190. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:45:18.65 ID:CBnLOVZ30
曽我部・小学1年生

私は自然豊かなところに育った。そこは緑豊かな森に囲まれた綺麗な湖があって、私のお気に入りの場所だった。

曽我部「う?ん、今日もいい天気。今日は何して遊ぼうかな」

私はそこで遊ぶのが楽しみだった。いろんなポケモンもいたし、綺麗なお花もあったし、小さい頃の私にとっては格好の遊び場だったから。

曽我部「ん?」

私がいつものようにその湖に来ると、傷ついたミニリュウがいた。

曽我部「大変だー」

私はそのミニリュウを家に持って帰って治療した。

曽我部「よかったねー」

ナデナデ

ミニリュウ「リュー」

その日から、私はミニリュウと友達になった。他の人から見れば、初めてゲットしたポケモンとでも言うべきかもしれないけど、私にとっては初めての友達だった。唐突かもしれないけど、私には友達がいなかった。いや、作りたくなかった。
191. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:46:28.88 ID:CBnLOVZ30
ある日の下校途中にトランセルを持った男の子達がいた。

男の子A「トランセルの中身ってどうなってるんだろうな」

男の子B「ちょっと、見てみようぜ」

私の近くでそんなことを語ってる男の子達。子供っていうのはある種大人よりも冷酷な部分があるからね。

トランセル「トランセル、セル」

トランセルは嫌だ、嫌だと体を震わせている。それでも、男の子達はかまわずに、カッターでトランセルの体を傷つける。

男の子C「うえー、気持ち悪い。捨てちまおうぜ」

そして、死体となったトランセルを置いて、どこかに行ってしまった。私がそれを見ていると、今度は女の子達が来た。1人はもう下校していたのか、ガーディを連れていた。そして、トランセルを見て、

女の子A「うえー、気持ち悪い」

女の子B「こんなポケモン、いなくてもいいのにね」

そんなことを言い合っていた。

曽我部(可哀想とか、そんな感覚はないのかな?)

今にして思えば、逆にその子達の感覚の方が正しいかもしれない。でも、その当時の私にとってはそんな疑問を持った。

女の子C「こんなの燃やしちゃおうよ。ガーディー、ひのこよ」

その命令にガーディーは躊躇した。それはそうでしょうね。同じポケモンをバトルじゃなく、しかも、死んでるのに技を出せと命令したんだから。

女の子C「どうしたの?ちゃんと、やらないとご飯抜きよ」

その言葉に、ガーディーは躊躇しつつも、口から炎を出し、トランセルを燃やした。

女の子C「よしよし。よくやったよ」

女の子A「いい子だね」

ガーディーは女の子達に褒められてたけど、まったく嬉しそうじゃなかった。そんなことをしている人達と友達というか、学校だけの付き合いもしたくなかった。
192. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:47:06.32 ID:CBnLOVZ30
そんなわけで、私は小学校で友達をつくろうとは思わなかった。

曽我部「今日はどこで遊ぼうか」

ミニリュウ「リュー」

私はミニリュウに連れられて、森の中にある湖に来た。そこにはたくさんのミニリュウがいた。ミニリュウは一部では幻のポケモンといわれてるくらい珍しいから、ここは貴重な場所ってことになるわね。もちろん、当時の私には分からなかったけど。

曽我部「わー、ここはミニリュウの楽園なんだね」

ミニリュウ「リュウ!」

ミニリュウは自慢げに胸を張った。今にして思えば、この頃が一番楽しかったのかもしれない。そんな風に思えるほどの時間が流れていた。でも、楽しい時なんて、それこそ一瞬で終わるのよね。
193. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:48:06.11 ID:CBnLOVZ30
それから、1年後。私が2年生になった時のこと。

曽我部「あの森を伐採するの!?」

父「ああ。そして、ホテルとかを建てるみたいだぞ」

母「それで観光客を呼び込むのね」

父「それに伴い、ポケモンの一斉駆除が始まるらしい」

曽我部「駆除!?何で!?」

父「観光客に危険が及んでは大変だからな」

母「そうね。観光地は評判が大事だから」

両親の言うことも今にして思えば、分からないことではない。でも、当時の私には理解できなかった。

曽我部「どうして!ポケモン達が可哀想だよ」

父「確かにそのとおりだけど、お父さん達に言ってもな」

曽我部「じゃあ、誰に言えばいいの?」

母「そうねえ……議員さんじゃないかしらね」

曽我部「議員さん?」

父「そう、議員さん。この計画を進めてた人だからね」

曽我部「分かった。私、この人にお願いしてくる。どうすればいいの?」

父「その人は忙しいからなー。厳しいだろうなー」

母「そうね。それよりも、もういい時間だし、そろそろ寝なさい」

私は納得できなかったけど、母の言うこともあり、眠りについた。
194. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:49:21.49 ID:CBnLOVZ30
曽我部「ここも荒らされちゃうのかな?」

ミニリュウ「リュウ?」

私はミニリュウと一緒に、森で遊んでいたんいた。すると、大人の声が聞こえてきた。私とミニリュウは慌てて、森に隠れた。

議員「ここはいい場所だな。ゴルフ場にはぴったりだ」

取り巻き「そうですね。さすがは●●先生」

議員「ところで、どれくらいから、工事に着手できるんだ?」

取り巻き「それはもう、いつでも大丈夫です」

議員「結構。さて、ポケモンの駆除についてはどうかね」

取り巻き「それも大丈夫でございます」

曽我部(ポケモンの駆除!?)

私はその言葉に反応して、私達は飛び出した。

取り巻き「わ!?な、なんだ、子供か。なんだい、こんな所で……」

曽我部「ねえ、おじさん達はこんな所で何をしてるの?」

ミニリュウ「リュー」

議員「!!」

取り巻き「おじさん達はね、えーと、ここを観光地として、アピールしていくって話を知ってるかな?」

曽我部「お父さんとお母さんが言ってた」

取り巻き「そうかい。おじさん達はその下見だよ」

曽我部「ポケモンを駆除するって聞いたけど、そんなことしないよね?」

取り巻き「それはね……仕方がないことなんだよ。もし、観光客に危害が加わるとね……」

曽我部「ポケモン達はそんなことしないもん!!」

取り巻き「とは言うけどね……」

議員「待ちなさい、君」

取り巻き「あ、先生」

議員「君、そのポケモンはどこで見つけたんだい?」

曽我部「え?」

議員「それを教えてくれたら、ポケモンの駆除をやめてあげるよ」

曽我部「本当!?」

議員「ああ。おじさんは嘘をつかないよ」

今にして思えば、そんな言葉を信じるべきではなかったかも知れない。でも、当時の私にとっては救いの言葉だった。

曽我部「でも、何で?」

議員「実はね、私もミニリュウが好きでね、それで見たいと思ってね」

曽我部「そっかー。分かったよ。今、案内するね」

私はその人達を楽園――当時の私はそう呼んでいた――に案内した。それが間違いだったわけだけどね。
195. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:50:23.80 ID:CBnLOVZ30
それから、しばらくして。

曽我部「今日は楽園に行こうね」

ミニリュウ「リュウ!」

私達は楽園に向かったけど、そこには……。

曽我部「う、嘘……」

そこには誰かに荒らされた、湖があった。そして、ミニリュウは一匹もいなかった。

曽我部「み、皆、どこにいっちゃたの?」

私達はそこらへんを一生懸命探したけど、ミニリュウの影も形も発見することが出来なかった。そのうえ、しばらくしてから、ポケモン駆除が始まった。

196. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:51:21.45 ID:CBnLOVZ30
曽我部「そ、そんな……約束したのに」

私は大人達が駆除したポケモンの死体を見て、呟く。

曽我部「ひ、ひどいよ。ミニリュウ達だけじゃなくて、他のポケモン達まで……」

ミニリュウ「リュ、リュウ」

取り巻き「ご覧下さい。順調に作業は進んでいます」

議員「うむ」

曽我部「あ、あの人達は……」

私は駆け出した。

曽我部「おじさん達!」

取り巻き「ん?げっ、君はあの時の……」

曽我部「約束したよね!あの場所を教えたら、やめてくれるって。それに、ミニリュウ達はどうしたの!?」

取り巻き「そ、それは……」

議員「私達が適切に処理したよ」

取り巻き「先生!!」

曽我部「適切……!?」

議員「ミニリュウは世間的にみても、価値のあるポケモンだ。だから、ポケモン駆除の時に巻き込まれてはいけない。そう思って、避難させて
たんだよ」

曽我部「そもそも駆除する必要がないんだよ!皆、優しいのに!」

議員「そうは言ってもね。やっぱり、ポケモンは危険だからね」

曽我部「だから、危険じゃないのに……」

まあ、今の私なら、分かるわ。ポケモンが危険な存在ってことにね。結局、平行線のまま、その時は帰された。

曽我部(でも、ミニリュウ達は安全だったんから、まだいいよね)

これも馬鹿な話よね。一度、騙されているのに。

197. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:52:06.85 ID:CBnLOVZ30
それからはひどかったわね。木をどんどん伐採して、ゴルフ場を造ったり、ホテルを造ったりね。後は道を整備したりしてね、トラックとかの
排気ガスもひどかったわね。まあ、そんなことよりもひどいことがあったわ。

曽我部「……う、嘘……」

その観光地をPRする材料としてのイベントとして、ミニリュウのゲットイベントが行われた。

曽我部「ど、どうして……」

私はイベントで来ていた、議員さんに掴みかかろうとした。

曽我部「ミニリュウ達を利用するなんて許せない……」

警備員「誰か、捕まえろ!」

議員「君は何を怒ってるんだい?これもこの町の繁栄のためだよ」

曽我部「ミニリュウ達を犠牲にしてまでの反映って何よ」

議員「君には分からないかもしれないがね。ポケモンだって、本望だろうよ。人間様のために役に立ってるんだからね」

曽我部「!?殺してやる……」

議員「やれやれ。危険な子供だ。早く連れて行きなさい」

私は強制的に警察に連れて行かれた。そして、近所からは危険な子ども扱いされ、引越しを余儀なくされた。
198. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:53:10.75 ID:CBnLOVZ30
引っ越してきたのは都会だった。排気ガス臭くて、空気が悪いところだったけど、ミニリュウがいたから、よかった。私はミニリュウを一生懸命に鍛えた。さらに、引っ越してから、私は一生懸命頑張って勉強をした。理由は

曽我部(偉くなって、いつかポケモンと人間が一緒に仲良く暮らせる世界を創るんだ)
そんな夢を叶えるためだ。前者は仲良くなった世界で楽しくバトルをするための準備で、後者は偉くなるためだ。子供ながらに単純な理由だったけど、死に物狂いで頑張った。けれど、勉強をしていくうちにそんなことは不可能なんじゃないかと思えてきた。だって、ポケモンを捨てていく人は多いし、自然はどんどん開発と称して、破壊させていくしね。そして、私が思ったことが間違いじゃないのを決定づけたのは大学生2年生の時だった。

それはある雨の日のこと。私は1人暮らしをしている――大学生になって始めたのよ――自宅に帰宅途中にあるゴミ捨て場の前を通った時に、魚のはねるような音がした。それと、

???「コイ、コイコイ」

という、鳴き声が聞こえてきた。私がその鳴き声のした方を見ると、ゴミ捨て場にコイキングが捨てられていた。その通りは人通りも多いんだけど、誰も見向きもしなかった。私はその子を介抱しながら、思った。所詮、ポケモンと人間が仲良く暮らしていくことは不可能なんだと。一方的に人間が支配していくしか道がないんじゃないかと感じた。そして、私は絶望した。自分のやってきたことは無駄だと思ったから。そんな絶望感に襲われながらも、大学に通った。その時に私の人生を変えたであろう、人に出会った。
199. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:54:26.72 ID:CBnLOVZ30
???「君はいい目をしているね」

その人の姿はフードのついたローブを着ていて顔が見えないけど、声から察するに女の人だろう。

曽我部「あなたは誰?どこかで会ったかしら?」

???「あなたの夢を教えてくれない?」

そのフードの女は私の問いには答えずに逆に変な質問をしてきた。本来なら、そんな質問に答えるべきではないのだろうけど、気がついたら、私はそれに答えていた。

曽我部「偉くなって、いつかポケモンと人間が一緒に仲良く暮らせる世界を創ること……」

???「……そっか。いい夢だね。じゃ、がんば……」

曽我部「……だった」

???「てね。……あれ?だった?」

フードの女は初めはあきれて帰ろうとしてたけど、急に足を止めた。

???「だった?どういうこと?」

曽我部「どんなに頑張っても、不可能だと感じたので……」

???「じゃあ、今の夢は?」

曽我部「そうですね……特にないんですけど、しいて言えば……」

???「言えば?」

曽我部「ポケモンが暮らしやすい世界にしていくことですかね。……例え、どんなことをしてでも」

私がそう言うと、フードの女が感心したような顔をした。

???「へー。いい夢だね」

曽我部「ありがとうございます。それでは」

???「それを叶えられるチャンスをあげようか?」

さっきとは逆に今度は私が足を止めた。

???「どんなことをしてでも、叶えたいんだよね」

曽我部「そんなことをどうやって……」

???「そうだねー。まずは私達の仲間に入りなよ。私の他にも仲間はいるしね」

曽我部「仲間……」

???「どうするー?」

私はその勢いのままに仲間になることを承諾した。それは今から4年前のことだった。

200. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:55:54.80 ID:CBnLOVZ30
回想終了

曽我部「それから、私は1年後にロケット団に入って、偉くなるために順調に実力を見せて、偉い地位まできたのよ」
私はたくさんまだ、聞きたいことがあったけど、一番の疑問をぶつけた。

梓「どうして、あなたはポケモンを悪用するロケット団なんかに入ったんですか?」

曽我部「全ては今日のためよ。ロケット団の組織力を利用してね」

純「それで、あなたはこれから、一体何をしようというの」

曽我部「言ったでしょ、ポケモンが暮らしやすい世界にするって。そのために人間は邪魔なの。だから、人間を滅ぼすの」

純「人間を滅ぼす!?」

やはり、そんな目的でしたか。タマムシシティとかも攻撃をしていたし、今の話を聞いた後だと、考えられないことではありませんでしたが。

曽我部「ここはいい眺めね。しっかりとした建物だし。下もコンクリートだしね。……でも」

曽我部さんは一息入れる。

曽我部「こんなコンクリートや建物がいくらできても、喜ぶのは人間だけ。ポケモンにとっては喜ぶべきことじゃないわ」

梓「だからといって、滅ぼすとかは……」

曽我部「よく、民家に野生のポケモンが乱入してきて、射殺したって話があるでしょう?あれは人間の命を守るために射殺したりしてるって主
張しているわよね。それと同じ。人間はポケモンの命を脅かすから、人間を駆除するの。人間だってしてきたことだもんね。自分がされて、嫌ってことはないでしょ?」

梓「そんな権利はあなたにはありません!!」

曽我部「そうね。でも、ポケモン達を駆除する権利も人間にはないわよね」

梓「くっ。ああ言えば、こう言う……」

曽我部「それに私は自分が正しいなんて思っていないわ。間違ってるかもしれない」

ゆい「そうだよ、間違ってるよ!!」

曽我部「でも、同時にあなた達が間違ってるかもしれない。ようは、絶対的な正義なんてないのよ。もし、自分達が正義だと主張するなら、ト
レーナーのあなた達なら、分かるわよね」
201. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 20:56:36.75 ID:CBnLOVZ30
梓「勝ったほうが正義ということですか」

曽我部「そういうことね。ちなみにどうして、私が無駄話を長々と続けていたのかというと私のことを分かってほしいんじゃなくて……」

うい「お姉ちゃん、純ちゃん、梓ちゃん!!何か、向かってくるよ!」

曽我部「伝説のポケモン、3匹が来るまでの時間つぶしよ」

梓「ですが、これで他の方々もここにやってきます。状況はまだ、こっちの方が有利です」

曽我部「たしかに、フリーザーたちの動きを見て、ジムリーダーやあなたの仲間がやってくるでしょうね。そうなれば、この3匹だけなら辛いでしょうね」

曽我部さんは新たにボールを2個取り出す。

梓「新たなモンスターですか……」

曽我部「下の連中程度なら、この2匹で十分でしょうね」

曽我部さんはボールを下に落とした。
202. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:00:03.43 ID:CBnLOVZ30
シルフカンパニー前

澪「これで最後だ!」

エビワラーのパンチがマタドガスを殴り飛ばす。

ロケット団員「ひ、ひいい」

ロケット団は慌てふためいて、逃げ出した。

澪「これで最後だな」

紬「早く、梓ちゃんのところに行かないと……」

澪「ああ」

上空にはフリーザー達が飛んでいる。きっと、屋上にいる誰かが呼び寄せたんだろう。

律「澪!ムギ!大丈夫か」

律がジムリーダーの人達と一緒にやってきた。

澪「ああ。それよりも、今は梓達……ん?」

私達の上空から、何かが落ちてくる。

律「危ない、澪、ムギ!!」

私達はその場を離れた、と同時に、バーンと隕石でも落下したのかというような衝撃とともに何かが、落ちてきた。

ムギ「何かしら……」

カスミ「何かは分からないけど、うかつに近づくのは危険ね」

律「ああ」

澪「だけど、早く上に行かないと梓達が……」

タケシ「そうだな。……煙が晴れてきたぞ」

タケシさんの言うとおり、煙が晴れて、2匹のポケモンが見えてきた。

律「……あれはカイリューとギャラドスか」

ムギ「何で、いきなりこんなところに……」

律「まあ、いいさ。サッサと倒して、梓達のところに行こうぜ。来い、リザードン!」

律はリザードンを出す。一気に倒したいのだろう。もっとも、あの2匹にリザードンは不利なだけだが。

澪「まあ、たった2匹だし、大丈夫だろう……ん?」

カイリューの口にエネルギーが溜まっている。これは……!?」

澪「律、避けろ!!」

律「え?」

カイリューの口から、はかいこうせんが発射された。

ムギ「危ない、りっちゃん!」


203. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:01:10.02 ID:CBnLOVZ30
ムギはカポエラーを使って、律を救出し、私はカメックスを使って、リザードンをはかいこうせんのコースから、はじき出す。
ガシャーンっという音ともに、そのはかいこうせんはヤマブキシティのビルをここからじゃ、正確な数は分からないけど、とりあえず二桁のビルを貫通する威力だ。

律「ありがとな、ムギ」

紬「気にしなくていいわ」

律「それにしても、化け物かよ。この威力は……」

澪「だが、今がチャンスだ。はかいこうせんを撃った後は動きは鈍るからな」

カツラ「そのとおりじゃ。ウインディ、ワイルドボルト!」

カスミ「スターミー、れいとうビーム」

カツラさんのウインディとカスミさんのスターミーの攻撃が動きの鈍っている、カイリューに迫る。

ギャラドス「ギャラ」

ギャラドスはスターミーのれいとうビームを尻尾で受け、その尻尾でウインディにアクアテールを仕掛けてきます。

ウインディ「ディー」

ウインディはその攻撃を受け、ビルの壁に叩きつけられ、気絶します。

カツラ「疲れているとはいえ、ウインディを一撃か……」

律「訂正だ。化け物たちかよ、この威力は……」

紬「2匹でこの強さよ。トレーナーまでいたら、まだ力が上がるんじゃないかしら」

律「勘弁してくれよ……」

澪「だが、こいつらをサッサと倒さなきゃ、梓が……」

紬「誰かが囮になるとかは?」

澪「悪くはないが、あいつらがそれを許すとは思えない」

律「たしかに」

タケシ「だけど、やるしかないな」

キョウ「ああ」

澪「待ってろよ、梓、ゆい」

私達はその2匹に戦いを挑んだ。

204. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:03:44.83 ID:CBnLOVZ30
シルフカンパニー屋上

曽我部「さて、はじめましょう。ポケモンと人間の戦いを」

伝説の3匹は私達二人を睨みつけてきます。

ゆい「ひいい」

梓「1匹ずつでも厳しい戦いだったのに、3匹も相手とは……」

純「でも、大丈夫でしょ?あんた達、ファイヤーを倒したことがあるんだし」

梓「今度は3匹だよ。無茶言わないでよ。……でも、やるしかないね。来て、ヘルガー」

純「そうこなくっちゃ。来なさい、エレブー!」

曽我部「その2匹で勝てるかしら」

梓「やってみなくちゃ分かりません!!ヘルガー、フリーザーにかえんほうしゃ!」

フリーザーにヘルガーの口から出された、激しい炎が迫ります。

純「こおりタイプのフリーザーにヘルガーのかえんほうしゃは弱点のはず。これが通れば……」

曽我部「ファイヤー」

ファイヤー「イヤー」

ファイヤーはフリーザーの盾となり、ヘルガーのかえんほうしゃをその炎の羽で受け止めます。

曽我部「その程度の攻撃で勝てるなら、とっくにジムリーダー達に負けてるわね」

梓「たしかに……」

純「まだ、終わってないわ。エレブー、十万ボルト!!」

純のエレブーの十万ボルトが私のヘルガーのかえんほうしゃを止めた、ファイヤーに向かって迫ります。

曽我部「サンダー」

サンダー「ンダー」

その攻撃を今度はサンダーの電撃によって防がれます。

梓「あの3匹がうまく連携することによって、弱点を補っていますね」

純「どうやら、そのようね」

曽我部「諦めた方が利口じゃないかしら?」

梓「私は諦めません!あなたのようにポケモンを利用してこんなことをするなんて……絶対に許しません!」

曽我部「フフフ。なら、絶対的な力の差を見せてあげるわ。ファイヤー、かえんほうしゃ!」

ファイヤーのヘルガーとは比べ物にならないほどの火力を持った、かえんほうしゃが迫ります。

ヘルガー「ヘル!!」

私達とヘルガーとエレブーはなんとかその攻撃をかわします。

梓「あつっ!なんていう火力ですか。ここにいても、熱が……」

曽我部「仮にも伝説といわれるポケモンよ。その力はあなた達のポケモンの比じゃないわ」

たしかにそのとおりですね。でも、どうして伝説のポケモンを私達にぶつけるんでしょうか。下の2匹で戦わずに。

曽我部「何か疑問があるみたいね。いいわ、答えてあげるわ」

ゆい「へー、あの人親切だね、うい」

うい「え、えーと、それはどうだろうね」

梓「随分と余裕ですね」

曽我部「子供には優しくしないとね」
梓「……」

ゆい「ああ!あずにゃんの顔が修羅になってる!」

純(相手を挑発して、正常な判断能力を失わせる。相手はそれをうまくやってるわね。まあ、こっちがのりすぎなだけだけど)

205. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:06:13.27 ID:CBnLOVZ30
曽我部「それで、何が聞きたいのかしら?」

梓「……どうして、私達に伝説の三匹を使うんですか?ジムリーダーの人達に使ってればいいのに」

曽我部「だって、怖いじゃない、その子達」

曽我部はゆい先輩とういを指差します。

曽我部「力が未知数だもの。正直な話、ジムリーダーよりも対策ができないわね」

梓「なるほど」

曽我部「まあ、この3匹の前じゃ、何もできないでしょうけどね」

ゆい「そんなことないもん。私頑張るよ、あずにゃん!」

梓「そうですね。頑張ってください!」

純「いつもは出し惜しみしてるのに今日は乗り気ね」

梓「出し惜しみしてたら、負けるからね!」

純「私はてっきり、相手に馬鹿にされた腹いせじゃないかと思ったんだけどね」

梓「……そんなことないもん」

純「……まあ、いいわ」

ゆい「とにかく!私はやるよ!出てきて、ゆいぐるみ!」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン
いつもどおりにゆいぐるみがたくさん出てきました。

ゆい「さあ、やるよ。ゆいぐるみのみん……」

曽我部「フリーザー、ふぶきよ」

フリーザーはその羽を振り、そこから激しい吹雪がゆいぐるみを襲い、凍らされてしまいました。

ゆい「ああ、ゆいぐるみ達!」

曽我部「サンダー、かみなりよ」

突如として、空からはげしい雷が私達に向かって落ちてきました。

ゆい「ひゃー」

梓「大丈夫ですか、ゆい先輩!」

純「あぶなっ!」

うい「大丈夫、純ちゃん」

曽我部「戦力差は歴然ね。サンダー、ドリルくちばし」

梓・ゆい「!?」

梓「ここはあんまり広くない場所……」

ゆい「こんな場所であんな技をやられたら……」

純「何よ、一体」

そうこうしている間にサンダーは体を回転させて、私達に向かって突撃してきます。

梓「純、よけて!」

純「言われなくても!」

私はゆい先輩を抱っこして右に、純はういを抱っこして、左によけました。

曽我部「頑張るわね。いっそのこと、抵抗しなかったら楽になるわよ」
206. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:07:18.56 ID:CBnLOVZ30
梓「そんなわけにもいきませんよ。来てください、ガルーラ!」

純「そんなでかいの出してどうする気よ」

梓「……どうしましようか」

純「考えてないの!?」

梓「そんなことありませんよ」

純「どっちなのよ」

梓「とりあえず……ヘルガー、ファイヤーにかみつく攻撃です!」

ヘルガーはファイヤーの首筋に噛み付くためにダッシュで接近していきます。

曽我部「ファイヤー、ゴットバードの体制よ」

ファイヤーはヘルガーの弱点を舐め回すように見て、攻撃に体制に入り、ロケットのようにヘルガーに向かって、突っ込んできます。

梓「今です!!」

曽我部「!?」

ヘルガーに突っ込んできて、横ががら空きになってるファイヤーの横にガルーラが現れます。

梓「かみなりパンチ!」

ガルーラの電気を帯びた拳がヘルガーに激突しようとするファイヤーに迫ります。

曽我部「やるじゃない。……でもね」

ガルーラ「ガル!?」

ガルーラの電気を帯びた拳が何かのビームで突如として、氷付けになりました。

フリーザー「フリー」

梓「フリーザー!!」

ヘルガー「ヘルー」

梓「ヘルガー!」

ガルーラの攻撃がなかったので、そのままヘルガーは上に飛ばされて、落下して気絶してしまいました。

曽我部「考えはよかったんだけどね」

梓「くっ……。戻ってください、ヘルガー」

私はヘルガーをボールに戻します。
207. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:08:15.22 ID:CBnLOVZ30
曽我部「もう、遊びはいいわ。サッサと、その小さい2匹でかかってきなさい」

ゆい「ええっ!!無理だよ……」

曽我部「そう。……なら、死んでもらおうかしらね、梓さんに」

ゆい「ええっ!!そんなの駄目だよ!」

純「ねえ。どうしてあの人、あんなにういのお姉さんを標的にするの?」

梓「それほど、脅威なんでしょうね。何を仕掛けてくるか分かりませんし」

純「それは分かるんだけどさ」

ゆい「ど、どどどしよう、うい〜」

うい「落ち着いて、お姉ちゃん」

純「あれで脅威って……」

梓「あ、あれでもやる時はやるんだよ!!」

純「そう信じたいけどね……」

曽我部「サンダー、かみなりよ」

夕闇から、激しい光とともに雷が私に向かって落ちてきます。

純「危ない!!」

純は交通事故で子供を助けるように私を抱いて、その雷をよけます。

梓「ありがと、純」

純「お礼なら、無事に帰ったら、ケーキでも奢ってよ」

梓「無事に帰ったらって、縁起でもないこと言わないでよ」

曽我部「フリーザー、れいとうビームよ」

フリーザーの全てを凍りつかせそうな、冷気のビームが私達に迫ります。

ガルーラ「ルーラ!!」

その攻撃をガルーラが盾となって防いでくれます。しかし、

梓「ガルーラ!!」

ガルーラはまるで石像のように氷漬けになります。

曽我部「フィニッシュよ」

梓・純「!?」
208. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:09:59.23 ID:CBnLOVZ30
ゆい「あずにゃん、純ちゃん、上だよ!!」

上空を見ると、ファイヤーが口に炎をためて、私達に向かって、炎を出そうとします。

梓「よけないと……」

純「そうね。……いてっ」

梓「純?」

純「どうやら、足をひねったみたいね。梓だけでも、行きなさい」

梓「そんな……」

純「まったく、こんな少年漫画みたいな展開に巻き込まれるなんてね。あんたに出会ったのが運の尽きよ」

梓「……」

純「だから、少年漫画みたいにサッサとあいつを倒しなさい」

梓「……純。グスン」

純「何を泣いてんのよ」

曽我部「お別れはすんだ?ファイヤー、かえんほうしゃよ」

ゆい「あずにゃん!」

うい「純ちゃん」

ういは私達を助けに行こうとするもゆい先輩に止められます。

ゆい「危ないよ、うい」

うい「でも、純ちゃん達が……」

梓「こうなったら、プテラで盾に……」

純「……梓」

梓「何?今、いそがし……」

純「ういを頼んだわよ!!」

梓「にゃーーーー」

純は私を力一杯投げ飛ばします。そして、その瞬間にファイヤーのかえんほうしゃが辺りを包みます。

梓「じゅーーーーーーーーーーん」

ゆい・うい「じゅんちゃーーーーーーーん」

曽我部「フフフ。安心していいわ。これから、すぐにあなた達も行くことになるんだから」

ゆい「どうして……ポケモンを使ってこんなひどいことをするの……ポケモンと人間はもっと仲良く暮らすことができるのにそんなに争いの道具にするの?こんなのおかしいよ」

ゆい先輩は涙をぽろぽろと流し、泣き始めます。

梓「純、純……じゅーーーーーーーーーーん」
209. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:10:45.07 ID:CBnLOVZ30
純「……うるさいわね」

梓・ゆい・うい「!?」

炎が弱くなると、黒い塊ようなものの下から、純が出てきました。

梓「あれは……カビゴン」

純「カビゴンの特性であるあついしぼうのおかげで、このカビゴンもまだ戦えるわね」

梓「それよりも、どうして、無事なの?」

純「カビゴンをとっさに出して、ちょうどめり込んだ隙間に入ってその上にカビゴンに乗ってもらったのよ」

梓「あれだけの中でよくそんなことができたね」

純「火事場のなんとやらよ」

ゆい「ぐすぐす。よかったよ、ビエーーン」

うい「本当によかった。……お姉ちゃんを泣かせて、梓ちゃんや純ちゃんに危害を加えるなんて…」

ういは曽我部さんを親の敵のように睨み付けます。

曽我部「いい目をするわね。その挑戦的な目はいいわね」

うい「そんなに戦いたいなら……いいよ、受けて立つよ!」

曽我部「いい度胸ね。でも、無駄……!?ファイヤー、防御……」

して!、と言おうとしたであろう、曽我部さんが言い終わる前にファイヤーがういに殴り飛ばされ、向かいのビルに激突しました。

うい「これからが本番だよ」

ういのそんな声が屋上に静かに響きました。

210. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/08/12(金) 21:12:01.08 ID:CBnLOVZ30
VSロケット団編⑥  「VS曽我部・前編」 終了



最終更新:2011年09月22日 21:30