澪「あの子達が過去から来たのなら、残された周りの人達はどうなる?
いきなり最愛の娘がいなくなって…
いきなり信頼していた姉がいなくなって…」
律「……」
澪「私はあの子達と出会って間もないけれど、
明日からあの子達の顔が見れなくなると思うととても切なくなる
短い付き合いの私でさえこんな辛い気持ちだったら…
もっと長い時を一緒に過ごしてきた、
あの子の周りの人達は今どんな気持ちなんだろうって…」
律「…まぁ……な」
澪「私はさ……
このままあの子達と一緒に過ごしていく事は、
私達の勝手な自己満足だと思う」
律「……」
澪「律はどう思う?私間違ってるかな?」
律「…間違ってなんか無いよ
澪は正しい事を言ってる……ただ…」
澪「…ただ?」
律「そりゃ私だって切ないけれど…あの子達を元の世界に戻すっていうのは大賛成さ
けれど…肝心の戻し方がまったくわからないだろ?」
澪「…まぁ…確かに」
律「あの子達に迷子になる前の事を聞いてみても
『覚えてない』の一点張りだしな」
澪「でも…何か行動しなきゃって思うんだ!……それでも何か…」
律「…澪の気持ちはよく解るけど、気持ちだけ先走ってもなんの進展も得られないぞ?」
律「何か手掛かりがある筈さ、ウチの妹達も忘れた記憶を思い出すかもしれないしな」
澪「…うん」
律「大丈夫、きっと元の世界に戻れる筈だよ
だから澪はそんなに思い悩むなよ…な?」
澪「うん…ありがとう、律」
………
唯「りっちゃん、澪ちゃん」
律「んー?」
澪「どうした唯」
唯「妹ちゃん達、いつ連れてきてくれるのー?」
澪「連れてくるって…ここへか?」
唯「うん、軽音部へ」
律「なんでだよ、けっこう唯も顔合わせてるじゃんか」
唯「私はりっちゃんとみおちゃんと一緒にここでお茶したいんだよー」
澪「そんな訳にいかないだろ
お茶をする為だけに学校へは連れてこれないよ」
唯「やっぱり厳しいかなー?二人共喜ぶと思うんだけど…」
律「じゃあさ、今度みんなでどっかお茶しに行く?」
唯「おっ、いいねぇー」
律「だろだろ?じゃ、セッティングよろしくな、澪!」
澪「なんで私なんだよっ!」
唯「あ、あずにゃんからメールだ」
律「なんて?」
唯「えー…そんなぁ…」
澪「梓どうかしたのか?唯」
唯「あずにゃん家の用事ができちゃって今日は部活出れないって」
律「家の用事…また猫でも預かったのか?」
唯「あずにゃん2号って呼んであげてよ、りっちゃん」
律「はは、あ、私にもムギからメール」
澪「ムギから?」
律「…なんかムギも今日出れないってさ…バイトの人が風邪なんだって
代役頼まれちゃったみたい」
唯「えー…なんか寂しいね…それに今日は甘いもの無しかぁ……」
律「もう!…仕方ないわね!」
唯「え…まさかりっちゃん何か持ってきてるの?!」
律「あぁ、こんな事もあろうかと思って、今日はこれで我慢してくれっ!」
澪「(チロルチョコ…しかもポッケの中に入れてたから溶けてる……)」
唯「あ、ちょっと私トイレに……」
律「なにぃ…逃げるのか?!」
唯「失礼します」
律「……」
律「じゃ、二人で食べようか澪」
澪「私もいらない」
律「」
澪「それよりもさ、律」
律「なんだよー?私は非常食これしか持ってないぞ?」
澪「食から離れろ!………さわ子先生の事なんだけど」
律「さわちゃん?…今日も休みみたいだなー」
澪「それなんだけど…私ちょっと気になる事が」
律「気になる事?」
澪「さわ子先生が学校休んでからこれで1週間だろ?」
律「うん、確かそれくらいだな」
澪「そして私が迷子のみおを見つけたのもちょうど1週間前」
律「………ま、まさか」
澪「これってただの偶然かな?…って」
律「さわちゃんが学校休んでる事と、迷子のみおりつに何か関連が…?!」
澪「…まだ決めつけるのは早いと思うんだけど…
ひょっとしたら何か関係してるのかなって…」
律「むー……」
澪「……」
律「…とりあえずさわちゃんに電話してみよう」
澪「う…うん」
律「………」trrrrr
澪「………」
律「………」trrrrr
澪「………」
律「…出ませんなぁ…」
澪「そっか…長期休暇中らしいけど…寝てるのかな?」
律「そうかもな」
「あ、あの」
律「うわっ!」
澪「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「すみません、びっくりさせちゃいましたか?」
律「誰?!」
「あ、ご紹介遅れました
私オカルト研究会の田辺と」
「高木です、よろしく」
律「あ、よろしく…っていつからいたの?!」
田辺「最初からいましたよ、ソファーの陰に隠れてました」
律「なんで隠れる必要があるの?!」
高木「軽音部は桜校のオーパーツですから、じっくり観察させてもらいました」
律「観察って…私達見てても何も面白くないよ?それだけの為に来たの?」
田辺「いえ、それだけではありません
あなた達にちょっと用があって話をしに来たんですよ」
高木「話というかお願いかもしれません」
律「え、えっ?」
田辺「話というのは何を隠そう山中先生の事です」
律「さわちゃん?」
田辺「ええ」
高木「秋山さん、大丈夫ですか?」
律「澪?!…みおー?!」
澪「」
律「なんて事だ!!…戻って来い澪!!」
澪「」
律「………」ゆさゆさ
澪「」
律「………」
澪「」
律「………」
律「話を続けてくれ」
田辺「はい、田井中さんは我がオカルト部に基づく伝説をご存じですか?」
律「で…伝説?」
田辺「オカルト部の部室に過去とつながるゲートが存在すると」
律「え、あんなの本気にしてる人なんて…」
高木「いたのです」
律「…まさか」
律「えぇー…」
田辺「私達オカルト部員にとっては先生は厄介な存在でした
代々オカルト部が秘密にしていたゲートの存在を
山中先生は信じて疑わなかったのですから」
高木「田井中さんの様にただの噂と信じない人が多い事の方が
オカルト部にとっては好都合だったのです」
律「そ…それでさわちゃんは一体?!」
田辺「ちょうど1週間前でしたね
山中先生がどうしてもゲートを潜りたいと言ってきました
山中先生の熱意に負けた私達はとうとう山中先生にゲートを
潜らせてしまったのです」
高木「流石に先生に泣かれてしまっては、心動かずにいられませんでした」
律「さわちゃん、何でそんなに必死なんだ…」
田辺「潜ったのはいい事、早1週間…」
高木「現在の時間と過去の時間は均等に流れますからもう1週間も過去に
入ったままなのです」
律「さわちゃん過去に行って何してるんだ?」
田辺「解りません…ただ事前の話では
1週間以内に自分が帰らなかったらこの紙を田井中さんに渡して欲しいと」
律「紙?」ペラ
りっちゃん澪ちゃん
この紙を見せたくは無かったんだけどごめんね
申し訳ないけど、二人で私を助けにきてね
山中さわ子
律「え…いや……………えっ??」
田辺「すみません、紙の内容が気になって気になって…
あなたに見せる前につい読んじゃいました
田井中さん、私からもお願いします」
高木「山中先生を助けに行ってあげてください」
律「ちょ…ちょっと待った!」
田辺「なんですか?」
律「いや…これは嘘だ…さわちゃんが私達にしかけた悪い冗談だ…!
でなければこれは夢…そうだ悪い夢に違いない!!」
高木「現実逃避はやめてください」
律「これが現実だって?!そんな訳ないよっ!
過去に行けるゲート?…そんなの私は信じないぞっ!!」
高木「強情ですね」
田辺「無理もないわ、これが普通の人の見せる反応」
律「そうだ!今の話本当だっていうなら証拠見せてよ!
過去に行くそのゲートっていうのを見せてくれれば信じるよ!」
田辺「ええ勿論、見て頂けなければゲートは潜れませんから」
高木「ちょっと部室まで来て頂けますか?
あ、秋山さんも連れて来てくださいね」
律「わかった!
おい澪!…みおー!…起きろー!!」
澪「へっ?!」
田辺「あ、ようやく目覚めましたね」
澪「うわあぁぁぁ!!魔女だぁぁぁーー!!
やめてください!!私をさらうのはやめてくださいぃぃ!!」
律「まてっ!落ち着け澪!この人達はマントはおってるけど魔女なんかじゃない!
オカルト部員の田辺さんと高木さんだ!落ち着くんだ澪!」
澪「いやだぁぁぁーー!!生贄にされる!!
さらわれて生贄にされるんだぁぁーー!!」
律「大丈夫だ澪!生贄になんかされない!!
正気に戻るんだ澪!!」
田辺「早く行きますよ」
…
唯「いやー…つい和ちゃんと話しこんじゃったよ」
唯「りっちゃんゴメン!やっぱり私チロルチョコ食べt」
唯「…あれ?」
唯「………」
唯「………」
唯「誰もいない」
…
澪「で、これがそのゲートと…?」
律「なんか怪しげな渦が…これは作り物とは思えないな…」
田辺「本物ですよ、現在と過去を繋ぐ異次元空間です」
澪「で、でも…その異次元への入口がなんで清掃用具ロッカーの中なんだ?」
高木「世に広がる不可思議と呼べるものは、えてして意外な場所にあるものですよ」
律「そ…そういうものなのか…これは、信じるしかないな…」
田辺「ようやく覚悟を決めて頂けましたか」
澪「あの、やっぱり私達なんかじゃなくて、もっと頼れる人に相談してみたらどうかな?」
律「何を言うんだ澪?!さわちゃんがどうなってもいいのか?!」
澪「違う!そうじゃなくて…さわ子先生が心配だからこそだよ
例えばほら、警察とか…そういう分野で専門的な人とか…」
田辺「それは無理ですね」
澪「えっ?」
田辺「このゲートは誰でも入れるという訳ではないんです」
高木「条件があるんですよ」
律「条件?」
田辺「はい、まずこのゲートは2人でないと入れません
1人でも3人以上でもNGです」
高木「それと入る2人がお互い一番大切な存在で無くてはなりません」
律「大切な…存在?」
田辺「はい、山中先生はその辺りも含めてあなた達にお願いしたんだと思います
田井中さんと秋山さんは昔から仲が良いと学校でも評判になっていますし」
高木「両想いのあなた達にはまさに適任だと思いますけど?」
澪「りょ…両想いって!!そんなわけっ」///
律「そ…そうだぞ!周りからはそう見られてても
ひょっとしたら私達すごく仲悪いかもよ?」
田辺「それはないですね、条件が揃わない限りゲートは姿を現しませんから」
律「…むむ」
澪「……」
田辺「もう一度言います、覚悟…決めて頂けましたか?」
律「………うん」
澪「ちょっと律?!」
律「わかった!さわちゃん救出は私達に任せなさい!」
澪「…大丈夫なのか?!私達2人で…」
律「私達しかできないんだ、やろう澪
それにこれは妹達にも関係ある気がするしな…」
澪「あっ…」
田辺「良かった…じゃあ早速潜って頂いて」
律「いきなり!?」
高木「ちなみに山中先生が向かった先は今から7年前の世界です
過去に行く場合、容姿が向かった先の世界のものに変換されますのでご注意を
ただ記憶までは失われませんのでご安心ください」
澪「7年前?!私達10歳の女の子になるって事?!」
田辺「そういう事になりますね、ちなみに山中先生は高校生の姿の筈です」
澪「そんな…小学生の姿でさわ子先生を探せっていうのか?!」
律「大丈夫だよ澪!なんとかなるって♪」
澪「その自信はどこからくるんだよっ!」
律「さぁいくぞっ!レッツゴー♪」グイッ
澪「ちょっと待って!実は私…今日都合が…!」
田辺高木「ご武運を」
律「ふん♪ふん♪」
澪「うわぁぁぁぁ………!!」
最終更新:2011年09月06日 16:42