シルフカンパニー・前

律「はあ……はあ……。何なんだよ、こいつの強さは」

ムギ「伝説の3匹の鳥ポケモンが可愛くみえるわね」

伝説のポケモンとロケット団との戦いである程度疲れているとはいえ、相手は2匹、こっちのほうが有利なはずだ。それなのに、こっちのメンバーで無事なのは、私のカメックス、律のリザードン、ムギのフシギバナだけだ。

澪「カメックス、れいとうビーム!!」

甲羅から生えているロケット砲で、カイリューに向かって、れいとうビームを発射する。

カイリュー「リュー!」

カイリューはそれをでかい図体に似合わず、ひらりと空中にジャンプしてかわす。

澪「今だ、律!」

律「任せろ!」

律のリザードンは上空にジャンプしたカイリューに向かって、空気の刃で攻撃するエアスラッシュを発射する。

カイリュー「リューーーーーー」

カイリューはそのまま、リザードンに鋭い殺気を放ちながら、エアスラッシュをも粉砕し、リザードンにドラゴンダイブを仕掛けてくる。

律「リザードン、かわ……」

律が命令を出す前にリザードンにカイリューの攻撃が命中し、律に向かって、リザードンが飛ばされてくる。

澪「律!」

律「分かってるよ」

律はなんとか、それを横にかわす。しかし、リザードンは気絶してしまった。

澪「大丈夫か、律」

律「馬鹿!奴から、目を離すな!」

カメックス「カメ!」

私がカメックスを見ると、カメックスはカイリューに持ち上げられている。

澪「カメックス、こうそくスピン!」

カメックスは体を回転させて、自分を叩きつけようとするカイリューから解放しようとする。

カイリュー「リュー!!」

カイリューは腕の力を強めて、その動きを強引に止めてくる。そして、力任せにカメックスを叩きつけ、カイリューの巨体で力任せにガシガシ
っと踏みつけてくる。

澪「カメックス、ハイドロポンプの勢いで脱出しろ!」

カメックスはロケット砲から勢いよく水を発射し、その勢いで、甲羅で滑って逃げる。

カイリュー「カイリュ」

カイリューはそのカメックスを素早くジャンプし、追いかける。しかし、滑ってるカメックスを邪魔したのは、カイリューではなく……、

紬「フシギバナ!」

ギャラドスの相手をしていたムギのフシギバナだった。その衝撃で、2匹は気絶した。

紬「ごめんなさい、澪ちゃん」

澪「気にするな……」

ギャラドス「ドス」

カイリュー「カイリュ」

ギャラドスとカイリューは私達を睨み付けます。

タケシ「ここは俺達が食い止めるから、女性とカツラさんは逃げて下さい」

律「いや、無茶だろ、人間の力じゃ……」

その時、カイリューは突然上を向き、屋上に向かって飛んで行った。

律「どうしたんだ、突然……」

紬「そういえば、あの3匹がいないわ」

澪「梓達が倒したのか」

律「だから、カイリューが戻されたのか。これで、こっちはギャラドスだけになったわけだけど……」

ギャラドス「ドス!!」

律「こっちに手持ちがいないからな」

澪「どうしようもないな……」

私達は絶望な気持ちで、ギャラドスを見上げた。



シルフカンパニー・屋上

曽我部「来なさい、カイリュー」

その声とともに、下から何かがロケットのような音を立て、カイリューが現れました。

曽我部「ごめんね、いきなり呼んで」

曽我部さんは優しくカイリューを撫でます。きっと、さっき話していたミニリュウが進化した姿なのでしょう。

梓「でも、こちらには伝説のとりポケモンの3匹を圧倒したういがいます!!」

純「あんたのポケモンでもないのに、何でそんな強気なのよ」

ゆい「私はー?」

梓「……とにかく!!こっちの方が有利です。頑張って下さい、うい!!」

純「だから、あんたのポケモンじゃないし、勝手に命令しないでよ」

ゆい「あずにゃん。私はどうすればいいのー」

梓「……むー!」

純「何で、人がいい気持ちで敵に向かっているのに邪魔するのって、目で見られても……」

ゆい「駄目だよ、純ちゃん!あずにゃんの邪魔しちゃ。めっ!!」

純「思わぬところから、援護が来た!?」

うい「ははは。……もう少し、緊張感を持とうよ」

ゆい・梓・純「「「はい」」」

曽我部「そのチビが私のカイリューより強いかで試してみる?」

純「頑張って、うい!」

ゆい・梓「頑張って、うい!」

うい「や、やれる範囲で頑張るよ」

曽我部「カイリュー、力の差を見せ……!?」

カイリューに声をかけていた、一瞬の隙を突き、私達の前にいたういの姿が消え、カイリューの前に現れました。

うい「れいとうパンチ」

ういは冷気のこもったパンチをカイリューのおなかに叩き込もうとしましたが、

カイリュー「リュー!!」

カイリューは懐にいたういを素早く、自分の懐から弾き出します。

うい「くっ……」

ういはその攻撃を何とか耐えます。しかし、カイリューの姿も消え、ういの前に現れます。

梓「あれはカイリューのしんそく!」

カイリュー「リューーー」

カイリューは力任せにういに殴りかかります。

うい「リフレクター」

ういは壁を張って、その攻撃を防ぎにかかりますが、

カイリュー「カイ……リューー」

カイリューはその壁を力任せに破壊し、ういを殴り飛ばします。

うい「キャーーーーーー」

ゆい「ういーーーーーーーー」

カイリュー「リュー」

カイリューは更に追撃をするべく、身構えます。

梓「ういが危ない。来てください、ニューラ、ハッサム」

純「来なさい、エレブー、カビゴン」

私達はそれぞれ、ポケモンを出し、ういの援護をします。

曽我部「くす。4匹で足りるの?」

梓「!?」

カイリュー「リュー!」

まず、カイリューの拳がニューラに迫ります。

カビゴン「カビ」

カビゴンが盾となり、その攻撃を受け止めます。

ニューラ「ニュラ」

ハッサム「サム」

ニューラとハッサムはその隙を突き、ニューラはブレイククローを、ハッサムはメタルクローをカイリューに浴びせるべく、左右から挟み込む
ように攻撃を仕掛けます。


ニューラとハッサムはその隙を突き、ニューラはブレイククローを、ハッサムはメタルクローをカイリューに浴びせるべく、左右から挟み込むように攻撃を仕掛けます。

カイリュー「リューーーー!!」

すると、カイリューはサンダー以上の電力を持った、十万ボルトを3匹に浴びせます。

ニューラ「ニューーーーーーラーーーーー」

ハッサム「サムーーーーーーーーーーーー」

カビゴン「カビーーーーーーーーーーーーー」

梓「ニューラ!!ハッサム!!」

純「カビゴン!!」

3匹は黒焦げになり、気絶します。

梓「戻ってください、ニューラ、ハッサム」

純「戻って、カビゴン。でも、終わりじゃないわよ」

カイリューの横からエレブーが襲い掛かります。

純「かみなりパンチ!」

梓「よし!!これは効くは……」

曽我部「無駄よ」

カイリューはエレブーの攻撃を片手で受け止めます。

カイリュー「リュー!!」

カイリューは口に炎を溜め、エレブーを上に投げ、そこにだいもんじを噴出します。

エレブー「ブーーーーーーー」

エレブーは黒焦げになり、気絶しました。

ゆい「そ、そんな……」

梓「4対1で、こっちが圧倒的に有利だったはず……」

純「そんなことをもろともせずに圧勝するなんて……」

梓「……純は後、何匹、手持ちあるっけ?」

純「ういを除けば、後3匹ね。でも、あいつ相手じゃ、時間つぶしにもならないでしょうね。梓は?」

梓「私はゆい先輩を除けば、後1匹ね」

純「絶望的ね」

梓「ええ」

ゆい「ど、どどどどしよう、あずにゃん」

梓「落ち着いて下さい」

ゆい「でも……」

梓「いつも、ゆい先輩は言ってますよね。こういう時こそ、笑顔です」

ゆい「……そうだね。にこー」

梓「に、にこー」

ゆい「うん、私やるよ。あれを倒したら、いっぱい撫でてくれたり、抱っこしてくれるんでしょ?」

梓「それはまあ……」

ゆい「それに、ポケモンを使って、こんなことをするなんて、許せないもんね。私、やるよ!フンス」

梓「純、私達が囮になるから、ういを連れて逃げて」

純「は!?ここまで来て、何を言って……」

梓「一旦退いて、回復させてくればいいの。ういの体力が満タンなら、勝つ可能性があるでしょ?ゆい先輩が倒すと思うけど、失敗したとして
も、体力はだいぶ削れるだろうし」

純「なら、手持ちが少ない梓が行くべきよ。私の足もあるし……」

梓「さっきの戦いを見る限り、純、いや、私達じゃ逃げ切るまでの時間を稼げないよ」

純「……一つだけ、約束しなさい」

梓「可能な限り聞くよ」

純「生きて帰りなさいよ」

梓「……善処するよ」

純「来なさい、ゲンガー」

ゲンガー「ゲンガー」

純「ちなみに、あのシオンの時のゲンガーよ」

梓「え、そうなの」

純「ゲンガー、ういを回収して!」

ゲンガーは素早く動いて、ういを抱きかかえて戻ってくる。

純「大丈夫、うい?」

うい「う、うん。……平気」

純「じゃあ、任せたわよ。戻って、ゲンガー。来なさい、カイリキー」

カイリキーは純とういを抱きかかえます。

うい「……うう。私はまだ、戦えるよ」

純「傷だらけで何を言ってんの」

ゆい「任せてよ、うい。ういが戻ってくる頃には私の大勝利だよ!」

うい「……お姉ちゃん」

梓「じゃあ、またね、純、うい」

純「ええ」

うい「頑張ってね」

純達は下に向かって行った。

曽我部「くすくす。空から、行けばいいのに」

曽我部さんはおかしそうにくすくすと笑っています。

梓「ここから行ったら、邪魔するくせに」

曽我部「くすくす。まあ、いいわ。もう勝負は終わったようなもの。さっきのチビはもういないからね」

ゆい「まだ、私がいるよ!」

曽我部「そうね。まだ、あなたがいたわね。くすくす」

ゆい「舐めていられるのも今のうちだよ!ゆいちゃん真……」

曽我部「カイリュー」

カイリューは素早く、ゆい先輩に接近し、殴り飛ばします。

ゆい「ひゃーーーーー」

梓「ゆい先輩!!」

私は飛ばされてくる、ゆい先輩を受け止めます。

梓「ぐっ。だ、大丈夫ですか、ゆい先輩」

ゆい「なんとか」

曽我部「くすくす。特別に教えてあげるわ。そのチビと戦う上で、気をつけなければいけないのはそのチビのペースに乗せられないようにすることよ。あなたが今まで、倒してきたジムリーダーとかは皆、あなたのペースで、つまりあなたの土俵で戦っていたのよね。だから、あなたを倒すにはその土俵に乗らなければいい」

たしかに澪先輩の時も速攻で倒されていましたからね。

曽我部「さてと。あなたのポケモンは残り、1匹。それもおそらくはプテラ。それじゃ、カイリューには勝てないし、逃げられもしない」

ゆい「まだ、私も戦えるよー」

曽我部「あなた程度のポケモンじゃ、カイリューには足元にも及ばないわね。それにしても哀れなものね」

曽我部さんはゆい先輩に向かって、嘲笑するような笑みを浮かべます。

曽我部「妹は伝説の3匹のとりポケモンを倒す実力なのに、姉は使えないカスポケモン。どこで、差がついたのかしらね」

ゆい「……あう」

梓「……」

曽我部「それなのに、自分の実力も分からずにカイリューを倒すだなんてね。哀れなものね、妹も。こんな屑な姉を持って」

ゆい「……うう」

梓「……黙って下さい」

曽我部「ん?」

梓「あなたにゆい先輩の何が分かるんですか!来てください、プテラ!!」

私はゆい先輩を横に置き、プテラを出します。

梓「プテラ、加速をつけて、アイアンヘッド!!」

プテラは上空から全速力で鋼のように硬い頭をカイリューにぶつけにいきます。

曽我部「やっぱりね。その子を悪く言えば、あなたは激昂して襲い掛かってくると思ったわ」

梓「!?」

カイリューは向かってくるプテラをパンチで対抗する気のようです。

ガッツーーーーン

プテラがカイリューの拳と激突し、衝撃が私達の所まで、風になって伝わります。

梓「どうですか!?」

曽我部「くすくす」

プテラ「……テラ」

プテラは頭にひびが入り、気絶しました。

曽我部「くすくす」

梓「何がおかしいんですか」

私はプテラをボールに戻します。

曽我部「あなたが重要なミスを犯したからね」

梓「ミス?」

曽我部「本当なら、さっきの純さんが戻ってくるまで耐えなければいけなかったのに、安易に攻撃をしてくるなんてね。もっとも、そうしてくるとは思ったけどね」

梓「……どういう意味ですか?」

曽我部「。だって、あなた、そのゆいが大好きなんでしょ?口には出さないけど。そんなあなたが私の暴言をスルーできるわけないわ。その結
果、安易に突っ込んでくると予想できるわ。もっとも、加速をつけた、今の攻撃は素晴らしかったけどね」

曽我部さんはパチパチと拍手しながら、カイリューとともに私達に近づいてきます。

ゆい「あ、あずにゃんに近づくなー」

ゆい先輩はカイリューに向かうも、軽くカイリューに弾き飛ばされます。

ゆい「うわっ!!」

梓「ゆい先輩!!」

曽我部「さあ、あなたにも見せてあげるわ。カントーの最後を」

曽我部さんは私を引っ張りあげました。

ゆい「ぐす……私に力があれば……」

あずにゃんを救えるのに。私はそろそろ夜になる空を見つめる。

???(……ちゃん)

ゆい「ん?」

私の耳に何かの声が聞こえる。なんだろ?

???(ゆいちゃん、諦めるの?)

ゆい「この声は……誰?」

???(僕が誰かなんてどうでもいいんだよ。ゆいちゃんは諦めるの?君の梓ちゃんへの想いはその程度なの?)

ゆい「でも、私には何もできないよ……」

???(あるよ!君の想いを届けるんだ!!!)

ゆい「ん?」

突如として、私が背負っていたギー太が光り輝きだした。

ゆい「あ、さっきのは……」

私はギー太を構える。

ゆい「……頑張ろうね、ギー太」

私は足に力を込め、空に飛び出した。

梓「ゆい先輩!?」

ゆい先輩は屋上から飛び出し、上空に飛んでいきました。

曽我部「怖くて逃げ出したのね」

梓「ゆい先輩はそんなことしません!!」

曽我部「まあ、現実から目を背けたいあなたの気持ちも分からないわけじゃないわ」

梓「……ゆい先輩」



ゆい「頑張ろうね、ギー太」

私はギー太から、音楽を鳴らす。

ゆい「ミュージックスタート(ふわふわ時間を想像してください)ゆいちゃん真拳究極(マルヒ)奥義『アズニャン・パラダイス』」


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最終更新:2011年09月21日 01:31