「では、次のポケモンを」
「はい。来てください、ポリゴン2」
「次はこいつじゃ、キュウコン」
相手はキュウコンですか。しかし、カツラさんのさっきのポケモンから、考えても、さいみんじゅつには気をつけるべきですね。とりあえずは、様子見ですね。
「どうした、かかってこないのか」
「……」
「まあ、さっきのギャロップを見て、とりあえず、様子見といったところか」
くっ、読まれていますね。
「そっちがこないなら、わるだくみでもするかの」
「あずにゃん、あのおじいさん、悪いことする気だよ」
「違いますよ。わるだくみというのは自分の特殊攻撃力をあげ……しまった!?ポリゴン2、攻撃を……」
「遅いぞ、キュウコン、だいもんじ!」
キュウコンは大の字をした炎をポリゴン2に向けて、発射し、ポリゴン2は真っ黒に焦げてしまいました。
「ああ~、ポリ太~」
「くっくっくっ、いちゃついてる間に、ポリゴン2がやられてしまったな」
「べ、別にいちゃついてなんか……」
「じゃが、さっきの言葉に反応しなければ、まだ、ポリゴン2はやられなかったぞ」
「ま、まだ、ポリゴン2は負けてません」
「時間の問題じゃがな。じゃが、いずれにしても、今のは大きいなあ」
「ご、ごめんね、あずにゃん、ポリ太~。シクシク」
「別にゆい先輩のせいじゃありませんよ」
「(ふう~。別にこんなことをしたくはないんじゃが、最後のゆい君にまわすのは、得策ではない。こうやって、精神に揺さぶりをかけて、こ
の戦いを勝てばいいのじゃ。仮に負けても、ゆい君を動揺させれば、まだ、勝てる可能性があるしのう)ほれほれ、じゃれている場合じゃないそ、キュウコン、オーバーヒート!」
キュウコンはフルパワーで、ポリゴン2に向かって、突撃してきます。
「ポリッ」
ポリゴン2はその攻撃を受け、飛ばされて、倒れます。
「ああ、ポリゴン2!」
「また、ゆい君のせいで、指示が遅れてしまったのう。まあ、これで、終わりじゃ。勝負はまた……」
「あうう~」
「……まだ、終わってませんよ」
「ポリ!」
「……ほう。あの技を受けて、立ち上がるか」
「それはそうですよ。だって、ほのおタイプの技の威力は……半減しますから」
「? そのポケモンはポリゴン2じゃろ。そんなはずは……まさか……」
「そうです!さっきのだいもんじの後で、テクスチャー2を使っていたんです!」
テクスチャー2は最後に自分の受けた技に抵抗できるように自分のタイプを変化させる技です。だから、今の炎の攻撃の威力も減ったわけです。
「くっ。だが、まだ、こちらが有利じゃ。キュウコン、だいもんじ」
「ポリゴン2、まもる!」
キュウコンのだいもんじを一度だけ、壁を張り、無効にします。
「そして、十万ボルト!」
ポリゴン2は自分の体から電気を放出し、キュウコンを攻撃します。
「キュ~」
キュウコンは体がビリビリとしびれているようで、動きが鈍くなっています。
「キュウコン!」
「今です!ポリゴン2、はかいこうせん!」
ポリゴン2はエネルギーをため、動きの鈍い、キュウコンにつよいこうせんを発射します。
「グハッ」
キュウコンはそれを直撃し、気絶しました。
「キュウコン戦闘不能。ポリゴン2の勝利です。梓に1ポイント。1対1」
「どうですか、これで、ゆい先輩のせいで負けじゃありませんよ」
「あずにゃ~ん」
「やりおるな」
「さあ、いきますよ、ゆい先輩」
「うん!私、頑張って、名誉を返上するよ」
「それをいうなら、名誉挽回です。名誉を返上してどうするんですか」
「おお、そうだった」
「ならば、ワシはブーバーを出すかのう」
相手はブーバー。ゆい先輩なら大丈夫でしょう。
「さて、今日はどうしようかな」
う~ん、と悩みこむ、ゆい先輩。
「今のうちに先制じゃ、ほのおのパンチ!」
ブーバはゆい先輩に炎をまとった拳を叩き込もうと、ドシドシと走ってきます。
「う~ん」
「ゆい先輩、ブーバーが来ますよ!」
「仕方がない、今日はこれでいこうかな」
「ゆい先輩!」
ブーバーの拳がゆい先輩に迫ります……が
ガシャーン
ゆい先輩はブーバーの拳をギー太で受け止めました。
「ああ、ギー太。よくも、ギー太を……えいっ!!」
ゆい先輩はギー太をブーバーのおなかに叩き込みます。
「グバッ」
ブーバーはその攻撃で、1メートルくらい飛ばされ、尻餅をつきます。
「まったく、プンプンだよ」
「いや、今のは、ゆい先輩のせいじゃ……」
「とにかく、始めるよ。ゆいちゃん真拳奥義『テニスのお姫様』」
「なんか、いろいろと問題のありそうな名前ですね」
ゆい先輩は手から、光の玉を出します。
「これは私の体内から、あずにゃん分を取り出した、エネルギーの玉。これを相手に当てることでダメージを与えることが出来るんだ」
「へー、それはすごいですね」
「そのかわり、私の活動エネルギーの減りも早くなるのが難点なんだけどね。さてと」
ゆい先輩はその玉をパンパンと地面にバウンドさせ、ギー太を構えます。
「いくよ、ギー太」
ゆい先輩はその玉を上に投げます。
「いくよ、トリャーー」
ゆい先輩はギー太に光の玉を当てブーバーに向かって、飛ばします。しかし、その玉はブーバーの手前に落下しました。
「残念じゃが、その技はしっぱ……」
「まだだよ」
その光の玉はすごいスピンにより、ブーバーの顔面に向かっていきます。
「これぞ、ツイストサーブ」
フンスと胸を張る、ゆい先輩。そして、ブーバーの顔面に当たった光の玉はやまなりにゆい先輩の方に飛んできます。
「そして、ダンクスマッシュ!!」
その光の玉を思い切り叩きつけるように、ブーバーに飛ばします。
「グハッ」
その玉はブーバーのおなかに直撃します。
「これがゆい君の実力か」
「すごいでしょ~」
「あと少しですよ、ゆい先輩」
「任せなさいな。出てきて、ゆいぐるみ~」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン
「さてと。実は前回のサムちゃんの戦いで、一つ、覚えた技があるんだよね」
「へー、ゆい先輩でも、そういうのを考えてるんですね」
「失礼だよ、あずにゃん」
「そうですね、すいません」
「では、……皆ー、踊ろう。うんたん♪うんたん」
ゆい先輩の掛け声で、ゆいぐるみはカスタネットとともに踊りだします。
「へー、たくさんの数でやるのも、かわい……じゃなくて、これのどこがハッサムから、学んだんですか」
「まあまあ、落ち着いて。これはつるぎのまいだよー」
そんなことをしてる間に、ブーバーは起き上がります。
「ブーバー、今のうちじゃ、もう一度、ほのおのパンチ!!」
「ブバ!……ブバ!?」
ブーバーはほのおのパンチをゆい先輩に与えるべく、突撃しようとしましたが、足元にはゆいぐるみがたくさんいました。
「皆、いっせいの……」
ゆいぐるみはブーバーの足を持ちます。
「せー!!」
ゆい先輩の掛け声で、ブーバーの足を持っていた、ゆいぐるみはブーバーを上に放り投げます。
「次は私を頼むよー」
ゆいぐるみはゆい先輩を持ち上げます。そして、ブーバーの落下に合わせて、ゆい先輩を落下する、ブーバーに向かって、投げます。
「ひゃー、これに回転も加えるよー」
ゆい先輩はゆいぐるみに弾丸のように投げられ、そのうえ、自分で回転を加えて、ブーバーの背中に向かって、突撃します。
「くらえ、。ゆいちゃん真拳超奥義『ゆいちゃん☆マグナム』」
「グバッ」
ゆい先輩は頭から、ブーバーの背中に激突し、壁まで飛ばされ、壁に激突した衝撃で、煙が巻き起こります。
「目が回ったよ~」
煙の中から、眼をグルグル回しながら、ゆい先輩が出てきました。
「ブバ」
その後に、ドサッという音ともに、ブーバーが倒れました。
「なるほど、つるぎのまいで、ゆいぐるみの攻撃力も上がっているから、ゆい君を飛ばす勢いも上がっている。それに加えて、ブーバーを攻撃
した、ゆい君の攻撃力が上がって、ブーバーに与えるダメージも倍になる。つまりは4倍以上の力を引き出したわけじゃな。あっぱれじゃ」
「ブーバー戦闘不能。ゆいの勝利です。 梓に1ポイント。2対1。よって、梓の勝利です」
「ハラホロヒヘ~。あずにゃん、私、頑張ったよ~」
「まずは落ち着いて下さい。というか、まだ、目を回していたんですか」
それにしても、初めて出会った時から、比べて、だいぶ強くなりましたよね。一体、この成長は何なんでしょうね。才能なんでしょうか。
「あずにゃ~ん、抱っこ~」
「はいはい」
……とても、才能があるようには見えませんが。
「すまんのう、梓君」
「何がですか?」
「いや、最初の方にいろいろと言ったことじゃ。すまん」
「そ、そんなに謝らなくてもいいですよ。気にしてませんし」
「本当はあれで動揺してくれれば、と思ったんじゃがな。お前さん達はすごいトレーナーじゃ」
「ありがとうございます」
「それじゃ、クリムゾンバッジをあげようかのう」
カツラさんは私にバッチを手渡します。
「これで、後1個だね、あずにゃん」
「はい!」
「どうじゃ、ちょうどいい時間だし、昼飯にでもせんか?奢ってやるぞ」
「それはわ……」
「え、いいの!?」
「ちょ、ゆい先輩」
「どうしたの、あずにゃん」
「少しは遠慮というものを」
「でも、奢ってくれるって言ってるし」
「それはそうですけど」
「まあまあ、遠慮するでない。そのかわり、今までの旅のことを話してくれればいいんじゃ」
「それくらいなら、お安い御用だよ。だから、美味しいものを……」
「もう、ゆい先輩ったら。分かりました。お付き合いします」
私達がジムの外に出ようとすると、
「待って下さい、カツラさん」
というジムの職員の声がありました。
「なんじゃ。お前さんも奢ってほしいのか」
「そうじゃありません。緊急の電話です。今、大変なことになっているので」
「大変なこと?」
「とにかく、電話に出てください」
グレンジムのメンバーさんがカツラさんに電話を渡します。
「何だろうね」
「とにかく、まちましょ……ん?」
私の携帯にも着信がありました。着信名は……エリカさん?
「もしもし、どうしたんですか、エリカさん」
『大変なんです。今、どこにいるんですか?』
「今ですか。グレンジムに……」
「何じゃと!!」
突然、カツラさんが大きな声を出します。
『今の声は何ですか?』
「カ、カツラさんにも電話があって……」
『カツラさんがいるということはグレンジムにいるんですか』
「ええ。それよりも、何があったんですか?」
『ヤマブキシティにロケット団が攻めてきたんです』
「ロケット団が!?」
『はい。それで、今回はジムリーダの私達にも、出動要請が出ているので、よければ、協力してほしいんです』
「でも、私なんかが行っても……。警察とかの方が……」
『今回はロケット団の人数も違いますし、幹部などの強い連中も来ています。敵も本気ということでしょう。なので、1人でも多くのトレーナーが必要なのです。それにこれはロケット団よりも、恐ろしいのですが……』
エリカさんは一息ついて、こう言いました。
『実はロケット団の他に伝説のポケモンの2匹、フリーザとファイヤーが出て、暴れているんです』
「伝説のポケモンですか!?」
『ええ。それを止めるためにも、強いトレーナーの力が必要なんです』
「なるほど、分かりました。すぐに……」
ん?ちょっと、待って下さい。伝説のポケモンはフリーザ、ファイヤー、そして、サンダーの3匹のはずです。もう1匹はどうしたんでしょうか。
『どうしたんですか、梓さん。私も行かなければならないので……』
「あ、いえ、大丈夫です。それでは私もすぐに行きます」
『よろしくお願いします』
私は携帯をきります。
「どうしたの、あずにゃん」
「実はかくかくしかじか」
「なるほど」
「梓君にも電話があったか」
カツラさんも電話が終わったようで、私に話しかけてきます。
「はい」
「では、理由は分かっていると思うが、残念ながら、食事はなしじゃな。お前さんはどうするんじゃ?」
「もちろん、行きます」
「ではポケモンセンターで回復やメンバー調整をしてから、ヤマブキシティに向かおう」
「そんな、悠長にしていて大丈夫ですかね」
「慌てて行っても仕方がないじゃろ。万全の準備をしておくべきじゃ」
たしかに、そのとおりですね。
「では、早速ポケモンセンターに……」
その時、事務のドアがバンッと勢いよく開かれました。そこには、何人かの男の人が入ってきました。
「どうしたんじゃ。悪いが、挑戦者はおことわ……」
「大変だ、こ、この島にロケット団とサ、サ、サンダーが」
「え!?」
「なんじゃと!?」
私達が外に出ると、そこには、黄色と黒の鳥ポケモンが飛んでいました。
「ど、どういうことですか、なんでここにサンダーが……」
「まあ、なんにしても、敵も本気だということじゃな」
「そうですね」
私はこの戦いがロケット団との最後の戦いになるでしょうね。そんなことを思いながら、サンダーのいる空を見上げました。
グレンタウン編④ 「VSカツラ」 終了
最終更新:2011年09月21日 01:03