今回のメンバー ゆい ハッサム プテラ ヘルガー ニューラ ガルーラ

上空

ゆい「急げや、急げ」

私達は全速力で、ヤマブキシティに向かっています。綺麗な夕日も出ていてゆっくり観賞したいんですけど、そんな場合じゃないのが辛いですね。

梓「律先輩。澪先輩達と連絡つきましたか?」

律「ああ。一旦、クチバシティ側で落ち合うことになった」

梓「町の様子とかは?」

律「……聞かない方がいい」

梓「……そうですか」

ロケット団の連中は一体、何を考えているんでしょうか。こんなにも犠牲を出して、何がしたいんでしょう。

ゆい「あずにゃん、スマイ~ル」

梓「はい?」

ゆい「また、顔がむっとなってたよ。そんなんじゃ冷静な判断できないよ。だから、スマイ~ルで落ち着こう」

梓「……はあ。いつも、かわりませんよね、ゆい先輩」

ゆい「なんか、あきれられてる!?」

梓「感心してるんですよ」

ゆい「私の目を見て、言おうよ」

梓「こんな緊迫してる状態で笑えませんよ」

ゆい「そうだけどねー」

ゆい先輩はうつむきます。

ゆい「悲しいよねー。ポケモンを争いの道具に使うなんてね」

梓「……そうですね」

なんとなく、人間側として、申し訳ない気持ちになります。

ゆい「ポケモンと人間さんも仲良くなれると思うんだ。それこそ、私達みたいに恋人同士みたいにさ」

梓「(仮)です」

ゆい「いい加減、素直になろうよ」

梓「私はロリコンではありませんので」

ゆい「恥ずかしがらなくてもいいのに」

梓「……とりあえず!!この話題はこっちにおいておきましょう。今は伝説のポケモン、フリーザー、ファイヤーをどう倒すかです」

ゆい「それは厳しいよね、現実問題として。サンダー相手でもこれだけ苦労したんだし」

梓「たしかにそうですね」

ゆい「まあ、希望がないわけじゃないんだけどね」

梓「そうですね。あの時は律先輩と2人だけでしたけど、今度は澪先輩達もいますし、ジムリーダーの人達、他のトレーナーの人達もいますし」

ゆい「それが希望だよね。でも、現段階で騒ぎが治まってないところをみると……」

梓「厳しいですよね」

ゆい「まあ、私達がいれば、大丈夫だよ。あずにゃ~ん」

梓「にゃっ!!」

ゆい先輩は私の胸に飛び込んできます。

ゆい「あずにゃん分補給~」

私の胸でほっぺをすりすりしてきます。

梓「や、やめてください」

ゆい「これは私のエネルギー源なんだよ~。ポケモンセンターでも補給できないんだよ~」

梓「な、なら、仕方がないですね」

ゆい「そう。仕方がないの」

梓「って、そんなわけないじゃないですか!!」

律「仲良いな、お前ら」


ヤマブキ・クチバシティ側

澪「遅いぞ、律、梓」

梓「すいません」

律「無茶言うなよ。これでも、全速力できたんだぞ」

カツラ「久しぶりじゃのう、澪君、ムギ君」

澪「お、お久しぶりです」

紬「お久しぶりです」

カツラ「他のジムリーダーは?」

ムギ「タマムシシティ側で戦っています」

カツラ「それじゃ、ワシも行って来るかのう。ではまたな」

カツラさんはギャロップにまたがり、走っていった。

律「それで状況は?」

紬「あんまり芳しい状況ではないわね。ジムリーダーの人と協力してるけど、フリーザーとファイヤーの相手は辛いわ」

梓「他のトレーナーの協力はないんですか?」

澪「皆、自分の命がほしいからな」

つまり、逃げたってことですか。まあ、間違った判断じゃありませんけど。

梓「これから、どうしますか」

澪「現在、エリカさん達がフリーザーを相手しているが……現実問題厳しいだろうな」

律「私達だって、2人でサンダーを倒したんだから、フリーザーとファイヤー、2匹でも倒せそうだけどな」

紬「その2匹だけじゃなくて、ロケット団の相手もしなきゃいけないから」

澪「それにあの2匹は協力して攻撃してくるからな」

梓「それは辛いですね」

ゆい「ロケット団の本拠地みたいなところは?」

紬「シルフカンパニーにボスがいるみたいね」

律「じゃあ、そこに潜入して、サッサとボスを叩いちまおうぜ」

澪「無茶言うなよ」

律「でも、頭をサッサと倒した方がいいだろ?」

紬「そこまで行くのが大変よ。シルフカンパニーはヤマブキシティの中央にあるし」

澪「それまでに上空のあの2匹やロケット団を倒していかなくちゃいけないし」

律「ロケット団員をいちいち相手にする必要もないだろ」

澪「それはそうだが……」

律「上の2匹だって、他が囮になれば、その間に潜入できるから問題ないしな」

紬「結構厳しい気がするけど……」

律「とにかく!!このままじゃ、埒が明かない」

澪「それはそうだけど、このままこう着状態が続けばあの2匹の体力も尽きてくる。そこをつけば、もっと楽に勝てるんじゃないか?」

ムギ「ジムリーダーの人もそう考えてるわ」

ゆい「駄目だよ!」

突然、大きな声を出す、ゆい先輩。

澪「何が駄目なんだ、ゆい」

ゆい「それじゃ、犠牲になる人とかがたくさん出るよ」

澪「ただ、こう着状態を続けるわけじゃない。そうならないように守るようにする」

紬「こうやってジムリーダーの人達が戦っているのも、早く体力が無くなるようにするためよ」

ゆい「でもでも、建物とかは?」

澪「この騒動が治まってから、復興できる。命には代えられないしな」

ゆい「……う~」

ゆい先輩はまだ、何かを言いたそうに口をつぐみます。

梓「……ですが」

私は一呼吸おいて、言います。

梓「敵はそんなことを許すでしょうか」

紬「どういうこと?」

梓「敵がファイヤーやフリーザーの体力が尽きるまで、何の対策もしてないこともないと思うんですけど」

澪「たしかに。だけど、あの様子を見るとロケット団にあのポケモン達を完全にコントロールし切れてない。だから、対策をしようもないだろ。命令も聞かないんだから。ボールに戻したら、こっちのチャンスのわけだし」

澪先輩の言うことも分かります。ですが、私は一抹の不安を感じていました。今は闇雲に暴れているあの2匹が、もしあの2匹を完全にコントロールできるトレーナーが現れたら、どんな被害が起きるのかと。


ヤマブキシティ・シルフカンパニー

AYU「やっほー、お届け物だよー。……あれ?」

サカキ「……」

AYUが部屋に入ると、サカキが壁にめり込み、血を流しながら気絶している。サカキの手持ちポケモンも無残に全匹やられている。

AYU「アチャー。これはやりすぎだよ」

曽我部「申し訳ありません。手を抜ける相手ではありませんので」

AYU「それは分かるけどねー。まあいいや。はいこれ」

AYUはサンダーの入ったボールを曽我部に手渡す。

曽我部「ありがとうございます」

AYU「頑張ってね」

曽我部「任せて下さい」

曽我部は社長室を出る。

AYU「さて。じゃあ、ショーを見せてもらうよ」

AYUも社長室を出る。そして、この部屋にはボロボロになった、サカキだけが残された。

ヤマブキシティ・シルフカンパニー・屋上

曽我部「さあ出てきなさい、サンダー」

曽我部はサンダーを出す。

曽我部「さあ、ショーの始まりよ。これから、カントー地方が生まれ変わる」

曽我部はほくそ笑み、そう呟いた。


ヤマブキシティ・タマムシ側

カスミ「スターミー、ハイドロポンプ!」

スターミはハイドロポンプをファイヤーに向かって発射する。

ファイヤー「ファイヤー!」

ファイヤーはその攻撃を片羽で受け止め、はじき返す。

カスミ「弱点なのに、まったく効かないなんて……」

フリーザー「フリー!!」

フリーザーは羽を振り、激しい吹雪を発生させて攻撃してくる。

ナツメ「バリヤード、ひかりのかべよ」

バリヤードはひかりのかべを張り、その攻撃を耐える。

タケシ「強すぎるな。これで、サンダーまでいたら、お手上げだな」

エリカ「もう、すでにお手上げ状態ですよ。体力が尽きるまで、この町に止めるようにするのが限界なんですから」

タケシとエリカはロケット団員を相手にしながら話す。

キョウ「上を見ろ!」

突然のキョウの叫びで皆は上を見る。

マチス「ば、馬鹿な……」

エリカ「……カツラさんからの連絡によれば、梓さん達が倒したはずなのに……」

上空には黄色と黒の鳥、サンダーが現れた。


ヤマブキ・クチバシティ側

澪「どうなってるんだ!律達はあいつを倒したんだろ!?」

紬「落ち着いて、澪ちゃん。おそらく、ボールに戻して、回復させたんでしょうね」

律「確認を怠った私達があまかったか」

澪「……ここで皆に聞いておきたいことがある」

律「なんだよ、突然」

澪「これはジムリーダーの人達に言われたんだが……これから、どうする?」

梓「え?どういう意味ですか?」

澪「つまり、このまま、逃げるか戦うかだ」

律「逃げるわけにもいかないだろ」

紬「ええ。でも、このまま戦えば、死ぬかもしれないわ」

律「それは逃げても同じことだろ?」

紬「たしかにそうね。でも、戦うよりも生き残る可能性がある」

律「……まあ、そうだな」

澪「そういうわけだから、ちゃんと考えて判断しろって」

紬「といっても、時間はもうないけどね」

逃げるか、戦うか、そんなことはもう決まっています。

梓「戦いましょう!」

紬「危険よ」

梓「覚悟の上です」

律「よし!!それでこそ、梓だぜ」

律先輩は私の頭を乱暴になでます。

梓「や、やめて下さい」

ゆい「あずにゃんがやるなら、私も頑張るよ!!」

紬「私も。皆で頑張りましょうね」

律「もちろん、私も戦うが……。澪は?」

澪「……皆が戦って、私が逃げるわけにもいかないだろ」

律「じゃあ、皆で頑張ってこの戦いに勝利して、その勢いでポケモンリーグでマサラ旋風を巻き起こそうぜ」

ゆい「お、いいねえ!!」

澪「いや、そこまでうまくいかないだろ……」

梓「そうですよ」

ムギ「でも、夢があっていいじゃない」

ゆい「じゃあ、皆、頑張ろう!」

皆「「「「オー!!!」」」」


ヤマブキシティ・シルフカンパニー・屋上

曽我部「手ぬるいわね」

伝説のポケモンの戦いを見て、曽我部は呟く。

曽我部「……ファイヤー。そんな雑魚達はどうでもいいわ。狙うべきなのは……」

タマムシデパートを見る。

曽我部「やりなさい、ファイヤー」

ヤマブキシティ・タマムシ側

カツラ「待たせたのう、皆」

タケシ「カツラさん!」

カツラ「どうじゃ、様子は?」

タケシ「なかなか、厳しいですね」

カツラ「どれ。のん気に話してる場合じゃないし、ワシも頑張るか」

カツラはブーバーを出す。

カツラ「とりあえず、フリーザーの動きを……ファイヤーの様子が変じゃぞ?」

ファイヤーは戦っている、カスミ……ではなく、もっと遠くの方を見る。

カツラ「あの方角は……まずい!?」

タケシ「カスミさん、ファイヤーの動きを!」

カスミ「分かってるわ」

カスミはスターミーとヒトデマンに標的をあわせて、ハイドロポンプを発射する。しかし、それをフリーザーのふぶきによって、凍らされる。

カスミ「なっ!?」

キョウ「3匹そろうと厄介だな」

キョウはロケット団員をあしらいながら、喋る。

マチス「ライチュウ、フリーザーに十万ボルト!」

ライチュウの十万ボルトがカスミの邪魔をするフリーザーに迫ると、サンダーの電撃が邪魔をする。

ナツメ「嫌になるわね」

エリカ「そんなことより、ファイヤーが……」

ファイヤーの口に炎がたまり、まるで、ビームのようなかえんほうしゃがタマムシデパートに向かって発射され、バーンという音ともに、オレンジ色の炎がろうそくのように。

エリカ「タマムシデパートが……」

カツラ「避難は終わってるのか!」

タケシ「連絡では誰もいないはずです」

カツラ「なら、まだましか。……それにしても、どうして急に標的を……」


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最終更新:2011年09月21日 01:21