唯「ないないない!!」

澪「授業始まる前に、たしかにここに干したよな?」

唯「うん……おかしいなぁ……」

唯「どこいったんだろ私のタイツ……」


梓「……w」


唯「きっと泥棒さんだよ……」

律「だれが唯のびしょぬれタイツなんて盗むんだよ」

紬「不思議ね……ミステリーだわ」

唯「盗まれたんだ……」ブルブル

梓「……」

澪「梓はしらないか?」

梓「え、ええまぁ……w」

唯「カムバック私のタイツ~……」

澪「そうだ、こういうときは……」

律「名探偵ツムギ!」

紬「はい!」

澪「じゃなくて! 先生に報告しといたほうがいい。不審者が校内に入ってるかもしれない」

唯「ふ、不審者……!?」

梓「おー……怖いです怖いです……」

紬「なにか犯人の痕跡があればいいんだけど」

澪「ただの泥棒だしなぁ……」

律「くそー乙女のタイツを盗むなんて許すまじ」


……


さわ子「それは怖いわね……わかったわ。校内放送しましょう、ちょっと待ってて」

唯「さわちゃん頼りになるぅ」

律「相談してよかったな」

唯「うん!」

律「犯人のやろう……みつかったら一発ぶちかましてやるぜ!」シュッシュ

澪「おいおい……」

梓「……」ハラハラ

紬「梓ちゃんどうしたの? すごい汗よ?」

梓(なんだかおおごとになってきた……)

さわ子「唯ちゃん、唯ちゃん」

さわ子「用務員さんにも話をしてみたけど」

さわ子「おそらく不審者は入ってないとのことよ、ちゃんと見回りもしてるし、門もしめてるしね」

さわ子「それに部室は三階、外部の人間が誰にもみつからずに入るのは容易じゃないわ」

紬「じゃあ……内部犯ってことですか……?」

澪「泥棒が学校にいる人物だってこと?」

さわ子「その可能性が高いわね。困ったわぁ」

唯「ひいいいっ」

梓「……」

律「よっしゃ! じゃあ私らで犯人探ししようぜ!!」

梓「え゛っ」

律「?」

梓「い、いえ! 犯人許すまじです!!」

澪「といっても……学校にたくさん人がいるんだぞ……どうするんだ」

律「うーん」

紬「とりあえず別れて情報をあつめましょ?」

唯「聞き込み捜査だね!」

梓「や、やってやるですううう!」

澪「お昼休みが終わるまであと30分か……」

律「放課後までに見つけないと逃げられるかもな」

唯「で、聞き込みってなにするの?」

紬「授業中に席をたった人とか、準備時間に教室を出た人がいるかどうか聞いてまわるのよ」

律「おーし! じゃあウチのクラスからもたくさん協力員を呼んでくる!」

梓(ヤバい……)

和「唯! 放送で聞いたわ!」

唯「和ちゃん!」

和「この件、生徒会も全力で協力する」

律「お、サンキュー!」

紬「頼りになるわぁ」

和「すでに下級生の聞き込みははじまってるわ。犯人候補があがってくるのもすぐでしょうね」

唯「よし! じゃあ私たちは3年生の聞き込みだよ!」

梓「お、おー!」ダラダラ

澪「梓、蒸し暑いのか? 汗すごいぞ?」

梓「そそそ、そうですね! ちょっとじめじめしてますから」


20分後


さわ子「教員には全員アリバイがあったわ。授業の関係で準備室に入ったのも私だけ」

律「もしかしてさわちゃんが犯人だったりしてー」

さわ子「あ゛?」

律「スマセ」

澪「あんまり疑いたくないですけど、用務員さんとかは……」

さわ子「快く手荷物検査に応じてくれたけど、なんにもなかったわ」

澪「そうですか」

唯「じゃあ後は生徒……」

和「で、一二年からの報告だけど」

和「該当者は6名」

律「そんなにいんのかよ」

梓「……」

紬「あら、名前に梓ちゃんと憂ちゃんがあるわね」

律「白状しとけよ梓」

梓「NONONONO! 私じゃないですよ!」

律「冗談だって。私らが梓を疑うわけないだろ?」

梓「……」

唯「あずにゃんと憂はまぁ除外するとして……」

紬「そうね。盗る理由がないものね」

澪「残ったこの人たちになにかこころあたりはないか? 嫌われてるとか、喧嘩したことあるとか」

唯「うーん、みんなしらない名前だなぁ」

紬「それに唯ちゃんは嫌われるような子じゃないわ」

唯「でへへ」

姫子「唯! 三年の聞き込み終わったよ」

唯「あ! ありがとう!」

姫子「犯人探し、頑張って!」

律「サンキュー」

唯「友達が多い人は頼りになるね」

澪「で、犯人候補は?」

唯「……えっとねぇ」

唯「あーそっか、澪ちゃんとりっちゃん入ってる」

唯「あとムギちゃんも入ってるね」

澪「えっ」

律「あ」

紬「そうだった……」


梓「!」ピキーン


唯「やだなぁ、私の周りの人が名前を連ねてるなんて……」

律「まぁでも私ら除外したら3人か、少ないな」

唯「りっちゃんと澪ちゃんは休憩時間に二人でどこかいったよね?」

律「おう、まぁ」

澪「ちょっと……な……」

唯「あんま気にしなかったけど。どこへ行ってたの?」

律「え……」

梓「!! どこへ行ってたんですか! まさか二人で……タイツを!」

律「おい。んなわけあるか」

澪「お手洗いだよ。お手洗い」

紬「でも、次の授業が始まるギリギリまで帰って来なかったわよね……?」

律「……」

唯「えっ、えっ、ちょっとりっちゃん澪ちゃん! 二人はなにしてたの!?」

澪「……この話はあとでしよう。もうチャイムが鳴る」


律「そうだな。犯人候補はしぼりこめてるし、その人たちだけ一応放課後残ってもらうってことで」

唯「今話してくれたらすむものを……私ふたりを疑ったまま授業うけたくないよ……」

澪「……」

梓「言わないってことはなにか後ろめたいことがあるんですね!!」

梓「それにムギ先輩も!!! 一体なにをやっていたんです!!」

紬「……そ、それは」

律「それを言うならお前もだ!! 梓!」

梓「私は犯人じゃありません!」

律「私らだって違うわい!」

紬「私も犯人じゃないわ!」

唯「えーん……みんな喧嘩しないでよぉ」

唯「私はただ……タイツさえもどってくればそれでいいのに……」

澪「そうだな。悪かった」

律「私らの仲に犯人はいない。とりあえずその方向で捜査をすすめよう」

梓「ですね」

紬「梓ちゃん、そろそろ教室にもどったほうがいいわ」

梓「わかりました。ではまた放課後に」

唯「一体だれが……こんなことを……」



梓「……さて」

梓「放課後をなんとかしのげばタイツは晴れて私のもの」

梓「ふふふ。唯先輩タイツ……ふふ、ふふふふ」

梓(仮に手荷物検査が行われるとしても、私が犯人だとバレることはない)

梓(なぜならタイツはすでに手元にはなく、隠してあるからだ)

梓「ふふふふ」

梓(そう、このいまは誰もつかってないこの靴箱に……)

梓「ふふふ」カチャリ…


梓「……あれ?」

梓「となりだったけ」パカン

梓「あれ?」

梓「……」

梓「ない! ない! ない!」

梓(嘘だ……確かにこの靴箱に押し込んだはず……)

梓(見られていた!? そしてその誰かが奪っていった……?)

梓(こわ~!)

梓(一体誰が……)

梓(どうしよう……まともな思考ができない……)

梓(なんとしてもタイツを奪い返さないと、そして奪っていった人を探しだして口止めしなきゃ……)


梓「私は破滅だ!!」

梓「あ、授業はじまっちゃってる」



……



唯「みんな話してもらうよ」

澪「……」

律「……」

紬「……しかたないわね」

和「それと、あなた達以外の生徒は全員シロよ」

律「なんだって!?」

和「というよりも、まず音楽準備室の鍵を持ち出せるのってあなたたちだけなのよ」

澪「……そうか。そうだよな……」

唯「じゃあ職員室の先生に聞けば一発じゃん! 鍵を取りに来た子が犯人だよ!」

和「……全員よ」

唯「えっ」

和「昼休みまでに三回ある休憩時間、それぞれみんな一回ずつ鍵をとりにきてるのよ」

唯「え!」

和「律と澪は二人セットだけどね」

唯「みんな……犯人なの……?」

唯「そんな……信じてたのに!!」

梓「……」

紬「私は!! 違う!!」

律「……私らも違う! 盗ってなんていない!」

和「最初の休憩時間に梓ちゃん。これは間違いないわね?」

梓「はい……」

唯「一体なんの用だったのあずにゃん」

梓「……」

紬「二時間目と三時間目の間は私。でも盗ってないわ」

和「そのときにタイツはあった?」

紬「うーん……覚えてない……」

唯「ムギちゃん……正直に話して……」

和「三時間目と四時間目の間に律と澪」

律「……あぁ」

澪「……」

和「その時タイツはあったかしら? なければ貴方たちより先に入った二人のうちどちらかなんだけど」

澪「おぼえていない……」

唯「どーしてみんなそんな曖昧なのおおお!!!」

和「落ち着きなさい唯! これからみんなに事情を聞いていくから」

唯「うわあああああ!! タイツ返してええええ!!」

梓(……そうだよ、ほんとタイツどこいったんだろ……)

梓(たまたま泥棒に見られたのか。それともずっと跡をつけられていたのか)

梓(なんにせよぞっとするね……)


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最終更新:2011年08月20日 00:09