梓「ここはあんまり広くない場所……」

ゆい「こんな場所であんな技をやられたら……」

純「何よ、一体」

そうこうしている間にサンダーは体を回転させて、私達に向かって突撃してきます。

梓「純、よけて!」

純「言われなくても!」

私はゆい先輩を抱っこして右に、純はういを抱っこして、左によけました。

曽我部「頑張るわね。いっそのこと、抵抗しなかったら楽になるわよ」

梓「そんなわけにもいきませんよ。来てください、ガルーラ!」

純「そんなでかいの出してどうする気よ」

梓「……どうしましようか」

純「考えてないの!?」

梓「そんなことありませんよ」

純「どっちなのよ」

梓「とりあえず……ヘルガー、ファイヤーにかみつく攻撃です!」

ヘルガーはファイヤーの首筋に噛み付くためにダッシュで接近していきます。

曽我部「ファイヤー、ゴットバードの体制よ」

ファイヤーはヘルガーの弱点を舐め回すように見て、攻撃に体制に入り、ロケットのようにヘルガーに向かって、突っ込んできます。

梓「今です!!」

曽我部「!?」

ヘルガーに突っ込んできて、横ががら空きになってるファイヤーの横にガルーラが現れます。

梓「かみなりパンチ!」

ガルーラの電気を帯びた拳がヘルガーに激突しようとするファイヤーに迫ります。

曽我部「やるじゃない。……でもね」

ガルーラ「ガル!?」

ガルーラの電気を帯びた拳が何かのビームで突如として、氷付けになりました。

フリーザー「フリー」

梓「フリーザー!!」

ヘルガー「ヘルー」

梓「ヘルガー!」

ガルーラの攻撃がなかったので、そのままヘルガーは上に飛ばされて、落下して気絶してしまいました。

曽我部「考えはよかったんだけどね」

梓「くっ……。戻ってください、ヘルガー」

私はヘルガーをボールに戻します。

曽我部「もう、遊びはいいわ。サッサと、その小さい2匹でかかってきなさい」

ゆい「ええっ!!無理だよ……」

曽我部「そう。……なら、死んでもらおうかしらね、梓さんに」

ゆい「ええっ!!そんなの駄目だよ!」

純「ねえ。どうしてあの人、あんなにういのお姉さんを標的にするの?」

梓「それほど、脅威なんでしょうね。何を仕掛けてくるか分かりませんし」

純「それは分かるんだけどさ」

ゆい「ど、どどどしよう、うい~」

うい「落ち着いて、お姉ちゃん」

純「あれで脅威って……」

梓「あ、あれでもやる時はやるんだよ!!」

純「そう信じたいけどね……」

曽我部「サンダー、かみなりよ」

夕闇から、激しい光とともに雷が私に向かって落ちてきます。

純「危ない!!」

純は交通事故で子供を助けるように私を抱いて、その雷をよけます。

梓「ありがと、純」

純「お礼なら、無事に帰ったら、ケーキでも奢ってよ」

梓「無事に帰ったらって、縁起でもないこと言わないでよ」

曽我部「フリーザー、れいとうビームよ」

フリーザーの全てを凍りつかせそうな、冷気のビームが私達に迫ります。

ガルーラ「ルーラ!!」

その攻撃をガルーラが盾となって防いでくれます。しかし、

梓「ガルーラ!!」

ガルーラはまるで石像のように氷漬けになります。

曽我部「フィニッシュよ」

梓・純「!?」

ゆい「あずにゃん、純ちゃん、上だよ!!」

上空を見ると、ファイヤーが口に炎をためて、私達に向かって、炎を出そうとします。

梓「よけないと……」

純「そうね。……いてっ」

梓「純?」

純「どうやら、足をひねったみたいね。梓だけでも、行きなさい」

梓「そんな……」

純「まったく、こんな少年漫画みたいな展開に巻き込まれるなんてね。あんたに出会ったのが運の尽きよ」

梓「……」

純「だから、少年漫画みたいにサッサとあいつを倒しなさい」

梓「……純。グスン」

純「何を泣いてんのよ」

曽我部「お別れはすんだ?ファイヤー、かえんほうしゃよ」

ゆい「あずにゃん!」

うい「純ちゃん」

ういは私達を助けに行こうとするもゆい先輩に止められます。

ゆい「危ないよ、うい」

うい「でも、純ちゃん達が……」

梓「こうなったら、プテラで盾に……」

純「……梓」

梓「何?今、いそがし……」

純「ういを頼んだわよ!!」

梓「にゃーーーー」

純は私を力一杯投げ飛ばします。そして、その瞬間にファイヤーのかえんほうしゃが辺りを包みます。

梓「じゅーーーーーーーーーーん」

ゆい・うい「じゅんちゃーーーーーーーん」

曽我部「フフフ。安心していいわ。これから、すぐにあなた達も行くことになるんだから」

ゆい「どうして……ポケモンを使ってこんなひどいことをするの……ポケモンと人間はもっと仲良く暮らすことができるのにそんなに争いの道具にするの?こんなのおかしいよ」

ゆい先輩は涙をぽろぽろと流し、泣き始めます。

梓「純、純……じゅーーーーーーーーーーん」

純「……うるさいわね」

梓・ゆい・うい「!?」

炎が弱くなると、黒い塊ようなものの下から、純が出てきました。

梓「あれは……カビゴン」

純「カビゴンの特性であるあついしぼうのおかげで、このカビゴンもまだ戦えるわね」

梓「それよりも、どうして、無事なの?」

純「カビゴンをとっさに出して、ちょうどめり込んだ隙間に入ってその上にカビゴンに乗ってもらったのよ」

梓「あれだけの中でよくそんなことができたね」

純「火事場のなんとやらよ」

ゆい「ぐすぐす。よかったよ、ビエーーン」

うい「本当によかった。……お姉ちゃんを泣かせて、梓ちゃんや純ちゃんに危害を加えるなんて…」

ういは曽我部さんを親の敵のように睨み付けます。

曽我部「いい目をするわね。その挑戦的な目はいいわね」

うい「そんなに戦いたいなら……いいよ、受けて立つよ!」

曽我部「いい度胸ね。でも、無駄……!?ファイヤー、防御……」

して!、と言おうとしたであろう、曽我部さんが言い終わる前にファイヤーがういに殴り飛ばされ、向かいのビルに激突しました。

うい「これからが本番だよ」

ういのそんな声が屋上に静かに響きました。


VSロケット団編⑥ 「VS曽我部・前編」 終了





今回のメンバー ゆい ハッサム プテラ ヘルガー ニューラ ガルーラ

曽我部「やるじゃない」

曽我部さんはまるで、どこかのサ○ヤ人のような気を発しているういを前にして、クスクスと笑っています。

曽我部「来なさい、ファイヤー」

隣のビルの中から、ファイヤーが再び、舞い戻ってきます。

曽我部「この3匹の前でどこまで戦えるか、見せてちょうだい。もっとも、空を飛べないあなたじゃ、厳しいでしょうけどね」

3匹はういを挑発するように睨んできます。

うい「じゃあ、楽しもうか」

その言葉とともにういの姿が消えます。

曽我部「!?」

そして、次の瞬間にはフリーザーの背後に回っていました。

梓「はやっ!?」

フリーザー「フリ!?」

うい「ほのおのパンチ」

ういの炎を纏った拳をフリーザーに叩きつけます。

フリーザー「フリーーーーーーーーーーーーーーーーー」

フリーザーは体を炎を纏って、反対のビルまで、飛ばされていきます。

曽我部「チッ。ファイヤー、ほのおのうずでそいつの動きを封じて。そして、サンダーは十万ボルト!」

ファイヤーはういの動きを止めるべく、炎をういの周りに吐き出します。

うい「……この程度なの?」

ういは体を回転させて、風を発生させ炎を吹き飛ばします。

曽我部「馬鹿な!?」

サンダー「サンダー!」
サンダーは高圧の電撃をういに向かって発射してきます。

うい「ひかりのかべ」

ういは片手を構えて、壁を作り、サンダーの十万ボルトを防ぎます。

うい「この程度なの?伝説のポケモンって」

曽我部「くっ……」

梓「……強すぎでしょ、あれ?」

純「……私もびっくりだよ」

ゆい「ほへー」

純「えらい違いね、随分と」

梓「ゆ、ゆい先輩は別の意味でういよりすごいよ!!」

純「別の意味って……例えば?」

梓「え、えーと……可愛さとか?」

純「完全に好みの問題じゃない」

梓「じゃ、じゃあ、何をするか分からないとか」

純「それ、いい意味じゃないよね」

曽我部「調子に乗らないほうがいいわよ。フリーザー、ファイヤー、サンダー」

伝説の3匹はういの動きを封じるように取り囲みます。

曽我部「全員で、そのチビに攻撃よ!!」

フリーザーはれいとうビームを、ファイヤーはかえんほうしゃを、サンダーは十万ボルトをういにむかって、一斉に発射します。

ゆい・梓・純「「「うい!」」」
うい「……ふん」


3匹の技がういに激突する寸前にういの姿が消えました。

バーン

3匹の技が激突し、爆発が起こります。

梓「ういはどこに……」

曽我部「!?ファイヤー、後ろ!」

ういはファイヤーの後ろに手に電気を込めて、空中に浮かんでいました。

うい「まずは純ちゃんを殺しかけたあなたから……」

ういの力のこもったかみなりパンチがファイヤーに叩き込まれ、私達に向かって落ちて……って。

梓「避けなくちゃ!」

私は純を担いで、ゆい先輩とその場を離れます。

曽我部「くっ」

曽我部さんもその場も離れます。

バーーーーン

という、すごい衝撃とともにファイヤーは気絶しました。

曽我部「戻りなさい、ファイヤー」

ゆい「おお。やったね、うい!!」

梓「ですけど、もう少し考えてほしかったですね。危なく死ぬところでした」

純「まあ、無事だし、結果的にはよかったじゃない」

うい「次は……」

ういはフリーザーに目を向けます。

うい「あなただよ」

ういは一瞬でフリーザーの懐に飛んでいきます。

うい「インファイトプラスほのおのパンチ!」

フリーザーの懐でそのまま、フリーザに炎を纏ったパンチを命中させ、フリーザーは再び、隣のビルに叩き込まれ、気絶しました。

梓「後、1匹です!」

ゆい「このまま、一気に決めちゃえー」

うい「後、1匹……謝ったら、許してあげるよ」

曽我部「……調子に乗るなーーー!サンダー、ドリルくちばし!」

サンダーは体を回転させて、くちばしをドリルのようにういに突き刺すべく突撃してきます。

うい「……ぐっ」

その攻撃がういのおなかを貫いた。

ゆい「ういーーーーーー」

純「避けられたのに、どうして……」

梓「待って下さい!あれをよく見て下さい!」

サンダーが貫いたのはうい……の形をした人形です。

曽我部「みがわり……だと!?」

梓「じゃあ、本物は……」

ゆい「下だよ」

ゆい先輩が指差す方向にういが拳を構えています。

うい「いくよ、スカイアッパープラスれいとうパンチ」

サンダーの下から、滝を登る龍のように綺麗で冷気に包まれた拳のアッパーがサンダーを下から突き上げます。サンダーは跳ね上がり、隣のビ
ルの屋上に落下し、気絶します。

うい「ふー。私達の勝ちだよ」

ゆい・梓・純「「「うーい、うーい」」」

うい「あ、ありがと」  

曽我部「……」

曽我部さんはサンダーをボールに戻します。

梓「さあ、これで私達の勝ちですよ」

純「全部、ういのおかげだけどね」

曽我部「フフフ、ハッハハハハ」

突如として、笑い出す曽我部さん。あまりのショックでちょっと頭の方に問題が生じたんでしょうか。

曽我部「これで勝ったと思ってるのかしら」

ゆい・梓・うい・純「「「「え?」」」」


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最終更新:2011年09月21日 01:28