ヤマブキ・クチバシティ側
律「あれはタマムシデパートか?」
紬「多分、そうだと思うわ」
澪「早く、行ったほうがいいな」
梓「そうですね」
律「じゃあ、どんな組み合わせでいくか」
ゆい「どういうこと?」
律「これから、あの3匹を倒すためにジムリーダーに加勢する役とシルフカンパニーに潜入する役割だな」
澪「シルフカンパニーに潜入する必要があるか?」
律「さっきまではジムリーダーの相手をしてたんだろ、あの3匹」
ムギ「ええ」
律「それが急に建物を狙い始めたわけだ。これはおかしいだろ?」
澪「たしかに」
ムギ「そうね。ロケット団の本拠地がシルフカンパニーだとすると、なるほど。潜入する価値はあるわね」
ゆい「???」
梓「つまりですね。今まではただ闇雲に戦っていた3匹が急に狙いをつけて、建物を攻撃し始めたということは、あの3匹の考えが変わったか、誰かが指示をしたのどちらかです。でも、前者は考えづらいので、必然的に後者になります。じゃあ、どこから指示を出すのかというと,ロケット団の誰かですが、シルフカンパニーを本拠地にしてるようなので、シルフカンパニーから指示してる可能性が高いということです」
ゆい「おお!なるほど」
律「といっても、他のところにいる可能性もあるけどな」
澪「それは仕方がないと割り切るしかないな」
紬「じゃあ、組み合わせだけど……」
律「じゃあ、私がジムリーダーの支援に行くよ。ムギ達はシルフカンパニーに向かってくれ」
澪「1人で大丈夫か?」
律「場所まで行けば、ジムリーダーの人がいるし、大丈夫だよ。それよりも、澪達の方が心配だけどな」
ゆい「何で?」
梓「私達は3人だけで、ロケット団のいるところを行くからです」
紬「それは大丈夫だと思うけど……」
律「なら、さっさと行動した方がいいな。来い、リザードン!」
律先輩はリザードンをボールから出します。
律「じゃあ、皆。後は任せた」
そう言って、律先輩はヤマブキシティ・タマムシ側に向かいました。
澪「それじゃ、私達も行くか」
紬「ええ」
梓「はい」
私達はシルフカンパニーを目指すべく、ヤマブキシティに潜入しました。
ヤマブキシティ・シルフカンパニー・屋上
曽我部「いい働きよ、ファイヤー。次は……そうね」
曽我部は次の標的を考える。
曽我部「ハナダの町を火の海にしましょうか。頼むわよ、ファイヤー」
ヤマブキシティ・タマムシ側
律「皆、加勢しに来たぜ」
タケシ「律さん!」
エリカ「お久しぶりですね」
律「まあ、積もる話もあるが今はそんな場合じゃないな」
律は上空にいる3匹を見つめる。
エリカ「ええ」
律「では、早速やるか。……ん?」
ファイヤーは今度はハナダシティに目を向けている。
律「何で急に見る方向を……まさか!?」
カツラ「ファイヤーを止めろ!」
ジムリーダーと律のポケモンで攻撃を仕掛けるも、フリーザーとサンダーによって、邪魔される。
律「やめろーーーーーーーーーーー」
そんな叫び声を無視し、ファイヤーはハナダシティに向かって、かえんほうしゃが発射され、ここからでも、分かるくらいに赤い火が燃え上がった。
ヤマブキシティ・シルフカンパニー前
澪「律の言ったとおりだな。おそらく、誰かがあの3匹に指示してる」
梓「でも、さっきまで手に余ってた状態だったのに、一体誰が……」
私達は物陰に隠れて、移動しながら言います。
紬「それにしても、うようよいるわね」
澪「やっぱり、それぞれ相手していたら、めんどくさいことになってたな、うん」
梓「大丈夫ですか?足、震えてますよ」
澪「……気のせいだ」
紬「まあ、それはともかくとして、早く移動していかないと……」
澪「そうだな。うん、そのとおりだ」
ゆい「ごまかしたー」
梓「そこはスルーして下さい」
澪「後、ちょっとなんだけどな」
梓「さすがにたくさんいますね」
紬「……よし!」
ムギ先輩は何かを決意したかのように言います。
紬「私が囮になるから、その間にシルフカンパニーに潜入して!」
梓「え?」
澪「無茶だぞ、あの人数で」
シルフカンパニーの前には10人くらいのロケット団員の姿があります。
紬「でも、それしか方法がないわ」
梓「全員で強行突破という方法もありますよ」
紬「突破できなかったら、持久戦になるだけよ」
澪「……分かった。私も囮になる」
梓「澪先輩まで!?」
澪「1人じゃ辛いからな。それに2人で盛大暴れれば、中のロケット団員も出てくるかもしれない」
梓「ですけど……」
紬「じゃあ、早速やりましょう。ここでのんびりしてて、見つかったら、終わりよ」
澪「よし!梓、後は任せたぞ」
そう言って、私が制止する前に2人は行きました。
紬「大丈夫、澪ちゃん。怖いなら、逃げてもいいのよ」
澪「大丈夫だ。……っていうか、何だ、その主人公のライバルみたいな台詞は」
紬「一度、言ってみたかったの。来て、カポエラー!!」
澪「来い、エビワラー!」
紬「梓ちゃん達は大丈夫かしらね」
澪「大丈夫じゃなくても、やってもらわなくちゃな」
ロケット団員「なんだ、お前らは?ポケモンなんか出して……まさか、おれ達と戦う気か」
紬「そのまさかよ!どこからでもかかってきなさい!」
澪「あんまり挑発するなよ」
ロケット団員「上等だ、行くぞ、お前ら」
その言葉をきっかけにバトルが始まった。
梓「どうしましょう」
ゆい「とりあえず、潜入しないと。澪ちゃん達の思いを無駄にしないためにも」
梓「ですね」
私達は派手に戦いを繰り広げ始めた、澪先輩達を尻目にシルフカンパニーに潜入しました。
シルフカンパニー・内部
ロケット団員「女2人が玄関先で暴れている。至急、応援を!」
隠れている私の前で、携帯で連絡をしながら、通り過ぎていきます。
梓「ロケット団の数が多すぎですね」
ゆい「そうだね」
梓「とりあえず、階段で、最上階に……むぐ」
ゆい「あず……むぐ」
???「静かにして、お姉ちゃん」
???「いい?今から、手を離すけど、大きな声を出さないでね」
私はこくりとうなずく。そして、手が離され、振り返ると……。
梓「純!」
ゆい「うい!」
ロケット団の制服を着た純と純の胸に隠れている、ういの姿がありました。
うい「静かに」
純「ここじゃ、のんびりとしてられないからね。ちょうど、もう1着あるから、トイレで着替えてましょう」
シルフカンパニー・トイレ
純「いやー、まいった、まいった」
梓「どうして、純がここに?」
純「それが聞くも涙、語るも涙なんだよ」
回想
純「バッチも全部集まったから、シルフカンパニーでも見学しますか」
うい「そうだね」
ロケット団員「オラー!今から、ここはロケット団の本拠地だー」
純「え?隠れなきゃ」
うい「急いでー」
私達は急いで、トイレに隠れた。
純「以上!」
梓「……え?それだけ?どこに涙とかの要素が?」
純「普通に観光してるだけで、こんなことに巻き込まれるなんて涙もんよ」
梓「間違ってはないですが……その格好は?」
純「適当に襲って奪った」
梓「……それはすごいね」
純「で、あんたは何しに来たの?」
梓「それは……」
ゆい「もちろん、ロケット団を倒しにだよ!」
私が言うよりも前にゆい先輩が答えます。
純「……やっぱりね」
あきれたように言う、純。
純「あんたも面倒なことが好きね」
梓「別に好きってわけでもないけどね」
純「まあ、ここまで来たら、私も手伝うよ。ボスはここの社長室にいるみたいだし」
梓「よく分かったね」
うい「普通に会話してるからね」
梓「……よくばれないね」
純「堂々としてれば、ばれないもんよ」
梓「そんなもんかな」
純「とにかく、上に行きましょう」
梓「分かってるよ」
私はサッサと着替え始めました。
シルフカンパニー・社長室前
純「ここがボスのいる部屋よ」
梓「見張りはいないね」
純「聞いた話だけど、曽我部っていう人が見張りはいらないって、言われて、誰もいないんだってさ」
梓「……すごいね、いろいろと」
うい「純ちゃんだからね」
梓「……まあ、いいです。とりあえず、中に入りましょう」
ゆい「大丈夫かな」
梓「ここまで来て、罠とか警戒しても仕方がないですし」
私は社長室の重苦しいドアを開けます。
梓「さて、中は……なんですか、これは」
私が中の様子を見ると、そこには無残に倒れているポケモン達と1人の男の人がありました。
梓「大丈夫ですか」
その男の人は頭から血が出てるみたいですけど、たいした傷ではなさそうです。
サカキ「……うう」
純「あ、目を覚ましたみたい」
梓「大丈夫ですか?」
サカキ「……うう、オマエ達は?」
梓「私は、えーと……」
果たして、ここは名乗るべきかと考えていると、
ゆい「私はゆいだよー。こっちは
中野梓ちゃんであだ名はあずにゃん。それで、こっちは
鈴木純ちゃんで、最後に妹のういだよー」
ゆい先輩が代わりに答えました。
梓「ちょ、ゆい先輩」
サカキ「……そうか。オマエ達が例の……」
梓「それで、あなたは一体……」
サカキ「私の名はサカキ。一応、ロケット団のボスだ」
梓「へえー、そうなんですか。……ってえー!!」
純「それがどうしてこんなところで、気絶してるんですか?」
サカキ「……さあな。こっちが聞きたい。一つ分かることは俺は道化のピエロとして利用されたということだな」
梓「はい?」
サカキ「屋上に行けば、分かることだ。そこに『奴』はいる」
梓「奴?一体、誰が……」
サカキ「私にも分からない」
純「じゃあ、とりあえず、上に行く?」
梓「そうだね。サカキさんは……」
純「まだ動けないみたいだし、誰かが近くにいなきゃいけないほどひどい怪我でもないし。それにロケット団のボスをこれほどの力で倒す敵を
1人で相手にするのはね」
梓「……そうだね。じゃあ、上に……」
サカキ「待て!!」
サカキさんは何とか立ち上がり、私を制止します。
梓「何ですか?」
サカキ「これを賭けて勝負だ」
サカキさんは何かのバッチを投げる。
梓「これは……グリーンバッチ!!」
純「じゃあ、この人が本当のジムリーダー!」
ゆい「どういう意味なの?」
うい「私達が戦ったのは代理の人で、本当のジムリーダーは別にいるって噂だったんだよ」
梓「……でも、私達には時間が……」
サカキ「長くは取らせん。ルールは1対1だ」
梓「分かりました」
私とサカキさんは距離をとります。
ゆい「見ててね、うい。私の大活躍を」
うい「うん。頑張ってね、お姉ちゃん」
梓「では私のポケモンは……」
ゆい「さあ、頑張るよ。フンス」
梓「出てきてください、ニューラ!!」
ゆい「よし!!……ってあれ?」
サカキ「……そいつじゃないのか?」
梓「ええ」
ゆい「えーー!何で、何で!」
梓「これから、上で最後の戦いがあるんですよ。その時のための温存です」
ゆい「そっかー。なら、仕方がないね」
シュン
うい「ど、どんまい、お姉ちゃん」
サカキ「……なら、俺はペルシアンだ」
サカキさんはボロボロのペルシアンを出します。
梓「それでいいんですか?」
サカキ「油断してると負けるぞ」
梓「分かってます」
純「では……」
「「「バトルスタート」」」
その言葉と同時に互いのモンスターが交差する。しばしの沈黙の後、ペルシアンは倒れた。
サカキ「やはり、強いな。これを受け取れ」
サカキさんはグリーンバッチを私に渡します。
梓「できれば、ちゃんと勝負したかったんですけどね」
ゆい「まあ、ゲットできたんだからいいじゃん」
純「じゃあ、サッサと行こうか」
サカキ「……待て」
サカキさんは再び、私達を制止します。
梓「今度はなんですか?」
サカキ「老婆心ながら、忠告してやる。上にいる奴はお前らのポケモン全てで戦っても、勝てない。たとえ、ジムリーダー全員と戦っても、おそらく勝てない。それくらい強い。それは覚えておけ」
梓「……分かりました。一応、お礼は言っておきます」
私達は今度こそ、屋上に向かいました。
ヤマブキシティ・シルフカンパニー・屋上
梓「ここが屋上……」
私は屋上に続くドアの前に立つ。
純「まあ、気楽にいきましょうよ」
ゆい「そうだよ。笑顔、笑顔」
梓「ですけど、ここには今まで戦ってきた中でも、一番強い敵が……」
ゆい「大丈夫だよ。あずにゃんには私がいるし!」
梓「……はあ」
ゆい「え、何、その溜息」
梓「まあ、悪ふざけもここまでにして、屋上に行きますか」
私は屋上の扉を開く。そこには髪の長い、女の人が燃えゆく町と伝説の3匹のポケモンを見ていました。そして、私達が来たことに気づくと、私達の方に振り返りました。
曽我部「初めまして、梓さん、ゆいさん。それと……たしか、純さんとういさん。楽しいショーにようこそ」
目の前の綺麗な女の人がまるでこれから、ショーが始まる手品師のように綺麗にお辞儀をしました。
VSロケット団編⑤ 「伝説のポケモン強襲」 終了
最終更新:2011年09月21日 01:22