「だって、こんなにポケモンを大事に育ててるもん。そりゃ、たくさんのポケモンさん達を犠牲にしたかもしれないけどさ。それでも、楽しむ
権利はあるよ、きっと。まあ、私には難しい事は分からないけど」
「……」
「和さん。私はあなたがなんで、ロケット団に協力してるかは分かりません。だから、なんで、あなたが苦しんでるのかも分かりません。それでも、あなたとのバトルはとっても楽しいです。和さんはどうですか?」
「さっきまで泣きそうだったけどね」
「う、うるさいです!」
「あずにゃんが怒った~」
「……私は」
「もっと、素直になればいいんだよ~。私みたいに。あずにゃ~ん、好きだよ~」
ギュッと、抱きついてくるゆい先輩。
「ゆい先輩はもっと、遠慮してください」
「……ふう。あなた達を見てたら、こんな考えをしていた自分が馬鹿みたいに見えてきたわ。……だから、この戦いだけでも、全力であなた達とぶつかってあげる」
「……和さん」
「悪かったわね。もう一度、バトル再開よ」
梓 ニューラ ひん死 イーブイ ひん死 カイリュー ひん死 プテラ
和 バタフリー ひん死 ベトベトン パルシェン ひん死 オコリザル ピジョット ひん死
「はい!行くよ、プテラ!」
「プテ!」
「来なさい、オコリザル」
「今度はさっきみたいにいきませんよ。プテラ、アイアンヘッド!」
プテラは接近し、鋼のように固い頭をぶつけようとします。
「今度こそ……」
「無駄よ」
また、プテラの攻撃が当たろうとする瞬間、オコリザルの姿が掻き消えます。
「やはり、そうきましたか。プテラ!」
「ザル!?」
プテラは素早く方向転換し、横から攻撃をしようとする、オコリザルに攻撃を加えようとします。
「どんなもんです!!」
「やるじゃない。でも、私の方が上よ」
オコリザルはプテラの攻撃に合わせて、上に高くジャンプし、オコリザルのいた場所を通過しようとプテラの背中をオコリザルは拳を叩きつけるようにパンチを繰り出し、プテラは地面にめり込み、気絶します。
「プテラ!」
「まあ、あなたが対策をするのは分かってたことだわ。さあ、あなたは後2匹よ」
「分かってます」
梓 ニューラ ひん死 イーブイ ひん死 カイリュー ひん死 プテラ ひん死
和 バタフリー ひん死 ベトベトン パルシェン ひん死 オコリザル ピジョット ひん死
「さて、ゆい先輩。今回はたくさん頑張って下さいね」
「任せなよ。フンス」
「じゃあ……」
「私の出番だね!」
「来て下さい、ハッサム!!」
「あり?私の出番は~?」
「まあまあ、慌てないで下さい。物事には順番があるんですよ」
梓 ニューラ ひん死 イーブイ ひん死 カイリュー ひん死 プテラ ひん死 ハッサム
和 バタフリー ひん死 ベトベトン パルシェン ひん死 オコリザル ピジョット ひん死
「来たわね、あなたのもう一つの切り札」
「今度はさっきまでのようにはいきませんよ。ハッサム、バレットパンチ!」
ハッサムはオコリザルの懐に素早く、接近し、弾丸のようなパンチを繰り出す。
「ザル!」
オコリザルはそれを防御するも、反動で、後ろに押されます。
「ハッサム、とんぼがえり!」
ハッサムはオコリザルに追撃のパンチをした後、私のモンスターボールに素早く、戻ります。
「さあ、ゆい先輩。出番ですよ」
「うん、まかせ……って、ええー!無理だよ、私はあそこにいる、あの黄色の……」
「ピカチュウ♪」
「ピカチュウとどっちが、可愛いかを決める戦いを期待してたのに!」
「さっきは出る気満々だったじゃないですか。……それにそんなことしなくても、ゆい先輩のほうが……」
「ん?」
「なんでもありません。さあ、頑張って下さい」
「分かったよ~」
ピョコピョコっと、フィールドに出る、ゆい先輩。
「えとえと、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げるゆい先輩。
「だから、その~、お手柔らかにね」
「ブヒブヒ(無理だな)」
「ですよね。キャー」
ゆい先輩はきびすを返して、逃げ出します。
「オコリザル、ジャンプして、進路を防ぎなさい!」
「ザル!」
オコリザルは高く、ジャンプをし、ゆい先輩の退路を防ぎます。
「ひゃー、こうなったら、ゆいちゃん真拳奥義『ゆい☆チェンジ』」
その声とともに、ゆい先輩の雰囲気が変わりました。
「オコリザル、気にすることないわ。インファイトよ」
オコリザルはゆい先輩の懐に入り、拳を叩き込もうとします。
「ふむ、遅いな」
ゆい先輩はさっきまでの口調とはまったく、別の口調で、その攻撃を素早くかわし、オコリザルの背後に回ります。
「断罪の時間だ」
ゆい先輩はいつのまにか持っていた、日本刀(?)のようなものをオコリザルの背中を切りつけます。
「……ザル」
その一撃でオコリザルは倒れました。
「やりました、ゆい先輩!」
「うむ。時に、梓君」
「はい?梓君?」
「私のことは来ヶ谷先輩と呼ぶがいい」
「は?もう。訳の分からないことを言ってないで、戻ってください」
「ほーい」
「あ、戻った」
「やるじゃない」
「どうもです。来て下さい、ハッサム!」
梓 ニューラ ひん死 イーブイ ひん死 カイリュー ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ゆい
和 バタフリー ひん死 ベトベトン パルシェン ひん死 オコリザル ひん死 ピジョット ひん死
「これで、残りは互いに2匹ね。来なさい、ベトベトン!」
和さんはピカチュウではなく、ベトベトンを出してきました。
「ベトベトン、かえんほうしゃよ」
「!?」
「知ってるでしょ。ハッサムにほのおタイプの技は天敵だってことを」
ベトベトンは口から、炎を出し、ハッサムに浴びせようとします。
。
「ハッサム!」
「サム!」
ハッサムは自ら、炎に突っ込んでいきます。
「な!?死ぬ気なの!?」
「問題ありません。ハッサム、シザークロス!」
ハッサムは炎の中を突っ込み、両手をクロスさせ、ベトベトンを切り裂きます。
「ベドー」
ベトベトンの胸にXの文字が刻まれます。
「……サム」
同時に、ハッサムはひざを突きます。やはり、さっきまでのダメージは大きかったですね。
「ハッサム、最後の力を振り絞って、つじぎり!」
「ベトベトン、かえんほうしゃを続けて!」
ベトベトンは火炎を口から出し、ハッサムに浴びせます。
「
よし!」
「……」
和さんもベトベトンも、一瞬、気が緩んだ瞬間、ハッサムがベトベトンを斬りつけます。そして、ベトベトンは倒れ、同時に、ハッサムも倒れます。どうでもいいですけど、今回は引き分けが多いですね。
「な!?」
「やりましたよ、ハッサム!」
私はハッサムをボールに戻します
「……訂正するわ。あなたは強いわね。ここまで、追い詰められるなんて、思いもしなかったわ」「
「ありがとうございます」
「いよいよ、最後のポケモンね。……頼むわよ、ピカチュウ」
「ピカチュウ♪」
「こっちはゆい先輩です」
「任せて~」
梓 ニューラ ひん死 イーブイ ひん死 カイリュー ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ひん死 ゆい
和 バタフリー ひん死 ベトベトン ひん死 パルシェン ひん死 オコリザル ひん死 ピジョット ひん死 ピカチュウ
「頑張ってくださいね、ゆい先輩」
「うん!でも、可愛いよね、君」
「ピカチュウ(ねえねえ)」
「なんだい?」
「ピカチュウ(頭なでて~)」
「任せて~」
ゆい先輩はピョコピョコっと、不用意にピカチュウに近づいていきます。
「ゆい先輩、不用意に近づかないで下さい!」
「大丈夫だよ~。だって、こんなに可愛い……」
「ピカ(にやり)ピカチュウ!(くらえ、十万ボルト!)」
ピカチュウの頭をなでようとする、ゆい先輩に電撃を浴びせる、ピカチュウ。
「あぶぶぶ」
「ピカチュウ、でんこうせっか!」
ピカチュウは電撃で痺れている、ゆい先輩に素早く、体当たりを仕掛けます。
「キャー」
コロコロと転がる、ゆい先輩。
「う~、卑怯だよ、もう、許さない」
ゆい先輩は目を瞑り、神経を集中させます。
(落ち着いて、集中するんだ。心を無にするんだ。そうすれば、達することが出来る。新たなる伝説の境地に。あの時の感覚が蘇る。さて、や
るよ。……アズサマインド)
ゆい先輩の体が光り輝きます。
「これはミュウツープロトタイプを倒した技。ピカチュウ、先制攻撃で、けん制を……」
「遅いですよ」
ゆい先輩は一瞬の間に、ピカチュウの背後に回ります。
「な!?」
「アズサマインドは私の中のあずにゃん分を活性化させ、身体能力を10倍にするんですよ」
ゆい先輩はピカチュウの尻尾を掴み、上に投げます。
「ふん!」
そして、ゆい先輩も一瞬で姿を消し、上に飛ばしたピカチュウの上に現れます。
「くらえ、 ゆいちゃん真拳奥義『ヒップ☆ドロップ』」
ゆい先輩はお尻をピカチュウの腹部に乗せ、そのまま、勢いよく、落下してきます。
「ピカチュウ、かみなり!」
なるほど。このまま、電撃を浴びせて、ゆい先輩を下に着く前に倒す気ですか。
「あぶぶぶぶぶぶぶ」
ゆい先輩は電撃に痺れながらも、落下し、地面に激突、衝撃で煙が巻き起こります。
「「どっちが勝ったの(んですか)」」
煙が晴れ、そこに立っていたのは、
「あぶぶぶぶ、痺れちゃったよ、あずにゃ~ん」
と、体をバチバチと痺れさせながら、私に向かって、歩いてくる、ゆい先輩。
「ピカチュウは!?」
ピカチュウを見ると、グルグルと目を回して気絶しています。
「……これは」
「私の負けね」
梓 ニューラ ひん死 イーブイ ひん死 カイリュー ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ひん死 ゆい
和 バタフリー ひん死 ベトベトン ひん死 パルシェン ひん死 オコリザル ひん死 ピジョット ひん死 ピカチュウ ひん死
「やったよ~、ビリビリ、あずにゃ~ん、ビリビリ」
「とりあえず、落ち着いてください」
「……まさか、あなた達に負けるなんてね」
和さんはピカチュウを抱き、きびすを返そうとします。
「待って下さい!」
「……何」
「まだ、ロケット団で、実験とかをするんですか」
「……」
「私、あなたとポケモンリーグで戦ってみたいです。たしかに、和さんはポケモンにひどいことをしてきたと思います。でも、今の戦いで本当にポケモンを好きだということを感じました。だから、もうそんなことをやめて……」
「……一つ、約束しなさい」
「はい?」
「チャンピオンになりなさい。私ともう一度戦うまで、勝ち続けなさい。そして、あなたを最初に倒すのは私になるわ」
「……はい!!」
「……じゃあね」
「あ、後、サンダーは……」
「あれは私には止められないわ。別の管轄よ。あれを止めるには倒すしかないわね」
「そんな……」
「それじゃあね」
今度こそ、和さんはきびすを返し、その場を去っていった。
グレンタウン・郊外
「『私ともう一度戦うまで、勝ち続けなさい』ね。もう、あなたにそんな機会はないのにね。どうして、そんなことを言ったのかな」
私の前で、AYUはそう言った。
「私に勝った人が詰まらない奴に負けるのは嫌だからよ」
「なるほどねー」
「もう、未練はないわ。サッサとしなさい」
それが、私が傷つけてきた、
「ポケモン達への報いだからかい?和ちゃんは優しいねー。普通はそんなこと、思わないのに」
「……なんでもいいから、早くしなさい」
「分かってるよー」
AYUは手にエネルギーを溜めて、私に向ける。一体、この子は何者なんだろうか。
「じゃあね、元気で生きるのよ」
私は抱いていた、ピカチュウを地面に置く。
「
それじゃ、いくよ」
「いつでもいいわ」
私は目を瞑る。
(覚悟はした。いつでも来なさい)
そう思って、最後の一撃を待っているのに、いつまでもこない。
「どうしたの、はやくしな……!?」
私が目を開けると、傷ついたピカチュウが私の前に手を広げて、立っている。
「ふーん。やーめた」
「は?」
「あなたがいなくなったら、この子がかわいそうだからね」
AYUはきびすを返す。
「あ、あなたは一体何がしたいの」
「……それを答える義務は仲間でもないあなたに言うことじゃないよ。これが最後だよ。次に会う時には敵だからね」
「……ありがとう」
「……ふん」
AYUは去って行った。
「ありがとね、ピカチュウ。これからも、よろしくね」
「チュウ~」
「……頼むわよ、梓」
私はこれから、今までやってきたことをどう償っていけばいいのかを考えながら、サンダーを見つめた。
VSロケット団編③ 「VS和」 修了
最終更新:2011年09月21日 01:14