し静かにしてちょうだい」
「あ、ゴメンさわちゃん……じゃない!帝、大変です!」
「何よ、急に真面目な顔して……何かあったの?」
「梓姫からメールです!しかも急を要する内容の」
「急を要する……?ちょっと見せて!」
メールを読み進める帝の顔は徐々に険しさを増していきました
「これは……!律皇子!紬皇子!」
「「はい!!」」
「梓姫の一大事である。澪御主人、聡御行、唯麻呂を呼び寄せるのだ!」
「「御意!!」」
それから数刻後、宮廷には帝の要請に応じた三人の姿がありました
「あ、ちょっとそこ訂正」
え?律さん、何処を訂正するのですか?
「聡が居ない」
「そういえば……今日は一度も見ていないな」
「今朝部屋に行った時は居たんだけどな。……ったく、一体何処に行ったんだ?」
荷物は有ったんですか?
「あぁ。だから家に帰った訳じゃなさそうなんだけどな……」
「居ないのなら仕方ないわね、残ったメンバーで話を進めましょうか、そのうち姿を見せるかもしれないし」
さわ子さんの言う通りですね、では改めて……。
それから数刻後、宮廷には帝の要請に応じた二人の姿がありました
「澪御主人、唯麻呂、話は聞いているな」
「ははっ!確かに!」
「あずにゃ姫の一大事なんだよね!」
「月の民には悪いが、我々には梓姫が必要なのだ。だから姫が帰るのを全力で阻止しようと思う」
「「「「御意!!」」」」
「……厳しい戦になると思うが、皆覚悟は出来ているか?」
「既に」
「同じく」
「聢と」
「あずにゃ姫の為なら、この命惜しくありません!」
「では一週間後、梓姫の屋敷に一同集おうぞ!!」
「「「「ははっ!!!」」」」
それから一週間、帝の命を受けた四人はそれぞれ戦の為の準備をすすめました
そして……遂に迎えた満月の夜
帝を含めた五人は事前に計画した作戦の通り、梓姫の屋敷の内外に就きました
「律皇子!様子はどうだ?」
「月は変わらずに美しい姿を見せております!」
「そうか!引き続き監視を頼むぞ!……紬皇子!弓の手入れは万全か?」
「はい!御要望とあらば闇夜の鵜を撃ち落として見せましょうぞ!」
「おぉ!頼もしいな!……澪御主人!刀の切れ味はどうだ?」
「問題ありません!舞い散る一枚の花弁を花吹雪にすることも可能です!」
「うむ!良い返事だ!……唯麻呂!梓姫の様子はどうだ?」
「取り乱した様子も無く落ち着いております!……ね、あずにゃ姫♪」
「えぇ。唯麻呂さんが一緒ですから♪」
「そ、そうか!では引き続き梓姫の護衛を頼むぞ!」
「は~い!……えへへ~、あずにゃ姫さまぁ~♪」
「えへへ~、唯麻呂さ~ん♪」
「あずにゃ姫さまにほっぺスリスリ~♪」
「にゃっ!?もぉ……ほっぺスリスリがえしぃ~♪」
「むぅ、まさかそんな攻撃をしてくるとは……ならばこうだ!むぎゅー、抱き着き攻撃であずにゃ姫さま分ほきゅー。えへへ~」
「じゃぁ私も、抱き着きがえしで唯麻呂さん分ほきゅー。うふふ~」
「……梓ってそんなキャラだっけ……?」
「純、何変な事言ってるの?演技に決まってるでしょ?」
「演技……ねぇ」
「当たり前じゃん」
「えっと、まさに今、お姉ちゃんが後ろから抱き着いて首筋をクンクンしているんだけど……それも?」
「演技ですっっっ!!」
「えっ?……じゃぁあずにゃんは、今あんまり嬉しくないの?」
「そ、そんな事はありません!演技と言ったのは、その、えと……ひ、人前で……あまりやってほしくない事や自分がやりたくない事を……あえて容認するという事でして……」
「……さりげなく大胆な事言ってるよ、この娘さんは」
「えっと……要約すると、梓ちゃんはお姉ちゃんと二人きりならなんでもオッケーって事……で、合ってますよね?さわ子先生」
「……えっ!?……あ、あぁ。そうね、それで合っているわ。……つまり、私達はお邪魔虫的存在であると言いたいのよね。はぁ~ぁ、いっそ二人だけの世界にでも行っちゃえば~?」
「そ!そんな事は……」
「あずにゃ姫様、大丈夫ですよ!例えこの世界で二人きりになっても、今と変わらずにスリスリしますから!!」
「唯麻呂さん……それは本当ですか?」
「愛する人に、嘘などつけましょうか?」
「あぁ……唯麻呂さん……なぜあなたは唯麻呂さんなんですか?」
「梓姫……あなたこそ、なぜ梓姫なのですか?」
「……ナレーターさん……」
はい。純さんどうしました?
「……ここでツッコミ入れても……良いよね」
……そうですね、明らかに本来の台詞から逸脱している上に長すぎです。
「ですよねー」
では、純先生!お願いします!!
「では!スゥゥゥ……この話は竹取物語だってーのぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっっっっっっ!!!!!!」
その後も周囲に目立った変化は無く、気が付けば日付が代わる頃となっていました
最終更新:2011年08月18日 20:41