紬「行くわよ、マタドガス。ヘドロこうげき!」

マタドガスの口から、汚いヘドロをポリゴン2に向かって、吐き出します。

梓「ポリゴン2、避けて下さい!」

ポリゴン2はその攻撃を横に移動しながら、かわします。

紬「かまうことないわ、マタドガス。続けて」

マタドガスは何発ものヘドロをポリゴン2に向けて、発射してきます。


純「ああしつこくされると、接近できなくて辛いですよね」

澪「でも、ポリゴン2は遠距離でも十分対応できるし、問題ないだろうな」


梓「ポリゴン2、れいとうビームです!」

ポリゴン2はそのヘドロの波をかいくぐりながら、冷気のビームを発射します。

紬「マタドガス、スモッグ!」

マタドガスは排気ガスを出しながら、その攻撃をかわします。

梓「まだ、行きますよ。トライアッタク!!」

ポリゴン2はそのガスを浴びつつも、炎、氷、電気の三つの光線をマタドガスに発射します。

マタドガス「ドガス!!」

マタドガスはその攻撃が命中するも、あまりダメージを受けている様子ではありません。

梓「なら、もう、一発です!!」

ポリゴン2はもう一度、トライアッタクを発射しようとします。

紬「マタドガス、えんまくよ!!」

マタドガスは黒い煙を出しながら、左右に動きます。それにより、フィールドの半分は煙に覆われました。

梓「これじゃ、命中できない……」

紬「フフフ」

澪「トライアッタクを命中させるのも難しいが、どこから攻撃が来るかも分からない」

律「嫌な戦術だな」

うい「でも、効果的ですよね」


梓「どうすべきか……」

紬「2人で頑張って考えてね。もっとも、考えつく頃には私の勝ちだけどね」

煙の中から、ヘドロがポリゴン2に迫ってきます。

ポリゴン2「ポリ!」

ポリゴン2はその攻撃をかわすも、顔色が悪そうです。

紬「どうやら、さっきのスモッグでどく状態になったみたいね」

梓「くっ……」


澪「おまけに状態異常か……」

純「これは辛いですね」


梓「どうすれば……」

ゆい「あずにゃん、あずにゃん」

いつの間にか、私の頭の上にいた、ゆい先輩が話しかけてきました。

梓「何ですか?」

ゆい「私にいい戦略があるんだけど……」

梓「……とりあえず、聞かせて下さい」

ゆい「まずね、マタドガスに攻撃をさせるの」

ゆい先輩はゴニョゴニョと話し始めます。

ゆい「その攻撃をしてきた場所を辿れば、マタドガスがいるはずだよ」

梓「……なるほど」

紬「作戦会議は終わったかしら?」

梓「どうでもいいですけど、悪役みたいですね」

紬「一度、悪役みたいになるのが夢だったの~♪」

梓「……まあ、いいです」

紬「まあ、それはともかく攻撃をしないと勝てないわよ」

梓「分かってますよ」

梓(とは言っても、現状は厳しいですね。なら……)

梓「ポリゴン2、でんじはです!」

ポリゴン2は煙の中に、弱い電気を発射します。

紬「無駄よ。マタドガスには当たらないわ。今度はこっちの攻撃よ……」

梓・ゆい「「ゴクリ」」

紬「なんてね。梓ちゃん達は私が攻撃を仕掛けてきて、それでマタドガスの場所を把握して、反撃しようとしたんでしょ?」

梓「うっ……」

紬「甘いわよ、梓ちゃん。こっちが攻撃しなくても、ポリゴン2はどくでジワジワと倒されるんだから、余計なことをしないで私は待ってるわ」

梓「くっ……」

さすがはムギ先輩ですね。これでは手の施しようがありません。

澪「これは……辛いな」

律「この場合はなりふりかまわず、攻撃をするんだよ」

純「でも、当たりませんよ」

澪「いや、この場合はその方が効果的かもしれないな」

純「え……?」


梓「もう、こうなったら、やけくそです!ポリゴン2、トライアタックです!!」

ポリゴン2は所狭しと、煙の中にトライアタックを何発もぶち込みます。


澪「どうせ、このまま、何をしないでいても毒でやられるんだ。なら、勝算は低くても攻撃をしていくしかない。だから、一見、無駄のように思えるが……」

律「この場合は一番いい……か」


紬「無駄よ、梓ちゃん」

ムギ先輩の言うとおり、そのトライアタックは全然マタドガスには命中していません。

梓「さ、さすがはムギ先輩ですね」

一体、どうしたら……そうだ!!

梓「怖いんですか?」

紬「はい?」

梓「怖いから、攻撃してこないんですよね。がっかりですよ、ムギ先輩がそんなにチキンだったなんて」

紬「なんですって……!?」


律「攻撃してこないなら、攻撃してくるように挑発するか……」

澪「果たして、ムギに通用するか……」


よし!ムギ先輩には申し訳ないですけど、この挑発に乗ってくれれば……。

紬「マタドガス、攻撃!」

梓(やった!)

紬「……なんてね♪」

梓「……え?」

紬「そんな挑発に乗らなくてもね」

ポリゴン2「ポリ~」

ポリゴン2は大分、ダメージが蓄積されているみたいです。おそらく、あまり時間は残されていませんね。

梓「ポリゴン2、攻撃を続けてください!!」

ポリゴン2の必死の攻撃もマタドガスに命中することが出来ずに、気絶しました。

審判「ポリゴン2戦闘不能。マタドガスの勝利です」


梓 ポリゴン2 ひん死

紬 マタドガス


紬「戻りなさい、マタドガス」

ムギ先輩はマタドガスをボールに戻します。

梓「マタドガスをここで下げますか……」

紬「だって、対策されちゃうじゃない」

梓「む……」


澪「たしかにこのまま場に残したら、梓はマタドガスに対抗できるのを出してくるだろうな」

律「しかも、常に頭にマタドガスを置いて、次のバトルに望まなければいけないわけだ」


純「……強いですね」

うい「……そうだね」


紬「来て、フーディン」

梓「来てください、プテラ!」

梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ

紬 マタドガス フーディン


実況『さあ、紬選手はフーディンを、梓選手はプテラを出してきましたー』

梓「プテラ、アイアンヘッド!」

プテラの鋼鉄のような頭でフーディンに向かいます。

紬「フフフ。フーディン、テレポート」

プテラの攻撃が当たる瞬間、フーディンの姿が消えました。

梓「あれ?フーディンは……」

ゆい「あそこだよ、あずにゃん」

ゆい先輩はプテラの上を指差します。

プテラ「プテ!?」

プテラもフーディンの居場所に気づいて、びっくりしています。

紬「フーディン、サイコキネシス!」

フーディンはプテラの上から、強い念力をプテラに送り、プテラは頭を抑えるようにして、地面に墜落しました。

紬「甘いわね、梓ちゃん」

梓「くっ……」


澪「強いな。梓がまったく戦わせてもらえない」

律「ああ。ムギはまったく、梓の土俵に乗ってこない」

うい「だから、梓ちゃんは紬さんの土俵に乗るしかない」

純「その結果がこれか……」


梓「まだです!!」

プテラ「プテ!」

プテラはまだ戦意の失っていない目で、フーディンを睨みつけます。

梓「プテラ、もう一度、アイアンヘッド!!」

プテラはさっきよりも勢いをつけて、フーディンに向かいます。

紬「……フーディン、リフレクター」

梓「!?」

紬「どうせ梓ちゃんのことだから、テレポートをしてきたと仮定した対策を考えてたんでしょうね。でも、遅いのよ」

プテラの鋼鉄のように固い頭が、光の壁に激突します。

紬「戦いとは常に相手の先を読むものなのよ」

梓「……たしかにそうですね」

ピキピキ

梓「でも、読みきれないものもあるみたいですよ」

紬「!?」

ピキピキ、ガッシャーン。

プテラの頭がリフレクターの壁を破り、そのままフーディンに激突し、スタジアムの壁まで飛ばされ、気絶しました。

梓「プテラの力までは読みきれなかったみたいですね」

紬「……フフフ、やるじゃない」

審判「フーディン戦闘不能。プテラの勝利です」

梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ

紬 マタドガス フーディン ひん死


実況『さあ、ここまで一進一退の攻防が続いています。次に紬選手の出すポケモンが命運を握りそうだー』

紬「来なさい、デンリュウ」


梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ 

紬 マタドガス フーディン ひん死 デンリュウ


梓「プテラ、一旦距離を置いてください」

プテラは上空に飛翔し、デンリュウから離れます。


澪「まずは様子見か」

純「相手は弱点ですからね。それに何をしてくるか分かりませんし」


紬「臆病なのね、梓ちゃんは」

梓「む!!」

ゆい「あずにゃん、落ち着いて、落ち着いて」

紬「まあ、いいわ。デンリュウ、コットンガード!」

デンリュウはふわふわしたわたげで、体を包み込みます。


澪「相手が何もしてこないなら、積み技か」

律「まあ、当然といえば当然だわな」


梓「(このままじゃ……)プテラ、ストーンエッジ!!」

プテラはとがった岩をデンリュウに突き刺すべく、デンリュウに接近します。

梓「いっけー!」

紬「……デンリュウ」

デンリュウは自分の体力を使って、身代わりを出します。そして、プテラはその身代わりにストーンエッジを当ててしまいます。

梓「なっ……!?」

紬「デンリュウ、かみなり!!」

空からかみなりがプテラに向かって落ちてきて、プテラに命中し、そのまま、プテラは気絶します。

審判「プテラ戦闘不能。デンリュウの勝利です」

梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ ひん死

紬 マタドガス フーディン ひん死 デンリュウ


梓「次のぽけもんは……これです!」

実況『さあ、梓選手の次のポケモンは……サンダースです!!』


梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ ひん死 サンダース

紬 マタドガス フーディン ひん死 デンリュウ


紬「……サンダースね」

梓「行きますよ……サンダース、シャドーボール!!」

サンダースは黒い塊をデンリュウに向かって投げつけます。

紬「ふん。デンリュウ、ひかりのかべ」

デンリュウはひかりのかべを作りだし、シャドーボールの威力を弱めます。

紬「デンリュウ、きあいだま!!」

デンリュウはこんしんの力を使って、作った玉をサンダースにぶつけにいきます。

梓「無駄です!!サンダースには当たりません」

サンダースは素早くフィールドを駆け巡り、その攻撃をかわします。

紬「フフフ、やるじゃない、梓ちゃん」

梓「どうもです」

紬「それでこそ、倒しがいがあるわ。デンリュウ、シグナルビーム!」

デンリュウは不思議な光をサンダースに狙いを定めて発射してきます。

梓「サンダース、かげぶんしんです!!」

サンダースは分身を作り出し、シグナルビームはサンダースの残像に命中します。


律「いつの間にか、攻守が逆転してるな」

澪「ああ。ムギが後手に回ってるよ」


梓「サンダース、かげぶんしん!」

サンダースはさらに分身の残像を増やします。

紬(……うかつには攻撃を仕掛けられない。でも、このままでいるわけにもいかないか)

紬「やるじゃない、梓ちゃん」

梓「ありがとうございます」

紬「これもゆいちゃんのおかげかしらね」

梓「え……」

ゆい「そうかな~。でへへ~」


澪「現状が厳しいから、トレーナーの梓を揺さぶってきたな」

純「抜かりがありませんね」


紬「2人の仲の良さの前には私じゃ太刀打ちできないわね」

ゆい「えへへ~」

梓「……サンダース、背後からシャドーボール!」

フィールドにいた残像の中のデンリュウの背後から、サンダースが飛び出し、黒い塊をぶつけます。そして、デンリュウは突然の攻撃に反応で
きずに、気絶しました。

梓「余計なおしゃべりはやめた方がいいですよ」

紬「……その方が良さそうね」

審判「デンリュウ戦闘不能。サンダースの勝利です」


梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ ひん死 サンダース

紬 マタドガス フーディン ひん死 デンリュウ ひん死


実況『まさに一進一退の攻防だー』

梓(一進一退といっても、未だにムギ先輩が先手を取っている状況。なんとかしないと)

紬「次は……これよ」

実況『紬選手の次のポケモンはクロバットだー』

梓 ポリゴン2 ひん死 プテラ ひん死 サンダース

紬 マタドガス フーディン ひん死 デンリュウ ひん死 クロバット


律「ムギとしては計算外だろうな。ムギの中では、『そ、そんなことありませんよ』と言って、梓が顔を真っ赤にしてるうちに反撃をしたかったんだろうが」

澪「それだけ、梓も成長してるってことだろ」


紬「行くわよ、クロバット」

クロバット「バット」

梓「こっちも負けませんよ。サンダース、10万ボルト!」

サンダースの強い電撃が空中のクロバットに向けて、浴びせにいきます。しかし、その攻撃をクロバットは軽やかに避けます。

梓「なら、もう一度、かげぶんしんです!!」

サンダースはフィールドにたくさんの自分の残像を見せます。


純「まるで、忍者みたいですね」

澪「言いえて妙だな」

律「だが、同じ戦略がムギに通じるかな?」


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最終更新:2011年09月21日 19:37