……
律「んじゃ、明日も早いし寝ようぜ」
澪「まって……まだ毛が乾いてない……」
律「毛なんてこう適当にわしゃわしゃーってふいとけ」
澪「……なにか着るものがほしい」
律「街は寒いか? 澪のいた平沢牧場は南のほうだっけ?」
澪「うん……ぽかぽかしてた」
律「風邪ひかれたら商売あがったりだぜ。とりあえず私のお古でいいか。着とけ」バサッ
澪「……」モゾモゾ
律「うわっ、胸んとこぱっつんぱっつんだな。さすが牛」
澪「……」
律「ヘソ出し。可愛いぞ!」
澪「……変な感じ」
律「さぁ寝よう。こっちへこい澪」
澪「ここで寝るの?」
律「おう、また狭いとこだけど勘弁な」
澪「これ、唯たちが寝てたのとおんなじだ」
律「ベッドって言うんだ。ふかふかできもちいぞ?」
澪「干し草より?」
律「おう干し草より。たぶんな。干し草で寝たことねーからわかんね」
澪「……一緒にねるの?」
律「そうだけど?」
澪「どうして?」
律「どうしてもこうしても、ほかにお前が寝るとこねーんだよ」
律「住居スペースのほとんどを店に改造しちまったからな」
澪「……」
律「嫌なら床で寝ろ。あ、でも風邪ひくからだめだ。こうなりゃ私が床でねる!」
澪「……ううん、一緒に寝る……」
律「! ……よろしい♪」
律「ここ横になれ」
澪「うん……」ノソリ
律「いい子だ……さて、もう逃さないぞー」
ギュッ
澪「うぐ……だまされた」
律「ふっ、早く寝ろよな。明日は忙しい一日になる」
澪「……よろしくお願いします」
律「……おう、こっちこそよろしく」
律「そんじゃ、おやすみ澪……」
澪「おやすみ……」
澪「……苦しい……でもあったかい……」
律「……ぐがー」
澪「もう寝てる……唯もよくお仕事の途中に牛舎で寝てたな」
澪(…………唯)
澪(街からはあんまり星が見えないな……)
澪(私が大好きな星すらも見えない……)
澪(不安だ……私はどうなるんだろう……)
澪(この人は私をどうするんだろう……)
律「んごぁ……金じゃ……ウヒヒ金じゃあ……」zzz
澪(言ってたように悪い人なのかな……)
澪(考えると怖くて眠れない)
澪(うう駄目だ。泣きそう……)
澪(そうして私は考えるのをやめるのであった)
澪「……」zzz
律「……ヒヒッ」zzz
翌朝
律「……」
澪「……ぐうぐう」
律「おーいおきろー」
澪「……ぐうぐう」
律「みーおちゃん」
澪「……すぅすぅ」
律「みーお! ……おい牛」
澪「……すやすや」
律「おきろぉぉおおお!!」もみゅっ
澪「ふぁあ!!」ガバッ
律「よく眠れた?」
澪「……うん」
律「そりゃよかった……さてと」
律「朝の一番搾り♪」
澪「……」
律「っていまの一揉みでちょっと漏れてるな」
澪「あ……」
律「服染みてる。もったいねー、飲めばよかった」
澪「……ほんとにするの?」
律「するけど? とりあえず服ぬごうな」
澪「……優しくするんだぞ」
律「わかってるって。そのほうが絶対うまいの出るし」
澪「……ならいいけど」
律「とりあえずいっくよーん、はいおっぱいだしてー」
澪「……はい」
ぷるんっ
律「おお、朝からいいもん拝めたぜ」
律「そんじゃま、このデカ乳に商売繁盛を祈って……」
澪「……早く終わらせて」
律「おりゃっ!」
ギュウウ
澪「んっ……ひゃああっ」
ビュービュー
律「あはは、朝から威勢がいい乳だこと」
ギュウウ
ピュルルルビュービュー
澪「うあっ、あああっ、だめだぁ……もっとやさしくぅ」
律「これ以上力抜いたら出ねーだろ。慣れろ慣れろ」
澪「うううう。あぁああああっん」
ビュービュー
律「いい匂いだなー。最高だぜ」
澪「やだぁ……おっぱいでてる……私のおっぱい」
律「んっと、結構でたな。これでビン4本か。ちょっと少ないか?」
澪「……」
律「昼からまたしぼるからな。たくさん朝ごはん食べような」
澪「……うん」
律「とりあえずこれを売らなきゃはじまらねぇ」
澪「もし……売れなかったら……?」
律「……てへっ☆」ジャキン
澪「嫌だああああああ!! ばらばらにしないでー」
律「絶対売ってみせるから安心しろって。こんだけうまいんだから」
澪「絶対絶対だぞ! お願いします!」
律(ただなぁ……問題があるんだよなぁ)
律(一つ。鮮度が保てないからその日のうちに売り切らないといけない)
律(二つ。生産量が圧倒的に足りない。これはもうどうしようもない)
律(三つ。味にムラがあるかもしれない……これは私がなんとかするしかない)
……
律「さぁいらっしゃいいらっしゃい♪」
律「今朝しぼりたてのおいしい牛乳だよん」
律「なんとあの平沢牧場でのんびり育った特上の牛だ!」
律「ぜひ一本! お試しあれ!」
律「……」
澪「……」
律「あっ、そこのお姉さん! とれたておいしい牛n、え、あ、すいませんお急ぎでしたか」
律「……」
澪「……」
律「……あれ……こんなはずでは」
澪「……」
澪「……どうするんだよぉ」
律「おっかしいなー……高いのかなー」
澪「……売れないとバラバラ売れないとバラバラ売れないとバラバラ」
律「まぁ落ち着けって。まだ始めたばっかだろ。こういうの気長にな」
律「いらっしゃいいらっしゃい」
律「どうどう? お仕事の前においしい牛乳いっぱいどう?」
客「うーん……高いなぁ」
律「そう?おいしいよ? ならいまなら特別価格で一本1,000ムギ$!」
客「高いって……」
律「絶対おいしいから!」
客「急いでますんで……」
律「あ、えー……いっちゃった……」
澪「……」
律「はぁ……今夜は豪勢に焼肉と洒落込むか!」
澪「やだあああああ!!!」
それから二時間後
律「……さっぱり売れん!」
澪「……きっと律が悪い顔してるからだ」
律「んなことねぇって!」
澪「……だって悪い商売人なんだろ?」
律「あぁ、商売人連中には嫌われてるけどな。ふつーのお客さんは私のことなんて知らないって」
澪「じゃあどうして……」
律「んー……」
梓「こんにちは律先輩!」
律「お、梓か」
澪「……?」
律「商人仲間。後輩の梓だ」
梓「律先輩牛買ったんですか?」
律「おうよ。平沢牧場産だぜぇー、いいだろ」
梓「へぇ……」
律「やんねーぞ?」
梓「いえいえ。それで売ってるのが牛乳?」
律「おう」
梓「プッ。律先輩。これ肉牛ですよ?」
澪「……はい」
律「いーんだよ。乳もうめーから」
梓「それにいくらなんでも高すぎますって。私ならこんなの半額でも買いません」
律「なにぃ。てかなにしに来た」
梓「視察ですよ。昨日律先輩が大金はたいて牛をせり落したって聞いたもんで」
律「なっ、もう噂ひろがってんのか!?」
梓「ドケチで有名な守銭奴律先輩がこんな大きな買い物をするなんて珍しいですから」
律「……」
梓「たしかに良い牛ですけど、どうしてまた。しかも肉牛を乳牛って」
律「……いいだろうが別にぃ……」
澪「……」
梓「……」じー
澪「……なに?」
梓「……まぁ。可愛い牛ですよね」
律「だろ?」
澪「……」
梓「でも20万の価値はないでしょ」
澪「む……」
律「まぁ見てろって。20万なんてあっという間にとりかえしてやるから」
梓「そんなに博打うち好きでしたっけ? いつもちまちま小銭を稼いでるイメージでしたけど」
律「だぁああもううるせぇなぁ。いいからこれ飲め。買え」
梓「えー、私牛乳苦手です」
律「だからお前はいつまでもちっこいんだよ。ほら買え買え」
梓「すすめるなら景気よくおごってくださいよぉ」
律「だめー☆」
梓「じゃあ一本だけですよ?」
律「まいど♪」
梓「……まったく、肉牛の乳がおいしいわけ……んぐんぐ」
梓「!!!」
律「……ど?」
梓「いやいや……そんなはず……んぐんぐ」
梓「はっ!!!」
律「な!?!? うまいだろ!?」
梓「……不思議な味です」
律「うまいって言えよ」
梓「だけどやっぱり一本1,000ムギ$出すには高いかと」
律「そっかー……でもなぁ、一日の生産量が……」
梓「……加工したらどうですか?」
律「加工?」
梓「チーズとかヨーグルトとか……」
律「なるほどなぁ。他になんかある?」
梓「っと。商売敵に丁寧にアドバイスなんてしてられません」
律「チッ……加工かぁ……」
律(でもなぁ……機械導入する金もねーし)
律(まじで失敗したかなぁ……)チラッ
澪「……ひっ」
律「だーいじょうぶ。まだ一日目だ余裕余裕」ニコッ
梓「それじゃあがんばってくださいね」
律「梓はいまなんの商売してんの?」
梓「いま新しい商材を探してます」
梓「とりあえず試しに平沢牧場にいってみようかなって」
律「うまかったんだろ!?」
梓「いーえ。いま平沢牧場は肉牛がかなーりきてるらしいですから」
梓「私は肉を売りさばいて大儲けしてやるです」
律「……乳もうめーって……」
梓「律先輩。後悔しても遅いですよ」
梓「その牛も活きが良いうちにバラして売らないと、たいした値になりません」
梓「街は牛にとってはいい環境とはいいがたいですしね。肉どんどん固く育ちますよ」
律「……たしかにな」
澪「えっ……やだよ?律?」
律「……」
澪「やだ……」
梓「おさらばです律先輩。次あうときまで野垂れ死んでないことを祈ってます」
梓「これは律先輩が教えてくれたことですが」
梓「商人にとって、失敗=死……です」
梓「目利きは得意なんですよね?」
律「……あぁ、見てろよ……絶対度肝ぬかせてやるから」
梓「いい知らせまってます~」
律「……」
律「……行ったか」
澪「……小さい人間だった」
律「あいつは私の弟子みたいなもんでな。野垂れ死にそうなところを拾って商売のノウハウをいろいろ教えてやったんだ」
律「……はぁ」
澪「どうしてため息ついた?」
律「いんや、弟子に説教まがいのことされるなんて」
澪「お説教だったのか」
律「しかも見栄張っちまった」
澪「カッコ悪いな」
律「うるせぇぞ牛。とりあえず昼飯にするか。朝の売上は梓の飲んだ一本だけだ」
澪「……」
律「ま、きにすんなって。商売なんて水物だ。これでだめなら他の売り方を試そう」
律「加工って手も残ってる。余裕さ、ははは」
澪「うん……私は牛だからよくわからないけど……」
律「澪の乳はうまいんだから! それをわかってもらえたら爆売れ間違いなしだぜ!」
最終更新:2011年09月19日 20:25