―帰り道
唯「…はぁ、流石にちょっと冷たかったな」
和「唯ー!今帰り?」
唯「おう和(かず)、お前もか?」
和(かず)「そうよ」
唯「そうか…その、昨日は悪かったな…」
和(かず)「ああ…気にしてないわ。怨むべき相手が違うもの」
和(かず)「それよりあの糞両親め…!今思い出しても腹が立つわ!ちょっと聞いてよ唯!私の親ね、けいおんを全話違法サイトで見たのよ!?」
唯「へ、へぇー…そうなんだ…」
和(かず)「どうしてテレビで見なかったと思う!?深夜は眠いからだって!!ならアニメ見るなよ…!!」
和(かず)「それでけいおん!信者になった気でいるんだから呆れるわ…キャラソンも一枚も買わないで落としたって言うし…ほんとにわかよね!」
唯「あぁ…にわかだな…(こいつはもう病気だな…)」
唯「それより和(かず)、お前さ、軽音部に入部する気ない?」
和(かず)「え?入部したいけど私、楽器持ってないし…」
唯「あぁ、それなら心配するな。私のギターを…」
和(かず)「くれるの!?」
唯「やんねーよ!!話を最後まで聞け!貸してやるんだよ」
和(かず)「えー?貸すだけー?」
唯「なんだ不満か?ならこの話はなかったことに…」
和(かず)「う、うそうそ!是非貸して下さい!」
唯「わかったよ、なら明日家に取りに来い」
和(かず)「今日はダメなの?」
唯「あぁ、明日お前に会わせたい人がいるからさ、その時にでも」
和(かず)「えっだれ!?もしかして男!?」
唯「……(こいつに声をかけたのは失敗だったか)」
―次の日 部室
がちゃ
唯「おーっす、紬いるか?」
紬「あ…唯」
紬「…と、誰?」
和(かず)「真鍋和(かず)よ、…この子がもしかして唯の言ってた?」
唯「あぁ、会わせたい人だ。紬っていうんだ」
紬「……」モジモジ
和(かず)「何よこの子…って、えっ!?唯ってもしかしてレズビ…!」
唯「よし紬、俺の家に行こうか」
紬「……」コク
和(かず)「アン!嘘です!嘘ですからおいてかないで!」
―平沢家
唯「ただいまー」
憂「お帰りお姉ちゃん♪っと「かず」さん、お久しぶりです」
かず「久しぶりね憂ちゃん」
憂「はい♪あれ?そちらの方は?」
紬「こ…琴吹…紬です…」
憂「紬さんですか。初めまして、私は
平沢憂っていいます。お姉ちゃんがいつもお世話になってます」ペコリ
紬「…!原作通り…」
かず「でしょー?たまらないわよねぇ…」
紬「…すごく…いい」
唯「おい二人とも…俺の部屋に行くぞ」
「お帰り唯ー!」
唯「げ…また面倒なのが…」
父「お帰り唯!それとかずちゃん、しばらくだね」
かず「はいおじさん、お久しぶりです」
父「あれ?そちらの子は?」
紬「こ…琴吹…紬です…」
父「!な、なん…だって…?もう一度言ってごらん…?」
紬「こ…琴吹…紬です…」
父「……」
紬「…?」
父「…は…ははははっ!!なんてこったい!!母さん、我が家にむぎゅうううが来たぞ!!」
母「な、なんですってー!?」
唯「もう嫌だ…この家族…」
父「部活は何をやってるんだい!?」
母「もちろん軽音部よね!?」
紬「……」コク
父「…素晴らしい…素晴らしい…うぅ…」ポロポロ
母「ご両親もさぞ満足しているんでしょうね…羨ましいわ…」ポロポロ
紬「うん…!パパもママもきっと今頃喜んでいる筈…♪」
唯「? なんだよ、まるで死んじまったような言い方だな」
紬「うん…私が小さい時に…死んじゃった」
唯「え…?」
紬「だからね…私はお金持ちになって、パパとママに立派なお墓を立ててあげるの」
唯「そうだったのか…」
かず「そんなことが…」
父「な、なんだかごめんな…」
母「ごめんなさいむぎゅうう…不謹慎だったわ…」
紬「…いい、気にしていない」
唯「と、とりあえず俺の部屋に行こうか…」
紬「……」コク
―唯の部屋
唯「今日二人を俺の家に招いたのは他でもない、軽音部の為だ」
かず「……」
紬「……」
唯「それじゃかず、まずお前にギターを渡そう」
かず「……」
唯「かず?」
かず「…私やっぱり軽音部に入部するのやめるわ」
唯「はぁ!?ここまで来て何言ってんだよ!?
かず「だって!!私が軽音部に入部したかった理由ってけいおん!に憧れたからなんだよ!?プロだって目指している訳じゃないし…」
かず「そんな理由で入部するなんて…プロを目指してる紬ちゃんに申し訳ないわよ…」
唯「かず…」
紬「…大丈夫、きっかけは何だっていい…用はその後を楽しめるかどうか…」
かず「それでも…やっぱり私はやめとくわ…」
紬「そう…残念…」
紬「なら後は…」チラッ
唯「ど、どうしてこっちを見る?」
紬「…お願い、後は唯しかいないの」
唯「そんなこと言われてもな…」
紬「大きいお墓立てたいの…お願い」
唯「……」
紬「だめ…?」
唯「…すまない」
紬「…そう…残念。なら…」
紬「実は…私には100人の兄弟がいてね…その子たちを養う為にお金が必要なの…」
唯「…え?」
紬「お願い…だから一緒にプロになる為に軽音やろう?」
唯「……」
紬「…ダメ?」
唯「ダメだ」
紬「そう…残念。なら…」
紬「実は…私のお母さんが心臓病を患っていて、手術をする為にお金が必要なの…」
かず「……」
紬「お願い…だから一緒に…」
唯「ストップ!…どこからが嘘だ?」
紬「え…?私嘘なんて…」
唯「ほう…両親は死んだんだよな?」
紬「うん…大きいお墓を立てたいの」
唯「ふ~ん…そういえばお母さんは心臓病なんだよな?」
紬「うん…手術の為にお金がほしいの?」
唯「でもお母さんはもう死んでるんだろ?」
紬「…勝手に殺さないでほしい」
唯「…どうして嘘なんて吐いたんだ?」
紬「それは…唯に軽音部に入部してほしかったから…」
唯「気持ちは分かったよ、でも同情で人の気を惹こうとするのはいただけないな」
紬「ごめんなさい…でもプロになりたいのは本当…私の家は貧乏だから…」
唯「どうだかなぁ…」
紬「お…お願い…信じて唯…唯に嫌われたら…私…」
かず「唯は随分紬ちゃんに懐かれてるわね」
唯「あぁ…どうしてかな」
紬「そ…それは…その…」モジモジ
かず「!ははぁ~…まぁいいわ、とりあえず私の入部する話は無しって方向で」
唯「お、おい!なら軽音部はどうなんだよ?」
かず「さーねぇ、唯が入部すればいいじゃん」
唯「えー…」
唯「とりあえずあと何日以内に部員を集めなきゃならないんだ?」
紬「あと二日…それをすぎると廃部…」
唯「二日!?んなもんで集まるかよ!!」
紬「それでも…何とかしなくちゃ…」
唯「…わかったよ!明日から部員を集める活動をしよう!」
紬「…唯は結局入部してくれないの?」
唯「うーん…まぁマネージャーくらいならやってやるよ」
紬「ほんと…!?嬉しい…唯、大好き…♪」
唯「大好きってまた大げさな…」
かず「大好きねぇ…なるほど…」ニヤニヤ
―次の日
澪「おい律、帰りにゲーセン寄ってこうぜ」
律「また?あそこうるさいから嫌いだな…」
澪「あぁ?なんだよお前、私の言うことが聞けねえのかよ!?」
律「わ、わかったから…仕方ないなぁ澪は…」
澪「よしよし、それでいい!」
律「はぁ…」
「軽音部に入部しませんかー?」
澪「あ?」
律「この声は…」
かず「明日までに部員が集まらないと廃部になりまーす!」
唯「馬鹿!もう少し考えて宣伝しろよ!」
かず「えー?事実じゃん」
紬「部員…求む…」
澪「ようムギ、まだ部員集まってなかったのか」
律「久しぶりだねムギちゃん、唯ちゃん」
紬「澪…律…」
唯「なんだ、入部希望か?」
澪「はっ!ちげーよ。もう軽音なんかには興味はねぇ」
唯「…なら邪魔だ、どっかいけ」
澪「あぁ、言われなくたっていくよ。じゃぁな…おら律、いくぞ」
律「あ、うん…ごめんなさい皆さん、それじゃ…」
紬「…待って、律は本当にそれでいいの?」
律「えっ?」
律「どういう意味?」
紬「ドラム…嫌いになったの…?」
律「そ、そんな訳ないよ!でも…」チラ
澪「おら律、何やってんだよ!?さっさと行くぞ!!」
律「私は澪ちゃんのいないバンドのドラムは嫌だな…だって、澪ちゃんもドラムも同じくらい大切だから」
紬「…そう」
澪「おい!!さっさとこいよ!!ぶっ殺すぞ!!」
唯「あんなんでも大切なのか?」
律「うん、大切だよ…すごく。それじゃそろそろ行くね、部員集め頑張ってね」
かず「…本当にあんな奴のどこがいいのかしら?謎だわ」
唯「あぁ、全くだな…」
紬「……」
―帰り道
澪「あー今日もいっぱい遊んだな!」
律「…そうだね」
澪「…なぁ律、あいつらになんか言われたのか?あれから元気ないぞ」
律「な、何も言われてないよ」
澪「そうか…もし何かあったらすぐ私に言えよ、ぶっ殺してやるから」
律「…それがもしムギちゃんでも?」
澪「当たり前だ!どんな奴だろうと私の律を虐める奴は殺してやる!!」
律「…ありがとう澪ちゃん、その気持ちはすごく嬉しいよ。でも…」
澪「でもなんだ?」
律「…ねぇ澪ちゃん、もう一度軽音部に入部しない?」
澪「はぁ?する気なんかねぇよ…さては律、あいつらに何か吹き込まれたんだな?」
律「ち、ちが…!」
澪「あいつら…なめた真似しやがって!!ぶっ殺してやる!!」
律「ち、違うって言ってるでしょ!!」
澪「律…」
律「人の話を最後まで聞いてよ!!殺すことしか頭にないの!?」
澪「お前…誰に向かって口聞いてるかわかってんのかよ!?あぁ!?」
律「わかってるよ!!人殺しの澪ちゃんだよ!!」
澪「私はまだ人を殺したことはねぇ!!」
律「どうせそのうち殺すんでしょ!?」
澪「んな訳あるか!!私がもし人を殺すなら、それは律を不幸にする奴が現れた時だよ!!」
律「…!そんなことをその口で言わないでよ!それを言っていいのはかっこいい澪ちゃんだけだよ!!」
澪「あぁ!?どういう意味だよ!?」
律「そのままの意味だよ…今の澪ちゃんはさ、なんかかっこ悪いよ…」
澪「私がかっこ悪いだと?」
律「うん…昔の澪ちゃんの方がかっこよかった。自分のやりたいことに一生懸命でさ…」
澪「……」
律「でも今は違う。ただの人殺しだよ」
澪「お前…流石の私も傷つくぞ…」
律「…決めた、私軽音部に入部する!」
澪「だから…私はする気ないって言ってるだろ?」
律「澪ちゃんは別にいいよ、これは私一人の意思だから!それじゃさよなら!」
澪「お、おい律!待てよ!」
澪「…くそ!やりたいことなんてねぇよ…」
最終更新:2010年01月23日 11:42