律「だだいまー」

りつ「ただいまー」

聡「あ、姉ちゃん、おかえr」

聡「えっ…え…?」

律「どうしたんだ聡?」

りつ「どうしたんださとし?」

律「こらっ、ふざけないの」

りつ「へへっ、ごめんなさいお姉ちゃん」

聡「いや…えっ?…姉ちゃんその子…なに?」

律「あ、ちょっと前から私達の妹になった、りつだ
  ほら、りつ、お兄ちゃんの聡だよ、あいさつして」

りつ「はじめまして、りつって言います
   小学4年生です!よろしくね、お兄ちゃん」

聡「あ、どうも…田井中聡です……よろしく…」

律「……」

りつ「……」

聡「……」

聡「じゃなくて!なんでいきなりそんな事になったの?!
  それにその子、昔の姉ちゃんにそっk」

律「聡、ちょっとこっち来て」

聡「モゴモゴ…」

律「りつー、自分の部屋わかるよね?ちょっと先に入っててくれるかな?
  姉ちゃん、聡とお話してくから」

りつ「了解です!先に行ってます!」

聡「……」

律「……」

聡「どういう事か説明してよ…俺が合宿行ってる間にいったい何が…」

律「えっと…何から話せばいいかなぁ」

聡「……」

律「あの子な……」

聡「うん」

律「昔の私なんだ」

聡「そんなの信じられない!…って言いたいとこだけど…
  容姿も性格も昔の姉ちゃんそっくりだから信じる」

律「あ、やっぱそう見える?さすが我が弟!」

聡「続き続き」

律「あ、えーとな
  あの子が迷子になってるのを唯と梓が見つけて…
  あ、唯と梓ってわかるっけ?」

聡「この前ウチに来て、ハンバーグ食べてった」

律「そうそう、それでとりあえずウチでしばらく預かる事になったんだ」

聡「うん、警察には言ったの?」

律「もちろん、無駄だったけどね」

聡「どういう事?」

律「戸籍が無いんだよ、無戸籍児ってやつだ」

聡「えぇ?!…マジで?」

律「それでな、度重なる家族会議の結果…」

聡「俺欠席…」

律「あの子は養子縁組で田井中家の一員となった訳だ
  だから正確には私達は義理の兄姉って事になる」

聡「そんな重大な事、なんで知らせてくれなかったんだよ!」

律「いやだってケータイ持ってないんだもん、聡」

聡「…そうでした」

聡「んで、なんで昔の姉ちゃんがここにいるの?」

律「…それはな」

聡「うん」

律「わからん!」

聡「えっ…?何でわかんないんだよっ!」

律「だって私がやった事じゃないし
  わからない事はわからないんだよ」

聡「なんだか不思議な話だな…」

律「あ、それと聡、これ一番大事な事」

聡「なに?」

律「この事りつには黙ってなきゃダメだぞ?
  りつは知らない方がいいだろうって事で家族会議で決まったんだ
  りつには私と聡の方が両親と血が繋がってないって遠回しに説明してあるからな」

聡「えっと、それはつまり…」

律「私達の方が後でこの家にやってきた事になってるんだ
  りつの中ではな」

聡「ああ、そゆ事…」

律「うっかり喋らない様に気をつけるんだぞ?」

聡「うん、わかった」

律「口滑らしたら私の往復ビンタをお見舞いするからな!」

聡「そ、それは怖い…」

律「じゃ、私ちょっと出かけてくるから、りつに何かあったらよろしくな」

聡「あぁ」

………

聡「(まじかよ…なんかえらい事になっちゃったな…
まさか昔の姉ちゃんが妹になるなんてなぁ)」

聡「(でも、昔の姉ちゃん…あんな可愛かったっけ…
  認めたくないけどちっちゃくて可愛らしかったなぁ…)」

聡「(そんな可愛らしいあの子が『お兄ちゃん』って俺を呼んでくる訳か…)」ゴクリ…

聡「………」

聡「(うひょお!悪い気はしないよな、どう考えても!)」

聡「困ったなぁー…もう!」

りつ「なにが困ったの?」

聡「うわぁぁぁぁ!!!」

りつ「うわっ!」ビク

聡「ねえちゃ…じゃなくて…りつ!いつの間に?!」

りつ「へへーん、忍者みたいに忍び込んでやったぜ!」

聡「自分の部屋にいたんじゃないのか?!」

りつ「だって暇なんだもん、お姉ちゃんどっか行っちゃったし
   だからお兄ちゃん遊ぼ?」

聡「遊ぶっていったって…何するんだよ?」

りつ「なんでもいいよ?お兄ちゃん何したい?」

聡「……」

りつ「……?」

聡「いや…だめだ、兄ちゃんこれから勉強するからな」

りつ「えー…そんなぁ…遊んでくれないの?」

聡「中学生になると色々忙しいんだ」

りつ「さっきはぼーっとしてたくせに」

聡「い、色々考える事もあるんだよ!」

りつ「へー、そうなんだ…」

聡「わかったら自分の部屋でお昼寝でもしてなさい」

りつ「……眠くないもん」

聡「(うっ…そんなにがっかりする事か…?
  ちょっと言い過ぎたか…?」

りつ「……」

聡「……」

りつ「じゃあ私お兄ちゃんがお勉強頑張れるように
   お兄ちゃんの横で見張っててあげるね?」

聡「どうしてそうなる?!」

りつ「それもだめ…?」

聡「…むぅ……」

りつ「…静かにしてるから……」

聡「(可愛いなぁ…もう…)」

聡「わ、わかったよ」

りつ「やった!ありがとう!お兄ちゃん」

聡「(く…妹になってもやはり俺は姉ちゃんには勝てないのか……?)」

聡「…」カリカリ

りつ「……」ジー

聡「……」カリカリカリ

りつ「……」ジーーーー

聡「……」カリカリカリカリ

りつ「……」ジーーーーーー

聡「…りつ」

りつ「どうしたの?お兄ちゃん?」

聡「見すぎ…その視線がかえってやりずらい…」

りつ「えー…ちゃんと監視してあげてるのに!」

聡「……」

りつ「……」

聡「わかったよ…何して遊ぼうか?」

りつ「遊んでくれるの?!…やったぁ!」

聡「あぁ…(昔から誰かにかまって欲しくて仕方がないだよな…この人…)」

りつ「じゃあ…トランプしたい」

聡「いいよ、えーとトランプは…」

りつ「無いの?お兄ちゃん」

聡「いやっ、あれ、確かここにあったんだけどな…」ガサガサ

りつ「私も一緒に探してあげるよ」

聡「え…?」

りつ「ここかな…?それともこっちかな…?」ガサガサ

聡「ん?うわぁぁぁ!待て!その引き出しはぁ!!」

りつ「えっ?」

聡「開けたらダメだぁぁぁ!!」

りつ「もう開けちゃった…ってうわぁ!」

聡「見るなぁぁぁぁ!!!」

りつ「なんかえっちな本がいっぱいある!」

聡「のぉぉぉぉぉぉ……!!」

りつ「これ全部お兄ちゃんのやつ?…もうやだなぁ……」ペラペラ

聡「こら!めくるな!お前にはまだ早い!」

りつ「ひょっとしてこっちの引き出しも?」

聡「まて!そこだけはダメだっ!!」

りつ「みーつけた♪大事な物なんだね」

聡「待て!返せ…!」

りつ「返して欲しかったら捕まえてみんしゃい!」ひょい

聡「なんて身軽な!?」

りつ「へへーん、鬼ごっこ開始だよ♪」

聡「ま、待て!」

ドタドタ

聡「ほっ」サッ

りつ「わっ!あぶなっ」ひょい

聡「はぁはぁ(ようやくベッドの角まで追い詰めたぞ…!)

りつ「あうー…逃げ場がない…ひょっとして…ピンチ…?」

聡「さぁ、渡しなさい、今ならまだ許してあげるから」

りつ「や、やだよー…!これ私の物だもん」

聡「じゃあ力ずくでいかせてもらうぞ!」ビュン!

りつ「わわっ!」バタッ

聡「捕まえた!」

りつ「うー…捕まってしまった…」

聡「もう逃げられないぞ?観念するんだな…」

りつ「あはは、楽しかった♪ごめんね…?おにいt」

ガチャ

律「……」

澪「……」

聡「……ん?」

律「……」

澪「みお、見ちゃダメ」サッ

みお「うん」///

聡「……」

聡「(え、なんで姉ちゃんと澪さん?
  しかもちっこい澪さんいるよ?どういう事?)」

律「おい…聡」

聡「(いや、それよりも…ひとまず状況整理だ…
  鬼ごっこで荒れた部屋…
  部屋に散乱したエロ本…
  そして俺が妹をベッドに押さえつけているこの現状…)」

律「………」

聡「………」

澪「聡…私はそんな奴じゃないと…」

聡「ちょ…!ちょっと待って澪さん!姉ちゃん!誤解だって…!」

律「へぇ…この如何わしい部屋でいったい何してたんだ?」

聡「えっと…その…鬼ごっこしてたんだよ!鬼ごっこ!
  なぁ?りつ!」

りつ「お兄ちゃん…ごめんなさい…グス」

聡「(うおいっ!何でよりにもよって涙目でそんな事言うんだよぉぉぉ!!
  これじゃあ疑いは晴れるどころか…!)」

律「りつ…こっちおいで」

りつ「はーい」

たったった

りつ「あ、みおちゃん!いらっしゃーい♪」

みお「うん、りっちゃん…大丈夫?」

りつ「平気だよ?じゃ、お兄ちゃん、またね♪」

聡「(…う…嘘泣き…?
  そう言えば昔もよく引っかかってたっけ…やられた…)」

聡「………」

律「聡」

聡「………」

律「今夜は家族会議になるからな」

バタンッ!

聡「」

………

りつ「みおちゃん!今度はあっちのブランコ乗ろう」

みお「え、…平気かな…?」

りつ「大丈夫だよ!私がついててあげるから」

みお「う、うん…怖いけど…乗ってみる」

律「……」

澪「……」

律「いやー、微笑ましい光景だなー」

澪「自分達の幼い頃の画を見るって、なんだか不思議な気分になるな」

律「確かになー、懐かしかったり、恥ずかしかったりだな」

澪「こうして毎日律と遊んでたもんなぁ、時には服が泥だらけになっちゃったりしてさ」

律「あ、迷惑だった?」

澪「そんな事ない、あの頃は毎日が楽しかったよ」

律「ははっ、なんかおばちゃん臭いぞー?澪」

澪「なっ?!…そういう事言うな!」

律「ごめんごめん、冗談だよ」

澪「もう……あ、危ない!」

律「え?」

りつ「てて……あは♪転んじゃった」

みお「り…りっちゃん…!大丈夫?」

りつ「平気だよ、ちょっと擦りむいちゃっただけ」

みお「バイキンが入ったら大変だよ?ちょっと見せて」

りつ「え、いいよそんなの」

みお「ばんそうこう持って来たの、貼ってあげる」

りつ「大丈夫だよ、そんなに大した怪我じゃないから」

みお「ダメだよ、はい、足出して?」

りつ「う…うん」

みお「これでおっけーだね、今度から気をつけよう」

りつ「あ、ありがとう!みおちゃん」

澪「大丈夫…そうだな」

律「良かった良かった」

澪「なんだか…思い出のアルバムを開いてる気分になるよ」

律「あんなやりとりあったっけ?」

澪「あったよ!本当におっちょこちょいなんだから、律は…」

律「そうだったかなー?」

澪「見てるこっちが心配だったんだぞ」

律「あ、だから澪の記憶には残ってるんだ?」

澪「違う、律が忘れっぽいだけだ」

律「むむ…」

澪「……」

律「……」

律「なぁ澪、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」

澪「え?何を?」

律「とぼけても無駄、最近何か悩んでるだろ?」

澪「……」

律「澪はすぐに顔に表れるからな」

澪「…はは」

律「言ってみ?」

澪「…最近な…思うんだ」

律「……」

澪「あの子達が来てからウチが賑やかになってとても楽しいよ
  毎日が新鮮でさ、昔の自分とはいえども本当の妹ができたみたいで」

律「うん、私も」

澪「でもさ、本当にこれでいいのかなって…思うんだよね」

律「……」


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最終更新:2011年09月06日 16:41