梓の部屋
梓「ところで、これは何ですか?」
ゆい「すぴー、すぴー」
私達が部屋に戻ると、ゆい先輩が抱きついてきて、そのまま寝てしまいました。
律「……大人にはいろいろあるんだよ。子供の梓には分からないだろうけどさ」
梓「……そうですか。ところで、アイスを買ってきたんですけど、大人の律先輩は要りませんよね。大人ですもんね♪」
ゆい「じゃあ、りっちゃんのアイスは私がもらうよ」
澪「アイスで起きたのか!?」
律「ごめんなさい、梓様」
澪「そして、お前は謝るのか!?」
梓「ところで、律先輩達にお話があります」
律「何だ?まさか、アイスの代金を払えと」
ゆい「私、お金持ってないよ!?」
梓「違いますよ。実は……」
私は澪先輩とAYUから聞いた話を話しました。
律「……なるほどな。……それで、梓はどうするんだ?」
梓「どうしましょうか?」
律「……それは梓が決めることだ。私は梓がどっちを選んでも恨まないよ」
律先輩は席を立ち、歯を磨きました。
律「じゃあ、私は寝るから、ゆっくり考えてくれ」
律先輩はベットに横になり、布団を被って寝てしまいました。……私の寝る場所なのに。
紬「私が言えるのは梓ちゃんの悔いの残らないようにしてね」
梓「ムギ先輩……」
澪「そうだな、それが一番だよ」
ムギ先輩も澪先輩も歯を磨くと、ベットに入り、寝てしまいました。皆さん、寝る前には歯を磨いて下さいね。……それにしても、私の寝る場所が……。
ゆい「さてさて。悩める、あずにゃんにはゆい先輩がお話を聞いてあげよう」
梓「そうですね……」
私はゆい先輩とソファーに腰掛けます。
梓「私がAYUから、聞いて思ったことがあるんです」
ゆい「ほうほう」
梓「私は人間とポケモンが仲良く暮らしていく未来を想像してました。でも、話を聞いて、不安になりました」
ゆい「……」
梓「私は旅を通じて、たくさんのいい人にも出会いました。それだけなら、未来にも希望があるんでしょうけど、ポケモンを悪用する人がいたり、戦いの道具にしてるような人たちもいましたからね。そんな未来もあるのかなって考えちゃって……」
ゆい「……」
梓「それにあの人の言う未来だったとしたら、人間を滅ぼすのが早いっていう考え方もあるとは思います。でも……」
ゆい「……あずにゃんは」
私が言いよどんでいると、ゆい先輩が話し始めました。
ゆい「あずにゃんはAYUっていう人の言う未来を信じてるの?」
梓「え……」
ゆい「例えば、あずにゃんは明日カリカリ君を食べるって未来が分かったとしよう。あずにゃんは未来を変えたいと思ったら、カリカリ君を食
べる?」
梓「そりゃ……食べませんよ」
ゆい「でしょ?未来なんてそんなもんだよ。だから、あのとおりに未来がなるとは限らないよ」
梓「それはそうですけど……」
ゆい「未来なんて、どうなるか分からないよ。逆に分かったって変えることはできるよ」
梓「……たしかにそうですね」
ゆい「私はそんな未来よりも、人間とポケモンがいつまでも仲良く出来るような未来を信じるよ」
梓「……ゆい先輩」
たしかにそうですね。私はあんな光景を見たから、暗くなってしまったのかもしれない。
梓「私は……私もゆい先輩の言うような未来を信じます」
ゆい「……そっか」
ゆい先輩はふぁ~と欠伸をして
ゆい「じゃあ、私達も寝ようか」
梓「……私はやることがあるので先に寝ていて下さい」
ゆい「……ん、分かったよ」
ゆい先輩が寝たのを確認し、私は明日のメンバーを決めにかかりました。
病室
うい「……純ちゃん」
コンコン
うい「ん?こんな遅くに誰だろう」
私はドアに向かいます。
うい「どちら様です……あなたは!?」
翌朝
ゆい「いよいよ、決勝戦だよ!!」
澪「朝から元気だな」
ゆい「やっとここまで来たからね!!」
澪「それはいいんだけどさ……」
ゆい「何か、言いたそうだね」
澪「まだ、朝の5時だ!!」
ゆい「おおっ!」
律「……うるさいな、澪」
紬「……朝から、何を騒いでるの……」
澪「いや、ゆいが……」
律「ん?ゆいがどうしたんだ?」
澪「どうしたって……ゆいが朝早くから起きて……」
紬「ゆいちゃんは寝てるわよ、梓ちゃんの横で」
澪「え?」
ゆい「すーぴー」
澪「いつの間に……」
律「まったく、梓が起きたらどうするんだよ」
紬「きっと、澪ちゃんにもいろいろあるのよ」
澪「人を可愛そうな目で見るな!!」
朝食後
梓「さて、会場に向かいましょうか」
澪「……そうだな」
梓「どうしたんですか、澪先輩。何か、疲れてますけど」
律「澪にもいろいろあるんだよ……」
紬「そうよ、梓ちゃん。あまり、触れないであげて……」
澪「人を可愛そうな人扱いするな!!」
ゆい「澪ちゃん、朝から元気だね!」
澪「一体誰のせいでこんな目にあってると思ってるんだ……」
紬「ところで、梓ちゃん。答えは出したかしら」
梓「……はい」
律「どうするんだ?」
梓「……私はあんな未来は信じません。だから、……私は自分が信じる未来を掴むためにAYUを倒します!」
律「……そうか」
紬「頑張って、梓ちゃん!!」
澪「私達も頑張って応援するからな」
ゆい「まあ、私がついてるんだから、大船に乗った気でいなよ!」
律「タイ○ニックでないことを祈るけどな」
ゆい「むー、何さ、りっちゃん」
澪「ゆいも頑張れよ」
紬「優勝したら、皆で、マサラタウンに帰って、パーティをしましょう」
律「それはいいな!」
ゆい「やろう、やろう」
梓「……」
澪「どうした、梓」
梓「……いえ、何でもありません」
澪「変な梓だな」
梓「澪先輩。私はよるところがあるので、ゆい先輩を連れて、控え室に行っててもらえませんか」
澪「? それはかまわないけど、どこに行くんだ。時間も……」
梓「すぐに戻ってきますから!」
私はある場所に向かって、走っていきました。
会場
司会者「長かった、ポケモンリーグも今日で最後となリましたー。3位決定戦は不戦勝で秋山選手の勝利になりましたが、決勝戦ではその戦いも含めた素晴らしい戦いを期待したいところだー。さあ、まずは選手入場です」
律「いよいよだな」
紬「ええ」
律「それにしても、いろんな人が来てるな。あそこにはタケシ達もいるし」
紬「あっちには博士と梓ちゃんの両親がいるわ」
律「そういえば、澪はまだ来ないのか」
紬「場所は教えてるから、大丈夫だと思うけど……まだ、梓ちゃんは来ないのかしら」
律「電話してみるか」
澪「その必要はないぞ」
律「わっ……。驚かすなよ」
澪「ごめん」
紬「梓ちゃんは間にあったの?」
澪「ああ」
律「梓はどこに行ってたんだ?」
澪「それは教えてくれなかった」
紬「そろそろ、入場ね」
司会者「まずは準々決勝までは淡々と勝ち進み、準決勝は自分の正体がポケモンであることを明かし、今大会屈指の実力者のういをトレーナー
もろとも粉砕するという圧倒的な力を見せ付けています」
観客「「「「「わー、わー」」」」」
司会者「彼女のトレードーマークでもあるフード付のローブを着ての入場です」
律「別に澪達を信じられないとかじゃないけど、やっぱり、ちょっと想像できないよ」
澪「聞いた私も信じられないかったからな」
紬「どっちにしても、勝たなきゃね、梓ちゃんは」
司会者「さあ、次は今大会、奇跡、奇跡の逆転劇を続け、AYU、ういに続く、人型ポケモンを使う、梓選手の登場だー」
観客「「「「「「「「「「あずにゃ~ん」」」」」」」」」」
観客「「「「「「「「「「ゆいちゃ~ん」」」」」」」」」」
司会者「すごい声援ですね。さすが、今大会№1の人気です」
AYU「……」
梓「……」
司会者「さあ、ついに両者が対峙しましたー」
AYU「……それで、答えを聞こうか」
梓「私は……あなたの話した、未来なんか信じません」
AYU「……」
梓「私は……人間とポケモンが仲良く暮らすことが出来る未来を信じます!そのためにあなたを倒します」
AYU「……くだらない」
梓「あなたにはそうかもしれませんね。でも……私は諦めません。あなたの未来が本当だったとしても、きっと、変えてみせます!!だから、それを邪魔する、あなたを私は倒します!」
ゆい「わ~、厨二にゃんにふさわしい台詞だね!」
梓「うるさいですよ!」
AYU「……なるほど」
AYUは恐ろしいほどの低い声になり、オーラも変わりました。
AYU「全員、ぶち殺し希望か……」
梓「ゴク……」
審判「それでは決勝戦の始めます」
審判・梓・AYU「「「決闘(デュエル)」」」
ポケモンリーグ編⑦「決勝戦・梓VSAYU~決勝前夜~」 終了
ポケモンリーグ編⑧ 「決勝戦・梓VSAYU~未来のために~」
病院
医者「一体、何が原因なんだ……」
このまま、外部にこの患者のことが知られたら、マスコミに叩かれて、下手したら、辞任に追い込まれてしまう。
看護師「先生、先生!」
医者「どうしたんだ!」
看護師「あの患者が……行方不明になりました」
医者「な、なんじゃと!?」
ポケモン・リーグ・本会場
AYU「さて、戦いの前に私達の戦うべきフィールドに招待するよ」
AYUはパチンと指を鳴らすとフィールドが暗く、闇に包まれ始めました。
律「な、何だ、この霧みたいなのは……」
澪「霧にしては黒いぞ……」
紬「周りの人たちを見て!!」」
ムギの言うとおりに周りを見てみると、観客達が寝始めていた。
澪「何なんだ、これは……」
律「知るか!……梓のことが心配だ。フィールドに出よう」
紬「そうね」
澪「ちょっと、待った!」
律「何だよ、澪」
澪「こ、腰が抜けて……」
律「……ムギ」
紬「分かったわ」
梓「これは……一体……」
AYU「このスタジアムにいる人達は夢を見てるの」
梓「夢……」
AYU「いわゆる『ドリームタイム』ってやつだよ。もっとも、皆が見てるのは悪夢だけどね」
梓「これで、一体何を……」
AYU「けっして、覚めない悪夢を見続けて、苦しみながら衰弱死していくんだよ。もっとも、私の力じゃ、これが限界だけど、『あずにゃん分』があれば、世界を闇に落とせるんだけどね」
梓「……やっぱり、あなたはゆい先輩にはなれませんよ」
AYU「なるよ。ここで、あなた達を倒してね」
律「梓!!ゆい!!」
AYU「!?」
梓「律先輩!それとムギ先輩と……澪先輩?」
律先輩を先頭に後ろから、ムギ先輩におんぶされた澪先輩が来ました。
梓「あの……」
澪「……いろいろと事情があるんだ」
梓「はあ……」
AYU「か、観客は揃ったよ。さあ、戦おう」
梓「その前に一つ、聞きます。どうして、律先輩は悪夢に落ちなかったんですか?」
AYU「観客がいなきゃ、寂しいからね。……それに、梓ちゃんには見せてあげたいからね。自分のせいで、仲間達が死んでいく光景をね!!」
AYU(……本当は万に一つの可能性もあるから、あの3人も眠らせたはず……。まさか、私に眠るゆいの遺伝子が拒絶してるの……!?)
梓「どうしたんですか。さあ、早く、始めましょう」
AYU「分かってるよ。それじゃ、あらためて……」
梓・AYU「「決闘(デュエル)」」
梓「来て下さい、ヘルガー」
AYU「来て、ヘルガー」
梓 ヘルガー
AYU ヘルガー
律「同じポケモンが相手か」
紬「この場合、互いにパターンが分かっている分、トレーナーの腕にかかっているわね」
澪「それもあるけど、もっと、はっきりとした差があるかもしれない」
律「何だよ、それは」
澪「……単純なポケモンの能力の差だ」
律「なるほど、基本だな」
紬「とりあえず、見守るしかないわね」
梓「ヘルガー、かみくだく!!」
私のヘルガーはAYUのヘルガーの首筋を噛みに接近します。
梓「くらえっ!!」
AYU「……ふいうち」
私のヘルガーが噛み砕こうかという瞬間に不意をつかれて、ヘルガーの頭突きが入ります。
AYU「すてみタックルだよ!」
突然のふいうちを喰らい、バランスを崩している私のヘルガーにこん身の体当たりが命中します。
梓「ヘルガー!!」
AYU「英雄と言われたトレーナーもその程度なんてね」
梓「くっ……」
AYU「さあ、追撃だよ。ヘルガー、いかりのまえば!!」
AYUのヘルガーは体当たりを喰らい、立ち上がったばかりのヘルガーに鋭い前歯で激しく噛み千切ります。
梓「ヘルガー!」
AYU「さあ、私のヘルガー。そんなヘルガーを叩きつけて、距離を取って、すてみタックルだよ!」
AYUのヘルガーは私のヘルガーを叩きつけ、距離をとって、すてみタックルを仕掛けてきます。
梓「こっちも反撃です!ふいうち!」
私のヘルガーはダメージが残っている状態でも、何とかすてみタックルを仕掛けるのに、油断しているAYUのヘルガーに攻撃を仕掛けます。
梓「ここで、立て直しを……」
AYU「させないよ。もう一度、すてみタックル!」
体勢を立て直すために、距離をとった私のヘルガーにAYUのヘルガーが迫ります。
梓「もう一度、ふいうちです!」
私のヘルガーはAYUの先制を取って攻撃を仕掛けますが、AYUのヘルガーはその攻撃をもろともしないで攻撃を仕掛け、そのままフィールドの外まで飛ばされ、気絶しました。
AYU「梓選手のヘルガー、気絶。AYUのヘルガーの勝利です。……って、ところかな」
梓 ヘルガー ひん死
AYU ヘルガー
最終更新:2011年09月21日 19:52