という、鳴き声が聞こえてきた。私がその鳴き声のした方を見ると、ゴミ捨て場にコイキングが捨てられていた。その通りは人通りも多いんだけど、誰も見向きもしなかった。私はその子を介抱しながら、思った。所詮、ポケモンと人間が仲良く暮らしていくことは不可能なんだと。一方的に人間が支配していくしか道がないんじゃないかと感じた。そして、私は絶望した。自分のやってきたことは無駄だと思ったから。そんな絶望感に襲われながらも、大学に通った。その時に私の人生を変えたであろう、人に出会った。

???「君はいい目をしているね」

その人の姿はフードのついたローブを着ていて顔が見えないけど、声から察するに女の人だろう。

曽我部「あなたは誰?どこかで会ったかしら?」

???「あなたの夢を教えてくれない?」

そのフードの女は私の問いには答えずに逆に変な質問をしてきた。本来なら、そんな質問に答えるべきではないのだろうけど、気がついたら、私はそれに答えていた。

曽我部「偉くなって、いつかポケモンと人間が一緒に仲良く暮らせる世界を創ること……」

???「……そっか。いい夢だね。じゃ、がんば……」

曽我部「……だった」

???「てね。……あれ?だった?」

フードの女は初めはあきれて帰ろうとしてたけど、急に足を止めた。

???「だった?どういうこと?」

曽我部「どんなに頑張っても、不可能だと感じたので……」

???「じゃあ、今の夢は?」

曽我部「そうですね……特にないんですけど、しいて言えば……」

???「言えば?」

曽我部「ポケモンが暮らしやすい世界にしていくことですかね。……例え、どんなことをしてでも」

私がそう言うと、フードの女が感心したような顔をした。

???「へー。いい夢だね」

曽我部「ありがとうございます。それでは」

???「それを叶えられるチャンスをあげようか?」

さっきとは逆に今度は私が足を止めた。

???「どんなことをしてでも、叶えたいんだよね」

曽我部「そんなことをどうやって……」

???「そうだねー。まずは私達の仲間に入りなよ。私の他にも仲間はいるしね」

曽我部「仲間……」

???「どうするー?」

私はその勢いのままに仲間になることを承諾した。それは今から4年前のことだった。


回想終了

曽我部「それから、私は1年後にロケット団に入って、偉くなるために順調に実力を見せて、偉い地位まできたのよ」
私はたくさんまだ、聞きたいことがあったけど、一番の疑問をぶつけた。

梓「どうして、あなたはポケモンを悪用するロケット団なんかに入ったんですか?」

曽我部「全ては今日のためよ。ロケット団の組織力を利用してね」

純「それで、あなたはこれから、一体何をしようというの」

曽我部「言ったでしょ、ポケモンが暮らしやすい世界にするって。そのために人間は邪魔なの。だから、人間を滅ぼすの」

純「人間を滅ぼす!?」

やはり、そんな目的でしたか。タマムシシティとかも攻撃をしていたし、今の話を聞いた後だと、考えられないことではありませんでしたが。

曽我部「ここはいい眺めね。しっかりとした建物だし。下もコンクリートだしね。……でも」

曽我部さんは一息入れる。

曽我部「こんなコンクリートや建物がいくらできても、喜ぶのは人間だけ。ポケモンにとっては喜ぶべきことじゃないわ」

梓「だからといって、滅ぼすとかは……」

曽我部「よく、民家に野生のポケモンが乱入してきて、射殺したって話があるでしょう?あれは人間の命を守るために射殺したりしてるって主
張しているわよね。それと同じ。人間はポケモンの命を脅かすから、人間を駆除するの。人間だってしてきたことだもんね。自分がされて、嫌ってことはないでしょ?」

梓「そんな権利はあなたにはありません!!」

曽我部「そうね。でも、ポケモン達を駆除する権利も人間にはないわよね」

梓「くっ。ああ言えば、こう言う……」

曽我部「それに私は自分が正しいなんて思っていないわ。間違ってるかもしれない」

ゆい「そうだよ、間違ってるよ!!」

曽我部「でも、同時にあなた達が間違ってるかもしれない。ようは、絶対的な正義なんてないのよ。もし、自分達が正義だと主張するなら、ト
レーナーのあなた達なら、分かるわよね」

梓「勝ったほうが正義ということですか」

曽我部「そういうことね。ちなみにどうして、私が無駄話を長々と続けていたのかというと私のことを分かってほしいんじゃなくて……」

うい「お姉ちゃん、純ちゃん、梓ちゃん!!何か、向かってくるよ!」

曽我部「伝説のポケモン、3匹が来るまでの時間つぶしよ」

梓「ですが、これで他の方々もここにやってきます。状況はまだ、こっちの方が有利です」

曽我部「たしかに、フリーザーたちの動きを見て、ジムリーダーやあなたの仲間がやってくるでしょうね。そうなれば、この3匹だけなら辛いでしょうね」

曽我部さんは新たにボールを2個取り出す。

梓「新たなモンスターですか……」

曽我部「下の連中程度なら、この2匹で十分でしょうね」

曽我部さんはボールを下に落とした。



シルフカンパニー前

澪「これで最後だ!」

エビワラーのパンチがマタドガスを殴り飛ばす。

ロケット団員「ひ、ひいい」

ロケット団は慌てふためいて、逃げ出した。

澪「これで最後だな」

紬「早く、梓ちゃんのところに行かないと……」

澪「ああ」

上空にはフリーザー達が飛んでいる。きっと、屋上にいる誰かが呼び寄せたんだろう。

律「澪!ムギ!大丈夫か」

律がジムリーダーの人達と一緒にやってきた。

澪「ああ。それよりも、今は梓達……ん?」

私達の上空から、何かが落ちてくる。

律「危ない、澪、ムギ!!」

私達はその場を離れた、と同時に、バーンと隕石でも落下したのかというような衝撃とともに何かが、落ちてきた。

ムギ「何かしら……」

カスミ「何かは分からないけど、うかつに近づくのは危険ね」

律「ああ」

澪「だけど、早く上に行かないと梓達が……」

タケシ「そうだな。……煙が晴れてきたぞ」

タケシさんの言うとおり、煙が晴れて、2匹のポケモンが見えてきた。

律「……あれはカイリューとギャラドスか」

ムギ「何で、いきなりこんなところに……」

律「まあ、いいさ。サッサと倒して、梓達のところに行こうぜ。来い、リザードン!」

律はリザードンを出す。一気に倒したいのだろう。もっとも、あの2匹にリザードンは不利なだけだが。

澪「まあ、たった2匹だし、大丈夫だろう……ん?」

カイリューの口にエネルギーが溜まっている。これは……!?」

澪「律、避けろ!!」

律「え?」

カイリューの口から、はかいこうせんが発射された。

ムギ「危ない、りっちゃん!」

ムギはカポエラーを使って、律を救出し、私はカメックスを使って、リザードンをはかいこうせんのコースから、はじき出す。
ガシャーンっという音ともに、そのはかいこうせんはヤマブキシティのビルをここからじゃ、正確な数は分からないけど、とりあえず二桁のビルを貫通する威力だ。

律「ありがとな、ムギ」

紬「気にしなくていいわ」

律「それにしても、化け物かよ。この威力は……」

澪「だが、今がチャンスだ。はかいこうせんを撃った後は動きは鈍るからな」

カツラ「そのとおりじゃ。ウインディ、ワイルドボルト!」

カスミ「スターミー、れいとうビーム」

カツラさんのウインディとカスミさんのスターミーの攻撃が動きの鈍っている、カイリューに迫る。

ギャラドス「ギャラ」

ギャラドスはスターミーのれいとうビームを尻尾で受け、その尻尾でウインディにアクアテールを仕掛けてきます。

ウインディ「ディー」

ウインディはその攻撃を受け、ビルの壁に叩きつけられ、気絶します。

カツラ「疲れているとはいえ、ウインディを一撃か……」

律「訂正だ。化け物たちかよ、この威力は……」

紬「2匹でこの強さよ。トレーナーまでいたら、まだ力が上がるんじゃないかしら」

律「勘弁してくれよ……」

澪「だが、こいつらをサッサと倒さなきゃ、梓が……」

紬「誰かが囮になるとかは?」

澪「悪くはないが、あいつらがそれを許すとは思えない」

律「たしかに」

タケシ「だけど、やるしかないな」

キョウ「ああ」

澪「待ってろよ、梓、ゆい」

私達はその2匹に戦いを挑んだ。


シルフカンパニー屋上

曽我部「さて、はじめましょう。ポケモンと人間の戦いを」

伝説の3匹は私達二人を睨みつけてきます。

ゆい「ひいい」

梓「1匹ずつでも厳しい戦いだったのに、3匹も相手とは……」

純「でも、大丈夫でしょ?あんた達、ファイヤーを倒したことがあるんだし」

梓「今度は3匹だよ。無茶言わないでよ。……でも、やるしかないね。来て、ヘルガー」

純「そうこなくっちゃ。来なさい、エレブー!」

曽我部「その2匹で勝てるかしら」

梓「やってみなくちゃ分かりません!!ヘルガー、フリーザーにかえんほうしゃ!」

フリーザーにヘルガーの口から出された、激しい炎が迫ります。

純「こおりタイプのフリーザーにヘルガーのかえんほうしゃは弱点のはず。これが通れば……」

曽我部「ファイヤー」

ファイヤー「イヤー」

ファイヤーはフリーザーの盾となり、ヘルガーのかえんほうしゃをその炎の羽で受け止めます。

曽我部「その程度の攻撃で勝てるなら、とっくにジムリーダー達に負けてるわね」

梓「たしかに……」

純「まだ、終わってないわ。エレブー、十万ボルト!!」

純のエレブーの十万ボルトが私のヘルガーのかえんほうしゃを止めた、ファイヤーに向かって迫ります。

曽我部「サンダー」

サンダー「ンダー」

その攻撃を今度はサンダーの電撃によって防がれます。

梓「あの3匹がうまく連携することによって、弱点を補っていますね」

純「どうやら、そのようね」

曽我部「諦めた方が利口じゃないかしら?」

梓「私は諦めません!あなたのようにポケモンを利用してこんなことをするなんて……絶対に許しません!」

曽我部「フフフ。なら、絶対的な力の差を見せてあげるわ。ファイヤー、かえんほうしゃ!」

ファイヤーのヘルガーとは比べ物にならないほどの火力を持った、かえんほうしゃが迫ります。

ヘルガー「ヘル!!」

私達とヘルガーとエレブーはなんとかその攻撃をかわします。

梓「あつっ!なんていう火力ですか。ここにいても、熱が……」

曽我部「仮にも伝説といわれるポケモンよ。その力はあなた達のポケモンの比じゃないわ」

たしかにそのとおりですね。でも、どうして伝説のポケモンを私達にぶつけるんでしょうか。下の2匹で戦わずに。

曽我部「何か疑問があるみたいね。いいわ、答えてあげるわ」

ゆい「へー、あの人親切だね、うい」

うい「え、えーと、それはどうだろうね」

梓「随分と余裕ですね」

曽我部「子供には優しくしないとね」
梓「……」

ゆい「ああ!あずにゃんの顔が修羅になってる!」

純(相手を挑発して、正常な判断能力を失わせる。相手はそれをうまくやってるわね。まあ、こっちがのりすぎなだけだけど)

曽我部「それで、何が聞きたいのかしら?」

梓「……どうして、私達に伝説の三匹を使うんですか?ジムリーダーの人達に使ってればいいのに」

曽我部「だって、怖いじゃない、その子達」

曽我部はゆい先輩とういを指差します。

曽我部「力が未知数だもの。正直な話、ジムリーダーよりも対策ができないわね」

梓「なるほど」

曽我部「まあ、この3匹の前じゃ、何もできないでしょうけどね」

ゆい「そんなことないもん。私頑張るよ、あずにゃん!」

梓「そうですね。頑張ってください!」

純「いつもは出し惜しみしてるのに今日は乗り気ね」

梓「出し惜しみしてたら、負けるからね!」

純「私はてっきり、相手に馬鹿にされた腹いせじゃないかと思ったんだけどね」

梓「……そんなことないもん」

純「……まあ、いいわ」

ゆい「とにかく!私はやるよ!出てきて、ゆいぐるみ!」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン
いつもどおりにゆいぐるみがたくさん出てきました。

ゆい「さあ、やるよ。ゆいぐるみのみん……」

曽我部「フリーザー、ふぶきよ」

フリーザーはその羽を振り、そこから激しい吹雪がゆいぐるみを襲い、凍らされてしまいました。

ゆい「ああ、ゆいぐるみ達!」

曽我部「サンダー、かみなりよ」

突如として、空からはげしい雷が私達に向かって落ちてきました。

ゆい「ひゃー」

梓「大丈夫ですか、ゆい先輩!」

純「あぶなっ!」

うい「大丈夫、純ちゃん」

曽我部「戦力差は歴然ね。サンダー、ドリルくちばし」

梓・ゆい「!?」


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最終更新:2011年09月21日 01:27