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梓「はぁ~……」

梓「あっつぅ~……」

梓「夏が暑いのは当たり前だけど」

梓「こう真夏日続きだと、ついつい愚痴っちゃうよ」

梓「オマケにこのタイミングでエアコン故障とか……」

梓「修理業者は予定が詰まってて、まだまだ来られないって言うし」

梓「団扇と扇風機じゃおっつかないよ……」

梓「折角の夏休みにこの仕打ちって」

梓「…………」

梓「…………っっ~~~!」

梓「あっつ~~~い!!」

梓「こういう時は、少しでも暑さをまぎらわすようにしないと」

梓「そう言えばこの間――」

唯律「――あっつ~~~い!!」

澪「夏は暑いのが当たり前だろ」

唯「それはそうだけど~」

律「部室のエアコンが故障してるって聞いてないぞー!」

澪「私だって聞いてない! 今日のところは仕方ないだろ」

梓「そうですよ。少しくらい我慢しましょう」

唯「えぇ~」

律「無理だってー。汗で制服も引っ付いて気持悪いしよー」パタパタ

澪「やめろ、はしたない!」

紬「でも修理業者もこの季節は予定が一杯で、まだ来られないらしいし……」

唯「えぇ~!? もう待てないよ~」

梓「ワガママ言わないで下さいよ。仕方ないじゃないですか」

唯「う~……あ、学校パワーで優先してもらえないかな!?」

梓「もらえませんよ。何ですか、学校パワーって」

唯「ムギちゃ~ん! 何かないの!? 一瞬で冷え冷えになるアイテムとか!」

澪「またそういう事を……」

梓「ムギ先輩は便利な青いアレじゃありませんよ」

紬「便利アイテムはないけど、今日はジェラート持ってきたの~」

律「お、さっすがムギ!」

唯「これでしばらくは戦える……ありがたや、ありがたや~」

紬「うふふ、どういたしまして」

澪「まったく……」

梓「でもまぁ唯先輩達じゃなくとも、この暑さじゃまいっちゃいますよね」

澪「そうだな。じゃあ食べたらちゃんと練習するんだぞ」

唯「は~い」

律「はいはいはーい」

澪「はい、は一回!――」


~~~

梓「――って事があったっけ」

梓「結局あの後も、ぐだぐだいつも通りだったなぁ」

梓「ジェラート美味しかったなー……」

梓「いま家には何もないし」チリン

梓「あー、また暑くなってきた」チリンチリン

梓「って、さっきから何の音……風鈴か」

梓「そういや、風鈴といえば唯先輩が――」


~~~

律「――何だよ、まだエアコン直ってないのかよー」

紬「今月中は厳しいかも、だって……」

律「暑い今にないと意味ないじゃんよー」

澪「文句ばっか言うな。暑いのは皆一緒なんだ」

律「一緒だろうが、一緒じゃなかろうが、暑い事に変わりないっての」

澪「だったらほら、団扇。思う存分扇いでろ」

律「うちわー? まぁ妥協するか……」パタパタ

律「……」パタパタ

律「…………」パタパタパタパタ

律「………………」パタパタパタパタパタパタ

律「……澪ちゃ~ん」

澪「嫌だ」

律「扇いでくれよ~」

澪「嫌だって言ってるだろ」

律「少しだけ! ほんの数分でいいから!」

澪「いーやーだ!!」

梓「この暑いのによくやりますね……」

紬「夏の暑さに負けてない位に熱くていいわぁ」

梓「……ムギ先輩?」

唯「みんなおはよ~、今日も暑いね」ガチャ

梓「遅かったですね、唯先輩」

律「また寝坊かぁ?」

唯「違うよー。来る途中で、隣のお婆ちゃんにあってね」ゴソゴソ

梓「?」

唯「これをもらったんだ」チリン

澪「風鈴か」

紬「素敵ね」

梓「夏の風物詩ってやつですかね」

唯「えへへ~、いいでしょ」

律「で?」

唯「え?」

律「で、その風鈴どうするんだって」

梓「そりゃあどこかに取り付けるんじゃないですか」

唯「うん! せめて気持よく練習できればなぁって」

紬「じゃあ、少し風が出てるから付けてみるわね」チリン

梓「いい感じですね」

唯「そだね~」

澪「うん。じゃあ練習始めるぞ」

律「しゃーない、一丁やるか!――」


~~~

梓「――それで練習始めたけど」

梓「演奏してたら風鈴の音なんて全然聞こえないし」

梓「暑さが変わる訳でもないし」

梓「やっぱりぐだぐだになったっけ」

梓「気分だけ涼しくしてもね」

梓「実際には暑いんだし」

梓「まだまだその境地には辿り着けないよ」

梓「はぁ、暑い」

梓「氷すらないし……そうだ」

梓「純に何か買ってきてもらおう。どうせ暇でしょ」

梓「メールでいいか……『暑い。アイス買ってきて』……と」

梓「お、返信早い」

梓「『自分で行けば』……テンプレな返答だね」

梓「そうもいかない……『今留守番してて動けないんだ。お願い、純だけが頼りなんだ』……と。歩み寄りは必要だよね」

梓「……きた。何々……『仕方ないなぁ、ちょっと待ってなさい』」

梓「普段頼られないから、文章から嬉しさがにじみ出てるね」

梓「これでよし。後は純が来るまで耐え忍ぶだけ」

梓「それまでどうしようかな」

梓「あ、そうだ」

梓「えーっと、確かこの辺に……あったあった」

梓「以前に使ったライブ用浴衣」

梓「ちょっと着替えよう」


梓「――うん、涼しい涼しい」

梓「これに限った話じゃないけど」

梓「一人で全員の衣装作っちゃう先生」

梓「動機が少し不純だけど」

梓「うーん、いい仕事するなぁ」

梓「肝心の音楽に関してはあんまり口出さないけど……」

梓「まぁ……感謝、だよね」

梓「えーっと」

梓「何か恥ずかしい事を口走ってしまったような……」

梓「コホン」

梓「えっとえっと、何か涼しい事でも考えよう」

梓「かき氷! かき氷食べたいな」

梓「例えばこういうノリで――」


~~~

唯「――暑いねぇ、あずにゃん」

梓「そうですね」

唯「こう暑いと冷たいものが欲しくならない?」

梓「またアイスですか? さっき食べてたじゃないですか」

唯「いや~、夏はアイスがないと始まらないよ」

梓「唯先輩は一年中アイス食べてるじゃないですか」

唯「おおぅ、よくご存知で~」

梓「まったく……」

唯「あ、かき氷でもいいよ~。私、イチゴ~」

梓「そんな都合よく出てきま」

紬「は~い、お待たせ~」

梓「……出てきた」

唯「うわ~い、ムギちゃんありがと~」

紬「どういたしまして。梓ちゃんはブルーハワイでいいかしら?」

梓「それ何味なのかはっきりしないんでちょっと……」

澪「おはよう」ガチャ

梓「あ、澪先輩。おはようございます」

澪「いやぁ、今日も暑いな。来る途中見掛けたから買ってきたよ、かき氷」

梓「え」

紬「あら、私もかき氷持ってきたの」

澪「え、そうなのか。被っちゃったな」

唯「わ~い! 私、イチゴ味ね~」

梓「まだ食べるんですか。そして、またイチゴですか?」

唯「ん~、やっぱり好きな味だったら飽きないよね」

澪「そうだな、私もそういう所あるかも。梓はブルーハワイでいいか?」

梓「なんで澪先輩まで……私ってブルーハワイ好きそうに見えます?」

律「おーっす!」ガチャ

唯「あ、りっちゃん、お~っす!」

梓「律先輩遅かったですね」

律「んー? いやなに、今日も猛暑だしさ」ドンッ

紬「氷の……塊?」

律「それと、このかき氷製造機! たまには部長らしく差し入れだ」

梓「わー……」

澪「律もかき氷持ってきたのか」

律「も、って……あら、みんな持ってきたのか?」

唯「いいじゃんいいじゃん~、いっぱいあった方が有事でも安心だよ!」

梓「かき氷で何とかなる有事って何ですか……」

律「あ、シロップも色々揃えてきたんだぜ」

澪「おお、本格的だな」

唯「わ~! それじゃあ私は――」

梓「またイチゴですか?」

唯「あ~、先に言わないでよ~」

律「はは、同じのばっかとか唯っぽいな」

紬「イチゴ、好きなのね」

唯「そんなにおかしいかなぁ?」

律「ま、いいんじゃないの? 梓はそうだな……ブルーハワイか?」

梓「もうブルーハワイでいいです……――」


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最終更新:2011年09月28日 19:59