ポケモンセンター

「……キング」

サワムラーはメガトンキックをニドキングのおなかに叩き込み、ニドキングは倒れる。

「くそ。一体、何匹いるんだよ」

「知りませんよ。ハクリュー、アクアテール!」

ハクリューは自分の尻尾をニドクインにあらぶる波のように振って、叩きつけます。

「クイン!」

ニドクインはその衝撃で後退しますが、次のニドクインが迫ってきます。

「私達のポケモン2匹じゃ足りませんよ。もう、1匹出しますか」

「そうだな。でも、まだ、強いのは出すなよ。まだ、敵は増えるかもしれないからな」

「分かってます」

「あずにゃん、もう1匹は任せて~」

「では、これを……」

私はイーブイといしをゆい先輩に渡します。そして、ゆい先輩はボールから、イーブイを出します。

「ブイ太、一緒に頑張ろうね」

「ブイ!」

「今日はこれだよ」

ゆい先輩はみずのいしをイーブイに当てて、シャワーズにします。

「ちぇ。いいな、梓は。こっちは1人で、2匹を操るんだからな。こい、ニョロボン!」

「ニョロ」

「ハイドロポンプだ!」

「ブイ太も負けずにハイドロポンプ!」

2匹のハイドロポンプがニドキング、ニドクイン達に襲い掛かります。

「あの2匹はじめんタイプですから、有効な技ですね」

「だけど、この数が相手じゃな」

あっちを見ると、まだ、15匹くらいいるみたいです。

「これは骨が折れますね」

「しかも、まだ増えるかもしれないからな。どうしたもんか」

「う~ん……あ、そうだ!!りっちゃん、ニョロボン、借りるね」

「それはいいが、何をするんだ?」

「それは後のお楽しみ!!」

ゆい先輩はニョロボンとシャワーズを近くに呼び寄せます。

「さて、やるよ、ギー太、ブイ太、ボン太」

「いや、ボン太はやめろよ」

「それじゃ、いっくよ~」

ゆい先輩はギターを鳴らし、衝撃波をニドキング達に繰り出します。

「シャワ」

「ボン」

その後ろから、シャワーズとニョロボンがハイドロポンプをゆい先輩の衝撃波に乗せて、発射します。ゆい先輩の衝撃波にシャワーズ達の水が乗り、ニドキング達にダメージが加わります。その攻撃で、半数近くのニドキング達を倒しました。

「やったね♪どんなもんだい」

フンスと得意げになる、ゆい先輩。


「くそ。やはり、あのガキが問題か」

「どうする」

「いや、あのガキには欠点がある。」

「欠点だと」

「ああ。……ゴニョゴニョ」

「なるほどな」


「いい加減、しつこいぜ」

「キング!」

律先輩のサワムラーはニドキングを蹴り飛ばします。

「もう、降参しろよ」

「そうですよ」

「私がいるから、あなた達じゃ勝てないよー」

「うるせえ、奴らだ。……さて、次の部隊だ」

ロケット団は残りのニドキング、ニドクインに加え、新しいポケモン、オコリザル、ゴーリキーを加えます。

「チッ、まだ増えんのかよ」

「ふん。増えても問題ないよ。さあ、頑張ろう、ブイ太、ボン太」

「だから、それはやめろよ」

「それはどうかな。お前ら、狙うのは、あのツインテールのガキだ!」

「!?」

ニドキング達は今までは私と律先輩に分散して攻撃してきましたが、今の命令で、全てのポケモンが私に向かって、突撃してきます。



律視点

「あずにゃん!!」

敵は梓に向かって、突撃してくる。一点集中自体は悪くないが奴らの狙いは一体何なんだ。

「落ち着け、ゆい!!冷静にこうげ……」

「あずにゃん、今、助けに行くよー」

ゆいはピョコピョコと、攻撃を放棄し、私に向かって、走っていく。そうか、敵はゆいの動きを封じにきたのか。

「ちょ、ゆい!サワムラー、ニョロボン、ついでにシャワーズ、ゆいを援護だ!」

「「「ムラ(ボン、シャワ)」」」

サワムラーがゆいを援護するべく、横を向いた時、

「キング!」

ニドキングがサワムラーに体当たりを仕掛けてくる。

「サワムラー、くそ。ニョロボン!」

「ボン!」

ニョロボンはゆいの方に向かっていたのを転換し、サワムラーに攻撃していたニドキングにハイドロポンプを繰り出します。

「まったく、あいつらもなかなかやるな。梓への集中攻撃で、バランスが崩れちまった。サワムラー、ニョロボン、頼むぞー」



梓視点

「ハクリュー、アクアテール!」
「リュー」
「ザル!」
ハクリューの尻尾で、オコリザルに攻撃し、オコリザルはダウンします。
「ハア……ハア……」
もう、ハクリューも疲れてきてます。そろそろ、交換すべきでしょうか。
「あずにゃ~ん」
「ゆい先輩!」

ゆい先輩は小さい体で、ピョコピョコとこっちに向かって、走ってきます。

「今だ、ニドキング!」

「ニド!」

ニドキングは方向を転換し、私に向かってくるゆい先輩を横から、襲い掛かります。

「ゆい先輩、横です!」

「横?ほわっ!」

ゆい先輩が横を向いた時にはニドキングの鋭い爪が迫ってきます。

「ゆい先輩!」

「ひゃー」

「シャワ!」

ゆい先輩に襲い掛かろうとしたニドキングは突如として横から、激流のような水に飛ばされます。

「シャワーズ!」

「ブイ太!」

「シャワ(背中に乗ってください)」

「うん!」

ゆい先輩はシャワーズの背中に乗って、こっちに向かってきます。

「あずにゃ~ん、無事だったかい。心配したよ~」

ゆい先輩が私に抱きつき、シャワーズはハクリューの攻撃に加勢します。

「まあ、見てのとおり無事ですが」

「梓!油断するな!」

「ザル!」

オコリザルがハクリュー達の攻撃を避け、横から突撃してきます。

「しまった!」

オコリザルは両手を交差させる技、クロスチョップの体勢で私達に向かってきます。

「リュ!」

「キャッ!」

ハクリューは私を突き飛ばし、オコリザルの攻撃を代わりに受けます。

「ハクリュー!」

「ザル」

オコリザルはこちらに標準を向けます。

「このサルが!サワムラー、とびひざげり!

律先輩のサワムラーのとびひざげりがオコリザルの横に命中し、壁まで飛ばされます。

「大丈夫か、梓」

「はい」

「りっちゃん、かっこいい!」

私はハクリューのところに駆け寄ります。

「よくやりましたよ、ハクリュー」

私はハクリューの頭をなでてあげます。すると、ハクリューの体が光り輝きました。こ、これは……。

「進化か、梓!」

「そうみたいです」

光が収まると、そこには進化した、カイリューの姿が。

「リュー」

「やりましたよ、ゆい先輩!!カイリューに進化しました」

「サファリの園長さんが持っていたのと同じだね」

「リュー!」

カイリューはロケット団の集団の方を向き、口にエネルギーをためます。この技は……。

「リュー!!」

カイリューはロケット団に向かって、はかいこうせんを発射します。

「かわせ!」

ロケット団の連中は横に飛び、なんとか避ける事ができましたが、ほとんどのポケモンは今の攻撃で全滅してしまいました。

「くそ。一旦、退くぞ」

ロケット団の連中はそそくさと逃げ出します。

「リュウ~」

「あれれ、動きが鈍くなってるよ、リュウ太」

「はかいこうせんを出すと、反動で動きが鈍くなるんですよ。戻ってください、シャワーズ、カイリュー」

「へー」

「なあ、梓。今の攻撃はよかったんだが、これはやりすぎだ」

律先輩の目線の先には跡形もないポケモンセンターの玄関が。

「……ですよねー」

「さて、サンダーを倒しに行くか」

「……楽しそうですね」

「そりゃ、伝説のポケモンと戦える機会なんて滅多にないしな」

「……そうですね」

「待ちなさい!」

ジョーイさんが私達を止めます。

「何ですか?」

「最後にもう一度、回復していきなさい。これがあなた達に出来る最後の協力だから」

「……ジョーイさん」

「そうだな。ほら、早く、梓も出せ。また奴らが来るぞ」

「分かってますよ」


回復後

「とりあえず、カツラさんのところに行くか」

「ですね」

グレンジムの様子も気になりますし。

「それにしても、サンダーの奴。無差別に暴れてやがるな」

「ええ」

町は落雷の跡が無数にあり、火が出てるところも無数にあります。

「先を急ごう」

「はい」

私達はグレンジムまで、走っていきました。


和・カントーへの出発の日

『お別れだね、和ちゃん』

『そうね』

『絶対、すごいトレーナーになってね。夢だったよね、ポケモンマスターになるの』

昔の話だけどね。その言葉を胸にしまい、

『唯も頑張んなさいよ』

『まあ、ぼちぼちにね』

『……じゃあね』

『うん。バイバイ』


~~~

「和隊長」

「……何?」

また、昔を思い出して、ボーっとしていた。

「チュウ?」

きっと、あいつがこの子を連れてきたからだろう。

「連中、ポケモンセンターを逃げ出したみたいです」

「……そう。どこに向かってたか、分かる?」

「まだ、詳しくは」

「……至急探させなさい」

「はい」

ポケモンマスターか。たくさんのポケモンを実験材料にしてきた私が何を今更なことを。

「チュウ?」

「……あなたはのんきでいいわね」

私はピカチュウの頭をなでる。……今回の相手の中野梓。ミュウツーを撃破し、伝説のポケモンの1匹、ファイヤーをも、倒したトレーナー。
実力としては申し分ないだろう。

「何を考えているのかしらね」

戦ってみたいって、思うなんてね。私にはそんな資格もないのに。私はそんなことを思いながら、考えをめぐらせる。

「……ねえ」

「何でしょう」

「たしか、梓はジムに挑戦していたのよね」

「はい。その後、カツラ達の妨害を受け、逃げられました」

「現在、ジムには?」

「グレンジムに所属する、トレーナーは何人かは捕らえましたが、カツラとその一部の仲間は逃げました」

「……おそらく、梓達はグレンジムに来るでしょうね」

「どうしますか?」

「そうね。じゃあ……」

「くそ!どこに行った」

「そっちにいたか?」

「いない。あっちを探そう」

「まったく、数が多すぎだよな」

私達は物陰から、様子を伺っていますが、相当な数のロケット団がいます。

「どうしましょうか。この数では見つからずに、ジムに行くのは……」

「ねえ、あずにゃん、こっちの道にはロケット団の人達が少ないよ」

「え?」

ゆい先輩の指差す方を見ると、たしかに、ロケット団の人があっちの道より、少ない気がします。

「たしかに、少ないですね」

「こっちの道から、行こうよ」

「そうだな。今は考えるより、ジムに行って様子を見ることだな」

「でも、あまりに不自然な気がするんですけど」

「まあ、何かあったら、その時はその時だ」

「そうだよ」

「そんな、行き当たりばったりな」

「じゃあ、どうすればいいんだよ。あの人数を倒していくか?」

「……それも辛いですよね。分かりました。こっちの道に行きましょう」

私達はロケット団の少ない道を通っていきました。

そんなこんなで、ジムの近くに到着しました。

「それにしても、ジムに通じる道のところだけ、ロケット団の数が少ないなんて、ラッキーだね」

ゆい先輩は私の頭の上でそんなことを言います。

「そうだなー」

「そうですねー」

私達は物陰から、ジムの様子を伺います。

「近くに行かないの?」

「迂闊に近づかない方がいいだろ」

「何で?」

「不自然すぎるだろ。まるで、ここに誘導するようにロケット団の数が調整されてたしな」

「まるで、ここに来させられたみたいな感じでしたよね」

「???」


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最終更新:2011年09月21日 01:08