ゆい「行くよ、りっちゃん。これで終わりだよ」

ゆい先輩は目を瞑り、神経を集中させます。

ゆい(落ち着いて、集中するんだ。心を無にするんだ。そうすれば、達することが出来る。新たなる伝説の境地に。あの時の感覚が蘇る。さ
て、やるよ。……アズサマインド)

ゆい先輩の体が光り輝きます。


澪「あれは……ミュウツー戦で見せた技か……。でも、あれは梓そっくりのオーラを出すだけじゃないのか?」

紬「あの技は体内にある梓ちゃん分を活性化させる技。そうすることで通常の身体能力の10倍以上の能力を出すことことができるわ」

純「梓分って言うのは?」

紬「梓ちゃん分の成分自体はまだ分かってないわ。分かってることは梓ちゃん分は誰の体内にもあるけど、その量は個人によってまちまちだということ」

うい「お姉ちゃんは体内のエネルギーの8割くらいは梓ちゃん分で動いていますからね」

純「多いな……」

紬「でも、心配ね」

うい「ええ」

澪「今度はなんだ」

うい「まだ、アズサ・マインドの先には三つの扉があるんです。このまま、お姉ちゃんがアズサマインドで満足してなければいいんだけど」

澪「……訳が分からん」

ゆい「行くよ、りっちゃん」

その言葉と同時に、ゆい先輩の姿が消え、一瞬でリザードンの前に接近します。


純「はやっ!」


ゆい「トリャーーー」

ゆい先輩の小さな手がリザードンのお腹にめり込み、真ん中にいたリザードンがフィールドの端っこまで飛ばされます。

律「やるじゃないか、ゆい、梓」

律先輩は嬉しそうに言います。

ゆい「まあね!」

梓「私は何もしてませんよ」

律「だが、まだ、終わってないぜ。リザードン」

リザードンも臨戦態勢になって、ゆい先輩をにらみつけます。

ゆい「ここからが本当の戦いだよ」

その言葉と同時にゆい先輩の体は再び、消えます。

律「ゆい。2度も同じ技は通じないぜ」

リザードンは一瞬で接近したゆい先輩のこぶしを受け止め、投げ飛ばします。

ゆい「そ、そんな……」

ゆい先輩は華麗に着地しますが、その顔にはショックが隠しきれないようです。


澪「強いな、あのリザードン」

純「はい。正直、今の技が通らなくなると、もう勝ち目がないですからね」

紬「……」

うい「……」


梓(どうしましょう。今の攻撃が通じないと、おそらく、あのリザードンには有効な手段はないかもしれません)

ゆい(今のが通じないのはきついな……。でも、他の技をやるにしても、もうあずにゃん分が……)

梓(どうすれば、あのリザードンに勝てますかね。ゆい先輩の技は体のエネルギーを活性化させることで身体能力を上げる力だっだけ……。な
ら……)

ゆい(この力を体全体じゃなく、一部分に集めてみるのはどうだろう)

梓(一部分に集中できれば、例えば、足に集中させるなら、全体に力を分散させるよりも、素早くうごけるかもしれません)

ゆい(問題はそれを私が使いこなせるか否かだけど……)

チラッ。

梓「……」

ゆい(私はあずにゃんをポケモンマスターにするんだもんね)

ゆい「フンス」

梓「ゆい先輩」

ゆい「なんだい、あずにゃん」

梓「1つ提案が……」

律「そんなこと、悠長にさせるかよ。リザードン、かえんほうしゃだ!!」

ゆい先輩はその攻撃を横にひらりとかわします。

ゆい(迷ってる暇はないね……。行くよ!)

かえんほうしゃをうまくよけたゆい先輩の体のオーラが足に集中します。

ゆい「行くよ、りっちゃん!!」

ゆい先輩の言葉と同時にゆい先輩の姿が消えます。

律「何度来ても同じだ。リザードン!!」

リザードンは正面に来た、ゆい先輩をはじき返した……と、思いましたが、ゆい先輩の姿が消えました。

律「なっ!?ゆいはどこに!?」

梓「後ろですよ」

律「何!?」

ゆい先輩はリザードンの背後に現れ、尻尾を掴みます。

ゆい「今度はこっちに……」

ゆい先輩は今度は手にオーラを集めます。そして、そのまま、ジャイアントスイングを始めます。

ゆい「トリャーーーーーーーーー」

ゆい先輩はそのまま、リザードンを投げ飛ばします。


澪「何なんだ、一体……」

紬「あれは……アズサ・マインドの境地の1つの扉……百戦錬磨のアズサ」

澪「は?」

うい「あの技は梓ちゃん分を体の一部分のみに集中的に集め、活性化させることでアズサ・マインド時よりも、更なる力を出すことの出来る境地の1つ」

紬「無論、アズサ・マインドに達していない人には習得できないのよ」

澪「……つまり、あれか。ゆいは足にオーラをため、さっきまでよりも、早く移動できたということか」

紬「そういうことね」

澪「……頭が痛くなってきた」


律「舐めんなよ、ゆい!リザードン、きあいだま!!」

リザードンは起き上がり、きあいだまをゆい先輩に発射します。

ゆい「遅いよ、りっちゃん!!」

ゆい先輩は再び、一瞬で姿を消し、きあいだまを避けます。

律「厄介な奴だな。リザードン、後ろだ!」

リザードンはその言葉に素早く反応し、後ろから現れたゆい先輩のパンチを受け止めます。そして、その手を掴んで、投げ飛ばします。

ゆい「くっ。こうなったら……いくよ、ギー太」

ゆい先輩はギー太を持つと、ギー太にオーラが集中します。

ゆい「りっちゃん、決着をつけよう」

律「上等だ!リザードン、フレアドライブ!」

リザードンは体に炎をまとい、ゆい先輩に突進してきます。

ゆい「私もいくよー」

梓「あ、ゆい先輩」

ゆい先輩はギー太をリザードンに向けます。

ゆい「 ゆいちゃん真拳究極奥義『アズブラスター』」

ギー太からビームが発射され、リザードンに命中し、押し合い状態になります。


澪「このまま、どっちが押し切るかだな」

純「そうですね。ところで、ゆい先輩の技は?」

うい「あれは体内の梓ちゃん分をビームにして敵に発射する技だよ」

澪「……もう、何でもありだな」

紬「今更ね」


律「いっけーーーーーーーーー、リザーーーードーーーーーーン」

梓「いっけーーーーーーーーー、ゆいせんぱーーーーーーーい」

時間にしてみれば、1分にもならないかもしれない。しかし、少なくとも、戦っている私には1時間にも感じられました。

リザードン「リ、リザー!」

律「リザードン!」

リザードンはゆい先輩の攻撃を受けきれず直撃し、スタジアムの壁に激突し、気絶しました。

審判「リザードン戦闘不能。ゆいの勝利です。律選手のポケモンは全滅。勝者は梓選手です!」


梓 ガルーラ ひん死 ニューラ ひん死 ヘルガー ひん死 ハッサム ひん死 シャワーズ ひん死 ゆい

律 ハガネール ひん死 レアコイル ひん死 リザードン ひん死 サワムラー ひん死 ニョロボン ひん死 ゴローニャ ひん死


実況『ついに長かった、戦いにも終止符が打たれたー。勝者は梓選手だー』

観「「「「「「あ・ず・さー」」」」」」

実況『会場も梓選手へのコールが鳴り止まない状態です』


ゆい「やったよーあずにゃーん」

ゆい先輩は私の胸に飛び込んでいます。

梓「よく頑張りましたね、ゆい先輩……ゆい先輩?」

ゆい「スピー、スピー」

梓「はやっ!もう寝てる」

律「エネルギーを使いすぎたんだろ」

梓「あ、律先輩……」

気がつくと、律先輩が近くにやってきました。

律「強くなったな」

梓「ありがとうございます」

律「この後も、頑張れよ」

梓「はい」

律先輩は私に背中を向け、その場を去ろうとして、止まります。

律「あ、言い忘れてた」

梓「何ですか?」

律「優勝しろよな。そして、チャンピオンになった梓を最初に倒してやるからな」

梓「……待ってますよ、玉座で」

律「生意気な後輩だ」

律先輩は笑いながら、去って行った。


澪「律もいいところまで言ったんだけどな。終わってみれば……か」

紬「やっぱり、面白いわね。梓ちゃんとゆいちゃんは。……だからこそ、潰したくなる」

澪「え?」

紬「何でもないわ。じゃあ、私もこの後の対戦に行くわね」

純「あ、私達も行かなきゃ」

うい「そうだね」

3人(正確には2人と1匹)は去って行った。

澪「……強くなったな、梓。戦うのが楽しみだよ」

インタビューを受けている梓を尻目に私も会場を去った。


ポケモンリーグ編②  「ポケモンリーグ開幕・梓VS律」 終了





1回戦後・夕方

梓「で、何で、律先輩が私の部屋にいるんですか?」

律「だって、負けたら部屋出てかなきゃいけないし、残るならお金が必要だし。他の参加者との相部屋なら大丈夫みたいだし」

梓「じゃあ、澪先輩やムギ先輩のところでも行けばいいじゃないですか」

律「いや、邪魔しちゃ悪いだろ」

梓「私はいいんですか?」

律「……」

梓「何で、そこで黙るんですか!!」

律「まあ、細かいことは気にするな。ほら、お菓子やるよ」

梓「そんなものじゃごまかされませんよ」

律「そう怒るなって。ところで1つ聞いていいか?」

梓「……なんですか?」

律「その胸についてんのはいいのか?」

ゆい「Zzzzz」

梓「そこに触れますか」

律「いや……無視できないだろ」

梓「離れないんですよね」

律「引っ張ってみようぜ」

梓「いやいやいや」

律「離れるかもしれないだろ。……よいしょっと」

律先輩はゆい先輩を掴んで離そうとしますが、私の体を離れようとしません。

律「これは……無理だな」

梓「分かりましたか?困ってるんです」

律「そのわりには嬉しそうだな」

梓「気のせいです」

律「まあいいや。とりあえず、飯でも食べに行こうぜ」

梓「そうですね」

ゆい「早く行こうよ」

梓「待ってて下さい。今、準備しますから」

律「いやいやいや。いつの間に起きたんだよ」

ゆい「おおっ!!りっちゃんだ、おはよう」

律「おはようじゃなくてだな……。とりあえず、ぐっすり寝てたな」

ゆい「あずにゃん分の補給をしなくちゃいけなかったからね。ごめんね」

律「謝られるほどじゃないけど……まあ、いいや。飯にしようぜ」

梓「そうですね」


夕食後

梓「明日のメンバーはどうしましょうかね……」

ゆい「そんなに悩んでも仕方がないよ。りっちゃん、テレビでも見る?」

律「そうだなー。……今、流行のフ●でも見るか?」

ゆい「私、韓流とか興味ないからいいや」

律「私もないけどな。ゲームでもするか?」

ゆい「そうしよっか」

梓「……」

律「ゲームもやめて大人しくしてよう」

ゆい「そうしよう、りっちゃん」

梓「はあ……。まったく」

ゆい「そんな堅苦しく考えなくても、2回戦と3回戦なんて、すぐ終わるよ」

梓「どうしてですか?」

ゆい「なんとなくね……」


2日後の昼

梓「ふう~、無事に3回戦も突破できました」

律「これでベスト8だな」

ゆい「この後、どうしよっか?」

梓「そうですね……。簡単なものでも食べながら、純の試合でも見ましょうか」

律「純ちゃんっていうと……ゆいの妹の……ういちゃんのトレーナーか」

ゆい「そうだよ~」

梓「もう準々決勝ですし、そろそろ、純とかともあたる可能性がありますしね」

律「そうだな……。じゃあ、行くか」


会場

梓「ここですね」

律「どれどれ、結果は……」

梓「あれみたい……です…ね」

ゆい「どうしたの?」


審判「ピジョット戦闘不能。ういの勝利です」

純 うい

モブA サイドン ひん死 ウインディ ひん死 ギャラドス ひん死 ナッシー ひん死 ピジョット ひん死 


律「おいおい……。強すぎだろ」

梓「ええ……」


観A「すげーよな。あの純っていうのは、ここまであのういってポケモンしか使ってないんだぜ」

観B「ああ。しかも、対策を立てようにも、弱点がないみたいだしな」


律「……梓」

梓「……なんですか?」

律「……とりあえず、頑張れ」

梓「……はい」

ゆい「とりあえず、近くに行こうよ」

梓「そうですね」

私達はフィールドに近づきます。

ゆい「おーい、うーいー」

うい「あ、お姉ちゃん。それに梓ちゃんに律さんも!」

ういは私達に気付いて、元気よく手を振ります。


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最終更新:2011年09月21日 19:34