煙が晴れると、コラッタとポッポは両方目を回して気絶しています。

「さっするに、ポッポはコラッタの攻撃で、コラッタは落下の衝撃で気絶したんじゃろう」

「そうでしょうね」

「そもそも、今の戦略はコラッタがポッポの攻撃をよけ続けて、木の所まで誘導しなくてはいけないわ」

「ああ。それだけじゃなく、ポッポよりも高い位置まで、木を登っていくのも重要だ」

「そのうえで、ポッポのいる位置まで、飛んで、ひっさつまえばをポッポに当てる。コラッタの能力を信じてなければ、できんことじゃ」

「で、博士。結果は?」

「もちろん、引き分けじゃ」

「引き分けですか」

「ああ」

「どうした、お互いに不満そうだな」

「あ、いえ、別にそんなことは……」

「なんだよ、不満はないのかよ。私は不満だぜ」

「え?」

「なあ、博士の助手になれよ。決着をつけようぜ」

「そう言われても……」

「な、いいだろ、博士」

「うむ。この実力なら、十分じゃな。合格じゃ」

「え……!?」

「おめでとう、梓」

「あ、はい。……梓?」

「嫌だったか?」

「いえ、そうじゃなくて、急に呼ばれたので」

「今日から、仲間だしな」

「よろしくね、梓ちゃん」

「あ、よろしくお願いします」

「よろしくな、えーと、梓」

「はい、よろしくお願いします」

「では、明日から、頑張ってもらうかの」

「よろしくお願いします!!」

「その前に、1つ約束じゃ」

「何ですか?」

「目標はポケモンリーグで優勝すること、という気持ちで頑張ってくれ」

「は、はあ」

「梓ちゃん、梓ちゃん」

「はい?」

「博士は近年、マサラ出身の人が優勝してないから、怒ってるのよ」

「ああ」

「では、これから、歓迎会といくかのう」

「おし。もちろん、博士のおごりだろ?」

「こらっ、律」

「かまわんかまわん。どれ、いっちょいくかのう」

私達はその後、近所のレストランに行きました。


「以上です」

「……」

「どうしたんですか?やっぱりつまらなかったですよね」

「……楽しそう」

「はい?」

「楽しそうだね。もっと、お話し聞きたいな」

「それはかまいませんけど……もう、無理ですね」

「何で!?」

「だって、ほら」

私が指差す方向にはグレン島が見えてきました。

「あう~、仕方がないね」

さて、グレンタウンのジムリーダー、カツラさんをどうやって倒しましょうか。私がそんなことを考えていると、

「あずにゃん」

ゆい先輩が声をかけてきます。

「あずにゃんは私と冒険できて楽しい?」

「……」

「ドキドキ」

「……どうでしょうね」

「……あずにゃんの意地悪」

顔をプイッと背ける、ゆい先輩。

「くすっ。冗談ですよ」

「むう~」

頬を膨らませるゆい先輩。

「いいもん、いいもん。プンプン」

「怒らないでくださいよ。グレンタウンに着いたらアイスを買ってあげますから」

「アイス!?じゅるり。……ハッ、私はアイスなんかには釣られないよ」

「じゃあ、どうすればいいんですか?」

「私を抱っこしたり、頭をなでたり、もし、あれだったら、キ、キスでも……」

「最後のは却下で」

「でも、さっきから前二つはやってるね」

「そうですね」
「ということは必然的に最後に……」

「……」

「ドキドキ」

「……さて、次のジムはどういったメンバーにしましょうか」

「無視はやめてよ~」

「勘弁してください」

「まあ、仕方がないかな。じゃあさ……」

「何ですか?」

「もっと、ぎゅ~って、して」

「まあ、それくらいなら」

「えへへ~」

私はゆい先輩の頭を抱っこしながら、ナデナデします。

「あずにゃん、あずにゃん」

「何ですか?」

「こんな風にもっと、のんびりしていけたらいいね」

「そうですね」

ゆい先輩のそんな願いが近いうちに打ち砕かれることになるとはこの時の私達は知る由もありませんでした。


グレンタウン編③ 「思い出」 終了





「そろそろ、グレンタウンですけど……」

「この水、汚いね」

私達がグレンタウンにもう少しで到着というところなんですが、ゆい先輩の指摘どおり、海がだいぶ汚れています。

「なにがあったんでしょうか?」

「そんなことより、これいじょうラプ太に行かせるのは可哀相だよ」

「ですね。ここからはプテラに任せましょう」

私は一旦プテラを出し、上に乗って、ラプラスを戻し、グレンタウンに向かいました。



グレンタウン・某所

『随分、汚れている海ね』

和はAYUに話しかける。

『せっかくの綺麗な海が台無しだよね』

『それにしても、どうして……』

『あれだよ』

AYUが指差すところにはポケモン屋敷と呼ばれる、家が壊されていた。

『私達がミュウツープロトタイプを作るためにここの資料とかを荒らしたでしょ?それで、ちょうどいい機会だから、ここを壊して、ホテルとか観光施設を造るみたい』

『嘆かわしいわね』

『もともとは私達のせいだけどね』

『きっかけはそうでしょうけど、やったのは私達じゃないし』

『そうだけどさ』

『それよりも、明日よね。実行日は』

『そうだよー。ヤマブキでの占拠が始まったらね』

『むこうは大丈夫かしらね』

『大丈夫だよ。伝説のポケモンが2匹もいるんだもん。誰も止められないよ』

『唯一止められる可能性があるあの子達もここで足止めというわけね』

『そういうこと。万が一、負けても、私が迅速にヤマブキにサンダーを届けるよ』

『嬉しくないわね。その時は私も始末するんでしょ?』

『……アハッ』

『……いい笑顔ね。それじゃ、私はもう寝るわ』

『おやすみー』

『おやすみ』


グレンタウン・ホテル

「さて、どうしたものでしょうか」

「どうしたんだい、あずにゃん」

「次のメンバーをどうしようかと思いましてね」

「たしか、もっていけるのは6匹までだったけ?」

「はい。だから、ゆい先輩を除いて、後、5匹を選ばなきゃいけないんですが」

「うーん、難しいところだね」

「ええ。しかも、今回はハッサムは厳しいですしね」

「どうして?」

「ハッサムはむしとはがねタイプ。どっちのタイプの弱点でもある、ほのおタイプを使うグレンタウンのジムリーダーには厳しいんですよね」

「なるほど」

「とりあえずはメンバーには入れときますが、今回は出番がなさそうですね」

「私の次にあずにゃんとのつながりが強いからね。手持ちに入れるのはいいと思うよ。それに、サムちゃんなら、弱点ももろともしないよ」

「そうですね。次に、入れるとしたら、ラプラスですかね。弱点ですし」

「そうだね。私としては最近出番のないヘル太やニュー太、ポリ太も入れてほしいなあ」

「うーん、そうですねえ。ニューラはきついですけど、ゆい先輩がそういうなら、今回のメンバーに入れましょう」

「だとすると、今回のメンバーは……」

「ゆい先輩、ハッサム、ラプラス、ヘルガー、ニューラ、ポリゴン2ですね」

「……なんとなく、頼りない、っていうのは失礼だけど、そんな感じがする」

「そんなことありませんよ。結局、戦い方しだいなんですから」

「そうだよね」

「それに、私のポケモンにはゆい先輩もいますからね。期待してますよ」

「任せてよ~」

「それじゃ、明日もあるから、寝ましょうか」

「おやすみ~」

「おやすみなさい」

今回のメンバー ゆい ハッサム ラプラス ヘルガー ニューラ ポリゴン2


次の日・グレンジム

「さて、早速、挑戦しましょう」

「そうだね!」

私はグレンジムの扉に手をかけます。

「失礼しまーす」

中に入ると、普通のフィールドがありますが、誰もいないようです。

「誰もいないね」

「そうですね。もう一度、呼びかけてみましょう。すいませーん」

私がもう一度呼びかけると、奥から、白衣を着た初老の男の人が出てきました。

「なんじゃ、お前さん達は」

「私達はジムリーダーに挑戦しに来たんですけど」

「ジムリーダーにか。つまり、ワシに」

「そうで……あなたがジムリーダなんですか!?」

「ほっほう、そうじゃ。ワシはカツラというんじゃ。よろしくな、梓君」

「よろし……え、どうして、私の名前を」

「お前さん達は有名じゃぞ。知らんのか?」

「まあ、そんな話は聞いたことがありますけど」

「なんでも、その幼女のようなポケモンにラブラブなロリコンレズ少女という噂だったかな」

「えへへ、ラブラブだって」

クネクネと照れるゆい先輩。

「まったく、嬉しくない噂ですね」

「ええっ!あずにゃんは私とラブラブなのが嫌なの!?」

「いえ、そこではなくてですね」

「ほっほ、冗談じゃよ」

「悪い冗談はやめて下さい」

「ただ、ラブラブなという噂は本当じゃがな」

「えへへ」

「そ、そんなことはどうでもいいです。いいから、勝負しましょう」

「そうじゃな。早速始めようかの。ルールは3対3の点取り試合じゃ」

「分かりました」


それぞれ、フィールドにつきます。

「さて、梓君」

「何ですか?」

「お前さん達はバトル中もイチャイチャするのかのう」

「もちろんだよ~」

「し、しませんよ、そんなこと」

「ええー」

「何、がっかりしてるんですか」

「ほっほ、それじゃ、行くかのう」

「くっ、なんか、調子が狂いますね」

「それでは両者、準備はよろしいですか」

「ええ」

「いつでもよいぞ」

「では」

「「「バトルスタート」」」

「まずはギャロップじゃ」

「来て下さい、ラプラス」

カツラさんが出したのはギャロップ。ほのおタイプなので、ラプラスでも十分に戦えます。

「ラプラス、ハイドロポンプ!!」

「やはり、そうくるか。……ギャロップ、とびはねるのじゃ」

ギャロップはラプラスの口から放たれる、激しい勢いの水をかわし、上へと跳んだ。

「かわされましたけど、空中にいては自由に動けないはず。だから、こっちが有利です。ラプラス、空中にいる、ギャロップにハイドロポンプです!」

ラプラスは空中を飛んでいる、ギャロップに再び、ハイドロポンプを発射しようとします。

「くっくっくっ」

「何がおかしいんですか?」

「浅はかじゃな」

「!?」

ギャロップはラプラスと目を合わせます。すると、ラプラスは

「Zzzz」

と寝始めました。

「これはさいみんじゅつ!?」

「フォッフォッ。弱点をつけたと油断したかな。フィールドもごく普通じゃしな。フィールドを利用していくことも出来ないとなれば、弱点を突いていれば、いいと安心したんじゃろう」

「くっ!?」

たしかにそんな部分もあったと思いますが……。

「寝てしまえば、こっちのもんじゃ。ギャロップ」

落下してくる、ギャロップはラプラスの上に着地します。そして、ラプラスを何度も、踏みつけます。

「ラプラプ」

ラプラスはようやく目を覚ますも、だいぶダメージがたまっています。

「今頃、目を覚ましても遅いぞ。ギャロップ」

「ロップ」

ギャロップは少し、距離をとり、炎をまとって、ラプラスに突進を仕掛けてきます。

「ギャロップ、フレアドライブ!」

ラプラス、ハイドロポンプで応戦です!」

ギャロップは炎をまとい、突進をしつつ、ラプラスの攻撃をかわし、ラプラスに命中し、そのまま、ラプラスは気絶しました。

「ラプラス戦闘不能。ギャロップの勝利です。カツラに1ポイント。1対0」

「どうじゃ、わしのギャロップは」

「……」

「驚きで、声も出ないか」

「す、すごいですね」

「ん?」

「あそこから、さいみんじゅつを出すなんて、びっくりしました」

「……ほう(こやつ、動じてないな)」

「次は負けませんよ」

「楽しみにしてるぞ」


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最終更新:2011年09月21日 01:00