律「さあ、いくぜ。サワムラー、とびひざげり!!」
サワムラーは走りながら、ジャンプして、ひざげりを当てに来ます。
梓「ニューラ、避けて下さい!!」
ニューラはそれを横に飛んでかわします。
梓「チャンスです。サワムラーの背後に、メタルクロー!!」
着地して隙のある、サワムラーにニューラの鋭いツメが迫ります。
律「サワムラー、まわしげり!」
サワムラーは着地した瞬間にニューラに素早く体を回転させつつ、蹴りをしてきます。
ニューラ「ニュラ」
ニューラはその攻撃に素早く反応し、しゃがんでその攻撃をかわします。そして、ジャンプして距離をとります。
梓「いいですよ、ニューラ!」
ニューラ「ニュラ」
律「やるじゃないか」
梓「どんなもんです!!」
私は胸を張って言います。
律「まだ、終わってないぜ。サワムラー、ブレイズキック!」
サワムラーは足に炎をこめた蹴りを繰り出しにきます。
梓「ニューラ、こおりのつぶて!」
ニューラの作り出した氷の塊をサワムラーの眼に命中させ、サワムラーは体のバランスが崩れます。
梓「トドメです。きりさく!」
ニューラの鋭いツメがバランスを崩しているサワムラーの体を切り裂き、サワムラーは気絶しました。
審判「サワムラー戦闘不能。ニューラの勝利です」
実況『さあ、これでお互いに残り3匹だ。開幕戦に相応しい、すばらしい戦いだー』
律「次は……来い、ニョロボン」
梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ヘルガー ひん死 ハッサム シャワーズ ひん死
律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン サワムラー ひん死 ニョロボン
梓「ニューラ、もう一度、きりさく攻撃です!」
律「させるか。ニョロボン、ハイドロポンプで、相手をけん制しろ」
ニョロボンの手から激しい勢いの水を発射し、ニューラの動きをけん制します。
澪「接近できないとなると、ニューラは辛いな」
純「こおりタイプの技はニョロボンにはあまり効きませんからね」
梓「なら、こおりのつぶてでもう一度、眼を狙ってください!」
ニューラはニョロボンのハイドロポンプをかわしながら、氷の塊をニョロボンに発射します。しかし、その氷の固まりはハイドロポンプの前に
飲み込まれて、撃沈します。
律「何度も何度も、同じ戦略が通じると思うなよ。しんくうは!」
ニョロボンは拳を振って、真空の波を巻き起こして攻撃を仕掛けます。
ニューラ「ニュラーーーー」
その攻撃を受け、ニューラは上に跳ね上がります。
律「ニョロボン、トドメだ。きあいパンチ!」
ニューラの落下地点の近くで、精神を高めて、落下してくるのを待ちます。
澪「うまい距離だな。ニューラの反撃は届かないがニョロボンの攻撃を当てられる絶妙な距離だ」
そして、落下してくるニューラの体にパンチを繰り出し、ニューラの小さい体は壁まで飛ばされて、気絶しました。
審判「ニューラ戦闘不能。ニョロボンの勝利です」
梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ひん死 ヘルガー ひん死 ハッサム シャワーズ ひん死
律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン サワムラー ひん死 ニョロボン
実況『梓選手、残りは2匹です。しかし、1匹はハッサム。リザードンを残す、律選手の方が有利かー』
澪「律はニョロボンを下げなかったな」
紬「リザードンを出して、ハッサムに粘られても困るしね」
純「タイプ的にはリザードンのほうが有利ですが……」
うい「タイプが全てじゃないよ」
紬「そうね。実際話を聞くと、サンダーとかにも善戦しているらしいハッサムを警戒するのも当然よ」
うい「それにリザードンが万が一負けると、ハッサムを倒しても、お姉ちゃんに対応できないよ」
澪「そこまで警戒するか……」
梓「ハッサム、バレットパンチ!!」
ハッサムは命令と同時にその鋼鉄のハサミでパンチを仕掛けます。
ニョロボン「ニョロ」
ニョロボンはそのハサミを片手で受け止めます。
律「この距離なら、外さないな。ニョロボン、ばくれつパンチ!!」
ニョロボンはハッサムを掴んだまま、渾身の力で、ハッサムにパンチを叩き込みます。
ハッサム「サム!」
ハッサムは目をグルグルと回し、混乱します。
澪「ばくれつパンチは相手を必ず、こんらん状態にする技……」
純「しかし、ばくれつパンチは命中率が低い。でも、うまく当てられる状況を作り出すなんて」
紬「やるわね、りっちゃん」
梓「ハッサム!」
律「追撃だ、ニョロボン。きあいパンチ!」
まだ、こんらん状態でうまく動けないハッサムに、精神を高めたパンチが襲います。
ハッサム「サム!」
ハッサムはその攻撃を無抵抗に受け、私の横を通過し、壁に激突します。
澪「これは……終わったか」
純「ですね」
律(……いや、終わってない。何故なら……)
梓「……」
律(梓の目はまだ死んじゃいない)
審判「ハッサムせんとう……」
ハッサム「サム!」
実況『おーっと、今の一撃を受けても、ハッサムはまだ無事のようだー。なんていうタフネス!』
ゆい「すごいよー、サムちゃん!!」
梓「ハッサム!」
ハッサム「コクリ」
律「ふん。ニョロボン、ハイドロポンプで牽制しろ!」
ニョロボンは手から激しい濁流を発射してきます。
梓「接近戦を避ける気ですか」
律「勝つためにはな」
梓(このままだと、ジリ貧になりますね)
梓「なら……つるぎまいです!」
ハッサムは踊りを踊りながら、ハイドロポンプを避けていきます。
律「ちょこまかと……」
律(だが、こうげきのあがったハッサムに接近戦は厳しいな。現状は遠距離が無難か?)
梓「こうそくいどうです、ハッサム」
ハッサムは今度はスポーツ選手がアップをするが如く、その場で軽くジャンプをします。
梓「ではこっちの反撃です。ハッサム!」
律「ニョロボン、頼んだぞ!」
ニョロボンは急速に接近してくるハッサムにハイドロポンプを当てようとしますが、ハッサムはそれを避けつつ、接近してきます。
律「なんて、早さだ……」
梓「ハッサム、シザークロス!!」
ハッサムの得意技である、シザークロスがニョロボンの胸にXの文字を作り、ニョロボンは気絶します。
審判「ニョロボン戦闘不能。ハッサムの勝利です」
梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ひん死 ヘルガー ひん死 ハッサム シャワーズ ひん死
律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン サワムラー ひん死 ニョロボン ひん死
実況『さあ、これで2対2になりました。しかし……』
ハッサム「ハア……ハア……」
実況『ハッサムの体力も残りわずかのようです。となると、律選手の方が有利かー』
律「私の最後のポケモンは……ゴローニャ!!」
梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ひん死 ヘルガー ひん死 ハッサム シャワーズ ひん死
律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン サワムラー ひん死 ニョロボン ひん死 ゴローニャ
律「ゴローニャ、例の作戦だ!」
ゴローニャは律先輩の言葉とともに、ハッサムに抱きつきました。
梓「一体、何を……」
ゴローニャは体を赤くし、爆発しました。
梓「こ、これはだいばくはつ……」
ゴローニャのだいばくはつでフィールドは煙でしばらく見えなくなりました。そして、煙が晴れると……
ハッサム「……」
ゴローニャ「……」
ハッサムとゴローニャは気絶していました。
審判「ゴローニャ、ハッサム、ともに気絶。引き分けです」
梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ひん死 ヘルガー ひん死 ハッサム ひん死 シャワーズ ひん死
律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン サワムラー ひん死 ニョロボン ひん死 ゴローニャ ひん死
実況『さあ、これで残りは互いに1匹。律選手はリザードンだが、梓選手は何を出すのかー』
梓「まさか、いきなりだいばくはつとは……」
律「でも、ちょうどいいだろ?旅立つ日に最初に戦った相手同士で戦いができるんだからな。もっとも、ヒトカゲは進化してるけどな。来い、
リザードン」
梓「いきますよ、ゆい先輩!」
ゆい「まかせんしゃい」
梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ひん死 ヘルガー ひん死 ハッサム ひん死 シャワーズ ひん死 ゆい
律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン サワムラー ひん死 ニョロボン ひん死 ゴローニャ ひん死
梓(それにしても、大丈夫かな……)
対戦前・控え室
ゆい「ねえ、あずにゃん」
梓「何ですか?」
ゆい「そろそろさ、あずにゃんが私に指示を出してみてよ」
梓「はい?」
ゆい「。一応、私もポケモンだし、ちゃんとトレーナーであるあずにゃんの指示で戦わないとね。私達も付き合いが長いんだし、あずにゃんだ
って、私の技とかだいぶ分かったでしょ?」
梓(どうしよう。ここまで、ゆい先輩と旅をしてきたけど、未だにゆい先輩の技は分かってないんですよね。ここは正直に言うべきですよね。でも……)
ゆい「……」
目をキラキラとさせて私を見つめるゆい先輩。
梓「……そうですね!私に任せてください」
ゆい「うん!」
梓(私にはこの目のゆい先輩を裏切れません)
ゆい「じゃあ、頑張ろうね、あずにゃん!!」
梓「は、はい」
律「これで3回目か……」
梓「はい?」
律「ゆいとリザードンが戦うのがな。もっとも2度も負けてるけどな」
梓「そうでしたね」
律「だけど、3度目はないぜ」
梓「……上等です!いきますよ、ゆい先輩」
ゆい「うん!」
梓「(え、えーと…)あまえるです!」
ゆい「あのね…すっごく恥ずかしいけど私、おにいちゃんにだったら、えっちなこと、されてもいいよ…」
頬を赤らめて言う、ゆい先輩。
『……』
会場全体に重苦しい雰囲気が流れました。
澪「な、なんだ、今の技は……」
純「今の技もそうですけど、会場全体の雰囲気もおかしくないですか?」
紬「やるわね、ゆいちゃん。まさか、こんな技を隠しているなんて」
うい「いえ。ここでこの技を命令する梓ちゃんもですよ」
澪「どういうことだ?」
紬「見てれば、分かるわ」
律「相変わらずな技だな」
梓「そうですね」
律「だが、関係ない。リザードン、かえんほう……」
観客A(以下、観)「コラー、お前、ゆいちゃんに攻撃する気かー!」
観B「この人でなしー」
観C「引っ込めー、デコッパチー」
突如として、ブーイングを始める、観客達。
澪「何なんだ、一体」
紬「さっきので、観客の心を掴んだのよ」
うい「ここには梓ちゃんや律さんのファンがたくさん来ていますからね。そのファンには男の人が多い」
紬「その男の人達がゆいちゃんの台詞を自分が言われてると想像したら……」
うい「これは味方にならざるをえません」
純「まさか、梓はここまで狙って……」
うい「さすがは梓ちゃんだね」
紬「あの狡猾さ……侮れないわね」
澪(ただの偶然に見えるんだけどな……)
律「チッ。周りの雑音なんか知るかよ。リザードン、かえんほうしゃだ!」
周りの罵声が飛び交う中、リザードンの口から炎が発射され、ゆい先輩に向かって迫ってきます。
梓「ゆい先輩、よけてください!」
ゆい「そんな、無茶な!」
と言いつつも、でんぐり返しをしながら、攻撃をかわすゆい先輩。実に可愛い。
梓「こっちの反撃です!え、えーと……メガトンパンチです!」
ゆい「オーケーだよ、あずにゃん」
ゆい先輩はピョコピョコと走りながら、リザードンに接近していきます。
ゆい「トリャー」
リザードンのお腹にゆい先輩の小さい手が当たります。……が、リザードンにはまったく聞いている様子がありません。
ゆい「あれ……?」
リザードン「ドン!」
リザードンはゆい先輩を掴むと、グルグルと回転させて、私の方にゆい先輩を投げつけます。
ゆい「グヘッ」
梓「ゆい先輩!」
くっ……。やはり、強いですね、律先輩のリザードンは。
梓「大丈夫ですか、ゆい先輩」
ゆい「う、うん。まだ、平気だよ」
と言いつつも、体はだいぶ痛そうです。
律「リザードン、きあいだまだ!」
リザードンはまだ立ち上がっていないゆい先輩にシャワーズを粉砕したきあいだまを発射する準備をします。
梓「ゆ、ゆい先輩、避けて下さい!」
律「無駄だ!」
リザードンのきあいだまがゆい先輩に命中し、私の横を通過し、壁に激突しました。
梓「ゆ、ゆい先輩……」
私はガクリとひざを突きました。
律「どうしたんだ、梓」
律先輩は私に真剣な目で話しかけてきます。
律「まだ、戦いは終わってないぞ」
梓「え?」
私はゆい先輩が飛ばされた方を見るとなんとか、立ち上がってこちらにピョコピョコと歩いてくるゆい先輩が。
梓「ゆい先輩……」
たとえ戻ってきても、リザードンに勝てるかどうか。なら、いっそ、降参した方が。
律「……梓。お前は諦めるのか」
梓「え?」
律「お前はこの旅で、たくさんの危険な戦いをしてきたはずだ」
梓「それは……まあ」
律「お前はこの旅で学んだんじゃないのか?最後まで、諦めずに戦うということの大切さを」
梓「!?」
律「まだ、戦いは終わってないんだ。あんまり、がっかりさせないでくれよ」
梓「べ、別にまだ諦めてませんよ。勝手に律先輩が決め付けてるだけです」
律「また、強がりを……」
梓「ふん」
ゆい「た、ただいま、あずにゃん」
傷だらけのゆい先輩がようやくフィールドに到着しました。
ゆい「ねえ、あずにゃん……」
梓「何ですか?」
ゆい「お願いだから、降参しようなんて言わないでね」
梓「ゆい先輩……そんなこと言いませんよ。こっちが勝てるのにどうして、律先輩に降参しなきゃいけないんです?」
律「何を~」
澪「戻ってきても、ゆいにはリザードンを倒す手段はない」
純「どっちにしても、これで終わりですね」
紬「まだ、ゆいちゃんには出していない技があるわ」
澪・純「え?」
最終更新:2011年09月21日 19:32