澪「ところで、梓は勉強の方は大丈夫なのか?そろそろ進路とか考え始める時期じゃないか?」
梓「私はそこそこです。純ほど悪くはないけど、憂ほど良くはないって所でしょうか」
澪「そうか。まぁ、言っても、梓ならそんなに心配はしてないけどな」
梓「はい。でも、憂なんかすごいですよ。この間なんか、学年でトップになるくらいですから」
澪「おおー、流石憂ちゃんだな」
梓「ええ。さながら、桜高の夜神月です。あるいは、桜高の羽川翼です」
澪「そんなに凄いのか」
梓「…、ちょっと言い過ぎました。憂は確かに凄いけど、流石に全国模試でトップを取った事はないそうです」
澪「でも、憂ちゃんは十分超人って言えそうだけどな」
梓「シスコンさえ何とかなれば完璧なんですけどね」
澪「まぁ、そこも憂ちゃんらしいけどな」
澪「ところで、梓、何か音楽でもかけようか?」
梓「ん、いいですね」
澪「じゃあ、適当にかけるね」
梓「はい」
澪はCDラックからCDを取り出し、プレイヤーに入れ、再生する。
梓「澪先輩、このバンド知ってるんですね」
澪「うん、結構好きなんだ」
梓「私も好きです」
梓「澪先輩も知ってるなら今度合わせてみたいですね」
澪「そうだねぇ」
梓「そういえば、私達のバンドってオリジナルしかやらないですよね」
梓「なんででしょう?高校生バンドってコピーもやってる事がほとんどじゃないですか?」
澪「うーん、梓が入学する前の初期の頃はコピーもやってたんだけどな」
梓「そうなんですか」
澪「ぶっちゃけた話、アニメで他のバンドのコピーを流したら、著作権使用料がかかったり、権利関係が大変だったりするからだろ」
梓「ぶっちゃけすぎです!」
澪「まぁ、そのおかげで私は作詞を、むぎは作曲をする事になったんだがな」
梓「それって結構すごいですよね。作詞とか作曲って難しいんじゃないですか?」
澪「うーん、私は割とフィーリングでやってるけど、むぎはああ見えてかなり勉強したらしいぞ」
梓「むぎ先輩って、普段はぽわぽわとしてますけど、結構勤勉家ですしね」
澪「うん、学校の成績もいいしな」
梓「そういえば、澪先輩の作詞は定着してますけど、作曲がむぎ先輩ってあまり知られてませんよね」
澪「うん。和も『あれ?作曲はむぎなんだ。私はてっきり作曲も澪がやってるんだと思ってたわ。まぁ、消去法でいけば、軽音部で作曲しそうなのはむぎか澪なんだろうけども』って言ってたな」
梓「唯先輩はともかく、律先輩は意外と作曲できそうですけどね」
澪「律の曲は酷いぞ。昔ふざけて律が曲を作った事があるんだが、音が飛んだり跳ねたり宙に舞ったり虚空に消えたりして、とても聞けた物じゃなかったな」
梓「そうなんですか。それはそれで、なんとなく想像できる気がします」
澪「梓は曲とか詩とか作ってみたりしないのか?」
梓「私?私ですか?うーん、考えた事なかったなぁ」
澪「そっか」
梓「ギターを弾いてる時、いいフレーズが浮かんだりする事はあるけど、曲にまではならないですね」
澪「良かったら梓が一曲作ってもいいんだぞ」
梓「うーん、遠慮しときます。やっぱり、放課後ティータイムは澪先輩が作詞で、むぎ先輩が作曲が一番しっくり来ると思いますし」
澪「そうか、梓の曲もちょっと聞いてみたかったな」
梓「すみません」
澪「ところで、何で私のベースはエリザベスって言うんだろ?」
梓「また唐突ですね。唯先輩にしか分からない事ですが、たぶん、エリザベスのベスとベースをかけてるんだと思います」
澪「やっぱり、そういう事なのか。でも、それだったらベスでいいんじゃないか?」
梓「ベスってエリザベスの愛称らしいですよ」
澪「そうなのか。まぁ、実はエリザベスって結構気に入ってるんだけどな」
梓「澪先輩ならどんな名前をつけるんです?」
澪「私?そうだなぁ…、いちごちゃんとか」
梓「甘い!ショートケーキの上のいちごのように甘い!」
澪「変かなぁ?じゃあ、まろんちゃん」
梓「甘い!モンブランにコーティングされている栗のように甘い!」
澪「うーん、将来は玉の輿ちゃん」
梓「甘い!30過ぎてまだ夢見てる独身女性のように甘い!」
澪「真ん中高めのストレートちゃん」
梓「甘い!解説の人が『これは不調だねぇ』って唸っちゃうくらい甘い!」
澪「いちごちゃんもいいけど、やっぱりエリザベスだな」
梓「エリザベスですね」
澪「梓のギターは、確かむったんって言うんだったよな?」
梓「むったんですね」
澪「何でむったんって言うんだ?」
梓「ムスタングだからむったんです」
澪「ああー。でも、言っちゃ悪いが…、安直だな」
梓「甘々なネーミングセンスの澪先輩には言われたくないです!」
澪「そうか?私のネーミングセンスはそんなに酷くないだろ」
梓(自覚無い!)
梓「むったんってかわいいじゃないですかー」
澪「いちごちゃんの方がかわいいー」
梓(エリザベスがいちごちゃんになってる!)
澪「エリザベス一護ちゃんってかわいい名前じゃないか!」
梓(どこの日系外国人ですか!)
澪「…」
梓「…」
澪「すまない。取り乱した」
梓「もう、しっかりしてください」
梓「そうだ、何かゲームでもしませんか?」
澪「うーん、トランプとゲーム&ウォッチぐらいしかないけど…」
梓「なんでゲーム&ウォッチなんて持ってるんですか!今かなりプレミア付いてるんじゃないですか?」
澪「うん、たまたま落ちてるのを拾って…、これなんだけど」
梓「うわっ、ホンモノだ。私、ゲーム&ウォッチなんてスマブラでしか知らないです」
澪「ただ、これ、一人用なんだ…」
梓「まぁ、そうですよね」
澪「すまないな」
梓「じゃあ、トランプをしましょう」
澪「おっけー、じゃあ、トランプの何で遊ぶ?」
梓「うーん、ポーカーとか?」
澪「ポーカー…か」
梓「ん、嫌ですか?」
澪「いや、いいけど。珍しいなと思って」
梓「二人で遊べる定番のトランプゲームってそんなにないですからね。スピードくらいでしょうか。私が知らないだけかもしれませんが」
梓「三人以上集まれば大貧民が定番なんですが」
澪「私は大富豪って呼んでたなー」
梓「そうでしたね、私と唯先輩が大貧民派で、澪先輩と律先輩が大富豪派でしたね」
澪「むぎは『私は神経衰弱とババ抜きしか知らないわー』って言ってたな」
梓「あはは、むぎ先輩らしいですよね」
澪「それなのに、ルールを覚えたむぎは強かったなぁ」
梓「そうですね、唯先輩の実力をあっという間に越えちゃいましたからね」
澪「むぎはだいたい上位争いに食い込んでたな」
梓「むぎ先輩は運もいいですからね」
澪「むぎの強運は伝説になるくらいだからな」
梓「いくつかありますね、むぎ先輩の伝説」
澪「大貧民だったむぎが超強い手でいきなり大富豪になった時は戦慄したなぁ」
梓「あの試合は大富豪だった律先輩の手がかなり悪かったのも大きかったですね」
澪「ああ、あの時の律の悔しそうな顔は忘れられないな」
梓「そうですね」
澪「それから、むぎの八回連続大富豪伝説!」
梓「麻雀だったら役満ですね」
澪「ん、何の事だ?」
梓「いえ、なんでもないです」
澪「そっか」
梓「あの時はその八回しか大富豪しなかったから、むぎ先輩が最初から最後までずっと大富豪だったんですよね」
澪「そうだねー。唯とか最後の方はうんざりしてたなー」
梓「むぎ先輩はトランプで大富豪なだけでなくて、本当に大富豪ですからね」
澪「うん、その辺、格が違うよなー」
梓「流石ですよね。ところで、ポーカーですが」
澪「うん、そうだったな」
梓「何か賭けませんか?」
澪「ん、何を賭けるの?」
梓「うーん、考えてなかったなぁ」
澪「うーん」
梓「そうだ!賭けとはちょっと違うけど、負けた方がエッチな話をするとかどうですか?」
澪「ん…まぁ、いいよ」
梓「おっ、乗ってきますね。澪先輩なら断られるかなと思いました」
澪「うーん、まぁ少しぐらいなら」
梓「ちょっと意外です。じゃあ、早速やりますか」
澪「うん」
澪「じゃあ、トランプ出すね」
梓「はい」
澪は引き出しからトランプを取り出し箱を開ける。
絵札に有名なキャラクターが印刷されてあるトランプだ。
がちゃ
梓「私も詳しくは知らないんですが、ポーカーって実際には、賭け金をせり上げたり、勝てそうになかったら降りたりしたり、色々駆け引きがあるそうです」
澪「うーん、あんまり難しいのもわからないから、そういうのはなしでいいんじゃないかな?」
梓「はい」
澪「ジョーカーは入れる?」
梓「うーん、じゃあ一枚いれましょうか?」
澪「ん、わかった。じゃあ、切るね」
梓「はい」
しゃかしゃかしゃか
しゃかしゃかしゃか
梓「おおー、澪先輩切るの上手ですね」
澪「ん、そうかな?」
梓「手先が器用なんですね」
澪「うーん、あんまり器用とか関係ないと思うけどな」
澪「もし、関係あったら、楽器やってる人はみんなトランプを切るのがうまいって事にならないか?」
梓「あー、それはそうか」
澪「うん、慣れだよ」
澪「じゃあ、配るね」
梓「はい」
さっさっ
澪「5、5、よし配ったよ」
梓「はい」
梓(ストレートリーチだ、揃ってないのは端の方か)
梓「先に交換していいですか?」
澪「ん、いいよ」
梓「では、一枚交換します」
さっさっ
梓(うわぁ、ハズレ)
澪「じゃあ、私は三枚交換」
さっさっ
澪「ワンペアだ」
梓「ノーペアです」
澪「勝ったー」
梓「あーあ、負けちゃった」
澪「えっと…、エッチな話だったよな」
梓「はい…」
澪「…」
梓「うにゃー、いいだしっぺなのに負けたー」
orz
澪「あははっ」
梓「やっぱ、話さないとダメですか?」
澪「約束は約束だからな…」
梓「わ、分かってますって」
梓「で、では…」
こほん
梓「私、よく唯先輩に抱きつかれるじゃないですか」
澪「うん」
梓「それで、この間、長い時間抱きつかれたんですよ」
澪「どれくらい?」
梓「10分くらいかな」
澪「長い!」
梓「うん、それでですね、私も最初のうちは普通に抱きつかれてたんですけど」
梓「しばらくして、ふと、『唯先輩の髪いい匂いだな』とか『唯先輩のおっぱい当たってる、意外とあるんだな』とか思ったんです」
梓「そしたら、何だかドキドキしちゃって、顔が赤くなってきて、えっ何これ?と思って『離してください!』って言ったんですけど離してもらえなかったんです」
梓「それで、もうしばらくしてやっと離してもらえたんですけど、その時…、私、興奮しちゃって、体火照っちゃって、唯先輩の事…ちょっと意識しちゃいました///」
澪「わー///きゃー///」
梓「な、なんで澪先輩が恥ずかしがってるんですかー!///」
澪「だってー///」
梓「話したこっちは余計恥ずかしくなるじゃないですかー///」
澪「ご、ごめん///」
梓「そんな、恥ずかしそうに謝らないでください!///」
澪「うん…ごめん///」
梓「だから、顔、真っ赤にして謝らないでください!///」
澪「うん…」
梓「もぉー」
…
澪「うん、落ち着いた」
梓「満足ですかっ?」
ちょっと怒った感じの梓
澪「うん、満足。ごめん」
梓「だから、謝らないでくださいよー」
澪「うん」
梓「じゃあ、次の勝負いきますよ、今度は私に切らせてください」
澪「うん、いいけど。イカサマとかしてないぞ」
梓「別に疑ってないですけど…、気分の問題です!」
そう言って素早く場のトランプを整理する梓。
そして、無言で切り始める。
しゃか・しゃか・しゃか
しゃか・しゃか・しゃか
梓「じゃあ、配りますよ」
澪「うん」
無言で配る梓。
さっさっさっ
梓「配りました」
澪「うん」
梓(ワンペアかぁ)
梓「三枚交換します」
さっさっ
梓(うーん、ワンペアのままだ)
澪「ふふっ、私はこのままだ」
梓(…終わった)
梓「ワンペアです…」
澪「ストレートだ」
澪「ふふっ、悪いな梓」
梓「…、待ってください。これ、ダメです」
澪「えっ?」
最終更新:2011年08月24日 00:33