澪「あ、あれだよあれ」

梓「? え、歩道で食べてませんかあれ」

澪「そうなんだよー、店内に席無いからさー。縁石とかガードレール座って食べるんだ。面白いだろ」

梓「へー。食べ難そうですね」

澪「……そういうこと言うなよ」

梓「でも不思議な雰囲気ですね。ちょっと楽しいかもです」

澪「ははっ、だろー!?だろお!?」

梓(うざ……)

店主「らっしぇえ!」

澪「どもー。ラーメンふたつで」

店主「おっ、今日は一人じゃないんだねェ」

澪「はは、後輩なんだー。ここのこと話たらどうしても来たいっていうからー!」

梓「……」

店主「嬉しいねぇ。お代別々?」

澪「あ、まとめて出しちゃうよ」チャリチャリ

店主「まいど!じゃこれ札ね」

澪「ほら梓」

梓「どうも」

梓「いくらですか?」ゴソゴソ

澪「いいよおごりで!(先輩アピール)」

梓「えっ、ホントですか?どうもです」

澪「じゃあその辺座って待つか」


店主「45番46番さんおまちー」

澪「お、出来たぞ取り行こう」

梓「蚊にさされた……」

澪「にんにくセルフだから」

梓「チョモにしよ」

澪「は?」

梓「あ、いえなんでも」


梓澪「いただきまーす」パチン

澪「あっ!梓箸変に割れてるぞwぷぷw」

梓「……いいですよ別に」ズルズル

梓「おいしい」

澪「だろー!」

澪「ていうかにんにく乗せまくりだな梓」

梓「チョモなんで」

澪「何が?」

梓「にんにくです」

澪「……?」ズルズル

澪「うまい!おいしいもの食べると元気になるよな!」

梓(それはあるかも)ズルズル

澪「食べたら頑張って歌詞考えるぞぉ」

梓「部活こないのにですか?」

澪「く、空想に耽りたいんだよ」

梓「あぁ……」ズズル


澪「ごちそうさまー」

店主「あいよどうもね」

澪「ぷぅ」

梓「よかったですよ」

澪「だからおすすめって言っただろ~」

梓「それでこの後はどこ行くんですか?」

澪「えっ、お気に入りのスポットでぼーっと空想に……」

梓「どこですか?行きましょう」

澪「だ、だめだだめだ!秘密だからだめ!」

梓「えぇえ~」

澪「だめったらだめなんだ!散れっ!!」タッタッタッ

梓「あっ……」

梓「まだ微妙に時間ある……その辺ぶらぶらして潰すしかないかー」テクテク


梓「そろそろ1時間経ったかな~ …ん?」

梓「澪先輩だ」コソコソ

梓「ふーん、あの坂の階段がお気に入りスポットなんだ。よくわかんないな」


澪「…………」ホゲー

澪「……!あっ! か、かゆい!!」

澪「くそっ、蚊か……どこだよぉお落とし前つけさせてやるっ!」バッ!バッ!


梓「何してんだあの人……」

梓「いいや、帰ろ」


ガチャ

梓「こんにちは」

唯「やっほーあずにゃん」

梓「やっほーです」

梓「今日はロールケーキですかー」

紬「ふふ、お茶淹れるね」

律「……」

梓「いただきます」モグモグ

唯「澪ちゃんは今日も来ないのかなー」

紬「また澪ちゃんの分余っちゃうわね……」

唯「じゃあ私がもらっt」
律「……梓食べろよ」

唯「えっ」

梓「……」モグモグ


律「ほら、遠慮するなよ」

梓「……」

唯「……」ソワソワ

梓「いいですよ、唯先輩食べてください」

唯「わ~い!やったぁ~いいよねりっちゃーん、へへへ」

律「……」

唯「モグモグ……おいひい!おいひいからあずにゃんにも半分あげるよ!あーん♪」

梓「!! あーん♪//」モグモグ

律「!……」

唯「どう?あずにゃんどう?」

梓「おいひいです!」

紬「りっちゃんお茶おかわりいる?」

律「あ、うん……」


唯「じゃあねーバイバイ」

律「またなー」

梓「またです」テクテク

律「梓ー、どっかその辺で遊んでかない?」

梓「……」ピタ

梓「なんでですか?」

律「な、なんでって……今日も外で時間潰すんだろ?付き合うよ。私も暇だしさ」

梓「いいです」

律「そんなこと言うなよ……ほっとけないんだよ。 私にしてあげられるのってそれぐらいだけどさ……」

梓「……『してあげる』ですか」

律「え?」

梓「ごめんなさい、お気遣いどうもです。じゃあまた明日です」タッタッ

律「あっ梓!」

律「……」

梓「……」テクテク

梓「あ、そうだ」


梓「……ここだここ。澪先輩のお気に入りスポット」

梓「先輩はこの時間いないね。やっぱり」

梓「たしかこの段に座ってたっけ」

ストン

梓「ふーーー……」

梓「あ、ここからだとこんな眺めなのかー。結構遠くまで見渡せる……おもしろいなぁ」

梓「あの人変な事知ってるね。ププ」

梓「…………」ホゲー

猫「ニャアー」

梓「ん?」

梓「にゃぁあ~」

梓「野良にゃんだよーん。へへ…ごめん今何も持ってないや」

―――

澪「ぼんぼちってぼっちっぽい響きだけどおいしいよなー、ププッ」

澪「ぼっちなぼんぼちってストーリーで歌詞考えてみようかなぁ……」スタスタ

澪「……あっ!」サッ


梓「……」Zzz...


澪「あ、梓がなんで『たそがれ坂(澪が呼んでるだけ)』に……うぅ、夕暮れ時が一番いいのにぃ……」

澪「せっかくおにぎりとお茶にトッポも買って準備万端だってのに……ぐぅう……」

澪「……っていうかあいつ寝てんのか、あれ」

澪「ギターパクられても知らないぞ……」

澪「……別んとこ行くか」クルッ


澪「……」


梓「スピー…スピー…」

澪「おい」ツン

梓「ふが …スピー」

澪「……」

梓「…… はっ!?」ジュル

梓「あっ。澪先輩」

澪「何してんの」

梓「どうも。あ、寝てたのかー……」

澪「どうもじゃなくて」

梓「ひまだったので」

澪「いや、そうじゃなくてここ……」

梓「えっ?あぁ……昨日あの後ぶらぶらしてたら澪先輩がここにいるの見えたんで」

梓「丁度ひまだったしお気に入りスポットって言ってたからどんななのかなって……」

澪「そ、そうか……」

梓「いい眺めですね」

澪「!! そうか分かるかー!ははは、そうだろー私が見つけたんだぞここ!」

梓「他にもないんですか?」

澪「えっ!?あ、あるけどだめだ!一人で思索に耽る場所なんだから人が増えるのは困る」

梓「……けちですね」

澪「」

澪「……別にけちでいいし……」

梓「あっ、それおにぎりですか?」グゥ

澪「な、なんだやらないぞ。昨日ラーメン奢ってやっただろ」

梓「分かってますよ聞いてみただけじゃないですかぁー……」グゥウ

澪「……」

梓「座らないんですか?」

澪「え。あ、あぁ……」

澪(他の場所行こうと思ったけど同じパターンでバレたら嫌だな……)

澪「んじゃここで食べてこ」スッ

澪「もぐもふ」モグモグ

梓「……具なんですかー?」グゥゥ

澪「鮭」

梓「へぇー」ゴクリ

澪「……」モグモグ

梓「一個だけですか?」

澪「あとこんぶがある」

梓「そうですかぁ」グゥゥ

澪「や、やらないって言ってるだろ……」

梓「分かってますってー」

澪「っていうかお腹空いてるなら家帰って食べればいいだろ」

梓「……」

澪「……何。なんか変な事言ったか私」

梓「いえ別に……」

澪「あ、帰りたくないわけ?」

梓「……」

澪「ふーん。ま、そういう時もあるよなー」モグモグ

猫「ニャーン」

澪「お、猫。おにぎりいるか~」

梓「えっ!」

澪「いや梓じゃない」

梓「」

澪「もうさぁ、梓も何か買ってくれば?」

梓「……」

澪「何、お金ないのか?」

梓「えーっと……」ゴソゴソ パカ

梓「いち…じゅう……」チャリチャリ

澪「……(うわぁ~全然無いじゃん)」

澪「……じゃあトッポ」
梓「!!!」

澪「……全部じゃないぞ」

梓「じゃあ30円分もらいます」

澪「い、いいよそこまでがめつくないから……」

―――

律「やっぱり気になるっつーの……」テクテク

律「コンビニにはいないか。はぁ」

律「……」テクテク

律「帰ろうかな……」テクテク

―――

澪「…………」ホゲー

梓「…………」ホゲェエ

澪「ん」チラッ

澪「お、そろそろ帰るか」

梓「…………」ホゲー

澪「おい梓」

梓「はっ! …なんですか?」

澪「私そろそろ帰るけど」

梓「あ、そうですか」チラ

梓(まだちょっと早いかなぁ……)

梓「私もうちょっと空想してます」

澪「まだやるのかぁ?がんばれよー」

梓「がんばります」

梓「…………」ホゲェエ


澪「あーラーメン食べたいけどペース上げすぎるとお小遣い死ぬからなぁ」

澪「……コンビニでカップ麺買ってがまんしよう」テクテク

律「あっ、おい澪!」

澪「お、律。何してんだこんな時間に」

律「お前こそ何してるんだよ。っていうか何で部活こないんだよ」

澪「ぅぐ」

澪「だ、だってムギにげろかけちゃったし行き辛い……」

律「逆に来ないから気にしてるぞ皆」

澪「えっ」

律「ムギ澪の分もお菓子ちゃんと持ってきてるのにさぁ」

澪「そ、そうなの?」

律「明日来いよちゃんと」

澪「あんまりイチャつかないならいいけど」

律「澪こそ理解する努力しろよなー」

澪「わ、分かってるよ(無理)」

律「じゃあな」タッタッ


澪「……ん。律のやつは何してたんだ結局」

澪「まぁいいか。どんべえ買って帰ろう」

澪「先乗せふわふわ……ふわふわ時間!プククッ……」

店員「……」

澪「」

澪(聞かれてたのかよぉおおお//)


唯「ムギちゃん今日は何なのぉおお」

紬「シュークリーム♪」

唯「うはっ!きゃべつきた!りっちゃんの大好きなきゃべつきたよ!」

律「あ、あぁ(別にキャベツ大好きじゃないんだけど……)」

梓「いただきまーす」サフッ

ガチャ

澪「お……おーっすぅ~…」

律「おっす」

唯「あーっ!澪ちゃんだぁああ」

澪「な、なんだよでかい声出すなよ唯……」

紬「こんにちは澪ちゃん」

澪「あっムギ……えーっとその……ご、ごめん!」バッ

紬「あらあらあら……もう気にしてないから」

澪「ホントか?」

紬「ほら早く座って、お茶淹れてあげる」

澪「へへ、サンキュー」

梓「唯先輩残念ですね、今日は二人分食べられませんよ」

唯「!!そういえばそうだ!むむ……」じぃいい

澪「……い、いただきまーす」サフッ

唯「あぅ」シュン

梓「そういえば澪先輩、歌詞できたんですか?」

澪「ング……まだ出来てないよ」

律「えっ、何?」

澪「歌詞。前にムギがちょっと作った曲のさ、考えてるんだー」

律「そうなのか……って、いやそうじゃなくて何で梓が知ってるんだよそれ」

澪「あぁ……昨日会ったからさ。あ、一昨日もか」

律「は?」

梓「……」

律「き、昨日会ってたのか?……なんで?」

澪「たまたまだよ、たまたま。なー梓」

梓「……そうですね」

律「そ……そうか……」

律(……)


続く



最終更新:2010年01月24日 01:33