「どこまで、見渡しても青い海、青い空。なんか、楽しい気分になるよね」

「言ってることは分かりますけどね」

「なんか、テンション低いよ、あずにゃん」

「それは、まあ、あげる理由もありませんし」

「私と一緒にいるんだよ。もっと、あげていこうよ」

「そう言われても……」

私達はセキチクシティを出発し、ラプラスに乗って、グレンタウンに向かっているところです。

「だいたい、何をやってるの?」

「新しく、仲間になったラプラスの技とか能力とかを調べたんですよ。後、どんな戦術で戦うべきかとか」

「そんなの夜にでもやればいいよ。ポイしちゃいなさい」

「そんなことしたら、もう二度とゆい先輩とは口をききません」

「ごめんなさい」

素早く謝る、ゆい先輩。

「やれやれですね。分かりました。何か、お話しでもしますか」

ラプラスの背中では狭いですしね。

「うーん、特にこれといってお話しすることもないんだよね」

毎日一緒にいますからね。

「だから、ここはいちゃつこう」

「はい?」

また、突拍子もないことを。

「いちゃつくというのは?」

「だから、私を抱っこしたり、頭をなでたり、もし、あれだったら、キ、キスでも……」

「最後のは却下で」

「あう~。……まあ、いいや。あ~ずにゃ~ん」

ゆい先輩は私の胸の中に飛び込んできます。

「にゃっ。……もう」

「すりす~り」

ほっぺをこすりつけてきます。

「……くす」


1時間後

「いくらなんでも長すぎですよ」

「あずにゃんも止めなかったじゃん」

「まあ、そうですけど」

「ラプ(仲がいいなあ)」

「後、どれくらいだろうね」

「まだまだですよ。気長に待ちましょう」

「頑張ってね、ラプ太」

「ラプ」

「ところでさ、あずにゃん」

「なんですか?」

「私と出会う前に、オーキド研究所で澪ちゃん達と助手をしてたんだよね」

「はい」

「その時のお話を聞きたいな」

「別に面白くありませんよ」

「そんなことないよ。私は私と出会う前のあずにゃんがどんな感じだったか知りたいし」

「知っても、特になることはないと思いますけど」

「いやいや、あるよ。もっと、あずにゃんのことが好きになるかもしれない」

「……分かりました。少しだけですよ」

「わーい」

「それじゃ、どこから、話しましょうか」

「とりあえず、助手になった頃とか」

「分かりました。それじゃ……」


回想

「ここが、オーキド博士の研究所……」

オーキド博士とは、ポケモン研究に関する第一人者で、マサラタウンに自分の研究所を持つ有名な人で、この人に憧れているトレーナーも多い。

「ここで、頑張って、私もポケモンマスターになろう」

私は気合を入れて、ドアを開ける。

「すいませーん。助手希望なんですけどー」

ドアを開けて、中を見ると、カチューシャをした女の人や黒い髪のロングヘアーの女の人、そして、金髪のウェーブのかかったロングヘアーの
女の人の3人の人がお茶を飲んでいました。

「えーと、何だっけ?」

「助手希望なんですけど、オーキドはか……」

「確保だー!!」

「にゃーー」

~~~

「そんな感じで、皆さんに出会いました」

「楽しそうだね」

「まあ、つまらなくはないですけどね」

「で、続きは、続きは?」

「そうですねえ」


回想

「名前はなんていうんだ?」

「えーと、中野梓です」

「年齢は?」

「年は15歳です」

「好きなポケモンは?」

「それは……」

「尊敬するトレーナーは?」

「えーと」

「とりあえず、落ち着け」

私を質問攻めにする、カチューシャの女の人と金髪のウェーブのかかったロングヘアーの女の人を黒い髪のロングヘアーの女の人がなだめます。

「ごめんな」

「あ、いえ、大丈夫です。えーと……」

「私は秋山澪だ。年は16歳だから、中野さんの一個上だな」

「私は田井中律。年は澪と同じ、16歳だ。よろしくな」

「私は琴吹紬よ。年は澪ちゃんとりっちゃんと同じよ」

「皆さん、よろしくお願いします。ところで、オーキド博士は?」

「騒がしいのう、お客さんかの?」

奥から、初老の白衣を着た人……オーキド博士が出てきました。

「あ、博士。助手希望の人が来たぞ」

「またかのう。助手はお前さんだけで十分なんじゃが」

「まあ、そう言わないで、選考だけでも……」

「仕方がないのう。では、簡単な試験じゃ」

「し、試験ですか?」

「うむ。律君」

「なんだ?」

「このポッポを使って、この子……すまない、名前はなんだったかのう」

「中野梓です」

「そうか、梓君でいいかの。わしはまあ、知ってると思うが、オーキドというんじゃ」

「よろしくお願いします」

「うむ。それで、律君。君はポッポを使って、この梓君と戦ってほしい」

「おー、分かった」

「でも、私にはポケモンは……」

「安心せい。梓君にはこれを貸そう」

そう言って、博士が渡してくれたのはコラッタです。

「これで戦うんですか?」

「そうじゃ」

「勝てばいいんですか?」

「なんだ~、随分、自信があるじゃないか」

「べ、別にそんなわけでは……」

「勝てば、問題なく、合格じゃ。じゃが、負けても、合格になることもある。とにかく、頑張るんじゃな」

「わ、分かりました」

「それじゃ、外に行こうかのう」


~~~

「というわけで、テストを受けることになりました」

「合格したの……って、してなかったら、私と出会ってないよね」

「くす。そうですね」

「それで、りっちゃんと戦ったんだよね」

「ええ、まあ」

「それにしても、私達が旅に出る時も、初めて戦ったのも、りっちゃんだし、いろいろと、縁があるんだね」

「不思議な縁ですよね」

「私ももっと早く、あずにゃんに出会いたかったよ。そうしたら、一緒に博士の助手で頑張れたのにね」

「そうなってたら、どうなってたんでしょうね」

「想像も出来ないよ」

「でも、私はこれで良かったと思いますよ」

「そうかな?」

「そうですよ。……だって」

「?」

「早く出会ってたら、他の人のポケモンになっちゃうかもしれないじゃないですか」

「あう~、あずにゃん」

テレテレと顔を赤らめるゆい先輩。

「プイ」

「ふふふ、あずにゃん、顔真っ赤」

「う、うるさいです」

「でも、大丈夫だよ。早く出会ってても、私はあずにゃんのポケモンになるよ」

キリッとした、顔でいうゆい先輩。私の腕の中にいるので、距離が近いですね。

「……とにかく、続きを話しますよ」

「そうだね、お願い」

「では……」


回想

オーキド研究所・外

「では、戦いを始めよう。準備はいいかのう?」

「おう」

「ちょっと、待って下さい」

「どうしたんだよ。私にびびったなら、手を抜いてやってもいいぜ」

「そうじゃ、ありません。今、初めて、コラッタを使うので状態だけでも見たいので」

「ほう……」

「へえ」

「なるほど」

オーキド博士達はなにか、珍しいものを見るように私を見ます。あれ、なにか、おかしなこと言ったかな?

「あのお……」

「おっと、すまんすまん。好きにしてくれてかまわん」

「は、はい」

私はボールから、コラッタを出します。

「コラッ」

可愛いなあ~。

ナデナデ

「コラッ」

コラッタは私が優しく頭をなでると、気持ちよさそうな顔をします。


~~~

「むう~」

「何で、急に機嫌を悪くするんですか?」

「だって、……だって、ただ、撫でたかっただけじゃん」

「別にそれだけのためじゃないですけどね」

「私も撫でて~」

「はいはい」

ナデナデ

「えへへ~」

「それじゃ、続きを」

「うん!」



回想

さて、周りの状況は……っと。周りは平地。地面には中央部分は土で、特に草とかが生えてはいません。ただ、周りには草が生い茂っています。そして、大きな木が一本生えています。お父さんの話とかを聞くと、周りの環境を利用しろって、言ってましたからね。この状況をどう利用していきましょうか。

「さっきから、中野さん、一生懸命コラッタを撫でてるわね。そんなに可愛いのかしら」

「それはどうかな?」

「え?」

「中野さんの視線を見てみろ。コラッタではなく、周りの、戦う場の様子をしきりなく、見ている」

「たしかにそうね」

(相変わらず、いいところに目をつけるのう)

「じゃあ、澪ちゃんなら、どう戦う?」

「そうだな。……相手はポッポだからな。草むらに隠れて、攻撃するために近づいてきたのを地道に攻撃だな。ムギは?」

「私は澪ちゃんと同じで、草むらに隠れるわね。それであなをほるをさせるわ」

「でも、ポッポはひこうタイプだぞ」

「そうね。でも、草むらにいると思って、地面に近づいてきたところを背後から、攻撃を仕掛けるのよ」

「なるほど」

(ふむふむ、いい戦略じゃ)

「ただな。この戦略には一つ大きな問題がある」

「ええ」

「まあのう。律君もそこをついてくるだろうからのう」

「なあ、中野さん、まだー?」

「あ、はい。もう、大丈夫です」

「では、両者、準備はいいかのう」

「はい」

「ああ」

「では……」

「「「バトルスタート」」」


「コラッタ、草むらに逃げ込んでください!」

「コラッ」

コラッタはスタコラサッサと草むらに逃げ込みます。

「これから、どうなるかだな」

「ええ」

「やはりそうきたか。ポッポ、かぜおこしだ!」

ポッポはコラッタの逃げ込んだ草むらに翼で風を起こし、攻撃を仕掛けます。

「まあ、そうくるよな」

「ええ」

「たいあたりで近づくよりも、かぜおこしで空から攻撃の方が明らかに有利だしのう」

「これをどう乗り越えるかだな」

「博士の野望のためにもね」

「それはまあ……いいんじゃがな」

ポッポの攻撃を受けた草むらは風の衝撃で全部、抜けてしまいました。

「これで隠れるスペースが減ったな」

「いえいえ、ここまでは予想通りです」

「ほほう、ならば、もういっちょだ。ポッポ、かぜおこしだ!」

ポッポはコラッタの隠れている、草むらに再び、かぜおこしを仕掛けます。

「コラッタ、逃げてください」

ポッポの攻撃を受けた草むらは風の衝撃で全部、抜けてしまいました。

「逃げてばかりじゃ勝てないぜ」

「……」

「一体、何を考えてるんだ」

「といっても、逃げるしかないけどね」

「それはどうかのう」

「「え?」」

「梓君の狙いは逃げることではないと思うがのう」

「でも、この状況では……」

「……いや、ある。1つだけだけどな」

「分かったの、澪ちゃん」

「ああ。だが、これは賭けに近いぞ」

「それは一体……」

「それは……ゴニョゴニョ」

「な、なるほど。でも、それはコラッタにも能力がないと」

「うむ。ポケモンを信じてなければ、できん戦略じゃな」

「くそ。どこまで、逃げんだよ」

コラッタは木の近くまで、追い詰められました。

「だが、もう、隠れられる、草むらはない」

「……」

「トドメだ。ポッポ、かぜおこし!」

「……今です!コラッタ、木を駆け上ってください」

ポッポの攻撃と同時に、コラッタは木を駆け上ります。

「一体、何をする気だ」

コラッタは上まで、駆け上り、ポッポに向かって、飛び掛ります。

「コラッタ、ひっさつまえば!」

コラッタはポッポの首筋に鋭い前歯を使って、噛み付き、落下していきます。

バーン

2匹は落下し、煙が巻き起こります。

「どっちが勝ったんだ」

「……」


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最終更新:2011年09月21日 01:01