335. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:23:02.04 ID:RW1uKzK70
前回までの状況(トレーナとポケモン)                                            

梓          ゆい  ハッサム  ヘルガー  イーブイ   ニューラ   ガルーラ  カイリュー  ポリゴン2  プテラ  ラプラス

澪          ゼニガメ   エビワラー  デンリュウ

律          リザードン  サワムラー  ニョロボン  レアコイル  ゴローニャ  ゴルダック ハガネール

ムギ        フシギバナ  カポエラー  ギャラドス マタドガス  フーディン  デンリュウ  クロバット    

純          うい   カビゴン  ゲンガー   エレブー  カイリキー

ポケモンリーグ編⑤  「準決勝スタート・純死す!?」

336. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:24:53.58 ID:RW1uKzK70
うい「ふう〜。何とか勝てたね」

純「何言ってんのよ。ほとんど一人で勝ってたじゃない」

うい「えへへ。でも、他のトレーナーに手の内を隠せていいじゃない」

純「そうだけどさ。……ん?」

私達の前をフードを被ったローブを着た人が歩いてきた。

うい「どうしたの?」

純「いや、変わった人がいるなあって……」

うい「失礼だよ、純ちゃん。次に当たるかもしれないのに」

純「そうだったけ?」

うい「まあ、純ちゃんはあの後寝てたから、分からないだろうけどね」

???「ねえ」

ういとおしゃべりしていたら、声から察するに女の人が話しかけてきた。

???「変わってて、悪かったね」

うい「聞こえてたみたいだよ、純ちゃん。謝らないと」

純「そうだね。えーと、すいません。別に悪気があったわけじゃ……」

???「くすくす、冗談だよ。そう言われるのは慣れてるからね」

純「は、はあ……」

???「じゃあ、モップちゃん」

純「それじゃ……って、待ってよ!」

???「ん?」

純「失礼じゃない、初対面にそんな……」

???「ん?ああ、モップって言ったこと?ごめん、ごめん。そんな頭してたし」

純「……ちょっと、あんた!!」

うい「ま、まあまあ落ち着いて、純ちゃん」

???「用事はそれだけかな?じゃあ、モップちゃん」

純「う、うう〜」

うい「お、落ち着いて」

純「準決勝で覚えてなさいよ」

???「ふふふ、楽しみにしてるよ」

楽しそうに笑いながら、フードの女は去っていった。

純「まったく、何なのよ、あの女」

うい「そうだね(でも、どこかで会ったことのある暖かい雰囲気だったな、あの人。なんだろ、とっても大好きな感じのする雰囲気だったけど……)」

純「行くよ、うい。こうなったら、やけ食いよ」

うい「待ってよ、純ちゃん。やけ食いはほどほどにね。夜には抽選会もあるし……」

337. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:26:36.17 ID:RW1uKzK70
梓の部屋

ゆい「このお茶美味しいね」

紬「そう?ありがと、ゆいちゃん」

律「こっちのお菓子も美味いな」

紬「ありがと、りっちゃん」

梓「……」

ゆい「面白いテレビやってないかな?」

紬「どうかしらね」

律「んー……おい見ろよ、今日の試合の映像やってるぞ」

梓「……」

ゆい「本当だ!!」

紬「でも、負けた試合を見るのも……」

律「なに言ってんだよ、いい試合だったじゃん」

紬「そう?あ、ありがと、りっちゃん」

梓「……にゃあああああああああ」

律「おっと、どうした、梓。急に叫びだして」

紬「発情期かしら?」

ゆい「ええっ!?じゃあ、準備をしなきゃ」

律「何のだよ」

梓「1つ聞いていいですか?」

律「先輩が何でも答えてあげよう」

梓「どうして、私の部屋にいるんですか?」

律「それに答えるのは難しいな」

梓「いやいやいや。簡単ですよね」

律「前にも言ったが、負けると部屋を追い出されるわけだ」

梓「言ってましたね」

律「でも、泊まるにはお金がかかる」

梓「当然ですね」

律「しかし、参加者の部屋に泊まれば、お金もかからない」

梓「理屈ではそうですね」

紬「ごめんね、梓ちゃん」

梓「……まあ、いいんですけどね。でも、もう少し、遠慮というものをですね……」

ゆい「そんなことより、お菓子を食べよう!!」

梓「何を突然……」

ゆい「ほら、あずにゃんの分」

梓「……ゴクリ」

律・紬「「にやり」」
338. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:27:59.11 ID:RW1uKzK70
10分後

紬「おいしい、梓ちゃん?」

梓「……はい」

律「最初から、素直に食べたいといえばいいのにな」

梓「うるさいですよ。……そういえば、澪先輩は?」

律「いや、澪の邪魔しちゃだめだろ?」

紬「そうよ、梓ちゃん」

ゆい「まあまあ、あずにゃんも悪気があっていったわけじゃないんだし、許してあげなよ」

梓「え、何で私が攻められてるんですか」

律「まあ、冗談はともかく、そろそろ抽選会だろ?」

梓「あ、もうそんな時間ですね」

紬「それじゃ、ついでに澪ちゃんにお菓子を渡しておいてくれないかしら?」

梓「嫌ですよ。どこの世界に抽選会で対戦相手にお菓子の差し入れを渡す人がいるんですか」

紬「斬新でいいと思うけど」

梓「斬新すぎですよ」

律「仕方がない。私達が行くか」

紬「そうするしかないわね」

梓「そうして下さい」
339. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:31:25.28 ID:RW1uKzK70
抽選会場

澪「やあ、梓。律にムギも」

ムギ「はい、澪ちゃん。お菓子」

澪「ありがとう。でも、後ででいいかな?」

律「何だよ。ムギのお菓子が受け取れないのかよ」

澪「冷静に考えてみろ。どこの世界に抽選会にお菓子を持って参加する奴がいるんだ」

ゆい「すごいね、澪ちゃん!!歴史に名を残せるよ!!」

澪「そんなんで残りたくないよ」

係員「それでは参加者は集まってくださーい」

澪「行こうか、梓」

梓「はい!」

ゆい「む……」

律「あれは嫉妬か?」

紬「そうみたいね」

司会者『さあ、ポケモンリーグ・カントー大会も準決勝までやってきました。さあ、選手の入場です!!』

梓「緊張しますね」

澪「あ、ああ」

純「……」

梓「どうしたの、純」

純「……別に」

???「よろしくね」

最後の準決勝進出者であるフードを被ったローブの女の人が話しかけてきました。

梓「よろしくお願いします」

澪「よろしくお願いします」

純「……ギロリ」

梓「ちょ、ちょっと、純。失礼だよ」

純「……ふん」


340. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:31:51.80 ID:RW1uKzK70
司会者『さあ、フードを被った謎のトレーナーAYU選手から登場だー』

梓「あの人となんかあったの?」

純「……別に」

うい「ま、まあ、いろいろだよ」

梓「ふーん」

司会者『次は最強の可愛い幼女……』

ゆい「お、私達だね!」

梓「どこからそんな自信が出てくるんですか……」

司会者『ういを使うトレーナー鈴木選手の登場だー』

観客「「「うーい、うーい」」」

梓「すごい声援ですね」

ゆい「さすがはういだね!」

梓「……でも、純は……」

ゆい「あずにゃん、それ以上は言っちゃ駄目だよ」

梓「……そうですね」

司会者『さあ、次は今大会?1の美少女、秋山選手の登場です!』

観客「「「「澪た〜ん」」」」

司会者『会場からの声援も一際大きいですね』

澪「は、恥ずかしい……」

ゆい「むう……あずにゃんの方が美少女なのに……」

梓「まあまあ」

司会者『いよいよ、最後です。実力は4人の中で最低、でも、人気は?1。中野選手の登場です!』

観客「「「「「「「「あずにゃ〜ん」」」」」」」」

観客「「「「「「「「ゆいちゃ〜ん」」」」」」」」

司会者『この声援からも分かるとおり、人気は高いですね。しかし、大会結果を見ても、他の参加者は3匹で終わらせたり、1匹で終わらせた
りと余裕を持った勝利を続けてますが、中野選手は常にぎりぎりの勝利を強いられてきました』

ゆい「ひどい司会者だね。プンプン」

梓「まあまあ。いいじゃないですか。終わった時にその評価が正しかったかどうか、見せてあげましょう」

ゆい「おお。あずにゃん、かっこいいこと言ったね」

梓「えへへ」
341. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:35:19.38 ID:RW1uKzK70
司会者『さあ、いよいよ、準決勝の組み合わせの抽選会を行います』

梓「いよいよですね」

ゆい「そうだね」

司会者『今回のルールは簡単です。参加者は戦いたい相手を指名し、両方の意思が合えばいい。それだけです』

梓「また、めんどくさいことを……」

司会者『つまり、A、B、C、Dがいて、AとBがそれぞれを互いに指名、CとDも同様の場合はその対戦相手となります』

澪(ここから心理戦か。誰と戦うのが楽なのかを考えて指名したりとかができるからな)

司会者『なお、1組でも意思が合えば成立します。例えば、AとBがそれぞれを互いに指名、CとDがAを指名した場合はAとBが対戦、Cと

Dが対戦ということになります。全員の意思があわなければ、もう1度指名を行います』

梓「普通に抽選すればいいのに」

ゆい「まあまあ」

司会者『それでは10分間のシンキングタイムです』

梓「さて、誰を指名しましょうか」

ゆい「そうだね〜。あずにゃんにとって憧れの先輩である澪ちゃんを指名するか、旅で出会った純ちゃんを指名するか、特に画印のないAYUさんを指名するか」

梓「画印じゃなくて、因果です」


澪(誰を指名すべきか。梓とは決勝で戦いたいけど、う〜ん)


AYU「……」


純(梓とも澪先輩とも戦いけど、何より、あのAYUってのがむかつく)


梓「私としては準決勝で純と戦って、決勝では澪先輩と戦いたいんですが」

ゆい「うんうん、それで?」

梓「ゆい先輩としては、決勝でういと戦いたいんですよね?」

ゆい「私のことは気にしなくていいよ」

梓「そうは言っても……う〜ん」

司会者『それでは指名を始めます!』

ゆい「わわ、もう時間だ」

梓「仕方がありません。出たとこ勝負です」

紬「梓ちゃんは誰を指名するのかしら」
律「どうだろうな。誰でも変わらない気がするけどな」

司会者『それでは指名をフリップボードにお書き下さい』

梓(う〜ん、誰にしましょうか)

純「……」

梓(ん?純はAYUさんを凝視している。戦いたいのかな?……だとすると)

サラサラ。

ゆい「あずにゃんの字はまるこくって可愛いね」

梓「そうですか?」

司会者『それでは一斉にフリップを挙げてください』
342. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:36:20.73 ID:RW1uKzK70
梓『秋山  澪』

澪『AYU』

純『AYU』

AYU『鈴木  純』
343. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:36:57.89 ID:RW1uKzK70
司会者『おーっと、1回で対戦相手が決まりました。AYU選手と鈴木選手、秋山選手と中野選手です』

観客「「ワー、ワー」」

澪「……梓とか」

純「ふん、頼んだわよ、うい」

うい「ま、まあ、頑張るよ」

AYU「……クス」

梓「頑張りましょうね、ゆい先輩」

ゆい「うん!!」
344. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:37:32.55 ID:RW1uKzK70
抽選会後・自室

梓「さて、明日のメンバーはどうしましょうかね」

ゆい「皆、あずにゃんが真剣に悩んでいるから、静かにしてあげようよ」

律「当たり前だろ」

紬「言われなくても大丈夫よ」

梓「……皆さん」
345. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:38:56.36 ID:RW1uKzK70
30分後

律「おいおいスペードの8、止めてんの誰だよ」

ゆい「誰だろうねー」

紬「ねー」

律「くそ。パスだ、パス1」

梓「……」

ゆい「あがりっと。私、いちばーん」

紬「私もあがり。にばーん」

律「また、私が最下位かよ」

梓「……あの、皆さん」

律「ん?なんだ、梓」

梓「何をしてるんでしょうか?」

律「七ならべだよ」

ゆい「あれ?あずにゃん、したことないの?」

梓「いえ。それは分かりますけどね。私が聞きたいのはどうして、皆さんがここで七ならべをしているかということです」

律「暇だったからな」

紬「ごめんなさい、梓ちゃん」

梓「あ、別にムギ先輩が謝らなくても……」

紬「梓ちゃんも遊びたかったのね」

梓「……はい?」

紬「そうよね。梓ちゃんだけ仲間外れはよくないわよね」

梓「別にそういうわけじゃ……」

ゆい「そっか!!あずにゃん、寂しかったんだね!!」

梓「だから、そうじゃなくてですね……」

律「メンバーは選び終わったのか?」

梓「あ、はい。一応……」

ゆい「なら、遊んでも大丈夫だね!!」

梓「そういうわけにもゆきませんよ」

律「負けるのが怖いのかよ。準決勝まで行ったくせに、よわっちい根性だな」

梓「なっ!!いいですよ、その挑戦受けてたちます。やってやるです!!」

346. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:39:39.64 ID:RW1uKzK70
澪の部屋

澪「さてと。明日のメンバーも決まったし、もう寝ようかな」

私はモンスターボールをセットしてベットに着いた。

澪「きっと、梓達ももう寝てるだろうな。明日はいい試合が出来るといいな」

そう言って、眠りについた。


梓の部屋

梓「これで上がりです!!」

ゆい「おおっ!5連続1位!」

紬「りっちゃんは5連続最下位ね」

律「むむむ、もう1回だ!」

梓「何度来ても同じことですよ!」

347. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:40:37.48 ID:RW1uKzK70
次の日

実況『さあ、準決勝第1試合、純選手対AYU選手の試合が始まろうとしています』

澪「梓達、遅いな。どうしたんだろう?」


梓の部屋

ゆい「すぴ〜」

律「Zzzzzz」

紬「Zzzzzz」

梓「……うう、朝か。今何時だろ」

私は時計を見る。

梓「へえ〜、もうこんな時間か。第1試合も始まってるだろうな〜」

……ん?

梓「ええっ!!!」

律「……何だよ、梓」

梓「何だよ、梓、じゃありません!起きて下さい、ゆい先輩!!」

ゆい「……後、五分〜」

梓「ああ、もう。早く行かないと」

紬「私達も準備しないとね」

律「そうだな。まったく、誰だよ。遅くまでトランプに熱中してたの」

梓「ギロリ」

律「……すいません」
348. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:43:03.40 ID:RW1uKzK70
会場

梓「やっと着きました……」

律「まだ、第1試合は終わってないみたいだな」

紬「そうみたいね」

ゆい「どれどれ、試合の方はどうなってるかな?」


実況『さあ、互いに残り、1匹。どちらが勝利を収めるのかー』


律「へえー。結構互角な勝負をしてんじゃん」

紬「意外ね」

梓「でも、最後にはういがいますし」


審判「最後のポケモンを出して下さい」

AYU「ほーい」

そう言うとAYUさんはフィールドに出ました。

実況『これはどうしたことかー。トレーナー自ら、フィールドに出たぞー』

審判「き、君……」

AYU「くすくす」

AYUさんは笑いながら、前にゆい先輩がポケモンだと証明した時のように自分にボールを向けます。すると、ボールに入ります。そして、ボールから出てきます。

AYU「これでいいかな?」

審判「は、はい……」

実況『おっと、なんとポケモンリーグ史上初ポケモンがトレーナーとしてポケモンリーグに参加だー』

AYU「よろしくね」

うい「ど、どうも」

純「ういー。そんな奴、さっさと倒しちゃいなさい」

うい「う、うん」

うい(でも、何かやりづらいな、この人)

うい「ん?」

AYU「どうしたの?」

うい「そのフードは外さないんですか」

AYU「くすくす。外させてみなよ」

うい「……」

審判「それではバトルを再開して下さい」
349. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:45:53.66 ID:RW1uKzK70
その審判の言葉とともに、ういの姿が消えました。

うい「遅いよ」

ういはAYUの背後から、AYUの足を狙って、蹴りを入れます。

AYU「くっ……」

うい「その余裕が命取りだったね!!」

ういはバランスを崩したAYUの足を持って、空中にジャンプします。そして、空中でAYUの首をういの肩口で支える体勢になります。


ゆい「あの技は……ひらさわ家48の殺ポケ技の1つ『ひらわわバスター』」

梓「はい?あれはどう見ても、キン……」

紬「駄目よ、梓ちゃん!!」

梓「モガッ」

律「ほら、たい焼きあげるから」

梓(この人達誤魔化そうとしている……!?)


そうこうしているうちにういは地面にドシーンという轟音とともに激突しました。

実況『きまったーーーーーーーーー。瞬殺だーーーーーーーー』


紬「……強い」

梓「そうですね、モグモグ」

ゆい「食べながら喋るのは行儀悪いよ、あずにゃん」

梓「すいません。モグモグ」


AYU「……今のは効いたな〜」

うい「!?」

AYUさんは何事もないかのように起き上がります。

うい「そ、そんな……」

AYU「くすくす。今ので倒せたとでも思ったのかい?」

AYUさんは愉快そうに笑います。

AYU「もしかして、私を倒せたとか、希望を持っちゃったの?残念だね。でもいい勉強になったでしょ?希望なんてこの世にないんだよ。あるのは絶望だけ。それを見せてあげるよ」

純「1回、ういの攻撃を耐えられたからって調子に乗らないでよ。さあ、うい。さっさと倒しちゃってよ」

うい「う、うん……」

うい(でも、勝てる気がしないよ)

AYU「さあ、かかってきなよ」

うい(この余裕……うかつに近づくは危険だよ)

しばらく、2匹の睨み合いが続きます。

AYU「来ないなら、こっちから行くよ!!」

AYUは先制を取って、動き始めます。

AYU「とりゃー」

AYUはういに向かって、れんぞくパンチを繰り出します。

350. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:47:09.84 ID:RW1uKzK70
梓「うーん……」

律「何だ、梓。もう、たい焼きはないぞ」

梓「何を言ってるんですか。私はただ、あのAYUさんっていう人とどこかで会った気がしたなって、感じただけです」

紬「そうなの?どこで?」

梓「それが分からないんですよ。まあ、会ったというより、どこかで感じたことのあるオーラがあるかなって感じですけど」

ゆい「なんだか、よく分からないね」


AYU「トリャー!」

AYUのれんぞくパンチをういは全て軽々とかわします。

うい「もう……決めるよ!!」

ういはAYUの腕を掴んで、空いた手でAYUの顔面に拳を叩き込みます。

AYU「ぐっ……!!」

その攻撃でAYUは倒れこみます。

うい「トドメだよ……」

ういは目を瞑り、神経を集中させます。

うい(落ち着いて、集中するんだ。心を無にするんだ。そうすれば、達することが出来る。新たなる伝説の境地に。あの時の感覚が蘇る。さて、やるよ。……アズサマインド)

ういの体が光り輝きます。そして、その輝きは右手に集中します。

うい「ばくれつパンチ!!」

ういの気合の入ったこん身のパンチがAYUに向かって、繰り出されます。

AYU「くっ……」

AYUはリフレクターを張って、その攻撃を防御しようとします。ういのパンチはそのバリアと衝突します。その勢いから、強風がAYUさんに降りかかります。その結果、フードが捲りあがりました。

うい「一体、どんなか……お……を」

ういは驚愕の顔をします。それも当然でしょう。そのフードが捲りあがって出てきた顔は……。

うい「お、お姉ちゃん?」

ゆい先輩とそっくりの顔をしていました。
351. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:48:16.41 ID:RW1uKzK70
梓「一体、何が……。ハッ、もしかして、ゆい先輩のお姉さんですか!?」

ゆい「私にお姉ちゃんはいないよ。それにあのポケモン、顔や髪型は私にそっくりだけど、髪の色とか、目の色とか、あずにゃんにそっくりだよ」

律「そういえばそうだな」

紬「もしかすると、ゆいちゃんと梓ちゃんの子供!?」

律「それはないだろ……」


AYU「くすくす。やるね。私のフードを取るなんて」

うい「あなたは一体……」

AYU「勝ったら、教えてあげるよ。ねえ、うい」

AYUは怪しげな目で、ういを優しく見つめます。

AYU「ねえ、あなたの……ういの心の闇が見たいな♪」

AYUはゆい先輩の声でういに話しかけます。

うい「心の闇って……」

AYU「フフフ」

AYUの目から、あやしいひかりが発せられます。

352. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:49:30.01 ID:RW1uKzK70
ういの心の中

うい「あれ……ここは?」

AYU「くすくす。ここはあなたの心の中」

うい「あなたは……」

AYU「あなたはお姉ちゃんが大好きなんだよね?でも、いいのかな?」

うい「……何がですか?」

AYU「このままだと、梓ちゃんにお姉ちゃんを取られちゃうよ。ううん、もう、だいぶお姉ちゃんは梓ちゃんのことが好きだもんね。きっ
と、ういちゃんのことなんかどうでもいいと思ってるよ」

うい「そ、そんなこと……」

AYU「そんなことあるのかな?本当は純ちゃんとなんか冒険しないでずっとお姉ちゃんと暮らしたかったんでしょ?」

うい「わ、私は……」

AYU「私はね、別にあなたを追い詰めたいわけじゃないの。むしろ、あなたを助けたいと思ってるんだよ」

うい「た、助ける……?」

AYU「そう。いつまでも、人間なんかのポケモンでいないで人間から解放されるんだよ」

うい「か、解放……」

AYU「そうだよ。そのためにまずは……純ちゃんと梓ちゃんを殺すんだよ」

うい「こ、殺すって……」

AYU「まずは純ちゃんを殺すことであなたを人間から解放する。そして、梓ちゃんを殺すことでお姉ちゃんを解放するんだよ」

うい「で、でも……」

AYU「その後で手始めにここの人間を皆殺しにして、最終的に世界中の人間を殺すんだよ。そうすることで、もう誰も君とお姉ちゃんを邪魔
するものはいなくなるんだよ」

353. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:50:08.86 ID:RW1uKzK70
フィールド

梓「どうしたんでしょうか?」

さっきから、ういとAYUは身動き一つせずに睨み合いが続いています。

律「これは……マインドコントロールかもしれんな」

梓「マインドコントロール?」

律「そうだ。きっと、さいみんじゅつの延長なんだろうな」

梓「なんだかよく分かりませんが、あの目には注意が必要ということですね」


澪「それにしても戦わなくてよかった。それにしても、律達はどこにいるんだろう?」


354. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:52:10.68 ID:RW1uKzK70
ういの心の中


AYU「何を迷ってるのかな?お姉ちゃんが手に入るんだよ?たった2人の命でだよ?」

うい「わ、私は……」

AYU「それとも、純ちゃんは私が殺してあげようか?それくらいはおまけしてあげるよ」

うい「……で、でも」

AYU「煮え切らないな〜。いいかい?ポケモンにとっても、ちょっとスケールの大きな話だけど、地球にとっても、人間なんかいらないんだよ?現に君達、姉妹の幸せな時間もあの2人が邪魔してるんだよ?」


フィールド

純「こらー、うい!!しっかりしなさーい!!!」


律「さすがに叫ばずにはいられないか」

梓「ある意味、向こうが止まってるからチャンスではありますからね」

紬「でも、ういちゃんが動き出したら、AYUも動き出しそうだけど」

ゆい「とにかく、うい頑張れー」


ういの心の中

純『こらー、うい!!しっかりしなさーい!!!』

ゆい『とにかく、うい頑張れー』

うい「純ちゃん!お姉ちゃん!」

うい「わ、私は……そうは思わない」

AYU「ふーん。何で?」

うい「た、楽しかったから……」

AYU「へえー。なるほどなるほど。お姉ちゃんと一緒にいるよりも楽しかったの?」

うい「そ、それは比べることじゃないよ……」

AYU「……」

うい「そんなことをしても、お姉ちゃんに嫌われるだけだよ。それは絶対にやだ……」

AYU「……」

うい「それに私は純ちゃんや梓ちゃんも好きだもん。それに人間さんも」

AYU「ふーん。意外に精神が強いんだね。まあ、いいや。遊びはおしまいにしよう」

355. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:53:44.44 ID:RW1uKzK70
フィールド

AYU「決着をつけよう!!」

突如として、AYUが後ろにジャンプし、空中に浮き始めました。

うい「望むところだよ!」

AYU「ほのおのうず!!」

AYUの手から、まるでかえんほうしゃのような炎がういの周りを取り囲みます。


律「これじゃ、ほのおのうずじゃなくて、かえんほうしゃのうずだな」

紬「これをかわすのは至難の技ね」


うい「無駄だよ」

ういは体を回転させ、強制的にかぜおこしをしほのおをかき消しました。


梓「かぜおこしっていうレベルじゃないですね。もう、竜巻です」


うい「あなたは人間さんはポケモンにとってはいらないといいました。でも、ポケモンと人間は仲良く協力し合って生きていくべきなんです!!」

AYU「……知った風なことを言うガキめ……。いいよ。そんな希望なんて消してあげる」

AYUは片手を上に掲げ、その手には炎の塊が発生しました。

AYU「この炎はあなたの体は傷つけない。でも、その代わりに……」

うい「?」

AYU「その代わりにこの炎はあなたの精神を焼き尽くす。あなたを廃人にしてあげるよ」

AYUの作った炎の塊から、かえんほうしゃがういに向かって発射された。

AYU「ディスペア・ブレイズ・キャノン!!!」


律「あれは……よけきれない」

ゆい「うい!!!」

356. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:55:45.49 ID:RW1uKzK70
うい「……これは駄目だね」

私はグッと、目をつぶった。しかし、何かに引っ張られて後ろに投げ飛ばされた。

???「イワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアク」

私ではなく、誰かの叫び声が聞こえた。ま、まさか……。


実況『この攻撃でういは気絶かーーーーー』


ゆい「うい!うい!うーいー!!」

梓「落ち着いて下さい、ゆい先輩」


実況『さあ、強力な炎が弱くなってきます。ういは耐え切れたんでしょうか。……おや、あれは……』

梓「倒れているのはういではなく……純ですよ!?」

ゆい「じゃあ、ういは?」


うい「……純ちゃん」

ういはフィールドの外からヨタヨタとフィールドに歩いてきます。

うい「ど、どうして……」

純「あ…んたは……私のポケモンだからね。……トレーナーとして、守ってあげないと……」

うい「純ちゃん……」

純「……もう、私は駄目みたいね。……これで安心して……梓の…所に行きなさい。あんたの大好きなお姉ちゃんの……ところに」

うい「私は純ちゃんと……純ちゃん!?」

純はその言葉を最後にガクリと気絶しました。


ゆい「うーいー。まだ、戦いは終わってないよ!戦うんだよー」

梓「ちょっと、ゆい先輩」

律「さすがにそれは酷だろ?」

紬「それでも……今しかないわね」

梓・律「「え?」」
357. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:56:55.16 ID:RW1uKzK70
AYU「ば、馬鹿な……。人間がポケモンを庇うだと……。人間はポケモンを道具にしか思ってないはずなのに……」

AYUは純の行動に狼狽しています。たしかに、今しかチャンスはないです。

うい「……今だ!!」

ういは目に涙を溜めながら、片手にエネルギーを溜めます。そして、精神を高めて狼狽しているAYUにきあいパンチを繰り出します。

うい「これで……終わりだーーーーーーー」

ういのパンチがAYUに激突する瞬間、AYUの姿が消え、ういの背後に現れます。そして、ういの体を掴み、上空にジャンプします。AYU
はういの足を持って、ういの首をAYUの肩口で支える体勢になります。


ゆい「あの技は……ひらさわ家48の殺ポケ技の1つ『ひらわわバスター』」


AYU「終わりだ!!」

AYUは地面に激突しました。でも、さっきのういのようにドシーンという轟音がしません。

AYU「ば、馬鹿な……。もう、動けないはずなのに……まだ、私の邪魔をするの」

AYUの下にはいつの間にか純がいて、そこに着地したおかげでういのダメージは軽減されました。

AYU「ぐっ……」

AYUはういを離し、バンッと地面に落とされます。

うい「じゅ、純ちゃん……」

ういは痛んでいるだろう、体を引きずりながら、純のところに行きます。

うい「ありがとう、純ちゃん。純ちゃんは自慢のトレーナだよ……」

ういはそう言うとガクッと気絶しました。

審判「……うい、戦闘不能。AYUの勝利です。純選手のポケモンは全滅。よって、勝者はAYU選手です」

実況『まさか……まさか、まさかの幕切れだー。今大会?1のポケモンとされるういが敗れたー』

AYUさんは終了後、インタビューにも答えずにすぐに控え室に戻りました。

358. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:57:33.77 ID:RW1uKzK70
控え室

AYU「……ぐはっ」

控え室に着いたAYUは膝を着いた。

AYU「ハア……ハア……。予想以上のダメージだったな。でも、ようやくだよ。見ててくださいね、ご主人様」
359. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 19:58:21.75 ID:RW1uKzK70
病院

梓「ういは大丈夫そうだね」

うい「うん、ありがとう」

ゆい「良かったよ〜。グスグス」

うい「泣かないで、お姉ちゃん。……ところで、純ちゃんは?」

梓「隣の病室にいるよ。でも……まだ、目を覚まさないよ。お医者さんの話だと、いつ目を覚ますか分からないって」

うい「……そっか」

ゆい「大丈夫だよ、うい!私とあずにゃんの最強コンビが優勝して、あのポケモンから、どうやって、元に戻れるか聞いてあげるから!」

うい「頑張ってね、お姉ちゃん、梓ちゃん」

ゆい「任せてよ!ね、あずにゃん」

梓「……すいません、ちょっと、失礼します」

私は病室を出ました。


ゆい「……あずにゃん」

うい「仕方がないよ、お姉ちゃん。気持ちを整理する時間も必要だよ」

360. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 20:00:31.48 ID:RW1uKzK70
病院・待合室

梓「……純」

純は自分のパートナーのために命を懸けた。これだけでも、尊敬に値するすごいトレーナーだ。それ以前に旅で出会った、大切な仲間だ。その
純を……。

梓「……くっ」

律「何してんだ、梓」

梓「……律先輩にムギ先輩」

紬「もう、時間よ。そろそろ、行かなきゃ」

梓「でも、私は……」

律「……梓!!」

律先輩は私の頬をぐっと、引っ張ります。

梓「にゃ、にゃにしゅるんでしゅか」

律「ぐだぐだ考えったって仕方がないだろ。今のお前にできることは準決勝を勝ちきることだろ」

梓「で、でも……」

律「この先で澪が待ってんだぞ」

梓「……澪先輩」

そうだ、ようやく掴んだ、チャンスなんだ。この大舞台であの澪先輩と戦えるのは。

紬「それ以前に私達に勝った、梓ちゃんが不戦敗なんて認めないわよ」

梓「……ムギしぇんぱい」

律「大体澪に勝てなきゃ、あいつには勝てないぞ。頑張って澪を超えて来い」

梓「澪しぇんぱいを越える……」

紬「梓ちゃん。この大舞台で梓ちゃんと澪ちゃんの最高の戦いを見せてね」

梓「最高の戦い……」

律「それに梓はチャンピオンになって、純ちゃんと戦わきゃな」

……チャンピオン。

ゆい「あずにゃ〜ん、もう、時間だよ〜」

紬「ほら、ゆいちゃんも来たわよ」

律「どうすんだよ、梓」

梓「……はなしゅてください」

律「おっと、すまない」

梓「まったく、うるさい先輩達です。もう、こんな時間じゃないですか。澪先輩が待ちくたびれてますよ」

律「な、何を〜」

梓「……ありがとうございます」

律「……ニッ」

紬「……ニコ」

ゆい「?  何か、あったの?」

梓「何でもありません。サッサと、行きましょう。澪先輩も待ってます」

ゆい「そうだね!」

私は病院を出て、振り返る。

梓(私は玉座で純を待つよ。だから、戻ってきてね)

私は決意を固めて、スタジアムに向かった。
361. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 20:01:26.74 ID:RW1uKzK70
スタジアム

審判「澪選手。もう時間です。これ以上、遅れるとあなたの不戦勝が決まります」

澪(……きっと、梓は来る)

実況『さあ、もう試合開始時間まで1分もないぞー。このまま、澪選手の不戦勝が決まるのかー』

審判「残念ですが、もう……」

澪「……梓」

実況『さあ、審判が澪選手の勝利を宣言しようとします!』

審判「梓選手、しっか……」

梓「待って下さい!!」

澪「!?」

実況『おーっと、ギリギリで梓選手の登場だー』

澪「……遅いぞ、梓」

梓「すいません」

ゆい「主役はおくれて登場するものだよ」

審判「梓選手。早く位置に着いてください」

梓「はい。……澪先輩」

澪「何だ?」

梓「最高の戦いをしましょう」

澪「……ああ!!」


審判「それでは……」

審判・澪・梓「「「決闘(デュエル)!!!」」」
362. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/09/07(水) 20:02:20.48 ID:RW1uKzK70
ポケモンリーグ編⑤  「準決勝スタート・純死す!?」  終了


最終更新:2011年09月22日 21:42