ゆい「見てれば分かるよ。いくよ、ギー太、ハッサム。ミュージックスタート!(翼をくださいを想像してください)」
ゆい先輩の音楽とともにハッサムの背中から天使のように白い羽が生えます。そして、空を飛び始めます。
律「おお。これなら、戦力になるな。他のポケモンには出来るか?」
ゆい「悪いけど、1匹が限界なんだよ~」
律「なら、仕方がないか。……よし、とりあえず、近距離はハッサムに任せて、私達が遠距離でサンダーを攻撃していくしかないな」
梓「それが理想ですね」
律「じゃあ、いくぜ。ゴルダック、れいとうビーム!レアコイル、マグネットボム!」
梓「シャワーズ、れいとうビーム!」
ゴルダックたちはサンダーの逃げ道を防ぐべく、左右に発射します。
梓「ハッサム、まずはつるぎのまいで攻撃力アップです!」
ハッサムはあらぶる踊りを踊り、攻撃力をあげます。
律「おし。リザードン、かえんほうしゃだ!」
左右に攻撃をして、動きを封じている中央にリザードンのかえんほうしゃを発射し、サンダーはそのかえんほうしゃを直接浴びます。なるほど、これならよけるのは厳しいですね。
律「やったか!?」
サンダー「……サンダー!!」
サンダーはドリルくちばしの体勢で体を回転させ、炎を弾き飛ばします。
律「またかよ。それしか、技がないのか」
梓「絶対の自信があるんでしょうね。律先輩、リザードンを下げてください。頼みますよ、ハッサム!」
律「正面から受けきる気かよ。無茶だぜ」
梓「大丈夫です、私のハッサムなら!」
律「どっから、そんな自信が出てくんだよ」
梓「とにかく!ハッサム、おんがえしです!」
ハッサムはハサミにエネルギーを溜めて、サンダーに対抗するべく、突撃していきます。
梓「いっけー、スクラップフィストー!!」
サンダーのドリルのような一撃とハッサムの鋼鉄のハサミが激突し、その振動が私達のところまで風になって、伝わってきます。
律「やったのか!?」
ピキ……ピキピキ。
ハッサムのハサミがひび割れる音が聞こえ、ハサミだけでなく、体中にひびが入り、羽を失って、落下していきます。
梓「ハ、ハッサム!プテラ、急いで下さい」
私はハッサムを助けるべく、プテラとともに救助に向かいます。
律「化け物かよ、あいつは……」
梓はハッサムを助けに下に向かっている。まあ、梓がいても無駄だけどな。梓が弱いとかじゃなく、こいつは強すぎる。
律「けど、やるしかないか。頼むぞ、皆」
私は残りのメンバーに望みを託した。
――――
私はハッサムが落下したところを見つめる。私がここにいるのはただ、自分のやったこことの行く末を見るためだ。それにしても、やはり、伝説のポケモン……私を倒した梓がまったく歯が立たない。おそらく、ゆいでも勝てないだろう。
和「なのに、あのハッサムはどうして、立ち上がるの……!?」
ハッサムはまだ諦めていないのか、上空を見上げ、サンダーを悔しそうに見つめる。なんていう精神力だろう。上空からは梓達が向かってくる。多分、ハッサムを助けに来たのだろう。
和「私に勝った以上、負けたら許さないわよ」
そう呟き、様子を見た。
梓「ハッサム!!」
ゆい「サムちゃん!!」
私達が地上に着くと、ハッサムは傷だらけになりながらも、上空を悔しそうに見つめています。
梓「待っててください。今、ボールに戻し……ッ!?」
私はボールに戻そうと構えた手を止めます。というのも、ハッサムの目はまだ戦いという、戦意のこもった目をしています。さらに、体からも
そんなオーラが流れています。
ゆい「……サムちゃん」
ハッサム「サム(俺はまだ、戦える)」
梓「……もう、いいですよ。これ以上、傷ついたら、ハッサムの命が……」
ゆい「そうだよ。サムちゃんは頑張ったよ。だから、少し、休んで……」
ハッサムはそんな私達の言葉を無視し、プテラに向かって歩いていきます。
ハッサム「ハッサム(サッサと俺を上に乗せて戦わせろ)」
プテラ「プテラ、テラ(俺は死に掛けを上に乗せる趣味はないんだ。それに、お前を倒すのは俺だ)」
梓「ハッサムは戦いたがってる。でも、もう勝つための手段がない……」
和「諦めるの?」
突如として、さっきまで私と戦っていた相手……和さんの声がしたので、その方向を見ます。
梓「和さん!どうして、ここに……」
和「別に深い理由はないわ。それよりも、諦めるの?ポケモンよりも先にあなたが諦めるの?」
梓「でも、勝つ手段がなくて……」
和「たしかにあいつは強いわ。でも、相手も所詮はポケモン。上を見なさい」
上を見ると、律先輩がサンダーの攻撃を避けながら、ハイドロポンプなどを当てています。
和「サンダーを見なさい」
私は言われたとおりにサンダーを見ます。
サンダー「……はあ……はあ」
サンダーは息遣いを荒くしています。
和「サンダーだって、ポケモン。体力は無限じゃないのよ。無限じゃないなら、勝つ手段は絶対にあるはずよ」
梓「……そうですね」
体力が無限ではない。当たり前のことだけど、サンダーの強さを見て、失念していました。
梓「ありがとうございます、和さ……あれ?」
私がもう一度、和さんのいたところを見ると、和さんはいなくなってました。
梓「……ありがとうございます、和さん」
梓「さてと。どうしますか」
私の手持ちでまだ、戦えるのはシャワーズ、プテラ、ゆい先輩。……そして、
ハッサム「……サム!」
ボロボロだけど、戦う意思の消えないハッサム。どう戦うべきでしょうか。
ゆい「……よし!私いい方法を思いついたよ」
梓「どんな方法ですか?」
ゆい「それにはサムちゃんの協力が不可欠なんだけど……いけるよね?」
ゆい先輩はハッサムに問いかけます。
ハッサム「……サム!(もちろん!)」
ゆい「なら、大丈夫かな。方法はね、シオンタウンでバンギラスにやった、サムちゃんをプテラの口にくわえて、はかいこうせんとともにサムちゃんを発射して、その勢いでサンダーにぶつけるの」
梓「……たしかに、悪い作戦ではないですけど、ハッサムは大丈夫ですか?」
ハッサム「サム(もちろん)」
ゆい「問題はサンダーが避けられたらなんだけど……」
梓「それは問題ないですよ」
ゆい「何で?」
梓「だって、あのサンダー、避けられる場面でも力押しできましたからね。多分、避けずに向かってくると思います」
ゆい「なるほど。王者の驕りって奴だね」
梓「それは知りませんけど……。とりあえず、シャワーズは援護をお願いします。では、それで頑張りましょう!」
律「リザードン、避けろ!」
サンダーの十万ボルトを横にかわす。
律「ったく。なんてポケモンだよ」
レアコイルやゴルダックの技はちょくちょく命中はするんだが、まったく効いている様子がない。
律「どうしろってんだよ、まったく」
梓も戻ってこないし。いつやられてもおかしくない展開だし。
律「ん?」
サンダーの背後に梓達の姿が見えた。しかも、プテラはハッサムをくわえている。
律「一体、何をする気だよ……」
呆れ半分、期待半分で梓の様子を見つめた。
梓「シャワーズ、サンダーにれいとうビーム!」
シャワーズは冷気のビームをサンダーの背後に向かって発射し、サンダーの背中に命中します。
サンダー「……ンダー!」
サンダーは怒りの眼で私達の方を見ます。そして、ドリルくちばしの体勢になります。
梓「来ましたか!頼みますよ、プテラ、ハッサム!!」
プテラ・ハッサム「「テラ(サム)!!」」
梓・ゆい「「いっけー、『レッド・シューティングスター』」
プテラの口からはかいこうせんとともにハッサムが発射されます。そして、サンダーも体を回転させ、それに対抗します。さながら、赤い弾丸と黄色の弾丸のようです。
ガッキーン
口ばしとハサミが激突し、ハッサムは下に、サンダーは上にはじかれます。
ハッサム「……サム」
ハッサムのハサミがひび割れて、砕け散りました。
梓「ハッサム、戻ってください!」
私はハッサムをボールを戻します。
梓「ありがとう、ハッサム」
ゆい「あずにゃん、サンダーが……」
ゆい先輩がサンダーを指差します。
サンダー「ンダーーーーーーーーーーー」
サンダーの口ばしがひびが入り、血が噴出します。そして、怒りの表情で私達を睨みます。
律「レアコイル、だいばくはつだ!!」
私達を親の敵のように睨むサンダーの背後で、レアコイルがだいばくはつを仕掛け、黒い煙に覆われます。
梓「やりましたか!?」
ゆい「多分、まだ無理だよ。それより、あずにゃん。私を抱っこして」
梓「後にして下さい」
ゆい「これはサンダーを倒すために必要なんだよ!」
梓「……分かりました」
私はサンダーの方を見て、ゆい先輩を抱きます。
ゆい「えへへ。あずにゃんのちっぱいだ~」
梓「さて、シャワーズでも、抱っこを……」
ゆい「冗談だから怒らないでよ」
そうこうしているうちに煙が晴れます。そこには大ダメージを受けながらも、まだ敵意を放っている、サンダーの姿がありました。
律「本当に不死身かよ」
ゆい「よし!あずにゃん分、補充完了。いくよ、ギー太。ゆいちゃん真拳奥義『ゆいちゃん☆ビーム』」
ギターの先端に高エネルギーがたまり、サンダーに向かって発射します。
シャワーズ・プテラ「シャワ(プテ)!」
そのビームにあわせて、シャワーズのれいとうビームとプテラのはかいこうせんも加わり、サンダーに命中します。
サンダー「ンダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
サンダーは断末魔の叫び声をあげて、グレン島を見渡せる火山に激突し、気絶しました。
ゆい「やったーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ゆい先輩は小さい体をピョンピョンと跳ねて、喜んでいます。実に可愛いらし……おっと、誰か来たようです。
律「やったな、梓」
梓「やりましたよ、律先輩」
私達は空中で手をパンと叩きあいます。
律「とりあえず、地上に戻るか」
梓「ええ。さすがに疲れましたよ」
私達が地上に戻ると、カツラさん達が話しかけてきます。
カツラ「やあ、律君。梓君。よくやってくれたよ」
梓「ロケット団の奴らは?」
カツラ「だいぶ、沈静化しているから、安心せい。たぶん、奴らはヤマブキシティに戻っているんじゃろう」
律「そういえば、ヤマブキシティは大丈夫か?」
カツラ「正確な情報が出回ってきてはいないんじゃが……とりあえず、ヤマブキに向かうぞ」
梓「ですが、私達のポケモンの体力が……」
ジョーイ「それなら、安心して。なんとか、応急処置的に直すことができたわ」
ゆい「なんていうご都合主義」
梓「ではパソコンを貸してください。少し、モンスターもチェンジします」
カツラ「うむ。万全の状態で行こうじゃないか」
律「カツラさんも行くのか?」
カツラ「当たり前じゃろう」
梓「さて、カイリューのダメージが大きかったですから、ここは……これでいきましょう」
今回のメンバー ゆい ハッサム プテラ ヘルガー ニューラ ガルーラ
梓「では、早速ヤマブキに向かいましょう」
律「きっと、澪達もいるはずだ」
カツラ「ふむ。あのデカ乳のお嬢さんか。あれは実に……」
ゆい「お口、チャック!」
私達はヤマブキに向かうべく、グレンタウンに向け、出発しました。
AYU「負けちゃったか……」
AYUはサンダーを見つめる。
AYU「でも、ゆっくりしてる場合じゃないね。君にはまだ出番はあるからね」
AYUはサンダーをモンスターボールに戻す。
AYU「早く、届けてあげなきゃね」
AYUはある人物に届けるために全力でヤマブキシティを目指した。
VSロケット団編④ 「VSサンダー」 終了
前回までの状況(トレーナとポケモン)
梓 ゆい ハッサム ヘルガー イーブイ ニューラ ガルーラ カイリュー ポリゴン2 プテラ ラプラス
澪 ゼニガメ エビワラー デンリュウ
律 リザードン サワムラー ニョロボン レアコイル ゴローニャ ゴルダック
ムギ フシギバナ カポエラー ギャラドス
純 うい カビゴン ゲンガー
注意 今更だけど、曽我部はオリキャラ扱いでお願いします。
VSロケット団編⑤ 「伝説のポケモン強襲」
ヤマブキシティ・シルフカンパニー
サカキ「感慨深い光景だな」
曽我部「ええ」
シルフカンパニーの社長室から夕日の中ファイヤーとフリーザーによってボロボロになっていく町を見る。
サカキ「これでロケット団の天下を取れる」
曽我部「そうですね。……このまま順調に事が進めば、ですけど」
サカキ「どういう意味だ?あの、お前が警戒していた少女達のことなら、大丈夫だろう。フリーザーとファイヤーの2匹を同時には相手にはできまい」
曽我部「いえ、違います」
きっぱりとした否定にサカキは曽我部を見る。
サカキ「では、お前は何を心配しているんだ」
曽我部「心配?そんなことはしてませんよ」
サカキ「では、さっきの言葉は何なんだ」
曽我部はサカキの言葉を無視し、携帯電話を取り出し、どこかに連絡をする。
曽我部「……そうですか。ありがとうございます。……はい。では」
サカキ「誰に電話をしていた」
曽我部「……うるさいな」
曽我部が今までとは違った対応にサカキは驚く。
曽我部「あなたにはお礼を言っておきます。『私の』野望のために協力していただき、ありがとうございます」
サカキ「野望だと……!?」
曽我部「もう、舞台は整いました。あなたにはご退場願いましょう」
サカキ「なんだと!?」
曽我部「本来なら、あなたは私に感謝すべきですよ。『本来の歴史』なら、あなたはここまでのこともできずにあの少女達にボロ負けしていた
んですから」
サカキ「……お前は何を言ってるんだ」
曽我部「あなたには分からないでしょうね。まあ、これまで、世話になりましたから、自分で投降するなりなんなり、好きにして下さい」
サカキ「……何でもいいんだな?」
曽我部「ええ」
サカキ「では、お前を倒す!」
サカキはサイドンを出す。
曽我部「そうきますか。でも、めんどくさいので持ちポケモンを全部出してください。もっとも、それでも私には勝てませんが」
サカキ「……舐めるのもいい加減にしろ」
曽我部「これは正当な評価ですよ。まあいいです」
曽我部も構える。
曽我部「後悔しないでくださいね」
サカキ「……お前がな!」
その言葉をきっかけに2人の戦いが始まった。
最終更新:2011年09月21日 01:20