今回のメンバー ゆい ハッサム プテラ ヘルガー ニューラ ガルーラ

梓「あなたは一体、何者なんですか?」

曽我部「これは失礼しました。私の名前は曽我部恵と言います」

純「曽我部さんね。それで、あなたはここで何をしてるの?危険だよ、ここにはサカキっていうロケット団のボスを倒すほどのトレーナーがい
るみたいだから」

曽我部「それは大変ですね」

梓「ちょっと、純。ここにいるのはこの人だけだし、そのトレーナーって、この人なんじゃ……」

私は純に耳打ちをします。

純「でも、こんな人がとてもじゃないけど、サカキさんを倒せるとは思えないけど……」

梓「それはそうだけど……」

曽我部「どうしたんですか?」

梓「いえ、別に。それよりも、あなたは何をしてるんですか?」

曽我部「私は見物してるんですよ」

梓「何をですか?」

曽我部「崩れゆく町並みを」

曽我部さんが指差す、方向を見ていくと、赤い炎に燃えるタマムシシティ、ハナダシティ、クチバシティ、シオンタウンの光景がありました。タマムシシティの攻撃は見ましたが、他のところの攻撃を見ていなかったので、私がシルフカンパニーに入っている間におこなわれたんでしょう。

梓「……どうして、そんなことを?」

曽我部「面白いからです」

純「面白い、ですって……」

純は顔を真っ赤にして、怒りの目を曽我部さんに向けます。

純「人が犠牲になってるかもしれないのに!」

梓「まあまあ。あなたがサカキさんを倒したんですか?」

曽我部「ええ」

梓「あなたが伝説のポケモンを操ってるんですか?」

曽我部「ええ、そうよ」

梓「どうして、こんなことをしたんですか?」

曽我部「あなたはポケモンを好き?」

曽我部さんは私の問いかけに答えずにそんなことを聞いてきます。

曽我部「どうなの?好きなの?」

梓「それは……好きですよ」

ゆい「えへへ~」

梓「何で、ゆい先輩が照れるんですか?」

ゆい「私もポケモンだもん。だから、私のことも好きなんだよね」

梓「……少し、黙っててください」

曽我部「なるほどね。思うんだけど、ポケモンにとって、人間って何なんだと思う?」

梓「え、えーと、一緒に生きていくべき、仲間というか友達です!!」

曽我部「プッ、ククククククク」

私の答えを聞いて、笑い始める曽我部さん。

梓「何がおかしいんですか!!」

曽我部「ごめんなさい。なんか、小さい子みたいな答えだったから。体とよくあってる答えだと思うと、笑えてきちゃって」

ゆい・うい・純「「「あー」」」

梓「何で私の体を見て、皆で納得するんですか!!」

曽我部「冗談はともかく、人間の立場らしい答えだと思ってね」

梓「……どういう意味ですか?」

曽我部「ポケモンにとって、人間は害虫に等しい存在ということよ」

ゆい「そんなことないもん!!私もポケモンだけど、あずにゃんのことは大好きだし、純ちゃんやりっちゃん達に会えてよかったと思ってるよ!」

曽我部「あなたはそうでしょうね。でも、そうじゃないポケモンもいるのよ。例えば……あなたの持っているヘルガーはどうやってゲットした
のかしら?」

梓「それは捨てられていたのを……!?」

曽我部「フフフ。あなたは自分を捨てた存在達を友達と呼べるのね」

ゆい「でも、あずにゃんに拾われて、ビル太も考えが変わったはずだよ」

曽我部「そうかしらね」

梓「……そんなことより、どうしてこんなことをするのか答えてください!」

曽我部「どうして、こんなことをするのかね。……まあ、いいわ。話してあげるわ。あれはちょうど、私が小さい頃の話よ」


曽我部・小学1年生

私は自然豊かなところに育った。そこは緑豊かな森に囲まれた綺麗な湖があって、私のお気に入りの場所だった。

曽我部「う~ん、今日もいい天気。今日は何して遊ぼうかな」

私はそこで遊ぶのが楽しみだった。いろんなポケモンもいたし、綺麗なお花もあったし、小さい頃の私にとっては格好の遊び場だったから。

曽我部「ん?」

私がいつものようにその湖に来ると、傷ついたミニリュウがいた。

曽我部「大変だー」

私はそのミニリュウを家に持って帰って治療した。

曽我部「よかったねー」

ナデナデ

ミニリュウ「リュー」

その日から、私はミニリュウと友達になった。他の人から見れば、初めてゲットしたポケモンとでも言うべきかもしれないけど、私にとっては初めての友達だった。唐突かもしれないけど、私には友達がいなかった。いや、作りたくなかった。

ある日の下校途中にトランセルを持った男の子達がいた。

男の子A「トランセルの中身ってどうなってるんだろうな」

男の子B「ちょっと、見てみようぜ」

私の近くでそんなことを語ってる男の子達。子供っていうのはある種大人よりも冷酷な部分があるからね。

トランセル「トランセル、セル」

トランセルは嫌だ、嫌だと体を震わせている。それでも、男の子達はかまわずに、カッターでトランセルの体を傷つける。

男の子C「うえー、気持ち悪い。捨てちまおうぜ」

そして、死体となったトランセルを置いて、どこかに行ってしまった。私がそれを見ていると、今度は女の子達が来た。1人はもう下校していたのか、ガーディを連れていた。そして、トランセルを見て、

女の子A「うえー、気持ち悪い」

女の子B「こんなポケモン、いなくてもいいのにね」

そんなことを言い合っていた。

曽我部(可哀想とか、そんな感覚はないのかな?)

今にして思えば、逆にその子達の感覚の方が正しいかもしれない。でも、その当時の私にとってはそんな疑問を持った。

女の子C「こんなの燃やしちゃおうよ。ガーディー、ひのこよ」

その命令にガーディーは躊躇した。それはそうでしょうね。同じポケモンをバトルじゃなく、しかも、死んでるのに技を出せと命令したんだから。

女の子C「どうしたの?ちゃんと、やらないとご飯抜きよ」

その言葉に、ガーディーは躊躇しつつも、口から炎を出し、トランセルを燃やした。

女の子C「よしよし。よくやったよ」

女の子A「いい子だね」

ガーディーは女の子達に褒められてたけど、まったく嬉しそうじゃなかった。そんなことをしている人達と友達というか、学校だけの付き合いもしたくなかった。

そんなわけで、私は小学校で友達をつくろうとは思わなかった。

曽我部「今日はどこで遊ぼうか」

ミニリュウ「リュー」

私はミニリュウに連れられて、森の中にある湖に来た。そこにはたくさんのミニリュウがいた。ミニリュウは一部では幻のポケモンといわれてるくらい珍しいから、ここは貴重な場所ってことになるわね。もちろん、当時の私には分からなかったけど。

曽我部「わー、ここはミニリュウの楽園なんだね」

ミニリュウ「リュウ!」

ミニリュウは自慢げに胸を張った。今にして思えば、この頃が一番楽しかったのかもしれない。そんな風に思えるほどの時間が流れていた。でも、楽しい時なんて、それこそ一瞬で終わるのよね。

それから、1年後。私が2年生になった時のこと。

曽我部「あの森を伐採するの!?」

父「ああ。そして、ホテルとかを建てるみたいだぞ」

母「それで観光客を呼び込むのね」

父「それに伴い、ポケモンの一斉駆除が始まるらしい」

曽我部「駆除!?何で!?」

父「観光客に危険が及んでは大変だからな」

母「そうね。観光地は評判が大事だから」

両親の言うことも今にして思えば、分からないことではない。でも、当時の私には理解できなかった。

曽我部「どうして!ポケモン達が可哀想だよ」

父「確かにそのとおりだけど、お父さん達に言ってもな」

曽我部「じゃあ、誰に言えばいいの?」

母「そうねえ……議員さんじゃないかしらね」

曽我部「議員さん?」

父「そう、議員さん。この計画を進めてた人だからね」

曽我部「分かった。私、この人にお願いしてくる。どうすればいいの?」

父「その人は忙しいからなー。厳しいだろうなー」

母「そうね。それよりも、もういい時間だし、そろそろ寝なさい」

私は納得できなかったけど、母の言うこともあり、眠りについた。

曽我部「ここも荒らされちゃうのかな?」

ミニリュウ「リュウ~」

私はミニリュウと一緒に、森で遊んでいたんいた。すると、大人の声が聞こえてきた。私とミニリュウは慌てて、森に隠れた。

議員「ここはいい場所だな。ゴルフ場にはぴったりだ」

取り巻き「そうですね。さすがは●●先生」

議員「ところで、どれくらいから、工事に着手できるんだ?」

取り巻き「それはもう、いつでも大丈夫です」

議員「結構。さて、ポケモンの駆除についてはどうかね」

取り巻き「それも大丈夫でございます」

曽我部(ポケモンの駆除!?)

私はその言葉に反応して、私達は飛び出した。

取り巻き「わ!?な、なんだ、子供か。なんだい、こんな所で……」

曽我部「ねえ、おじさん達はこんな所で何をしてるの?」

ミニリュウ「リュー」

議員「!!」

取り巻き「おじさん達はね、えーと、ここを観光地として、アピールしていくって話を知ってるかな?」

曽我部「お父さんとお母さんが言ってた」

取り巻き「そうかい。おじさん達はその下見だよ」

曽我部「ポケモンを駆除するって聞いたけど、そんなことしないよね?」

取り巻き「それはね……仕方がないことなんだよ。もし、観光客に危害が加わるとね……」

曽我部「ポケモン達はそんなことしないもん!!」

取り巻き「とは言うけどね……」

議員「待ちなさい、君」

取り巻き「あ、先生」

議員「君、そのポケモンはどこで見つけたんだい?」

曽我部「え?」

議員「それを教えてくれたら、ポケモンの駆除をやめてあげるよ」

曽我部「本当!?」

議員「ああ。おじさんは嘘をつかないよ」

今にして思えば、そんな言葉を信じるべきではなかったかも知れない。でも、当時の私にとっては救いの言葉だった。

曽我部「でも、何で?」

議員「実はね、私もミニリュウが好きでね、それで見たいと思ってね」

曽我部「そっかー。分かったよ。今、案内するね」

私はその人達を楽園――当時の私はそう呼んでいた――に案内した。それが間違いだったわけだけどね。

それから、しばらくして。

曽我部「今日は楽園に行こうね」

ミニリュウ「リュウ!」

私達は楽園に向かったけど、そこには……。

曽我部「う、嘘……」

そこには誰かに荒らされた、湖があった。そして、ミニリュウは一匹もいなかった。

曽我部「み、皆、どこにいっちゃたの?」

私達はそこらへんを一生懸命探したけど、ミニリュウの影も形も発見することが出来なかった。そのうえ、しばらくしてから、ポケモン駆除が始まった。

曽我部「そ、そんな……約束したのに」

私は大人達が駆除したポケモンの死体を見て、呟く。

曽我部「ひ、ひどいよ。ミニリュウ達だけじゃなくて、他のポケモン達まで……」

ミニリュウ「リュ、リュウ」

取り巻き「ご覧下さい。順調に作業は進んでいます」

議員「うむ」

曽我部「あ、あの人達は……」

私は駆け出した。

曽我部「おじさん達!」

取り巻き「ん?げっ、君はあの時の……」

曽我部「約束したよね!あの場所を教えたら、やめてくれるって。それに、ミニリュウ達はどうしたの!?」

取り巻き「そ、それは……」

議員「私達が適切に処理したよ」

取り巻き「先生!!」

曽我部「適切……!?」

議員「ミニリュウは世間的にみても、価値のあるポケモンだ。だから、ポケモン駆除の時に巻き込まれてはいけない。そう思って、避難させて
たんだよ」

曽我部「そもそも駆除する必要がないんだよ!皆、優しいのに!」

議員「そうは言ってもね。やっぱり、ポケモンは危険だからね」

曽我部「だから、危険じゃないのに……」

まあ、今の私なら、分かるわ。ポケモンが危険な存在ってことにね。結局、平行線のまま、その時は帰された。

曽我部(でも、ミニリュウ達は安全だったんから、まだいいよね)

これも馬鹿な話よね。一度、騙されているのに。

それからはひどかったわね。木をどんどん伐採して、ゴルフ場を造ったり、ホテルを造ったりね。後は道を整備したりしてね、トラックとかの
排気ガスもひどかったわね。まあ、そんなことよりもひどいことがあったわ。

曽我部「……う、嘘……」

その観光地をPRする材料としてのイベントとして、ミニリュウのゲットイベントが行われた。

曽我部「ど、どうして……」

私はイベントで来ていた、議員さんに掴みかかろうとした。

曽我部「ミニリュウ達を利用するなんて許せない……」

警備員「誰か、捕まえろ!」

議員「君は何を怒ってるんだい?これもこの町の繁栄のためだよ」

曽我部「ミニリュウ達を犠牲にしてまでの反映って何よ」

議員「君には分からないかもしれないがね。ポケモンだって、本望だろうよ。人間様のために役に立ってるんだからね」

曽我部「!?殺してやる……」

議員「やれやれ。危険な子供だ。早く連れて行きなさい」

私は強制的に警察に連れて行かれた。そして、近所からは危険な子ども扱いされ、引越しを余儀なくされた。

引っ越してきたのは都会だった。排気ガス臭くて、空気が悪いところだったけど、ミニリュウがいたから、よかった。私はミニリュウを一生懸命に鍛えた。さらに、引っ越してから、私は一生懸命頑張って勉強をした。理由は

曽我部(偉くなって、いつかポケモンと人間が一緒に仲良く暮らせる世界を創るんだ)
そんな夢を叶えるためだ。前者は仲良くなった世界で楽しくバトルをするための準備で、後者は偉くなるためだ。子供ながらに単純な理由だったけど、死に物狂いで頑張った。けれど、勉強をしていくうちにそんなことは不可能なんじゃないかと思えてきた。だって、ポケモンを捨てていく人は多いし、自然はどんどん開発と称して、破壊させていくしね。そして、私が思ったことが間違いじゃないのを決定づけたのは大学生2年生の時だった。

それはある雨の日のこと。私は1人暮らしをしている――大学生になって始めたのよ――自宅に帰宅途中にあるゴミ捨て場の前を通った時に、魚のはねるような音がした。それと、

???「コイ、コイコイ」


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最終更新:2011年09月21日 01:25