憂「お姉ちゃん昨日言ってたでしょ?みんなはお金を拾ったらどうするのかなーって」

唯「うん」

憂「だから・・・これでハッキリするよ」

唯「なるほど!」ワクワク

憂「これなら何回でも1万円使えるでしょ?」

唯「確かに!憂ってばあったまいー!」

憂「お姉ちゃん、静かに」シー

唯「ほーい」ボソボソ


憂「まずは落ちてるお金に気付くかだけど・・・」

律「ん?」

唯「気付いたっぽい・・・!」

律「・・・」キョロキョロ

憂「あたりを見渡してるね・・・」

律「えーと・・・こんなの有りか?」

唯「なんか疑ってるよ・・・?」

憂「まぁそりゃ1万円落ちてるなんて普通は有り得ないもん」

律「・・・うーん」

唯「なんか腕組んで考えてるね?」

憂「うん、ここからが見所だよ・・・!!」


律「・・・」スッ

唯「拾った・・・!」

律「しょうがねーな」ハァ

唯「よくわからないけどりっちゃん隊員は文句を言ったようです!」

律「・・・」ゴソゴソ

憂「何してるんだろう・・・」

律「・・・」パカッ

唯「・・・ケータイ!?」

律「・・・」ピッピッピッ


ブブブブブブ・・・


唯「私のケータイが鳴ってるよ・・・!?」

憂「ふぅ、サイレントモードでよかった。お姉ちゃん、出て。ここにいるのがバレないように小声でね?」

唯「了解っ」ピッ



唯「もしもーし?」ボソボソ

律「あれ?唯、今どこにいるんだ?」

唯「ほえっ!?」ビクゥッ

律「なんか声、小さくないか?電話したらまずかったか?」

唯「うううううん!?」

律「いや、どっちだよ」

唯「大丈夫だよ!・・・どうしたの?」

律「あー悪ぃ、ちょっと遅れる」

唯「ほえ?なんで?」

律「うーん、ちょっと寝坊しちまった」

唯「そっかー」

律「あと、全然関係ない話していいか?」

唯「うん、どうしたの?」

律「学校の最寄の交番ってどこだっけ?」


唯「・・・!」パァァァ!

憂「これは、意外・・・!」

律「ん?おい?聞いてるかー?」

憂「律さん、交番に届けるつもりなんだよね?」

唯「・・・!」コクコク!

律「おーい?」

憂「お姉ちゃん、貸して!」

唯「ほい!」

ガサガサッ

律「ん?なんだ?雑音?おーい、今どこにいるんだよ。本当に電話してて大丈夫なのか?」

憂「律さん!!!」

律「うわぁぁぁ!?!?」キーン!

唯「りっちゃん!」タッタッタッ

律「どわぁぁぁぁ!?どっから出てきたお前!?」


唯「そこ!建物の陰に隠れてたの!」

律「いや、朝っぱらから何してんの!?」

憂「律さんの行動はそこから全て観察していました!」

律「いや、電話越しじゃなくて憂ちゃんも出ておいでよ!?」

憂「えへへー、おはようございます」トテトテ

律「おう、おはよ。・・・いや、っていうか観察って何!?ストーカー!?」

唯「りっちゃんってば反応にぶいー」ケラケラ

律「お前に言われたくねぇ!」




唯「というわけなんだ」

律「お前らなー」

憂「でも、ちょっと見直しちゃいましたよ!」

律「へ?」


唯「なんだかんだ言って交番に届けるんだ?」

律「ま、まぁな///」

憂「本当、しかも寝坊したって嘘ついてまで・・・」

律「だ、だって唯が1万円拾ったのが昨日だぞ?本当のこと言ってもみんな信じてくれないって」

憂「なんていうか、立派なんですね?」パァァァ!

律「そ、そうか?///しょうがないなー・・・惚れてもいいぜ?」キリッ

憂「いや、それはない」シラー・・・




律「」



唯「これは神様じゃなくて人が落としたお金だから、届ける方がいい子なんだよね?」

憂「うん!そうだよ、律さんはいい子だったんだよ」

律「おい、これくらいのことでそんなに褒めるなよ///」

唯「いいこいいこー」ナデナデ

律「お、おう、ありがとな///」

憂「・・・」ギロッ

律(すごい睨まれてるんですけどー)

憂「私も律さんにナデナデしたいなー?」

律「へ?憂ちゃんも!?(悪い予感しかしないんだけど)」

唯「いいよ!」

律「こら、お前が許可するな」

憂「それじゃ失礼します!・・・なでなで・・・チッ・・・なでなで・・・」グシャグシャ

律「あ、あははは・・・(なんか舌打ち混じってたぁぁぁ!!)」ガタガタ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


唯「私達に『何してるんだ!』なんて言っておいて、りっちゃんも楽しそうじゃん!」ブー

律「そりゃこんな楽しいことないだろっ!」ヘヘーン

憂「これ、お金をセッティングするタイミングが難しいんですよ」

律「あーだよな。下手したら他の人に拾われちゃうよなー」

唯「うん、慎重に!」

律「尚且つスピーディーに!」

憂「二人はヘマしそうだから私が置いてくるね?」

唯律「異議なーし!」

憂「すごい遠くだけど・・・うちの制服着た人が・・・!」

律「・・・あれは・・・梓じゃないか?」

唯「うん!そうだよ、あずにゃんだ!ギター背負ってる!」

憂「よしっ・・・!」イッテキマス!

律「おう!」


唯「じゃあ私達は隠れよう!」

律「あぁ、そーっとな!」

タッタッタッ

憂「戻りました!」

唯「憂ー!こっちこっち!」

憂「オッケー」ササッ

律「さぁ、梓のやつ・・・どうするかな?」


お金80m手前


梓「・・・」

唯「まだ結構遠くにいるね」

律「あぁ、これが朝でよかったな」

唯「なんで?」

律「ほら、朝だとここら辺は人通り少ないだろ?」

憂「あー、確かに。邪魔が入る危険性が低いですよね」


50m手前


律「ん・・・?」

唯「どうしたの?」

憂「気のせいかな・・・なんだか早足に・・・?」

律「私も思った」

唯「そう?変わらないよ?」


40m手前


律「いや、やっぱ早足じゃないか?」

唯「そうかも」

憂「っていうか徐々にスピード上がってませんか?」


30m手前


律「明らかにスピードが上がってるな」

唯「あずにゃんどうしたんだろう・・・まだ部活までは余裕あるのに」

20m手前

憂「これって・・・!」

律「もしかして・・・!」

10m手前

唯「へ?なになに?」


5m手前

憂「やっぱり!」

3m手前

律「やばくないか!?」

1m手前

唯「あずにゃん足早っ!!」

お金との距離、0m

梓「やっぱり1万円札だ!」パシッ

律「あいつ!!何の迷いもなく!!」

梓(落とした人が近くにいるかも・・・急いでるフリしてこのままダッシュ!)タッタッタッ!

憂「梓ちゃん!悪い子!」

唯「行こう!」ダッ

律「おう!」ダッ

憂「手間取らせてくれるね?梓ちゃん」ダッ


律「おーい!!」タッタッ

梓(やっば!落とし主!?)タッタッタ

唯「あずにゃん!」タッタッタ

梓「へ!?」クルッ

律「だぁぁぁ!いきなり止まって振り返るなぁぁ!!」ドガッ

梓「へぶっ!?!?」ドーン

憂「追いついた・・・。これは・・・見事なクラッシュだね・・・」ゼェハァ

唯「りっちゃん、あずにゃん!大丈夫!?」

梓「う、いたたた・・・」

律「いってー・・・」

梓「ちょっと、上から降りてください」

律「被害者ヅラすんなっつの!」ドロボーメ!

梓「なっ、違います!」

律「なにがだよ!?」


梓「私はただ交番に届けようと思っただけです!」

律「あぁ、そっかー。お前はなんていいヤツなんだ」ナデナデ

梓「わ、わかればいいんですよ」

律「・・・って、なるかぁぁぁ!!!」

梓「なっ!」

憂「梓ちゃん?」ユラッ

梓「!?」

憂「本当のこと、言おう?」ニコッ

梓(逆らっちゃ駄目だ逆らっちゃ駄目だ逆らっちゃ駄目だ・・・)

律「ほら、早く」


梓「すみません、お札っぽいものが落ちてるなーと思って最初は小走りしたんですよ」

唯「うん」

梓「それで『あれ!?本当にお札じゃない!?』と思ったら鼓動がクレッシェンドして、スピードにピューモッソがかかり・・・」

律「いやいらない、その音楽用語いらない」

憂「オブラートに包もうとしても無駄だからね?声にビブラートがかかってるからね?」ニコッ

梓「」

梓「本当にすみませんでした」ペコッ




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


律「全く、部長として恥ずかしいぜ」

梓「うー・・・すみませんってばー」

唯「あずにゃん悪い子!」メッ!

憂「要するにお札だと思ったらテンション上がって飛びついたってことでしょ?」

梓「うーいー、ごめんってー」

憂「私じゃなくてお姉ちゃんに謝って」プンスカッ

梓「唯先輩も、ごめんなさい・・・」

唯「うん、いいよ。可愛いからなんでもいいよ」

憂「よかったねー、可愛いと得だね?」

梓(・・・憂の目が笑ってない・・・)

律(梓、ちょっと同情するぜ)

梓「そういえば!律先輩は?」

唯「りっちゃんはちゃんと交番に届けようとしたよ」


梓「」

律「私はお前とは違うの」ヘヘーン

梓「うー・・・」

唯「あれ?」

憂「どうしたの?」

唯「あれ、ムギちゃんじゃない?」

律「あ、ホントだ」

梓「ムギ先輩って髪の色が明るいから遠くからでもわかりやすいですよね」

憂「よしっ、じゃあ私セッティングしてくる!みんなは隠れてて!」

律梓唯「はい!」


タッタッタッ・・・


憂「ただいま!」ササッ

唯「おかえり!」

律「さーて、ムギはどうするかな?」

梓「なかなか行動が読めない人物ではありますよね」


最終更新:2010年01月23日 00:32