律「用も済んだし帰るか」
梓「そうですかー」
律「梓それホントにつけるの?」
梓「気が向いたらつけますよー、ネタで」
律「あ、そう……」
梓「まっすぐおうちですか~?」
律「そうだよ」
梓「なるほどー」
律「何がなるほどなの」
梓「いえ、別にです」
律「梓はどうするんだよ」
梓「えー?あはは」
律(何故笑う)
…
律「ただいまー」ガチャ
梓「……」
律「ん、どした。入らないのか?」
梓「ここまででいいです」
律「なんだわざわざ家までついてきといて…」
梓「ついてきたのは律先輩と二人きりになりたかったからです」
律「え」
律「…あっ、まさか抱きつく気かっ!?そういうのは唯にやれっ」バッ
梓「違いますよー。お別れを言おうと思って」
律「は?」
梓「実は私、引っ越すんです」
律「……」
律「…はぁ、何かと思ったらまたそんな嘘かよ~」
梓「ママが、パパをもっと静かで落ち着くところで療養させようって」
律「えっ」
梓「それで今度パパの田舎に越す事になったんです。だからお別れです」
律「…おい……ほ、ほんとなのか……?」
梓「本当ですよ」
律「まっ…ま、待てよ……嘘なんだろ? …そうだ、唯! 唯とか泣いちゃうぞ?絶対泣くぞ!?いいのか泣かせて!!」
梓「仕方ないですよ、もう決まっちゃったんですから。子供の私に拒否権は無いです」
律「…今度っていつなんだ?いつ引っ越すんだ!?」
梓「明後日です」
律「!? そ、そんな急すぎるだろ!なんで黙ってたんだよ!!」
梓「ごめんなさい。だって言ったら律先輩普通じゃいられなくなるかなって」
律「と…当然だろ!梓だけでも残れないのかよっ…」
梓「むりですよー。ほんとの野良にゃんになっちゃいますよ~なんちゃってー、あはは」
律「じょ、冗談言ってる場合かよ……怒るぞ……」
律「そうだうちに来いよ!うちから通えばいいだろ!?」
梓「あははは、いいですねそれ~。でもむりです。冷静に考えましょうよ~」
律「でもっ…!せ、せめて月曜まで居られないのかよ!」
梓「いいんですこれで。パパが良くなればいつかはこっちに戻ってこられますよ」
律「いつかっても………あっ!」
律「そうだ、カチューシャ!一週間つけるなって言っただろ、見なくていいのか?なぁ…」
梓「あぁ、一週間ヅカ先輩か~。いいですねー」
律「だ…だろ?せめて一週間……それぐらいならうちにいさせてやるからさぁ…!」
梓「あはは、見たいですね~。でも無理です」
律「……」
律「…だめだ……やっぱり納得できるかよ、このままなんて!何かあるだろっ!!」
梓「……」
律「絶対あるだろ、私に出来ることが!なぁ梓、あったら何でも言えよ!!頼むよ…」
梓「あーもう、だからそういうのはいいですって。また前の先輩に戻ってますよ」
律「でもっ、でもさぁ…こればっかりは……!」
梓「…じゃあ一つだけ」
律「!!」
梓「先輩にしてもらいたいこと、お願いしていいですか?」
律「い、いいぞ何でも言え!なんでもしてやるから!」
梓「どうか明日…最後の一日、普通に接してください。他の皆さんには黙っててください」
律「!……」
梓「色々されると別れがつらくなるじゃないですかぁー」
律「そんなのっ…」
梓「そうです私の都合です。それを通すためにお願いしてるんです。 私のしてもらいたいことです。…してくれますよね」
律「……む、無理だよ……」
梓「お願いします」
律「……」
梓「皆さんには来週の部活の時にでも先輩から言っておいてください。お世話になりましたって」
律「そ、それぐらい自分で言えよ!なんで私が言わなきゃいけないんだよ!」
梓「部長さんだからです」
律「う……だ、だからって……」
梓「よろしくお願いします」ペコリ
梓「それじゃあ私行きます。ありがとうございました」
律「あ、梓っ!」
梓「……あ、そうだ。律先輩」
律「! なんだ?まだ何かして欲しいことあったか!?いいぞ遠慮なく言え!」
梓「向こうへ行ってもずっとお姉ちゃんって思ってていいですか」
律「いいに決まってるだろ!ずっとお姉ちゃんでいいからさ、だから……」
梓「へへ、ほんとですか~?ヘケッ」
梓「どうもです。じゃあまた明日でーす!」タッタッ
律「おいっ!!……」ガクッ
律「……あ、足が震えて……くそっ」
律「…なんだよこれ……梓っ うそだろ……うぅ…」
律「何がまた明日ですだよ……何が…」
聡「ふぁーおやつおやつ…ん?」
聡「あれ、姉ちゃん帰ってたの。何してんだ玄関で…中入らねーの?」
律「くそぉっ!!!」ダンッ
聡「ひぃっ!」
―――
梓「……」テクテク
梓「さてと、そろそろ坂だ。澪先輩いるかなぁ~」チラ
梓「ありゃ、居ないや」
梓「うーん…まぁいっか。居ないなら仕方ないや」
梓「今日は何食べようかな~。スーパーの値廃弁当とかいいかもだねー」
梓「まだ早いね。値引かれるのは9時あたりかなぁ…ぶらぶらしてよう」テクテク
…
澪「はぁ……まだほっぺたちょっとピリピリするし…梓のやろー」
澪「あーもう明日部活行きたくないなぁー」
澪「さて……」チラ
澪「お、梓いないや。やったね」
澪「いやっほー!なんていうんですか開放感~!」
澪「やっぱり一人は落ち着くよなぁ~!」
猫「ニャー」
澪「おっ。猫やーい、こっちゃこ~い」スッ
猫「フシッ!」
澪「ひっ!」ビクッ
澪「…このやろ……フシッじゃないだろ!頭ぐらいなでさせろっ」バッ
猫「フギャッ!」ザリッ
澪「い゛ッ!!!」
猫「…」スタタタタ
澪「あが……くっそ……って血が出てんじゃあああんひぃいい!」
澪「」バタリ
―――
梓「そろそろ値下がってるかなぁ」
梓「……あ、値下げシールついてる!でも20%引かぁ…まだだね」
梓「……」モグモグ
梓「ぷぅ。試食の刺身を全滅させちゃったぞー」
梓「この店で一番高い物ランキング部門別で作っとこうかなー」
梓「まずはオリーブオイルから見てみよう」
梓「……えぇー、こんなのが2000円もするのー?油なのに」
ガラガラ…
梓「あっ!値引きシール貼りの人だ!!」ササッ
梓「しまった出遅れた…既にハイエナ達が列をなしている……」
梓「いや、シール貼り作業の後をゆっくりとついていく様はむしろゾンビ……」
梓「オリーブオイルなんかに気を取られたばかりに…うぅぅ……」
梓「あれ、何か今の私澪先輩みたいだぞー」
―――
澪「……」
澪「はっ!?」ガバ
澪「気絶してしまってたのか…」
澪「……あわわ、指!消毒してばんそーこー貼らなきゃ…か、帰ろう!」タッタッ
…
梓「結局不人気な天津丼しか買えなかったなぁ。まぁいっか」
梓「……」チラ
梓「いない。この時間にもいないってことは今日は来ないかな」
梓「まぁいいや、食べよっと」
梓「いただきまーす」
梓「……」モグモグ
梓「うわぁあ冷えた天津丼ってひどいね……」モグモグ
梓「まずっ…食べたら帰ろう」モグモグ
―――
律「……」
律「……」モゾ
律「ああああああ!」ガバッ
律「だめだ全然寝付けない…」
律「寝て目が覚めたらもう明日なんだぞ…」
律「……携帯……」ゴソッ
律「……」カチカチ
―梓(携帯)
律「……」カチ
―唯(携帯)
律「…………」
律(かけてどうしようってんだ…)
律「くそっ」ゴロン
―――
キーンコーンカーンコーン…
ガチャ
律「……」
唯「あっ、りっちゃんやっほー!おっはよぉおお」
紬「おはようりっちゃん」
律「……あ…おはよう」
唯「? あれ、どしたの?寝てないの?」
律「…いや別に……」
紬「でもひどい顔してるわよ…」
律「……」
―梓『お願いです。私のしてほしいこと―』
律「だ、大丈夫なんでもないよ。ちょっと弟と遅くまでゲームやりすぎちった!はは」
紬「……そう?」
唯「ふーん…あ、そういえば昨日の写真なんだったのー?あずにゃんだよねぇ」
律「」ピク
律「あ、あぁカチューシャ買いに行ったらついてきてさ、その時つけさせてみたんだよ。それだけ」
唯「そっかぁー、ういすっごいうけてたよ!」
律「はは、よかったなー。ははは……」
紬「? なになに?」
唯「これこれ、何か昨日りっちゃんが急に送ってきたんだー」ピッ
唯「はい」
紬「ん~? …むはっ!」
唯「ほらりっちゃん、これだよねー」
律「い、いいよ見せなくて。私は撮ったんだから持ってるって」
唯「あ、そうかー」
律「……そういえばさぁ、うちの学校って寮とかあったっけ」
唯「わかんないよぉ、なんで?」
律「いやちょっと……ムギ知ってるか?」
紬「えぇ、どうかしら…無いと思う。多分あったら知ってるわよ」
律「そっか……そうだよなぁ~」
紬「どうしてそんな事聞くの?」
律「なんとなく!なんとなく気になってさぁー、まぁいいんだそれなら」
ガチャ
先生「授業始めるぞー」
律「おっと席着かなきゃ」
唯「? へんなりっちゃん」
…
ザワザワ…
唯「うぅ…今日も購買人だらけだよぉ~」
律「……」キョロキョロ
唯「どしたのりっちゃん?」
律「いや、梓今日はパンじゃないのかなーと思って」
唯「そういえばたまに会ってたねーここで。今日は違うのかなぁ」
律「…なー唯、今日はあず …憂ちゃん達も呼んで食べない?」
唯「えっ?なんで?」
律「た、たまには大勢で食べるのも楽しいかなー!なんちって!」
唯「あーっ、いいねいいね!絶対楽しいよぉ~!」
律「だろ?じゃあさぁ、憂ちゃんと…あと梓も一緒だろうし連れてきてよ」
唯「りっちゃん一緒にこないの?」
律「ぱ、パン買わなきゃいけないだろ?」
唯「あ、そっかぁ。私めろんぱんお願い!」
律「あれアンパンじゃないの」
唯「う、うん澪ちゃんにばかにされちゃったし……」
律「なんだそんな事気にしてんのか」
律「おっけーメロンパンなー、じゃ頼むよ」
唯「ほーい行ってきや~す」タッタッ
律「……」
…
ガチャ
律「ふー」
紬「りっちゃんおかえり~。あら唯ちゃんは?」
律「あぁ、ちょっとね」
紬「?」
ガチャ
唯「つれてきたよー!」
憂「こんにちはー」
梓「どうも……」
律「よ、よぉ」
和「お邪魔するわね」
律「あれ、和?」
唯「教室同じ一階だったからついでに!」
和「つ、ついでって…」
律「あぁ…ん、じゃあ澪は?」
和「今日は外に食べに行ってるわ」
律「あら、そうなんだ」
紬「賑やかね~」
唯「いただきまーす!」
唯「もぐもぐ」ポロポロ
憂「お姉ちゃんパンくず落としすぎだよ~」パクパク
唯「ごめ~ん」
唯「あ、そうそう和ちゃん、生徒会の和ちゃんにちょっと聞きたいんだけど」
和「何?」
唯「この学校って寮ってあるの?」
律「!」ピク
和「寮?無いけど……どうして?」
律「え、えとその」
唯「りっちゃんが知りたいみたいだから」
梓「……」
和「え、律が?」
律「い、いやぁーなんでもないよ!ちょこっと気になっただけだから!なんとなく!」
梓「……」モグモグ
律(……)
唯「そういえばあずにゃん今カチューシャもってる?」
梓「えっ。あぁ…昨日のあれですか」
憂「ぶふっ!」ガタン
梓「持ってますよー」スッ
唯「うわぁー生だよ生!ほらうい、生で見れるよ!」
憂「や、やめひぇおねえひゃん…wいまご飯たべてるのにぃいい」
梓「つけちゃうよーん」
憂「!!!」
梓「やっぱりやめよう」
憂「……」
梓「やっぱりつけよう」
憂「ングッ!!!」ガタン
唯「あはははうい反応しすぎだよぉw」バンバン
梓「見たい?ねぇ見たいの憂?」
憂「み、み、み……」プルプル
紬「あらあら」
梓「あはははは」
律「……」
律(なんでそんなに普通にしてられるんだよ……梓…)
最終更新:2010年01月24日 03:05