音楽室
唯「やっぱりムギちゃんの入れるお茶は最高だね!」
ムギ「やだわ、そんな///」
澪「唯にはムギが入れたお茶とそうじゃないお茶がわかるのか?」
唯「もちろんだよ!私を誰だと思ってるの!」フンスッ
梓「いや、唯先輩だと思ってますけど・・・」
律「っていうか、唯」
唯「うん?何?」
律「お前、あんまりいい加減なこと言うなよー?」
唯「えー?いい加減じゃないもん!」
澪「今日はムギに教わって私が入れたんだけど・・・」
唯「」
唯「そ、そんな・・・」オヨヨ・・・
律「やっぱ唯は唯だなー?」
唯「ち、違うの。ムギちゃんに教わったからムギちゃんの風味を感じたの」
梓「亜鉛を摂取すると味覚障害が治るらしいですよ?」
唯「ひどっ!」
澪「まぁまぁ、私は嬉しいぞ?ムギと同じくらい美味しいお茶淹れられたってことだろ?」
唯「そうとも言うね!」
紬「私も教えた身として嬉しいわ」ウフフ
律「唯は現金だなー?」ニヤニヤ
唯「あ、そうだ!それで思い出した」
律「なんだよ」
唯「こんなの拾ったんだけど・・・」
梓「こ、これは・・・1万円!?」
唯「そうそう、すごくない?」
律「凄いなんてもんじゃないぞ!普通お札を拾うか!?」
唯「えへへー」エッヘン!
紬「金額は大したことなくてもお金を拾うと妙に嬉しい気持ちになるわよねー」ウンウン
澪「いや、大したことあるから!」
律「で」
梓澪紬唯「?」
律「これ、どうするんだ?」
唯「どうするって・・・」
澪「えーと、どこで拾ったんだ?」
唯「えーと、私の家の前に公園があるでしょ?そこの近くかな」
澪「よし、じゃあそこからの最寄の交番に」
律「待ったぁぁぁ!!!」
梓「!?」ビクゥッ
律「よく考えろ、澪」
澪「なんだよ」
律「届けるつもりならとっくにそうしてる。だけど、唯の手元には今だ1万円札がある・・・」
紬「・・・!」
律「これがどういうことだか・・・わかるな?」
澪「すまん、さっぱりだ」
律「だからー、唯には交番に届ける気なんてないっての!」
唯「りっちゃん!!」
律「な、なんだよ?」
唯「その通りだよ!」グッ
律「」
梓「親指を立てないで下さい」
澪「しかもそれ、立てる方向逆だからな」
唯「私ね、昔からよくお金とかお財布とか拾うんだー」ホワホワ
律「あー、っぽいな」
梓「えぇ、っぽいです」
唯「初めは交番に持ってってたよ。でもね」
紬「?」
唯「一度も持ち主が見つかったことがないんだよね」
澪「あーっぽいな」
律「うん」
唯「そんなことを何回か繰り返して・・・ある日、憂が言ったんだよ」
梓「憂はなんて?」
唯「私が拾うお金やお財布は神様からの贈り物なんだよって」
律「いや・・・それは・・・(ないだろっ)」
澪「えーと、唯、あのな・・・(でも神様がいないなんて唯みたいな子に言っていいのか?)」
唯「だから、交番に届けなくてもいいんじゃないかなぁ?ってね」
紬「う、うーん・・・」
唯「私もそれで思ったんだ!せっかく神様が私に贈り物をしてくれてたのに、その気持ちを無下にしちゃいけないって!」
律「・・・」
梓「・・・」
唯「あれ?私なんか変なこと言った?」
澪「えーと・・・(どうしよう)」
紬「そうね、唯ちゃんの言うとおりだわ」
律「えぇ!?」
唯「だよね!!」
澪「おい!」
紬「えぇ、当たり前じゃない。プレゼントをあげた人がそれを大切にしなかったり、誰かにあげちゃったら・・・私は悲しいわ」
澪「えっと、あぁ。そういう問題じゃない気もするが・・・とりあえずいいんじゃないか?今回は」
唯「そっかー」
梓「本当は届けないと駄目なんですよ?」
唯「えー?でも神様からの贈り物だよ?みんなはそれでも届けちゃうの?」
律「う、うーん・・・どうかなー?届けるような・・・届けないような・・・」
梓「いいえ、律先輩は届けないですよ」
澪「私もそう思う」
梓「まぁ、唯先輩と結果は同じでも、その結論に至るまでの経過は全く違うでしょうけど」
律「こら待て、何が言いたい」
紬「まぁまぁ、とにかく唯ちゃんはこの1万円をどうするの?」
唯「憂に貯金してもらうんだー」
澪「なんだ、ちゃんと管理してるのか」
梓「どっかの誰かさんはゲーセンなんかですぐに消費するでしょうけど」チラッ
律「こっち見ながら言うなぁ!」
唯「ちゃんと神様通帳があるんだー」ホワホワ
澪「へー!ちなみに今どれくらい溜まってるんだ?」
唯「わかんないけど・・・15万くらいかな?」
律(拾いすぎだろぉ!!)
梓「すごいですね・・・」
澪「っていうかそれでギター買えたんじゃ・・・」
唯「自分のために使っちゃ駄目って憂が言ってた!」
律「憂ちゃん・・・いい子なのか黒い子なのかわからないぜ・・・」
唯「あ!そうだ!」
澪「どうしたんだ?」
唯「いいこと考えたよ!」
律「だからどうしたんだ?」
唯「自分のために使っちゃ駄目ってことは・・・みんなのためなら使っていいんだよね?」
紬「ま、まあそういうことになるわね?」
唯「じゃあこの1万円はみんなのために使う!」
律「おー!唯太っ腹ー!」ヤッタゼ!
梓「でも・・・いいんですかね?」
澪「うーん・・・拾った金で何かするのは少し忍びないな・・・」
律「じゃあ私のために使うといいぜ!」
梓「一番駄目です」
唯「神様がくれたんだもん、気兼ねなく使おうよ!」
澪「でもなー、いきなり1万円使っていいって言われても・・・」
紬「いざとなるとどうしたらいいかわからなくなるわね・・・」
唯「遠慮しなくていいんだよ?」
梓「うーん、特に欲しいものもないですし・・・」
律「確かに、すぐには出てこないな」
唯「うーん、わかった!じゃあしばらく私が持ってるよ。使う用事が出来たら言ってね」
梓「はい、わかりました」
澪「別に神様通帳に預けてもいいんだぞ?」
唯「いいえ、私は決めました!このお金はみんなで使うの!」
紬「なんていい子なのかしら・・・」ハァハァ
律「待て、ここはハァハァする場面じゃないぞムギ」
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唯の家
唯「っていうことがあってねー?」モグモグ
憂「へーそうだったんだぁ」
唯「そうそう、みんなはお金拾ったときどうするのかなー」
憂「普通、お金を拾う機会なんてあまりないからねー・・・どうなんだろう」
唯「私が拾いすぎなのかな」
憂「うん、ちょっとね」アハハ
唯「そっかー。憂がお金拾ったらどうする?」モグモグ
憂「私は届けるかな」
唯「なんで!?神様からのプレゼントを手放すなんて・・・!」
憂「みんながみんな、神様からお金をもらえるワケじゃないんだよ?私が拾ったことのあるお金は全部誰かが落としたものなの」
唯「そうなのー?」
憂「うん、だから落とした人が困らないように届けるの」
唯「あ、あれ?じゃあ私が拾ったお金も誰かが・・・」
憂「だから、お姉ちゃんの拾うお財布やお金は全部神様からの贈り物なんだって」
唯「私だけ?」
憂「そう、お姉ちゃんだけ。よく考えて?私がお金を交番に届けたことあるって、お姉ちゃんは知ってる?」
唯「ううん、しらない」
憂「それがなんでかわかる?」
唯「うーん・・・憂が言ってくれないからかな?」
憂「それもあるけど、落とし主さんが見つかってるからだよ」
唯「そうなの?」
憂「うん、私がお財布を持っていったとき、落とし主さんは既に交番にいたの」
唯「そうなんだぁ。えーと、それで?」
憂「そのまま手渡してお終い」
唯「へー」
憂「わかったでしょ?何度も交番に届けてるのに落とし主さんが一度も見つからないなんて考えにくいんだって」
唯「じゃあ、やっぱり神様のお恵みなんだね!」
憂「違うよーお姉ちゃんがいい子だからそのご褒美なの!」
唯「えへへー、そっかぁ///」
憂「うん。だから・・・」
唯「うん?」
憂「他の人はちゃんと交番に届けないと駄目なんだよ?」
唯「うん、あずにゃんも言ってたよー」
憂「そっか。とにかく、お姉ちゃんは特別なんだからね?」
唯「やったね!」ブイッ
憂「で、その1万円、まだ持ってるの?」
唯「へ?うん、持ってるよ!」
憂「それは神様通帳に預けないで、軽音部のみなさんのために使うんでしょ?」
唯「うん!自分のためじゃないなら使ってもいいよね?」
憂「うん、きっと神様も喜んでくれるよ!」
唯「へへー///」
憂「でも使い道は決まってないんでしょ?」
唯「そうなんだよ。とりあえず私が預かっておくことになったんだけど・・・」
憂「私がみんなのための使い道考えてあげる!」
唯「本当に!?ありがとう!憂大好きだよー」ギュー
憂「もう、お姉ちゃんったら///」エヘヘ
唯「うーいー」スリスリ
憂「くすぐったいよ///・・・あ、そういえば」
唯「なに?」
憂「明日は学校お休みだけど・・・お姉ちゃんは部活あるんだっけ?」
唯「うん!明日もみんなと練習だよ!」フンスッ
憂「そっか!頑張ってね?」
唯「うん!頑張ってお茶して、ちょっとだけギー太弾いてくる!」
憂「逆にして。お茶してもいいからせめて比率を逆にして」
唯「えへへーそれじゃ私お風呂入って来る!」トテトテ
憂「うん、行ってらっしゃい」ヒラヒラ
唯「アイス用意しておいてね♪」バタンッ
憂「もーお姉ちゃんってばぁ」クスクス
…
憂「・・・明日部活あるんだ、丁度よかったや」ボソッ
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通学路!
唯「今日は早く着いちゃいそうだね?」
憂「うん、なんてったって早くに来たからね!」
唯「えーとなんで憂もいるの?いや、全然いいんだけどね?」
憂「えへへー。それはね、1万円の使い道をお姉ちゃんに教えてあげるためだよ!」
唯「どういうこと?」
憂「うーんとね・・・」
唯「なになに?」
憂「昨日拾った1万円、持ってきた?」
唯「うん、ほら!」ピラッ
憂「ちょっとそれ貸してもらえる?」
唯「?うん、いいよ」ハイッ
憂「ありがとっ」
唯「それをどうするの?」
憂「これをね・・・えっと、お姉ちゃんは建物の陰に隠れてて?」
唯「?わかった!」ササッ
タッタッタッ・・・
唯「あー!!憂がお金持って逃げたぁぁ!!」
憂「なんて人聞きの悪い!!」
唯「あれ?違うの?」
憂「違うよ、これをここにって、嘘!?来るの早っ!」
唯「何が!?」
憂「説明はあと!・・・えい!」ヒラヒラ・・・
唯「なんでお金投げたの!?」
憂「いいから!お姉ちゃん、ちゃんと隠れて!」
唯「ほえ?」
憂「早くっ!見つかっちゃう!」ガシッササッ
唯「えー?なになにー?」ワッタッタッ
憂「ほら、見てて」
唯「んー?」
憂「なんとか隠れるの間に合ったね・・・」
唯「えーと、憂?」
憂「うん?」
唯「道端に1万円投げてどうするの?それにあれは神様からのプレゼントなんだよ?大切にしないと駄目だよ?」ムー
憂「大丈夫だよ、捨てたわけじゃないから」
唯「えーでもー」
憂「大丈夫。一時的に落としただけ」
唯「えーと?」
憂「ほら、来たよ!」
唯「え!?何が!?」
憂「お姉ちゃん静かにっ。私達は隠れてるんだよ?」ボソッ
唯「うーごめん」ボソボソ
憂「見てて」
唯「あれは・・・りっちゃんだ」
最終更新:2010年01月23日 00:31