梓「よくやりました、ゆい先輩。戻って下さい」

ゆい「はあ……はあ……まだ、戦えるよ。それにラプ太じゃ、相手するのも厳しいだろうし」

梓「今は休む時です。……それに私には切り札がありますから」

ゆい「まあ、あずにゃんが言うなら、私は従うけどね」

AYU「逃げるの?まあ、最後のポケモンを瞬殺して、すぐに場に戻してあげるよ」

梓「あなたにできますかね。出番ですよ、うい!!」


梓 ヘルガー ひん死 シャワーズ ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ひん死 ゆい うい

AYU ヘルガー ひん死 シャワーズ ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ひん死 ラプラス ひん死 AYU


律「ういちゃんだと!?」

紬「たしかに姿が見えなかったけど」

澪「だが……あの2人(?)なら、倒せる!」


AYU「死にぞこないがまた来たの?」

うい「……」

うい(……昨日……)

回想

コンコン

うい「ん?こんな遅くに誰だろう」

私はドアに向かいます。

うい「どちら様です……あなたは!?」

梓「ごめんね、夜遅くに」

うい「あ、梓ちゃん。どうしたの、こんな時間に」

梓「……ういにお願いがあってきたんだ」

うい「何を?」

梓「実は……明日だけ、私のメンバーになってくれないかな?」

うい「え、どうして……」

梓「実はね……」

梓ちゃんはAYUから聞いた話を話してくれた。

うい「未来にそんなことが……」

梓「私はそんな未来信じないし、純だってきっと目を覚ます。そのためにも明日は負けられないんだ。だから……」

うい「……分かったよ」

梓「ありがと、うい。じゃあ、明日、迎えに行くから。ちゃんと寝ないと駄目だよ。それから、皆にも内緒にしておくから、よろしくね」

ピクピク

梓「い、今、純の手が動かなかった!?」

うい「え!?」

私は純ちゃんの方を見ても、そんな気配はない。

うい「……気のせいだよ、梓ちゃん。疲れているんだよ」

梓「そ、そうかな。たしかに……見たんだけどな」

その後、軽い世間話をして、梓ちゃんは帰りました。

回想終了

うい「……」

AYU「さあ、戦おうか」

うい「……あなたの本当の正体は何なんですか?」

AYU「……へえ~、この姿が虚像だというの?」

うい「そうです」

AYU「……正解ともいえるし、外れとも言えるね。どっちにしても、私は梓ちゃんの体内に眠るエネルギーを使って、完全体なるんだよ」

うい「そして、世界を滅亡に……」

AYU「そうだよ」

うい「哀れですね」

AYU「……何!?」

梓(……ありがとう、うい)

ゆい「充電中・充電中」

梓(時間稼ぎをしてくれて……)


うい「破壊からは新たな破壊が生まれるんだよ。そんなこと、人間が証明してるよ?だから、あなたのやっていることは間違ってるんだよ」

AYU「……知ったような口を利くなーーーーーーーーーーーーーー!」

AYUは一瞬で、ういに接近し、リーチのある蹴りを繰り出すも、ういは軽く、しゃがんでかわします。

AYU「人間がいるから。ポケモンは。幸せに。ならないんだ!」

AYUはういの言葉に逆上したのか、乱暴に攻撃を繰り出します。

うい「ぐっ……」

AYU「人間はポケモンの敵、地球の敵なんだよ。同じポケモンとして、恥ずかしくないの?」

うい「……やっぱり、あなたはお姉ちゃんにはなれないよ」

AYU「なんだと!?」

うい「あなたには欠けているものがある」

AYU「……ッ!?なら……」

AYUの作った炎の塊から、かえんほうしゃがういに向かって発射された。


梓「あれは……純をあんな状態にした技……」


AYU「ディスペア・ブレイズ・キャノン!!!」

うい「……くっ」

私はお姉ちゃんの方を見る。

ゆい「充電完了・充電完了。ういーーー、避けてーーーー」

うい「良かった……」

お姉ちゃんがいれば、きっと、あの哀れなポケモンも倒せるだろう。……純ちゃん、今行くね。


ゆい「うーーーいーーー」

フィールドは炎で埋め尽くされます。そして、その炎も弱まり、フィールドには目が昨日の順のように生気がありません。

梓「……私のせいだ。私がういに出番を頼んだばっかりに」

ゆい「……そんなことないよ。あずにゃんのせいじゃない。ういはやるべきことをやったんだよ。トレーナーのためにね。私にとって、自慢の妹だよ」

梓「……ゆい先輩」


律「ゆい……」

澪「ゆい……」

紬「ゆいちゃん……」


???「勝手に負けたことにしないでよ、梓」


AYU「な、何だと……」

突如として、フィールドに聞き覚えがある声が響き渡りました。

梓「じゅ、純……」

純「久しぶりね。と言っても、一日ぶりだけど。そんなことよりも、酷いよ。人のポケモンを勝手に使うなんて」

梓「ご、ごめん……」

やばい、頭がついていかない。

純「さてと。うい!サッサと、そいつを倒しなさい!」

うい「……分かったよ、純ちゃん!!」

ういは満身創痍だったはずなのに、いつの間にか、AYUの懐に入ります。

うい「……ギガインパクト!!」

ういは持てる力の全てを出して、AYUに突撃します。

AYU「あいつは死んだはずなのに……こいつも!」

梓「分からないんですか?ういと純の間にポケモンと人間という枠を超えたつながりあうものがあるんです。人はこれを『絆』と呼ぶんです!!」



律「絆があるんです(キリッ。じゃねえよ。笑い殺す気かよ。ククククク」

紬「笑っちゃ駄目よ、りっちゃん。梓ちゃんは真面目に言ってるのよ、プ、フフフ」

澪「言ってることは間違ってないんだしな。く、クククク」

ゆい「そんなあずにゃんも可愛いよ~」

梓「……」


AYU「ぐっ……」

ういのこん身の一撃はAYUの体に命中し、壁まで吹っ飛ばされました。

梓「勝ったの……?」

AYU「ちょ、調子に乗るなよ!」

AYUは再び、立ち上がりました。

梓「やはり、まだ……え?」

その姿はゆい先輩を大きくした姿ではなく……ミュウの姿をしていました。


ポケモンリーグ編⑧ 「決勝戦・梓VSAYU~未来のために~」終了

次回・最終話です



ポケモンリーグ編⑨・ポケットモンスターゆい・最終話 「決勝戦・梓VSAYU~希望の光~」

梓「それがあなたの本当の姿……」

AYU「ふふふ、そうだよ。私は……ゆいの遺伝子をベースにミュウの遺伝子を掛け合わせてできた、他の呼び名をすれば、『ミュウスリー』と言うべきかな。でも、この名は好きじゃないからね」

ミュウの姿をしたAYUは一歩一歩、足を踏みしめて、フィールドに戻ってきます。

AYU「この姿は好きじゃないんだよね。人間には気味悪がられるし。……それにこれから、私はゆいになるんだから、この姿はミスマッチなんだよ」

AYUはフィールドに戻った。

AYU「この姿の私は手加減できないかもしれないからね。気をつけてよ」

AYUは手に紫色の波動の力を溜めます。

AYU「はどうだん!!」

うい「くっ……」

ういはその攻撃を直撃は避けるものの、爆風で私達の手前に落下しました。

ゆい「うい!」

うい「お、お姉ちゃん……わ、私、頑張ったよ。でも……無理みたい」

ゆい「よくやったよ、ういは。私の自慢の妹だよ!」

うい「えへへ……」

ういはその言葉を聞いて、安心して、気絶しました。

梓 ヘルガー ひん死 シャワーズ ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ひん死 ゆい うい ひん死

AYU ヘルガー ひん死 シャワーズ ひん死 プテラ ひん死 ハッサム ひん死 ラプラス ひん死 AYU

ゆい「後は任せてよ、うい」

梓「ありがとう、うい。……さあ、ゆい先輩。サッサと勝っちゃいましょう」

ゆい「任せなさい!フンス」

AYU「……何を希望なんか持ってる顔をしてるの。気に入らない、気に入らない!……更なる絶望に落としてあげるよ」

AYUは再び、手を振り上げます。すると、スタジアムを包んでいた闇がより一層、深くなり始めました。

律「あれ……なんだが、眠く……」

澪「きっと、この闇が深くなったから……」

紬「Zzzzzzz」

純「Zzzzzzz」

うい「Zzzzzzz」


梓「律先輩!澪先輩!ムギ先輩!純!うい!」

AYU「皆は悪夢の中で落ちていったよ……」

AYU(本当は梓ちゃんにもかけたはずなのに……まだ、抵抗するの、ゆいの遺伝子は)

梓「み、皆さん……」

ゆい「よくも、皆を!!」

ゆい先輩は体当たりを仕掛けるも、AYUはそれにカウンターのようなパンチをして、ゆい先輩は私の横まで転がってきます。

梓「ゆ、ゆい先輩……」

AYU「希望なんかないんだよ。あるのは絶望だけ……」

梓「……」

AYU「あなたも絶望したんでしょ。絶対的な力の前に」

梓「……ふふふ」

AYU「恐怖で頭がおかしくなっちゃたのかな?」

梓「……いえ。ただ、あなたが可笑しくて、可笑しくて」

AYU「どういう意味かな」

梓「一番、希望を持ってるのはあなたでしょ?人間を滅ぼせば、未来は救えるとか、ゆい先輩になるんだって」

AYU「なに!?」

梓「行きますよ、ゆい先輩」

ゆい「任せてよ!」

AYU「私が……希望を持っているだと」

梓「相手が動揺している今がチャンスなんですけど……どうしましょう」

ゆい「……よし!歌を歌おう。ほい、ギター」

梓「私にも弾けと。でも、無理ですよ」

ゆい「大丈夫、大丈夫。体が勝手に動いてくれるから」

ゆい先輩の言うとおり、体が勝手にギターを弾き始めます。

ゆい「む、うまいね」

梓「と言われても、勝手に動くんですけどね」

ゆい「それじゃ、始めよう。『ふわふわ時間』」

ゆい先輩は今までの中で一番優しい歌声で歌い始めます。すると、フィールドを包んでいた闇が少しずつ、晴れてきます。

AYU「な、何なんだ……これは」

それと同時に今まではうめき声とも取れるような寝言でしたが、少しずつですが、安らかな寝息が聞こえるようになりました。


ゆい「これじゃ、時間がかかるよ……」

律「あれ……ここは……」

澪「さっきまで、梓との戦いを見てたんだけど……」

紬「でも、なんだか、胸が暖かくなるような歌が聞こえたはずだけど」

ゆい「あ、皆も起きたんだ。ちょうど良かった。皆も演奏しよう」

律「といっても、楽器なんか、触ったことないぞ」

ゆい「体が勝手に動いてくれるよ」

澪「私達にそんなスキルはないぞ」

ゆい「いいから、いいから」

律先輩達は渋々と楽器を手に取ると、勝手に楽器を弾き始めます。

律「す、すげー」

ゆい「よし!これなら……」

私達の5人の音楽が会場全体に響き渡ります。

律「結構楽しいな。ポケモンリーグが終わったら、バンドでもやるか」

紬「それもいいわね」

澪「そうだな。それも楽しそうだよな」


そんな会話の中で、会場全体を覆っていた闇が急速に晴れて、明るくなり、皆の安らかな寝息が聞こえます。

純「う~ん、よく寝た。というか、寝てばかりだけど」

うい「おはよ、純ちゃん。信じてたよ、目を覚ますって。グスン」

純「大げさよ、うい」

と、純たちの声も聞こえます。

AYU「な、何で……」

AYUはまるで、信じられないものを見たかのように狼狽します。

ゆい「私はあずにゃんと出会えて、旅ができて、一緒にいられてよかったよ。私は皆と……あずにゃんと一緒に素晴らしい未来を過ごしたい!あずにゃんはどうかな?」

ゆい先輩は急にそんなことを言い出します。

ゆい「ごめんね、急に。迷惑だよね」

梓「……私も」

ゆい「うん?」

梓「私も……私もゆい先輩と……皆さんと一緒に楽しい未来を過ごしたいです!」

ゆい「……あずにゃん!!」

ゆい先輩の体が光り輝きだします。そして、私の体まで光り輝きます。

律「これは……ゆいの奴、まさか!?」

紬「アズニャン・マインドの境地に達したというの!?」

澪「もう色々と言うのも、面倒だけど、アズサ・マインドとかとは何が違うんだ?」

律「私達が梓と呼んだりするのはそれなりの関係だからだろ?少なくとも、名前で呼ぶなんて、よっぽどの人じゃないかぎり、ただの知り合いじゃ無理だろ?」

澪「そりゃ……な。私も人見知りだし」

紬「アズサ・マインドは梓ちゃんのことを好きだということが大前提にあるけれど、梓ちゃんがどう思ってるかと言うことは論外なのよ。名前で呼び合うことはあっても、好きじゃない場合もあるわよね?」

律「つまり、それなりの仲にある片思いということだな」

紬「それに対し、アズニャン・マインドは……互いの思いが通じ合った時に初めて達することのできる、アズサ・マインドの最後の扉よ」

律「あずにゃんなんて、あだ名、いきなり、眼鏡をかけた太った男の人とかがあずにゃんなんて呼んできたら、どう思うよ。普通は拒否するぞ」

澪「それはそうだろうな」

律「あずにゃんなんて、恥ずかしいあだ名で呼ばれるなんて、それなりの好意を持ってないと嫌だろ?だから、アズサ・マインドの上位として、アズニャン・マインドがあるわけだ。つまり、互いに気持ちが通じ合ってるということだ」

澪「……頭が痛い」


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最終更新:2011年09月21日 19:55